243話
まだまだ続くよ称号確認。
まぁ適当に読み飛ばす感じでも。
こんな事あったなー、なんて思い出しながら見ていただけると良いかも?
無理矢理に、あまり見たくないものを見るお仕事をさせられている様な……そんな感覚に陥りつつ、称号の確認作業を進めていた私でしたが。
ちょっと小休憩を挟んで心身を休める、という……まぁ考え付く休み方としては普通な手法を唐突に思いつき、その思いに勢いそのままで飛びつく事にしました。休憩ぇぇ! 休憩だおりゃあ!
称号を表示させたままのメニュー板は、そのまま出現させた状態で。
心理的な映像イメージで説明すると、端っこ部分が3割ほど欠けて削れてしまった感じの、HPを表わすハートマークを完全体へと回復させる為に、私の隣で元気に小ジャンプを繰り返す感じで運動をしていたコーメェを、ジャンプで浮いた所に手を伸ばしスイっと両手で挟む感じで、華麗に空中キャッチしまして。
そのフンワリ柔らかで、触ると気持ち良さそうな、白くてモフい背中に。
自分の顔を、勢い良く! 押し付けぇぇまごむごむごむごぉ! ふもふもふまもむ!
あーぁ……視覚情報を遮断して、肌触りと共にコーメェの背中から溢れ出る柔らかさを楽しみます。むふぅーむふふ。
うむ……このままの状態でお昼寝出来たら、物凄く気持ち良さそうな気がします。
いやまぁ……確認作業の途中で、寝る訳にもいきませんけれども。ね。
それに、VR世界での睡眠に関しては未体験で色々と判らない事だらけです。
思いつき突発的個人イベントとして、この場所でスヤァと眠る事もある意味で情報取得と言う観点から鑑みれば有意義? な可能性は……少々はあるかもしれませんが。どうだろう。
まぁ本音で言いますと……意識の8割方を占める思考は、何もかも忘れてコーメェと一緒にこのままゴロゴロムニャリしたーい! という感じの。
無意識に発生した度し難い欲望心に対する、自分に向けての言い訳ですけどねハハハ。世知辛い。
たっぷり10秒以上コーメェの背中に顔を押し付けて、首を動かしグリグリ顔面を擦りつけていた私でしたが、十分にフワニウム(柔軟的毛皮存在成分)を補充できた事を確認。元気出たかな。
両手で挟んで保持していたコーメェを、先程と同じ様にベンチの上へと戻して、確認作業を再度開始する事にします。
ありがとうコーメェ、キミのおかげで今日も何とか頑張れそうだよ。
ポムポムとコーメェの頭をなでて労います。
そんな私の顔を見上げているコーメェ、何時も通りのドヤ顔風味。柔らかさ自慢。
えっ気兼ねせずに何時でもドントコイって? 本当?
その心遣いが私のハートを掴んで離さないよ! THE 有能だね。
よーし、それでは続きをやっていきまっしょい!
無駄に勢いをつけてね!
もうあれだ、よく判らない表現が出ても考え込まないようにしよう! ね!
再度運動を再開し始めたコーメェを横目に、次なる称号の確認作業へ。
【名工傑作級所持者】
名工の傑作である武具を自分の所持品として入手した。
名工傑作等級の品物に関しての、詳細判明率が微量増加。
名工傑作等級の武具その他に対しての、全抵抗値が微量増加。
称号【二つ名】ならびに、称号【悪名】の発生率が微量増加。
所持している、名工傑作等級の品物に関するクエストの発生確率が増加。
名声度に対しての友好度変動補正、ならびに名声度基本補正値が15%増加。
所持している名工傑作等級物品に類する全般の、各心理パラメータ変動率に補正。
ふむ? これは……カイムさんからご好意で頂いた武器に関する称号でしょうか。
何となく、一番ボール君を頂いた時に登録された称号と雰囲気が似ています。
これも、何か色々と特殊な効果が記載されていますが、気にしても仕方が無い様なそんな雰囲気が漂っている感じなので、気にしないで次へと進む事にします。予定通りに色々と後回しです、後回し!
それではー、次の称号をどーん!
【武具を受け継いだ者】
名声度と活躍度の高い人物から、直接武具を賜った。
名声度に対しての友好度変動補正、ならびに名声度基本補正値が5%増加。
称号【二つ名】ならびに、称号【悪名】の発生率が微量増加。
異名付けイベントの発生率増加。
称号【噂の人】の入手率微量増加。
受け継いだ武具を使用した際、全効果に補正。
受け継いだ武具を売却及び破棄した場合、対象の人物からの友好度、ならびにその他名声度基本補正値に対して多大なマイナス補正を受ける。
ただし、武具を賜った人物からの売却許可等があった場合、この限りではない。
ほほーぅ?
色々書いてあるけれど、これもカイムさんから間接的に伝わってきた風味の称号でしょうか。
何だか、後半に物騒な事が記載されている様な気がしますけれど、譲っていただいた武器を普通に使用している分には、恐らくですが特に悪い効果のない雰囲気でしょうか。ね。
今迄だって、普通に魔物に対して武器使用していましたけれど、理不尽な不都合が発生した記憶はありませんしね。下手な事をしなければ大丈夫といった感じでしょう。
そもそも、頂いたものを無許可で売り払ったり捨てたりするつもりは全然ありませんし、そりゃあの温厚でラティアちゃん命のカイムさんだって、目の前で私が頂いた武器を地面にポイポーイ! したら悲しみますよね。
これからも、大事に使用させて頂きますとも。
最近は、大分手に馴染んできた感じですからね。
では次! ちょちょいとな!
【使徒の友人】
【黄昏の大神】の御使いである『使徒』との友好度が一定数に達した。
この称号は、システム的な免除効果及び特権効果を有する物ではない。
『使徒』に関係する人物に対しての友好度変動補正、ならびに名声度基本補正値が増加。
友好度の高い『使徒』に関係する他の『使徒』に対して、友好度変動補正が増加。
システムに関与する情報、配信、記載表示に関する影響度が増加。
『使徒』との積極的な接触を望まない場合、この称号を非アクティブ化する事が可能。
えーとぉー? 使徒という事はGMさんの事だよね。
……あーあーはいはい!
コレは多分、GMコールでお呼びしたフィーアさんに、盗撮魔ことキサラさんが犯行に及んだ例の植え込みの裏覗き事件に関して相談した時、わざわざシステマさんが私の所に駆けつけて来てくれたりして、その後も少しお喋りしたりした際に頂いた称号かな?
確かシステマさん曰く、私の送ったご意見が通った御蔭で『GM総括』という肩書きを入手したー、と言う事を教えてくれて、その後も色々事件解決に関して手を貸してくれたんだよね。
ってこれ……運営に関する人達と仲良くなった場合に、いただける称号なの?
いや、ゲームとしてそういうの大丈夫なのかな!? エコヒイキとか!
でも、わざわざ『免除効果及び特権効果を有する物ではない』なんて注意書きっぽい部分があるから、大丈夫なのかな? 正直私が気にする所じゃないのかもしれないけど。ううむ気になる。
でもこれ、私にとっては有用? な称号だと思いますし。
折角の皆さんと仲良し系称号なので、本音を言うと嬉しいと言う気持ちも強くあります。えへへ。
GMさんとの積極的な接触? 勿論望みますとも!
むしろ私が、GMさんに頼りきりになる可能性さえ、勢いよく脳内に湧き出てくる雰囲気。
困ったときの使徒だのみ! 位のイメージでね。図々しくない程度で。
今度、コーメェをフィーアさんとかシステマさんに紹介できたら良いなー、何て感じの事をゆるーく考えつつ、私の隣で残りの運動を終わらせてフンス! と息を吐いて休憩を始めたコーメェの背中をナデナデします。お疲れ様。
さぁて、このペースで進めていきましょうか!
次の称号かもぉーん!
【達人の弟子】
特殊な技術を所持している達人から直接教えを受け、弟子と認識された。
対応したスキルの全体的効果に補正極大。
対応したスキルの成長率に、マイナス90%の補正を受ける。
ただし、対応スキルのレベルが規定値に到達した場合、マイナス補正は失われる。
師匠から直接指導を受けた際、対応したスキルの成長率1000%増加。
ただし、対応スキルのレベルが規定値に到達した場合、成長率補正は失われる。
称号【二つ名】ならびに、称号【悪名】の発生率が微量増加。
異名付けイベントの発生率増加。
あーうーん?
これは、カイムさんに棒の訓練をつけてもらう様になった時に、そのタイミングで頂いた称号かな?
対応スキルが云々! って書いてあるし。
あの【基礎 棒スキル】を【騎士棒術改】に置き換え変更した時に、貰った感じでしょうか。
……と言うか、えーっと? 何だろうこの効果。
これって……詳しく説明を読んで自分なりに考察してみますと、つまりは自分だけで気合を入れて戦闘特訓をしても、通常を100とすると私は10の分しか成長しない! って感じなのでは。
コレは……成長率が悪くたって一人で強引に特訓だ! なんて無理をしないで、カイムさんと出会ったタイミングで時間を頂いて、ドンドン直接教えてもらう様にしないと駄目だ!
一定のレベルまで上がったら普通になる、って書いてあるし!
下手の考え休むに似たり、って感じで素人が一人で頑張るなって事かな!?
私の個人的なイメージだと、お師匠様から『おぬしは一人前じゃ!』って言われたらもう普通に自分で修練して大丈夫、って感じの雰囲気で理解して良いのかなコレは。多分そうだよね、そのはず。
先日お出掛けした冒険先で、頑張って棒を使って戦闘行為を沢山こなしても、スキルレベルの伸び率が物凄い悪かったのはこの称号の効果だったんだね。
ううう……もうちょっと早く確認出来ていたら良かった。
いやその、称号の存在に気が付かなかったのも、称号内容の確認作業を進めなかったのも、全部が全部余す所無く自業自得の因果応報、なんですけどね。うぐぐ悲しい。
山岳地帯中腹に出現していた、例の鉱石っぽい名称の魔素迷宮内部での激闘を思い出して、深いため息を吐く私。
運動後の休憩からそのままの流れで、両目を閉じて気持ち良さそうにプモプモと眠り始めたコーメェを抱えて膝の上に置き、その背中を揉みながら気を取り直して次の称号を確認します。
【巷で大人気『調薬』】
作成したアイテムを、規定量のプレイヤー及びNPCが継続的かつ集中的に利用した。
使用規定量は、そのプレイヤー及びNPCの名声度が高い場合、大きく上昇する。
作成したアイテムの全効果に微量増加補正。
称号【二つ名】ならびに、称号【悪名】の発生率が微量増加。
称号【噂の人】の入手率微量増加。
……はい? えっ何この称号!?
これこそ、正しく正確な意味で、全くこれっぽっちも心当たりの無い称号なんですけれども!?
えーちょっと待って、えーっと、えーっと!?
ううん駄目だ全然判らない! 判らないよどうなってるの!?
思わず、コーメェの背中をモミモミ撫でている左手の動きが加速しますよ!
もふふふふふふぉぉぉぉ! はいすぴーど!
落ち着くんだ私!
いやだってね、私の作ったポーションって全部、メディカさんにお願いして買い取って貰っている訳でしてね?
例外として、直接お手製お薬を手渡した事のあるプレイヤーさんも一応は存在しますけれど、それでもこんな大人気! なんて言葉のついた称号を入手する感じの状況では無かった筈です!
……うん! これ以上は考えない、考えないぞ!
理由は後です後!
何か不可思議な力が働いて、何処からか私を陥れんが為の遠謀深慮な要素が流れ込んだ結果な筈。そう思いたい。
思わず両目を閉じ、目頭をギュギュっと強く指で押す格好で動きを止める私。
精神安定の為に、コーメェをモフる左手の動きは止まりませんが。もふもふり。
そのままの格好で、大きく息を吐いて一先ず落ち着こうと深呼吸した私は、次の称号を確認する為にジト目で1項目分きっちりメニュー画面をスクロールさせます。
うう、まだあるよ。
多いなぁ……私の称号達……もうちょっと手加減して欲しかった。
まぁこんな事、誰に文句を言ったら良いのかも判りませんが。
自分自身にかな。ソウダネ。ソウダヨ。ハハハ。
……うん、次の称号を確認する事に致しましょう。
【格上殺し】
総合戦闘能力が大幅に上回っている格上の魔物を、一人で撃破した。
間接的な支援、地形効果、その他の条件は考慮しない。
ライフ、スタミナ、マナの最大値に微量増加補正。
格上と戦闘を行なう際、全ステータスに微量補正。
称号【噂の人】の入手率微量増加。
ふむ? コレは何方と戦った際に入手したのだろう。
撃破した! って書いてあるから倒せた相手だろうけれど。
総合戦闘能力が上回っている? っていう風に言われましても。
私って正直、ラビ君相手位しかまともに戦闘出来ていないと思うんですよ。ね。
つまり、その他全部の魔物が格上と言っても過言では無いのでは。違うかな。
悪い効果じゃないから安心かなー?
他の称号に比べれば普通っぽいし。
多分魔素迷宮とか、その辺で入手したんじゃないかな。理由不明。
あれだ、強力な精神的衝撃ばかり受けていると、小さいものに関しては鈍くなりますねハハハ。
さぁ次に移りましょうか。
【魔物使い】
スキルを使用せずに魔物の懐き度を一定数稼いだ。
テイム系スキルを行使する際、成功率に微量補正。
懐き度を稼いだ対象の種族に対して、意思疎通深度が少量増加。
称号取得後に一定期間経過した場合、この称号は未取得状態に変更される。
懐き度の高い魔物を討伐した際、懐き度はリセットされる。
えーっと、コレはタイミング的に考えると……ポコ豆事件の時かな。
例の山岳地帯を登っている最中、大量に空から降り立って私を揉みくちゃにしてきた、あの大きい身体を持った鳥さん達についての称号だよね。
恐らくあの子達と、キャッキャウフフ! した際に頂いたのだろう。
多分彼らとはポコ豆フレンズとして、仲良しさんになれたと思うし。
あっもしかして……この称号の御蔭で、ポーション材料を入手しに山岳地帯へ言った際、あの特殊な空中移動に関する意思疎通が上手く行った、のかも、知れない! ありがとう称号!
この流れで次の称号……うん、まだあるよねー称号ー多いなー!
【二つ名魔物に挑んだ者】
二つ名を持つボス魔物に挑戦し、生き延びた。
この称号を取得する際、攻撃及びスキルをボス魔物に当てる事、及びボス魔物からの攻撃を受ける必要がある。
ボス魔物によって『死に戻り』させられた場合、この称号は取得出来ない。
レイドボスからは、この称号を得る事は出来ない。
ライフ、マナの最大量に少量増加補正。
ボス魔物に追随する、他の下位魔物に対しての畏怖度が少量増加。
同一ボス魔物に再度挑戦する際、全ステータスに微量補正。
二つ名持ち魔物に関する装備品を身に付けた際、全装備効果に微量補正。
……うん? ちょっと待って? コレ何?
また心当たりの無い称号が来ましたよ……って【二つ名】持ちボスってもしかして。
先程思い出した、ポコ豆事件で遭遇したあのボス鳥さんの事でしょうか。
いやいや待ってよ!
挑んでないし攻撃してないし攻撃受けてないし!
誤解だよ激しい誤解だよ!
私ってば、鳥さん達と友好的にキャッキャウフフして過ごした筈だよ!?
えぇーもー! 条件が良く判らないよ!
コレは、あの神様に問い質さねばならないのでは!?
もしくはGMさんをお呼びして、色々と細かい部分をお聞きする必要性がありますよ!?
思わず両手で頭を抱えて、唸り声を上げてしまいました。
脳のキャパシティを情報量が凌駕しそうになって来ました。
溢れますよもう。
頭痛が痛いみたいな。
目が疲れ目みたいな。
何言ってるんだ私は。
気持ち良さそうに、私の太ももをベッドの代わりにして睡眠を堪能しているコーメェの背中を、羨ましいと言う気持ちを籠めて眺め、思わずため息を吐いて空を見上げます。
ああー良いお天気だなーうふふ。
一分程ぼんやりと空を見上げて現実逃避していた私は、軽い絶望の気持ちを感じつつ視線を称号メニューへと戻します。
ああ……まだ下へスクロールさせる事ができるね。
一体幾つ称号があるんだろう。
称号集めとかしている人、絶対いるよね。コレクター気質の人。
初めての系称号なら、予想外の物が沢山あったとしても、意外と何だかココロ穏やかで居れる感じなんだけどな。
あの、もうちょっと、普通で平穏な称号はないのかと。
肩を落として、半ば諦めムードで次の称号を確認。
【魔素迷宮発見者】
魔素迷宮を発見し、報告した。
視認しても亀裂内部に突入しなかったり、報告を怠った場合は称号取得不可。
安寧の女神に関するNPCの、心理パラメータ補正が微量増加。
公的機関に類するNPCの、心理パラメータ補正が微量増加。
称号所持プレイヤーの至近距離に、未発見の魔素迷宮が存在する場合、マップ上に位置が強調表示される。
この効果は魔素迷宮発見数増加に伴い、一定範囲まで増加する。
おっ! 判りやすい!
こういうので良いんですよ、こういうので!
これは山岳地帯で山登りしている途中、山肌にあった亀裂の先にある空間で、魔素迷宮の入り口を発見した時に入手した称号ですね! 効果も何となく判る感じですし、良きかな良きかな!
ほほぅ……この称号には、新しい魔素迷宮の入り口を発見しやすくなる効果があるんですね。
魔素迷宮発見専門の探検家プレイヤー! みたいな方も出現しそうな感じです。
報告したら報酬箱貰えますし! 美味しい!
※ 追記 ※
いろいろな部分を修正&加筆。
表現を追加した位なので大筋は変わっておりません。
※ 2018.03.26 追記 ※
次回更新について、活動報告へ告知を出しました。




