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244話

一応超お金持ちのご令嬢。

好きな食事はジャンクフード。

 他の称号内容に比べると、大分落ち着いた表現な【魔素迷宮発見者】の詳細を眺めて、ホッと胸を撫で下ろす私。分不相応な称号が多数立ち並ぶ中でこれは自分でも納得の出来る称号ですし。


 つまり、運が良ければ誰でも入手出来る称号な訳ですからね。私でも安心。


 思わず笑顔を浮かべて頷いた私は、太ももの上で安らかな寝息をその鼻からプースカ射出しているコーメェの背中をドゥムドゥム! と平手で押すような感じで触り弾力を楽しみます。


 へーい柔らかいぜぇー!

 うん、変なテンションになってきた。次いこう次!


 私の猛攻ソフトタッチを全く意に介した様子も無く、華麗に……華麗に? 受け流し眠り続けるコーメェの背中を、そのままの調子で左手を駆使して揉み楽しみつつ、右手人差し指をメニュー板へ伸ばして次の称号を確認します。



【託宣に導かれし識者】

 祭具ならびに祝福済みの法杖を用い、流転の女神からの託宣を受ける事に成功した。

 各種把握系および探査系スキルの、範囲と効果を小幅拡大。

 祭具に対応したNPCに対しての友好度変動補正が増加。

 託宣の絞込み精度が増加。



 ……んぇ? また謎&意味不明な称号の登場ですよ?

 託宣っていう単語は他で見かけた記憶が何となくあります。

 それは良いのです。


 いやその、称号名称のイメージから言わせて貰いますと、これってですね?


 完っ全に神様関連の!

 お役目を担っている様な方々が!

 所持している風味の神聖っぽさが醸し出される訳でしゅ! あっ噛んだ!


 いや良いんだ私が言いたいのは、私には全然似合わない称号名と称号内容なのだという事、その一点のみでしてはい。


 あっ……何だか驚きすぎて、逆にスーッと冷たい湖の水面の如くな心持ちで、無駄に冷静になってきた。気がする。

 いや、水面下では熱い熱湯か何かが噴出している様なそんな気分で。

 自分でも何を言っているのか、ちょっと意味が判らなくなってきた。

 危険すぎるぞ称号確認作業。


 にしてもだ、何時の間に神職に就いたのだろうか私。ね?


 あっもしかしたら!

 リアさんの知り合いです=なら神職だな! みたいな神懸りニュアンスなのか。

 そう言う神聖アトモスフィアなのか。

 仏罰クレイジーな謎だ。


 いいや、次いこう。

 また脳のチャージエネルギーが切れそうだし。

 ぐぐっと右人差し指を伸ばして次の称号をドドンと。ね。


 

【迷宮粉砕者】

 正規の手順を踏まずに迷宮踏破、もしくは根幹の手順を逸脱及び破壊した。

 単純な迷宮外壁破壊等の行為は、この条件に含まれない。


 迷宮に存在する全ての存在から何かしらの被害を受けた際、10%追加被害を受ける。

 この追加被害のダメージで、死に戻りに到る事は無く、必ずライフは1残る。

 迷宮に存在する全てに対して10%の追加被害を与える。


 迷宮内で入手できる全てのアイテムの、全パラメータに増加補正。

 称号保持者が存在する迷宮内に他プレイヤーが同時存在する時、この称号保持者が持つ全ての効果に割合で補正が掛かる。



 ほほぅ……コレはもしかして。

 あの魔素迷宮で壁を吹き飛ばして、強引に舞台裏へと突入した際に、その流れでスポリと頂いたものだろうか。


 ええ、粉砕しましたよ、粉砕しましたとも。


 壁だけではなく、奥の部屋にあった光る鉱石とか、転がっていたチビっ子ゴーレム君多数も、私の棒の錆びとなった訳です。

 いや出血しない相手だし私の武器は刃物じゃないし、ゴーレム君相手なら錆びにならないのかな。

 鉄分的な意味でなら、なりそうだけど。


 棒の傷になった、の方が表現としては合っているのか。

 いや、そんな事は今はどうでも良いのだ。


 称号の詳細としては……なんだろうねこれ。


 受ける被害も大きくなって、与える被害も大きくなる、っていう効果だって言う見解で相違無いのでしょうかね、そこの所どうなんでしょうかね。多分正解なんじゃないかなーとは思います。


 他の効果も、何かモシャモショと沢山記載されていますけれども。

 私には影響が無さそうな風味を、そこはかーとなく感じます。ね?


 じゃあ気にせずに、次の確認へと参りましょうかね皆様。


 座った私の太ももの上で、何とも器用にゴロリとお腹を上に向ける感じで、綺麗な寝返りをうったコーメェのお腹毛に左手を伸ばしてモミモミしつつ……次の称号を表示させる為に、右手をメニューへと伸ばします。


 あーあー……まだ沢山ありそう。お腹一杯になってきたよ?



【生死の境地】

 魔物からの一撃により、全ライフの95%以上を喪失したが生き残り、その相手を倒した。

 同時連続ヒットや状態異常、及び固定ダメージはこの条件に含まれない。


 魔物から即死級の被害を受けた際、10%の確率でライフ1で踏みとどまる。

 ゲーム内で1日1度発動可能。

 自傷ダメージや地形ダメージでは発動しない。


 ライフ、スタミナの最大値に少量増加補正。

 眩暈、昏倒系の状態異常に対しての抵抗力が少量増加。

 全ての回復効果に対して5%の増加補正を受ける。



 んー? この称号を貰ったのは、タイミング的にどこだろう?


 説明から考えると、ゴリっと私の貧弱ライフパウァーが大量に削れた際に入手した称号だよね? 何時でも何か攻撃を喰らったらモリっと減ってる気がするけどね、私のライフ。


 えーうーん……あっ多分あそこかな!?

 チビっ子なゴーレム君に脛を削られて死に戻りが発動しそうになって、私の顔を青ざめさせたあの事件!


 『フワモ 迷宮内で 左スネを擦られて町に戻る』ってなる所だったあの戦闘!


 そして効果のほうですが、私のプレイスタイルに対して非常にシナジーの高い物ではなかろうかと。

 例えば当たり所というか運が良ければ、あの魔素迷宮で出会った巨大なゴーレム君の強烈なロケット手首を直撃させられても、ライフが1だけ残って生還できるって事だよね?


 効果が出るかの確率は10%だけど。

 ご利益の有りそうなお守り代わり! っぽい雰囲気で察しておけば良いのかな!

 つまり過信は禁物って所でしょう。


 その他の効果はオマケみたいな印象ですね。これは良い称号だ。

 ではお次の称号をぽちっとねぇー!



【迷宮の理を破壊せし者】

 正規ルート及び特殊ルートを用いず、さらにボスを撃破せず最終フロア最奥に到達した。


 敏捷度と耐久度に少量補正。

 物理及び魔法に対する抵抗力に少量補正。

 地形効果ダメージに対する抵抗力に少量補正。



 あーこれは……華やかパーティさんの華麗なる戦いの裏で、私がワープ装置で転送された時に頂いた称号でしょうか。


 あの時は本当に驚愕しましたよ。

 目の前で、巨大な柱がゴリゴリと音を立てて蠢いているんですから。


 そりゃー、後ろにあった部屋に駆け込み逃亡するというモノですよ。ねぇ?


 効果はなんだろう、普通?

 わーい硬くなるぜぇーぃ! っていう印象だね。


 自分で言っていて、あまりにも簡略化された表現だなーとため息を吐きたくなる程度には雑ニュアンス。


 各方面にご迷惑をお掛けします。

 主に場の空気の流れを読む担当な、心の中にいる私へ。よろしく。


 全体的な効果として考えると、お豆腐女子なフワモさんには有り難い効果かもしれませんが……正直これも焼け石に水かも。ね。


 湯気で前がみえねぇってなるだけかも。ははは。

 よし、お次ーのー称号はーっとねー? 



【迷宮を踏破した者】

 迷宮の最奥に到達し、報酬を手に入れた。

 ボス魔物に一度でも攻撃を命中させることが条件として必要。


 ライフ、マナの最大値に少量増加補正。

 迷宮内での移動速度に少量増加補正。



 これはーあれだ、予想だと華やかパーティさんに臨時で加入して、ボスゴーレム君を撃破した後、奥の部屋内部に出現していたお宝の箱を開封した時に頂いたものかな! だよね多分!


 あーうーん……あの時の感動が蘇ってくるような、そんな気分にさせてくれます。


 胸の奥が暖かい。

 太ももの上もコーメェのフンワリで暖かい。

 ダブルでホッコリ。


 まぁパーティプレイ? という表現を脳内でもって豪華に使ってはいますが。

 やった事といえば……箱の中身を吟味して会話して、尚且つ指輪まで頂いてしまった! と言う私に対しての恩恵100%な状況だった訳ですが。


 それでも一応パーティプレイな筈! とても楽しかったです。


 まぁその……自発的な意識を持って一から始めるパーティプレイの敷居は、聳え立つ断崖絶壁の様に高いですけれども。指をかける隙間もみあたらねぇ! と言う雰囲気で。はい。


 お誘い頂ければ頑張れそうな気持ちにはなっております。

 絶壁の上からロープを垂らしてもらう感じですね。

 物騒な心象風景だ。クライマー絶望。


 うん、絶壁の話は良いとして……この調子で次を確認!



【絶対不屈の意思】

 圧倒的多数の相手から瞬間的に多数の攻撃被害を受け、生きて生還した。

 相手は魔物及び原生生物で無ければならず、NPCやプレイヤー及び地形効果は含まれない。

 必ず一度の攻撃でライフが1以上減少せねばならず、ダメージの無い攻撃はこの条件に含まれない。


 物理及び魔法に対する抵抗力に少量補正。

 一つの効果で多段ヒットする攻撃全てに対して、少量の固定ダメージ減値補正値を得る。

 上記効果は、連撃系等のスキル全般を含まない。



 ……うーん? またもや攻撃を受けた系の称号ですけれども。

 今度は何処で入手したんだろう?


 大量の攻撃被害……んー?

 鳥さん達に揉みくちゃにされた記憶はありますが、あの時はダメージを受けては居なかった様な?

 むしろフワフワな肌触りだけなら気持ちよかったくらいですし。


 んーむ、ちょっと取得理由が判りませんね?

 悪い効果は見当たりませんし、一応問題は無いのかな。


 まぁ良いや、検証その他はその筋の方々が進めてくれるでしょう。

 適材適所で有能な方々に丸投げです。

 それではお次はっとー?



【新素材の発見者】

 一番最初に新たなる素材を発見、入手した。

 遠目から視認しただけ、入手せず手で触っただけ等の場合は条件に含まれない。


 マナ、スタミナの最大値に少量増加補正。

 称号【噂の人】の入手率微量増加。

 名声度に対しての友好度変動補正、ならびに名声度基本補正値を25%増加。



 あー、これはお芋2種類を発見した時でしょうか。


 何だか新素材ー! なんて大仰かつ誇大な括りでもって語られておりますが。


 どこからどう見ても、ただの赤い芋と青い芋ですよ。

 素材の優劣は関係無しで珍しいかそうじゃないか、という所で判断しているのでしょうけれども、あんな荒れた畑でお芋ゲット状態になっただけで称号を頂けるとは……何とも申し訳無い気分です。


 普通にお料理してもらって食べてますしね、お芋。普通すぎる。


 幾つか称号を確認し終わり、軽く一息つくためにメニューから視線を外して、両腕を上に伸ばしたり肩の間接をグリグリしたりと、上半身だけでストレッチをします。


 こう、なんでしょうね。

 肉体的な疲労は無くとも思わず毎回やってしまうんですよね、こういう身体を動かしたりする行動って。


 精神的な部分が強いのかなーとも思います。

 普段から良くやってますし、この動き。自宅とか学校とかで。


 一通り身体を動かし終わった私は、なんとなく国営図書館の入り口の方へと視線を向けます。相変わらず程よく人が出入していて大繁盛ですね……あれ、図書館に対して繁盛って言って良いのかな。表現に困るね。


 改めて思いますが、この場所は入り口から程よく離れていて落ち着いて作業できますね。

 我ながら、良い場所を確保したものです。


 さてさーて、確認作業の続きをしましょうかねー……と気合を入れなおしつつ思った辺りで、国営図書館の裏手から小柄な人物が一人、何か包みの様な物を手に持って外に出てきました。


 ほほぅ……私の座っている場所から、丁度ぎりぎり見える図書館外壁の辺りに、裏口でも付いているのでしょうかね。見た目としては窪んでいる様な部分があるので、あの辺りに扉が据え付けられてるのかも。


 位置としては、丁度カウンターの右奥辺りに見えたお部屋の裏手っぽいし。


 何となくその包みを両手で持った人影を眺めていますと……微妙に猫背なポーズで、足を引きずるようにヨボヨボと此方に背中を向けた状態で、力なく移動をしておりまして……多分ですが非常にお疲れなご様子。


 近くにあった、私が腰を下ろしているのと同じタイプの円形ベンチに腰を落とし、なにやら大きく深呼吸しているような動作を行う、金髪ロングヘアの後姿。


 ん……あれっ?

 場所が遠めだから気が付きませんでしたが、もしかしてあの方は。


 図書館の裏手から姿を現したその方は、手に持った茶色い紙袋から……多分何かサンドウィッチの様な物体を取り出して口に捻じ込んでいる様子。その食事動作にも何か元気がありません。


 来館する人が増えて、お仕事マシマシで疲労困憊なのかな。


 その方が私の予想通りの人物であるかどうか、多分8割方正解を導き出せているとは思うのですが、少々不安な気持ちも。ええい、どうせ周囲に他の人影は見当たりませんし、ここは気合で声をかけてみましょう!


 一旦メニューを閉じて、寝たままのコーメェを抱きかかえて立ち上がり、機械的な動きでお食事を進めているその後姿へと近づきましたが、その方は此方の存在に全く気が付いていないご様子。


 時たま、その小さいお口に半分サンドウィッチを捻じ込んだ状態で、ガチっと硬直したかのように動きを止めたりしています。


 何か色々と考え事をしながら食事している様な、そんな雰囲気がありますね。

 一応相手の動きが止まったタイミングを見計らって、声をかけることにしました。


「あ、あのー! もしかしてアルシェさんですか?」

「ほぼっ! んぶふぅ!? もごぐもぐ!」


 私が彼女……アルシェさんの右斜め後ろから声をかけると、口にサンドウィッチを半分捻じ込んだままの状態でビクリ! と身体とその長いお耳を震わせ、顔だけで物凄い速度でもってこちらを振り向きます。


 口からサンドウィッチの残滓が吹き出しそうになり、慌てて両手で残りを口に捻じ込んでいるご様子。もうちょっと待ってからご挨拶した方が良かったかな……申し訳無い事をしてしまった。


 此方に視線を釘付けにした状態のまま、無表情でたっぷり10秒程口の中身を咀嚼、一気に口の中身をゴクリと胃袋へと落としたアルシェさんが、右手を紙袋の中へ突っ込んで大きめのペーパータオルを取り出して口を拭います。


 あのサンドウィッチは、何処かのお店で購入した感じですかね。

 何となく、ハンバーガーショップの商品を彷彿とさせる動きです。


「こ、コレはお見苦しい所をお見せしまして!」

「いえいえ、お食事中に声をかけてしまってすみません!」


 『ちょっと食べてしまいますのでお待ちを!』と私に告げたアルシェさん、2個目のサンドウィッチを袋から取り出して、今度はしっかりと噛み千切って食べていきます。

 お話するにもお食事が終了してからですね。よく噛んでお食べ下さいませ。

大変お待たせしました。

結構予定ギチギチで書いたので、もしも誤字脱字等ありましたらご報告下さいませ(汗

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