233 山盛り ポーション 箱開封3
開封の続き。
まぁ10連続でやるとレア以上確定! とかになる感じで(何
単発引き当ては、強運な方ならいけるかと。
残った報酬箱の開封を再開……したのは良かったのですが。
箱の中から出てくるアイテムが、また鉱石に逆戻りしました。
今まさに、VR鉱石オンラインRPGが始まりましたよ。石の温かみ。
そう簡単に装備品は渡せないぜ! と言う、運営様からの強い意志を感じる開封内容となっております。憎い、憎すぎるよ運営様!
もうちょっと手加減と言うか、冴えない豆腐系女子プレイヤーに対して手心を加えて欲しい今日この頃。靴だけバージョンアップでは、見た目が合わなくて微妙です。
そろそろ20個の大台に乗りそうな雰囲気で出現している、大分見慣れた赤っぽい色合いの鉱石をアイテムボックスに収納した私は、何やら念じながら箱を開封しているラティアちゃんの様子を眺めます。
小さくて可愛い桃色の唇が眩しいラティアちゃんの口元が、何か言葉を紡いでいる感じでモニョモニョと動いていましたので、一体何だろうかとコッソリ耳を澄ましてみますと。
……小声で『んにゃーすごいのでろぉーでろぉー』と呟きつつ開封作業をしている模様。
女神様、是非どうか良い物を宜しくお願いします。
そうして開封する事……通算20個目、と言う事は。
先程装備が出てから数えて10個目の開封時でしょうか。
今度は、何やら黒っぽい感じで落ち着いた色合いの物体が出現しました。
これはー……多分上着でしょうか?
むしろ金属部分が存在するので、鎧っぽい感じの雰囲気すらあります。
目の前に出現した大き目の物体を見て、笑顔を浮かべて両手を上に上げ喜びの声を上げたラティアちゃん、その後に素早く出現したアイテムを掴んでテーブルの上へと置きます。
オッケーィ! ありがとうラティアちゃん、取り合えず確認せねば!
私の隣で、興味深そうにそのアイテムを眺めていたカイムさんと共に、恐らくコレも防具ではなかろうか、と予想しつつ両手でそのアイテムを吊り上げて眺めます。ふむふむ……?
「ふむぅ……見た目から察するに、恐らく軽量級の戦闘服じゃな」
「色々な所に、頑丈そうな金属プレートが張り付いてますね……」
「フワモおねえちゃん これすごいアイテム?」
「うん、きっと凄いアイテムだよ!」
私の顔を見上げ、膝の上に鎮座しているポーション収納状態なコーメェをモミモミしながら、物凄ーくご機嫌なラティアちゃんに大して、私も笑顔でお返事です。
よーし、コレでまた一歩分だけ硬質系女子への道を進む事が出来そうです。
そりゃもう硬くなりますよ!
コレを装備したら、お豆腐からお煎餅くらいの硬度に変化するのではありませんか!?
期待に胸が膨らみます。サイズアップしている訳ではないですよ。
取り合えず、目の前で存在感をアピールしているその戦闘服とやらを、ささっとアイテムボックスへと投入して、ささっと名称を確認する事にしました。
えーっと? 【大地 の 硬質 な 革服】だそうで。
当然詳細は不明&不明で、全然判りません。
これはまぁ、仕方ないですね。
呪われていたり、着たら肌に張り付いて酷い目にあったりはしないでしょう。多分。
あと、先程入手した靴と色合いも似ていますし、色彩コーディネイト的にも丁度良い品物だと思われます。同じ色で統一させると言う、余り美的センスを必要としない安易な視覚バランスではありますが。
そもそもが普段の私……つまり現実の方でも、お洒落さんとは決して言えない私の服装センス。
下手に色合いやパーツを弄ると、確実に目も当てられないエキセントリックな見た目になりそうで怖い。
ピエロとかそんな感じの。
ピエロをノリでディスっていく酷い女子は私です。
顔を絢爛豪華に塗りたくるつもりは、毛頭御座いませんので。
そんな余り意味の無い連想を脳内で繰り広げつつ、結構金属っぽい部分が多い装備品だけれど、身につけても大丈夫なのかなー、なんて思いつつ黙って考え込んでいた私でありましたが。
コーメェを抱えて座っているラティアちゃんから、何やら強い期待の篭った視線がプスプスと突き刺さるような感じで、私の顔に注ぎ込まれているのに気が付きまして。
よ、よーしおっけぃ! 今装備して見せるからまってね!?
気合を籠め、今までお世話になった初期装備と、今回の装備を交換します。
身に付けた後、先程と同じ様に腰を捻ったりジャンプしてみたりしましたが、特に違和感は感じません。金属部分がそこそこ存在するので重量が心配だったのですが、特に問題無さそうで一安心。
非力なのは、現実でもこの世界でも一緒ですので助かります。
感想を心待ちにしている風なラティアちゃんへ向けて、笑顔でビシっとポーズを決めて頷き返しておきます。ラティアちゃんもコーメェと共にニッコリ笑顔。素晴らしい成果です!
それにしても……あくまでも私的感想と言いますか、曖昧な体感率みたいな物なのですが、何やら報酬箱を10個開封する度に、何か良さそうな装備品が出ている感じがするのです。
この辺は恐らくですが……何かしらの法則がある可能性が?
ちょっと気になりましたので、魔素迷宮について先達の知恵をお持ちであろうカイムさんに、一言ご意見を伺って見た所。
「そもそも、こんなに大量の箱を同時に開封した事なんぞ、ワシだって今まで一度も無いからのぅ……」
「以前入手した際は、どういう感じに開封したんですか?」
「そりゃ即開封じゃよ。戦闘の合間に気分転換、といった感じで中身を確認しておったからの」
「ふむぅなるほど……」
そんな感じで、報酬箱についてカイムさんと会話している最中にも、一定のペースで箱を開封し続けているラティアちゃん。さて、私の予想通りであるならば次辺りで何か装備品が……あっやっぱり装備品っぽい品物が出現しましたよ!
今度は……多分ですが盾でしょうか。
正面から見ると、長方形を縦にした感じです。
左右の縁部分が、手前に向かって緩やかにカーブを描いた形状をしていて、ある程度斜めからの攻撃に対しても、しっかりと身体を隠せるような感じになってますね。
色合いは、今までの装備品と同じく、灰色っぽいと言うか黒っぽいというか。
そんなシックな趣を感じる一品。
ええまぁこれは……私は使わないですね。
先程と同じ様に、両手で持ってラティアちゃんがテーブルの上へと載せてくれたのですが、裏側に付いている持ち手の部分を掴んで持ち上げるだけでも、その重さによって腕に相当な負荷が掛かります。うぐぐコレはちょっと重過ぎる! 扱いきれません!
テーブルの上が埋まってしまっていますので、取り合えず両手で持ち手を掴んで強引に保持して、そのままアイテムボックスへ収納を宣言、一応アイテム名前だけでも確認します。
えーと【大地 の 硬質 大盾+2】だそうです。やっぱり盾だよね。
あと何やらプラス表記がくっ付いているのですが。
薬効ゴケを混ぜた……訳じゃないよね。
何かしら混ぜ込んで有るのかも。
装備品に関しては詳しくないので、この場での判断は出来かねますかね。
「ふむぅ……今出た形状の盾は、戦線で陣を組む際に多数で使ったり、壁役が時間を稼ぐ際に定点で活用する代物じゃな」
「私じゃ、とてもじゃないですけれど使いこなせないです……」
「すっごい おっきかったねー」
私の体が、丸々隠れてしまう程度のサイズがある盾でしたよ。
どうにかして使う場合は、何処かに立て掛けたり地面に突き刺したりして使用しないと駄目でしょうね。強引な活用法ですが大丈夫なのだろうか。
持ち運び用壁としての運用になりそう。
アイテムボックスの仕様が無かったら、確定で使いこなせませんよ。
色々と手間が掛かりすぎますね。
活用できそうな方にお譲りするか、ギルドで売ってしまうか、あとはゲイルさんに提供して、何かしら他の方法で活用できる道を模索すると言うルートも選べるかも。
一先ず装備はせずに保管の方向でいきます。
正直いって私が初見で感じた最初の印象は、ただの巨大な金属の板切れですし。
沢山テーブルの上に置いてある【上級鉄鉱石】を回収した私は、ラティアちゃんに箱の開封を再開してもらいます。次は40個目に何か出るんじゃないかな。
ラティアちゃんのお隣に腰を下ろして、一定のリズムで開封を続けている光景をノンビリと眺めておりますと、何やら36個目の箱から、鉄鉱石とは違う綺麗な石が出現しました。
あれ、これは……魔石?
私の手の平よりもさらに大きいサイズの、陽光を取り込んでキラキラと輝く石です。
綺麗な石が出現した事によりテンションが上がったラティアちゃん、両手でガシっとソレを掴むと私に差し出す感じで見せてくれます。
「なにか キラキラしてるよ!」
「うん、これは魔石かな?」
「ほほぅ? 中々の大きさじゃのぅ」
傍らで覗き込んでいたカイムさんも、ラティアちゃんの腕の中に収まっている魔石を見て数度頷いております。魔石は売っても良いし、何かの燃料に使用しても良いし、私が思いつくだけでも色々使い道があるよね!
ラティアちゃんから手渡された魔石をアイテムボックスへ投入!
名称は【巨大ゴーレムの魔石】となっております。
あぁーこれは、例のボスっぽい巨大なゴーレムの魔石なのかな?
こんなに簡単に入手しても良い代物なのでしょうか。
いや、迷宮発見の報酬という事ですし、ココは有り難く頂いておきましょうか!
そして毎度お馴染みになりつつある、通算40個目の箱から出現したのは……何処かで見覚えのあるシルエットです。それは以前、魔素迷宮のボス部屋攻略時に出現した、報酬の宝箱から出現した頑丈そうな手袋と似た感じのアイテムでした。
あの時は確か『これで殴ったら強そう!』と言った感じで、ティムリンさんの武器としてその場で装備変更してた品物だったでしょうか。
あの場所で拝見した装備品とは、少々ですが趣が違う感じではあります。
あれほど、金属製品という事を自己主張している感じでは無くて。
そう、大分革っぽい素材が多目で……先程入手したばかりの今現在装備している靴と同じ感じの雰囲気でしょうか。コレならばコーディネイトとしても然程悪く無さそうかな?
ラティアちゃんから差し出された手袋一式を両手で持って、張り付いている金属部品を指で弾いてみたり、皮部分の手触りを確認してみます。重量はそれ程でも無い様で、このまま身に付けて大丈夫そう。
問題は、指先までしっかりと保護する作りなので【調薬】スキルを使う際にこれを着用したままでは、凄く作業し辛そうであるという点でしょうか。
手袋ですので付け外しに難は無いでしょうから、その辺は毎回装備解除する事にすれば大丈夫でしょうか。
そして、この装備品の名称は【大地 の 硬質 戦闘手袋】との事。
そのままの流れで身に付けて、ラティアちゃんにお披露目です。
パチパチと笑顔で拍手を返してくれるラティアちゃん。
うむうむ、評価は上々です。
名称から察するに、やっぱり戦闘行動用の装備物みたいですね。
身に付けてみた感じとしては、指先までしっかりフィットして動かしづらさ等は感じないのですが、それでも生産作業等の細かい事をする際に使用するには、向いていない品物なのでしょう。
それではラストスパート!
最後の10個を勢いに乗ったまま開封してもらいましょう!
私からの要請に笑顔で頷き答えてくれるラティアちゃん。自分の正面に整列させる感じで5個づつ、2列に箱を並べると、順番に蓋の部分をタッチして開封していきます。
47個目の開封時、今現在私の指に嵌っている指輪と良く似た感じの指輪が出現しました。あらら!? これはダブリ装備品が出てしまったのでしょうか?
2個目を装備しても、効果はちゃんと発揮されるのでしょうか。
右手で指輪を摘んだラティアちゃんが、ソレを私に差し出してくれます。
手袋の下に付けっぱなしだった、迷宮産の報酬指輪を指から引き抜いて、今ラティアちゃんから受け取った指輪と比較して確認してみます。ふむふむ……私が装備していた指輪の物より、箱から入手した指輪に付いている結晶の方が小型みたいですね。
一応違う装備、なのかな? 取り合えず確認確認っと。
ボックス収納して名前を見ますと【大地 の 結晶指輪】との事。
今までつけてたのが【大地 の 細やかな 結晶指輪】だから。
多分、ちょっとだけ型落ち品ぽい意味合いの装備品、な感じなのでしょうか。
両手の指に一つづつ装備すれば、何か握ったりする際にも邪魔にならないかな?
そもそも、指輪って手袋の下に填め込んでも大丈夫な品物なのか。
手袋と併用しても、別段指の動きに違和感は感じなかったのですが、VRMMOのシステム的には許容されている活用方法なのか。
ええい考えていても埒が開きません!
あれです、装備しないよりは装備していた方が絶対良いでしょう!
きっとそうだ! たとえ効果が現れていなくても!
手袋を一旦外して両手の人差し指にそれぞれ指輪を装着、手袋を元の状態に戻します。うんうん……やっぱり指に何か付けている、っていう感覚は全然無いんだよね。
重さとかが凄いと顕著にキツイコレ! って感じるんだけれども。
両手を握ったり開いたりして具合を確かめ、問題無さそうでしたのでこのままの状態で過ごしていく事にします。手に入れた指輪の効果は謎ですが、今までのものと似たような感じ? なのかなと予想しています。お名前が似てますから。
残りの箱は3個、一気に開封してしまいましょう。
テーブルの上に綺麗に並んだ3個の箱、両手で太鼓をポコポコ叩くような要領で、流れるような動きでポポポンと同時に開封していくラティアちゃん。
まず出現したのは、お馴染みの鉱石っぽい石が一つ。
次に……なんだろうか、何か不思議な文字と言うか模様? が描かれた円い石版っぽい品物が一つ。
そしてラスト50箱目からは……やっぱり装備品が出現しました。
これはもう、私が先程から思い描いている仮説はほぼ正しい答えだった、という事で良いのではないでしょうか。
それ即ち、10連続で箱を開封をすると良い物が出る! という感じの。
そして箱から飛び出したそれは、普通にスカートですね。
厚手の布で作られた、頑丈そうな物です。
現実であったら、少々ゴワゴワ感が強すぎるイメージの湧く見た目の。
先程上着は入手しましたので、これで一通り? 装備品が更新された感じではありませんでしょうかね?
期待半分諦め半分、程度の比較的悲観的な心理状況具合で、今回の開封作業を開始したとは言え……まさか本当に無料で装備が揃ってしまうとは、いやぁお見それ致しました報酬箱様。あいらぶ箱。
でもこの装備、男性の方が入手してしまったら困るんじゃないでしょうか。
物々交換したり、売り払えば良いとは思うのですが、そこの所はどうなのか。
等と言う、余り装備品自体には関係のない事を考えつつ、今入手した【大地 の 黒い 厚手スカート】を身に付けた私は、先程までの普通な服装とは打って変わって、非常ーに冒険者! という風味の格好になったのではなかろうかと勝手に想像したりして。ふむ、動き辛いとかは無さそうです。
これにて50個箱開封、滞りなく終了いたしました! 報酬最高!
ちなみに……箱から出現する装備品は、男性が開封すると男性用、女性が開封すると女性用が出るぞ! という、とーってもゲームシステム的な裏話を、後ろで私の格好を見て頷いていたカイムさんから伺う事が出来ました。
と言う事は、カイムさんがこの箱を開封していたら、私が使えない装備が出ていた可能性が高い……!? ラティアちゃんに頼んでよかった。
その後、カイムさんと共に棒術の練習に励んだ私。
何時も通り、私のお隣でコーメェを引き連れたラティアちゃんが、笑顔で私を見ながらピコピコ棒切れを振って遊んでいます。可愛い。
そんな感じで特訓を終え、公園の水飲み場でお水を補給した後に軽く休憩しておりますと、丁度良い具合にお昼前の時間になりまして。
お昼ご飯を食べるために、カイムさんと一緒にラティアちゃんはお家に帰る事になりました。あー……何だか色々と手伝ってもらって申し訳無い気持ち。
そして私は、このまま色々と気が付いた事についての調べ物を開始しよう、と思っておりましたので、この場で二人とお別れする事になりました。
公園の出入口から、こちらに手を振ってピョンピョンと飛び跳ねているラティアちゃんの後姿を、コーメェと一緒に見送ります。転ばないように気をつけてね。
さぁて! 色々と確認しないといけない事がありますからね!
正直な所、大体は自業自得で気が付かないまま、ココまでゴリ押し風味に進んできてしまっている私ではありますが。まぁきっと大丈夫、先人の知恵とシステムの恩恵と、万が一の場合はGMさんの比類なき知恵パワーをお借りすれば、万事まるく収まる予定です。
さて、まずはコーメェが所持している、その身体に刻まれたスキルから確認させて頂きましょうかね、ふふふふ! 正直私よりスキル沢山持ってそうだもんね。
未だにスキル欄が埋まりきっていない私ですから。
あー、コーメェのチェックと一緒に自分の現在スキルレベルも確認しようかな?
そこそこ上昇しているんじゃーないかな? と思います。ええ。
※ 追記 ※
誤字を発見したので修正。まだあるようでしたらご一報下さいませ(平伏




