253話
※ お読みの文章は 間違いなく 『253話』です ※
※ そして 時間は 遡る ※
程よい弾力を感じるクッションが設置された木製のベッドの上。
枕を抱えるような雰囲気でもって両手でコーメェをぎゅっと抱きしめ、今現在寝転んでいるそのベッドの柔らかさ性能を確かめるべく、特に深く考えず右へ左へと緩慢にゴロゴロ往復していた私。
私の腕の中で、コーメェもマッタリ状態です。あーまったりまったり。
ごろ寝の副作用でシワシワになると悲しみがあふれ出る為、ポンチョは脱いで近くの小物を設置する場所! と言った感じの小さい台の上に適当に畳んで置いてあります。
適当にチョイスして設置した家具類でしたが、こうやって少し離れた場所で客観的視点で確認すると、個人的感想ですが普通に良い雰囲気なのでは? なんて。贔屓目最大値で。つまり美的センスとは。
何時も通りの自画自賛からスタート。
正直な所、カタログから選んだだけですけども。ハハハ。既製品最高。
そんな事をブツブツ呟いて、ログインして何度目かになるゴロゴロ左右往復を敢行。
こうやって、ゲーム内でダラダラ出来る場所が確保できて良かったなーと思う反面、これで『ふわもこファーム』と同じ様に書籍データを読み込めたり出来たら、引き篭もりゲーム生活まっしぐらになってしまう! という危惧も。
恐らくこのゲームの趣旨とは微妙に違ったプレイになってしまう。
いかんいかん危ない。
いやでも、千差万別のプレイとか喧伝していましたし。
運営的にも引き篭もりプレイはアリなのかな。いや無いかな。うーん。
グリグリとコーメェのわき腹に頬っぺたをこすり付けつつ、脳裏を掠めた怠惰な考えを振り払い。
……あーそうだ! 適当に今現在所持しているアイテムを確認しよう!
と、これまた特に深く考えず唐突に思いついて行動指針を設定。
そんな、今現在のワタクシの体勢『うつ伏せ枕突っ伏し状態』
いやその、アイテムボックスの中身は先日のイベント終了後に、一応アレコレ言いながら確認したのですよ。イベント終了時に一つ、他のプレイヤー様方には余り価値の無いアイテムだった様子なのですが、私にとって個人的に有効活用が可能なアイテムを入手する事が出来たので。
それがちゃんとアイテムボックス内部に存在するのか! という根本的な部分を事実確認するためだけに。不安がりすぎでしょう過去の私。
落ち着いた今の私だから、過去の私にツッコミをいれたいのです。
流石に運営やシステマさん達の事は信用しなさいね! と言ってあげたい。
でも確認作業という私個人の事となると、各種不手際があった可能性が高いわけで。
見逃し三振どころのお話じゃないんじゃないかな。目に入ってもスルー。
そりゃもう、日曜日のイベントでは自分でも驚く結末を迎えた私ですが、自己評価は普段通り微妙な水準を維持しておりますし。私のゲームプレイの9割以上は皆様の親切で作られております故。
そもそもな所、ちゃんと私はイベントヒャッホイ! タノシイゼー! 出来ていたのか、ソコの所がイマイチ判別不能な訳でしてね?
思い返しても、変なテンションで楽しんでいたのだけは確かですが。
でもでも、コーメェと一緒のイベント参加というだけで、物凄く有意義な時間を過ごしたとおもっていますので、初イベントを楽しんで過ごすぞー! といった根本的な理念の部分は全く持って問題は無いと思われます。まぁそのあの色々とね。考える訳です。
他の参加者様方に、無意識で何か迷惑をかけたりしなかったかな!? 何て事をです。
そりゃーですね、今更考えても仕方のない事ではありますよ。
見慣れぬ土地で必死に生き抜くために、色々と行き当たりバッタリで必死に活動していた記憶がありますので。他のプレイヤー様が行っていた華麗なプレイとは、比べ物にならない位だとは思いますが。
でもイベント内容を大雑把に思い返すたび、VR胃袋の辺りが動作不良を起こしそうになって、思わずグヌゥ! と眉間に皺が寄る程度には微量の精神ダメージが。考えすぎなのかな。
徐々にネガティブ思考に方面へ思考が傾いていく中、コーメェを頬っぺたに擦りつけつつ、うつ伏せでグダグダしていた私。
……駄目だ愚痴っていたら一向に作業が開始できない! と遅まきながら気が付き。
再度身体を動かしてバサリと仰向け状態でベッド中央に停止した私は、ひとまず両手を空けるために、今日も何時も通りフカフカモッフーなコーメェを、あいているお腹の上に乗せまして。よいしょと。
ついでに、ニョキっと太ももの隙間から顔を出していた尻尾の先端をどっせい! と引っ張り出して、お尻で押しつぶさないよう位置を調整、両太ももで尻尾を挟む状態に移行。うむ安定したポーズ。
お尻の位置をゴソゴソ調整し、採点が有れば85点は頂けるのではなかろうか? といった感じのナイス仰向け状態! に。
うむ、尻尾の毛並みも何時も通りですね。もふもふ。
そしてゴロリモードのままで、チョチョイと手先だけ動かす感じでメニューを開く! という犯罪的なまでに日曜日の自室風な行動。ゴロゴロ寝たまま携帯端末を弄る風味な。
まぁあれです……大分お行儀悪さ満点のモノグサ行為ですねうん。
でも誰も見ていないからセーフなのです。そう、きっと、恐らく。
ばれなきゃお行儀悪くないんですよ多分! ね!
ここにはお父さんは居ませんのでバレマセン。
そして何となく開いてみたアイテムボックスでしたが、色々と売却処分したり鑑定したりしないといけない物が詰まっています。
そもそもな話、私には使い道の無さそうな素材が多数あるのですよね。
でも聞く所によるとイベント限定の素材? っぽいブツが大量にありますーと言う助言を頂いたので、普通に売り飛ばしてお金ヒャッッホイ! するのも勿体無い気が。
この辺りの素材は、何か別の手段を用いる事も考えて行動していきましょう。
多分この素材を利用する方法として一番良いのは、今後の活動やスキルの為に必要としてくれる方にお譲りして、代わりに私が活用できる物を頂く! 等価交換といわず6:4、いや7:3とかの比率でも良いですよーどんとこいー位の勢いを持って! という感じかなーと。
いざとなれば、このクラン拠点にある倉庫に入れておけば安心! 腐ったりもしないよ! という話も聞いてはいますので。
アイテムボックス内部がパンパンで行動に支障をきたしまくりぃ! なんていう事態は、確実に回避出来るとは思います。ちょっと前まで石ころとか雑草とか詰まってたもんね。私のアイテムボックス。
色々と無駄にアイテムを取得する私の適当思考の弊害で、普段からアイテムボックスの容量がヤバイ事になっていた訳です。でも、倉庫と言う存在が出現した御蔭でぐっと気楽に!
これからも無駄に素材を拾っていくプレイが可能ですよ!
えっ何ですって? 知識を駆使して逐一取捨択一しつつ必要分だけ入手しろと?
……そういった繊細なプレイは我がクランの長に仰って下さい。
まぁクラン? と言っても、構成員は二人だけしかいないんですけどね!
でも……普段から緊張する頻度の高い私にとって、逆に二人だけというこの状況が物凄くあり難い訳でもあります。新しいゲーム要素である『クラン』という物に、触れる機会を得た訳でもありますし。
まぁここで、こうしている理由として……ほぼ人数あわせというか、クラン設立条件にクランリーダー一人と構成員一人が必要不可欠だったから、といった微妙に世知辛い部分もあるんですけども。
誘われたときに『お時間大丈夫でしたら一緒にプレイとかしましょう』と言ってくれていたので……クラン条件に対する人数あわせだけが理由ではないと思います……多分ね。
えーっとそういえば、倉庫は何処にあるんだっけかな。
……あーそうそう、玄関横の部屋が物置になってるんだっけ!
小さい建物ですけれど、まだ内部構造を把握し切れていないのですよね。
ならば、こんな場所でゴロゴロしていないで、建物内部を歩き回って内装や設備、部屋の位置関係を把握する作業に従事したら如何かね? と怒られそうですけれども。
いやまぁ言い訳をさせてください、いやその頼みます。
ほら、あれなんです、ログインした直後にこの場所へ出現した訳ですよ。
そりゃ当然ベッドの感触を確かめるでしょう。当然でしょう。当然。
するとコーメェが何時も通り時間差で出現する訳です。もふもふです。
ソレを抱えて……そのままゴロゴロするんですよ。ほらもうベッド最高。
……すみません、イベントが終わったからと気を抜かず頑張りますハイ。
何度目かになるアイテム確認の作業で、あの人にプレゼントする予定の品物が、ちゃーんとアイテムボックスに収納されている事を無事確認します。
忘れないうちに機会を作って、お渡しに行きましょうね。
でも正直な所……私の勝手な想像で、このアイテムがとても効果的に作用するのでは、と深く考えずに思い込んではいますが、もしかしたら色々と今までの事に対する拘りとか、個人的な信念思想とかが理由で、このアイテムは別に要らないーという返答を頂く可能性も、否定できません。
……それでも、色々とお世話になっている方ですし、一応持っていくだけでもね!
何となくそのアイテムを取り出し、二本の指で摘まんで眺めます。
こう、現実で良く見るタイプの形状です。普通に。
何て事を考えながらメニューを弄り、お腹の上でノンビリと私の事を眺めているコーメェの背中を、あいている左手でもふもふもふ。
さて、無くさない様に収納しなおしておこう、と右手の指で摘んでいたアイテムをアイテムボックスに放り込んだタイミングで、入り口の方からゴトゴトと物音が響いてきました。
おっ! 我がクランの長がご到着ですな!
面と向かって、クランの長! って呼ぶと、物凄い恐縮されちゃうんだけどね。
頭の上に汗がピョピョピョー! って出る感じの。
漫画的表現がピッタリな雰囲気で。
いやぁー恐縮したいのは私の方もなんだけどね!
お互い恐縮祭りです。恐縮です。ハハハ。
なんとか慣れていかないとなー何て独り言を呟きつつ、メニューを閉じてコーメェを抱え直し、ベッドから上半身を起こした私。
この後、お互いイベント時の事について話したり、クランの事等について相談したりするのです。
先日『お時間やご予定が合うようでしたら二人お話しましょうー』って、事前にした約束があったのですよ。
それにしても。
あのイベントではいろいろな事があったなぁー……なんて。
ユラユラと頭を左右に振りつつ、ぼんやりと考えながらベッドから立ち上がり。
自室を出て左方向にある出入口に視線を向け。
そこで靴を脱いでいる最中の、見覚えのあるシルエットへ向けて声をかけながら歩を進め、先日のイベントについて思いを馳せる私なのでした。
リハビリを兼ねて強引に気合で何とか1話だけでも更新をば。
ちょっと短めです。申し訳。
元々遅かった執筆速度が、大方の予想通りさらに落ちている。厳しい。
また期間が開くと思いますが、何卒ご容赦していただけると幸いです。




