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246話

いいクスリありますぜぇ!(不穏

今回ちょっと短め。申し訳。

 国営図書館の側面に付いている裏口の扉を開いて、建物の内部へと戻っていくアルシェさんの勇姿を見送り終わった私。

 先程交わしたアルシェさんとの会話を思い出しながら、約束の時間に待ち合わせ場所へ遅刻しないように気をつける! と言う事を、今後の第一目標と定めます。


 正直な所、色々とやらなければならない事があるとは思うのですが。

 大体は、私一人にしか影響を及ぼさないであろうと推察できる、個人的な用事等ばかりですので。


 称号確認の方はーまぁ後で良いかな?

 放置しておいても称号は逃げませんしお腹も空かせません。

 今しばらく待っていて貰う事に致しましょう。後でね後で。


 となると……まずは最初に、沢山作りすぎて山盛りてんこ盛りで私の行動を圧迫し続けている、この鞄に詰まったポーション群を売り払う作業を先に進めるべきでしょう。


 丁度良い感じに懐具合も寂しい雰囲気ですので、まずは資金調達という事で。


 アルシェさんとの会話中、脇に退けておいたポーション入り鞄を持ち上げて、肩に提げ直します。

 こういう感じで大量に物を持っていても、筋肉が物凄い勢いで疲労してきたー、とかそういう感触はしないですし、負荷が掛かって物凄い重いという感じもしないのですが、スタミナだけは減っている様です。


 ポーションって一応液体ですし、やっぱりというかほぼ確実に重いのかな。


 肩に食い込んだ鞄ベルト位置をグリグリと修正、行動しやすい形にした私は一旦ベンチの上に退避してもらっていたコーメェを再度抱きかかえて、移動を開始する事にします。


 目指す場所は、何時も通り私の行きつけの場所であるメディカさんのお店。


 今日も大量のポーションを持ち込ませて頂きますウヘヘ。

 いやー毎度お世話になっておりますよね。


 ここからメディカさんのお店まで移動するとなると、町の南西から北東とほぼ真逆の位置付けて、少々距離があります。


 まぁ……移動しながらメニューのスタミナゲージを確認しましたが、このスタミナ消費速度ならば多分大丈夫でしょうか。

 途中でスタミナ枯渇して、道に敷き詰められた石畳の上にうつ伏せで突っ伏し、まさに市場の一本マグロ! みたいな状態にならない様に一応気をつけないと。


 いざとなったら、顔を石畳に擦り付けつつ一旦ログアウトしてしまえば大丈夫だろうか。

 というか……今まで気にした事も無かったのですが、というか必要に迫られた事が無かったから確認作業を怠ったと言うか、普通に考えれば起こりえない事態だと思うのですが。


 街中で、うつ伏せに寝転んだ状態でもログアウトできるのだろうか。


 ……いやその、実験と銘打った行動だとしても、あまり変テコな格好でログアウト機能を試す気にはならないのですけどね。止むを得ず不測の事態に巻き込まれる可能性はありますが。遠慮したい所ではあります。


 それに横になった状態でログアウトした後に再度ログインしたら、ズボォ! っと身体が半分地面にめり込んでいたとかなるかも。ゲーム風に考えると可能性はありそうで。いやいや流石に無いかな。


 とは言っても……今現在すでに、荷物まみれ状態で歩いているだけで足が地面にズブリ! とめり込みそうな雰囲気を醸し出している訳ですけれども。スタミナゲージが削れてゆく。


 ひーはー、えんやーこーらーえんやーこーら! 荷物運びは大変です。


 割れ物注意な状態ですので、足を滑らせたり躓いて転ばない様に、一歩一歩注意して移動しているますと、鞄のベルト部分がガサゴソと不規則に位置移動を開始し始めて微妙に行動し辛い。


 ふむふむえーっと、よし、まずは両手で抱えて保持していたコーメェをー、こうやってーこう一旦尻尾にくっ付けてぇーっと。


 コーメェはそこに付着しててね。

 両手が使えないなら、第三の手である尻尾を使えばよいのだ。


 まぁ今も全然、尻尾を上手い具合に操作できていませんけれども。

 そのうち何かの拍子に、手と同じ様な感覚で動かせるように……ならないか。

 運営様、私みたいな狐人ビギナーでも尻尾を上手に動かせるようなアップデート、どうにかなりませんかね。神様頼み。

 

 まぁ一応ですが、ある程度意思に追随して稼働を開始する部位だ、と言う事は判明しておりますので。

 上手く稼働できずとも、何時も通りの感じでコーメェを付着させておくだけの分には問題は無いでしょうけど。ね。


 コーメェを移動させた後、ある程度意識しつつ腰を捻る感じで尻尾を動かして、コーメェの保持具合を確認。本人からも問題無しのコールが返って来ましたので、これなら大丈夫でしょうか。


 よし、ではベルトを両手でガチリと保持しまして。うむ、安定感が増したぞ。

 それでは移動を再開! 本格的に急ぎましょう。色々と時間が惜しいのだ!


 実際の所、待ち合わせた時刻までの残り時間は大量に残っているんですが、ポーションを売り終えた後に、早めにログアウトして朝御飯寄りのお昼ご飯を食す予定が詰まっておりますので。


 まぁ詰めるのは、お父さんお手製サンドウィッチを私の胃袋になんですが。

 もぐもぐしますよ。もぐもぐ。


 それでもですね、時間に余裕を持って行動しないと、絶対待ち合わせに遅れそう! むしろ遅れることが確定! という感じで一抹の不安があるのです。フラグってやつです多分。天高く聳え立つ金属性ポールの先端に、強い風を受けながらはためいている風味の立派なやつ(フラグ)です。


 いや一抹の不安では済まなそう。十抹くらい? いやいや『抹』ってそういう風に使う単位なのかな。謎だけど、何時も通り私から発せられる雰囲気で察していただければ幸いです。


 いや『抹』の事は取り合えず良いんです。

 今は君の事を考えている場合じゃない。申し訳無いがNGだ。


 なんて感じでですね、こういう風にですね、妙ーな事を唐突に考え始めたりする私の事は、恐らく一番近い存在である私が一番理解しているのです。そう思いたい。

 でもまぁ連想からの連想で数珠繋ぎ思考を進めていると、自分の行動や思考理念が良く判らなくなる時も有りますが。つまり勢いだけで生きている猪突猛進女子。


 女子に猪突はどうなんだ。

 いや、イノシシ君はゴワゴワ毛並みが可愛いから良いや。


 両目を閉じて、あの硬めの毛並み感触を思い出して一人で興奮していた私は、また機会があったら触らせてもらおうと、全然関係のないタイミングで決意。


 いや、柔らか毛も好きだけど、あの手触りも中々ね。


 自分の毛並みも好きだけどねーなんて呟きつつ、尻尾とそれにくっ付いているコーメェを同時にセルフモフりして、取り合えず落ち着きを取り戻した私。


 再度気合を入れなおし、荷物の位置を調整して確認。

 国営図書館へと向かってきている、複数のプレイヤーさんらしき人達の視界に出来ればあまり入らないよう気を付けながら、植え込みの横を抜けて中央通りを避け、細い路地を進むルートを選択します。


 迷わないように、一応マップも確認しつつね。

 建物の多いこの辺ならば、恐らく住民さんが居る位で他のプレイヤーさんとは、余り遭遇しないでしょうという考えの下にです。


 我ながら安定した考え、なんて一人で頷きつつ建物の間に通っている細い道を歩いていましたが、移動途中に町を見物している感じで周囲を見回しつつ、数人で固まって会話しながら歩いているプレイヤーさんらしき方々が。ぐっ遭遇した!


 ううむ、流石に仕方ないのかな。

 プレイヤーの総人口が増えたからか、不測の遭遇率が高いですね。


 あまり目立たない様に、尚且つ物音を立てない様に。

 コッソリと会話中のプレイヤーさん達の脇を抜け、足早に移動を再開します。

 メニューを確認しつつ会話に夢中なプレイヤーさん達は、私の方を見向きもしませんでした。良かった良かった。


 昨日は公園で無駄に目立ってしまいましたので、色々と自重しませんとね。

 マップに記載されている自分の周囲の地形を確認しながら、ぐるりと路地を使って街の外周を大回りする形で移動し、メディカさんのお店前まで移動を終えた私。


 お店の中にはコーメェを連れ込めませんので、前回と同じ様にコーメェを店先のスペースに下ろす為、しゃがみ込んで尻尾の先端を地面にフサリと下げます。

 私の要請に応え、コーメェが尻尾からモフリと石畳の上へと降り立ちました。


 うむ、ささっとお薬を売り払ってお金を入手してくるから、コーメェはちょっと待っててねー。

 ポムポムとコーメェの柔らかい背中を数回撫で叩きまして。


 何時も通り、メディカさんにポーション査定してもらう事に。


 今日はカウンターで何か読書をなさっていたメディカさん、山盛りでポーションを持ち込んだ私に驚いていらっしゃいましたが、丁度倉庫袋のポーション在庫が目減りし始めていた頃合だった、という事で大量持ち込み大歓迎! されてしまいました。


 うん、プレイヤー総数が増えたから沢山売れているだろうね。つまりお薬最高。


 何時もの調子で所持していたポーション全部を売り終えた私は、ほくほく笑顔でメディカさんへお暇のご挨拶をしてお店を退出します。ポコ豆も追加補充しました。


 そして持参したポーション群の売り上げは15000ゴールド少々!

 うへへ! やっぱり安定して稼ぐなら薬を密造して売り払うのが一番ですね!


 魔法のポーチにお金の入った袋を無くさない様に収納して、何時も通りお店のガラス窓にくっ付いていたコーメェを回収、その際にお店のカウンターから手を振ってくださっているメディカさんが見えましたので、私も笑顔で右手を上げ手を振ります。また来ますねー!


 コーメェも短い右前足を斜めに突き出して振っております。出来る子。

 さて、懐が暖かくなったのは良いのですが、このお金で何をするか。


 エスメラルドさんの所に写真機の積立金としてある程度納めておこうかな!? という選択肢も一応思いついたのですが、ココはまだ写真機に関しては保留する事にします。写真機欲しいけど。欲しいけど。


 公式イベント中や終了後に、何かお金に変換出来るアイテムを入手できる可能性がありますので、今はある程度イベントで頑張れる様に準備を進める為の資金として、このお金を残しておこうかなと。

 

 とはいったモノの、情報が不足しすぎていて準備するモノが想像出来ない! という体たらく女子な状態を惜しげもなく晒している状況な訳ですけれども。食料だけ買っておけば大丈夫かな。我ながら雑。


 お薬不足と言う緊急事態に則して、私が先程所持していたポーションは全部メディカさんに売り払ってしまいましたので、イベント会場現地で使う用のお薬は、後で素材を集めて追加作成して揃えましょうね。


 でも、そういえば……というかそもそも、イベント会場に最初から回復アイテムや装備品を大量に持ち込んでも大丈夫なのか、という点が判明していなくて物凄く不安なのですけれども。


 イベント開催まで間もないですし、実は公式サイトにイベントに関しての詳細等、何か書いてあったりするのかな。

 ログアウトしたら確認してみようかな?


 それとも、誰か情報通な詳しい方に聞いてみたほうが安心かな。

 うん、それが良いかも、後でゲンジさんの所にお邪魔してみよう。

 冒険に向けて、ご飯を買い溜めしておかないとね!


 人通りの少ない裏路地を移動しつつ、腕の中でノンビリしているコーメェをモフりながら、今後の予定を決めた私は、現実で早めの食事を摂取する為に、メニューを操作してログアウトボタンをポチリ! するのでありました。

 それじゃコーメェまた後でね!

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