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231 山盛り ポーション 箱開封1

つまりは物欲センサーというオカルト。

だがしかし、実感できる瞬間もまたあると言う実話。

 初めてポーションの詳細を確認した時より長い期間、ずーっと謎だった伏字な部分が判明した事により、何か素晴らしく有能な効果が発揮されたのかは定かではありませんが、今まで判らなかった事が解明されるという状況は、色々とあり難い部分もあるとは思いますが。


 この祝福とやらの効果も、後で色々と調べる際に確認してみようかな?

 この謎祝福についての情報が、他に出ているかどうかは別問題として。


 私が始めて発見した可能性のある能力である! という確率も無きにしも非ずな訳ですが。

 その辺りはまとめて全部後で考えるとして。丸投げ丸投げ。


 そう、今は残された時間を駆使して残りの材料を加工する作業を進めないと、現実世界での残り時間が切れて、泣く泣く作業途中でログアウトする羽目になってしまう訳ですよ。急げ急ぐんだ私。


 調薬作業の後には、前に魔素迷宮発見のご褒美に沢山頂いた、例の中身が謎のお楽しみボックス的なアレを、ラティアちゃんと一緒に開封するつもりなのですよ!

 あと、ラビから運良く入手したラビ装備とやらの箱も一つ残っています。

 

 きっと良いものが出る筈……いや、出たら良いなぁ位の心持ちで平穏な精神状態で開封した方が、逆に良いものが出るのかもしれないけれど、確率論や精神論では計り知れないギャンブルの深遠を垣間見てしまう気がしなくも無いです。


 欲しいものが出るまで開け続ければ、すなわちソレは100%入手と同義だ! とかいう非常に暗黒のパワーが溢れんばかりの存在感を示すワードを、ネットの何処かでチラリ目にした事があります。


 正直真似したくはありません。

 まぁ50個しか箱は所持していない訳ですので、真似しようにも無理な話ではありますが。


 物事の終着点、終わりの部分が最初から見えているというのは、ある意味で安心出来る状況であるという事でもあり。運試しは程ほどにしましょうね。うんうん。


 そういえば……確か狐人はステータスの幸運度が高い種族だったような気がします。


 こういった、中身がランダム設定な開封アイテムに対しても、優位性を持って対峙する事が出来るのでしょうかね?

 目に見えて数値が見えないものばかりなので、すなわち謎が謎を呼ぶ状況に拍車が掛かる今現在。


 気にしすぎても無意味だと言う事は判ります。所詮は私の運勢次第。


 いや、箱はラティアちゃんに開封してもらうという手段を取って、私と言う存在から切り離して中身を選定してもらえば逆に良い品物の数々が出現するかも?


 一緒に開封というより、大天使ラティアちゃんのご利益に預かる形にしよう。

 何が出ても基本無料で問題無しだし楽しければ良いかな。

 ラティアちゃんに似合いそうな装備品なんかが出たら、開封作業のお礼にプレゼントしよう!


 私の膝の上でリラックスした状態で、完成したポーションを眺めているラティアちゃんの頭頂部を撫でつつ、残りの薬草を加工するべくラティアちゃんと一緒に立ち上がり、何時も通りお手伝いをお願いする私なのでありました。さあ一度手順を覚えてしまえば此方の物です。


 あとは流れ作業でドンドン行きましょう! つまり、先程行った作業工程を忘れないうちに繰り返す事によって、私の脳内メモ帳に作業方法を焼き付けるのだ。


 ついでに脳内予定先生にも、後世へと伝える知識の担い手になって欲しいくらいです。

 つまり、私へのフォローは宜しくお願いします先生。という事で。


 等といった感じで、いつもと変わらぬ無駄思考を脳内で捏ね繰り回していた私。

 再度コーメェと一緒に連れ立って、ワイワイと楽しげに水汲み場へと移動していくラティアちゃんの背中を見送りつつ、薬草と薬効ゴケをゴーリゴリと棒で磨り潰す作業を再開するのでありました。


 正直な所、傍から見た絵面は地味&地味なんですけど。ジミジミ。

 緑色の物体を乳鉢でゴリっているだけですので。


 それにしても、一番最初にクエストクリアで頂いた初期の調薬キットを使い続けていなくて、本当に良かったなぁ……と今更ながら思う訳で。


 例の初心者用キットだと、魔道コンロの加熱動作部分が1箇所しか無かったんですよね。このメディカさんから頂いた素晴らしい調薬キットは、過熱動作部分が2箇所あるから、薬草とコケをダブルで加熱加工できるんですよ。


 ゲームを始めた当初の私は、初心者用のでも十分使っていけるんじゃないかな? 何て甘く思っていた訳ですが。

 こうやって加工して混ぜ込まなければならない材料が増えてくると、平行して作業を進められるという事の有り難味が染み渡って来るわけです。そのうち超熟練者専用調薬キット! みたいな雰囲気ので3箇所同時に! とかなんと4箇所も! 何て感じで増えたりするかもね。


 私は使いこなせないと思うので、取り合えず慣れるまでは2箇所で十分だけど。


 その後、程よくラティアちゃんやカイムさんと日常会話しつつ、煮込み状況を見ては混ぜ合わせ瓶に注ぎ込む作業を繰り返します。ラティアちゃんも、今ではすっかりポーション瓶に完成した薬液を注ぎ込むスキルが上達し、自分で蓋を閉めたポーションを掲げて眺め、笑顔を浮かべております。


 ライフポーションって、つまりは赤い色つきの液体だから、陽光に透かすと結構綺麗だよね。


 ラティアちゃんと一緒に頭上へポーションを一本掲げ持ち、陽光を透かしてキラキラと煌めく液体を眺めて楽しみます。うむ、不純物とかも混ざって無い様で何よりですね!


 そうしてラティアちゃんと楽しく作業に没頭する事1時間余り。

 カイムさんの昔話が話題に登り始めた辺りで、薬草とコケの処理が全て完了いたしました! いやぁースタミナがゴリゴリ削られていきますよ。


 このスタミナ消費って、手順が増えれば増える程それに伴って増加している傾向にあるように見受けられるんですが、正確な情報としては少々怪しい、かもしれません。


 ゲージの残量確認による視覚的な状況確認と、体の動作が鈍くなる間隔という直感的な部分での判別ですので。


 何はともあれ、会話休憩を挟みながらだとしても、長時間にわたり調薬作業しているとスタミナゲージは底をつく、という事だけは事実です。


 何度も実感しました、ええ何度も。

 スタミナポーションをソコソコ消費する程度には。


 あれだね、座ったまま手元でゴリゴリゴポゴポと理科の実験みたいな事をしているだけの癖に、その見た目とは裏腹に重労働なのかも。筋力は鍛えられないだろうけどね。


 最後のポーション薬液をビンに詰め終わったのも束の間、今度はマナポーションの材料である魔力の花を加工せねばなりません。うひぃ! 材料を採取している時は大漁大漁! って喜んで満面笑顔で森の中を駆けずり回っていたけれど、こりゃ何とも大変だぞ!?


 流石に連続作業ばかりでは疲れてしまいますので、ここで少々休憩を挟む事にしました。ラティアちゃんにお家に帰る時間はまだ大丈夫? と聞いてみましたが、お昼までに戻れば問題ないとの事。


 と言うことで! 箱の開封をすることにしますよ!

 一旦ですが、調薬キットをアイテムボックスに収納しておく事にします。


「きょうの おくすりづくりは おしまいー?」

「んーん、ちょっと休憩! それでねー? ラティアちゃんにお願いしたい事があるんだけどー大丈夫かな?」

「なぁに? わたしおてつだい とくいだよ!」


 グッとガッツポーズの様な格好をしてフン! と息を吐くラティアちゃん。


 あれだけポーション作成のお手伝いをしてもらったと言うのに、疲れた様子を全く見せない、可愛くも強靭な青髪の猫耳女の子。いろんな意味で強すぎる。勝てる気がしない。


 やる気満々なラティアちゃんを手招きして私の隣に座らせ、傍らで顎を擦りつつ私の手元を眺めていたカイムさんも呼び寄せ。

 それでは早速! とアイテムボックスから例のランダム箱を取り出して、ザラザラーっと袋に詰まったサイコロを盤面に転がすかの様な感じで、休憩所の据え付けテーブルの上へと四角い物体を流し込みます。


「むぅ!? こりゃ……魔素迷宮で稀に見つかるお楽しみ箱じゃないかの?」

「おたのしみばこー?」


 大量に出現した箱に驚いて、座っていた椅子から腰を浮かして前のめりになり、唸るような声で発言したカイムさんの言葉に反応して、首を傾げたラティアちゃんも、その小さい両手で箱を一つ挟んで持ち上げ、コロコロと手の中で転がし始めます。


 それほど大きい箱じゃないけれど、ラティアちゃんが持つにはちょっと大きめだね。


 後あれだね、若かりし頃のカイムさんって魔素迷宮を制覇しまくっていた、というお話を聞いていますし、この箱の存在はご存知だった模様です。


「流石カイムさん! 伊達に魔素迷宮を単独制覇してませんね!」

「昔の話じゃよ、昔の! それよりこんなに大量の箱、どうやって入手したんじゃ?」


 大量に詰まれた箱の一つを、カイムさん掴んで手の平に乗せ……器用に指を動かしてクルクルと手の平の上で回転させ始めました。ちょ、お上手ですね!?


 未発見の魔素迷宮を見つけた際に報酬で頂いた! と告げると、何やら唇を尖らせ羨ましそうな感じの表情をしたカイムさん、ゴトリとランダム箱をテーブルの上へと戻しました。


「良いのぅ羨ましいのぅ……ワシら騎士団の者じゃぁそうはいかんからのぅ……流石に祝福持ちの冒険者は格が違うわい!」

「あれ、カイムさんだと貰えないんですか?」


 てっきり、魔素迷宮を単独制覇しまくっていたというお話でしたので、こういった迷宮発見報酬の箱を入手する事も良くあったのでは、と予想していたのに、まさかの返答が。


「当たり前じゃよ! 使徒様から直接言葉を授かる、なんてこと早々ある筈無かろうて!」

「あー……そっかぁ、私たちは全員祝福(メニュー)持ちだから起こった出来事、って事なんでしょうかね」

「うむ、そうじゃよ……それで、コイツを此処で開封するんかの?」

「一応そのつもりですよ! そこでー! ラティアちゃんの出番なのですよ!」

「わたしのでばんー?」


 テーブルの上で、報酬箱をコロコロとサイコロのように転がして遊んでいたラティアちゃんが、私の言葉を受けて顔を上げて首を傾げ、不思議そうな視線を此方に向けてきます。

 

「カイムさんに開封してもらう、と言うのも一つの手かなーとも思うのですが、ここはラティアちゃんの類稀なる無欲っぽさにあやかってみようかと!」

「ほほぅ! なる程のぅ……良い品物出ろ! と念じれば念じるほど逆に出ない、という昔ワシの心を頻繁に折ったアレを回避する為に、ラティアちゃんにお任せするという事じゃな?」

「?」


 顔を見合わせて、何か相当な悪巧みしていそうな怪しい笑みを交し合っている私とカイムさんの間で、キョロキョロと左右に位置する私たちをを見ながら、頭に『?』マークを浮かべているラティアちゃん。

 大丈夫、気にせずにその箱を開封してくれるだけで良いのだ。


「と、いう事で! このラビの箱からいってみよう! はいラティアちゃん! このー箱の上にお手手を乗せて、こういう感じでー、トントンって二回触ってみて!」

「うむうむ! さあ、ラティアちゃんの運命力とくと見るが良いぞ!」

「んぅー?」


 ラティアちゃんの右手の上に手を添えて、ラビの装備箱の開封部分に導きます。


 良く判っていない状態のラティアちゃんでしたが、私のお願いどおり開封面に手をおくとポンポンと手の平で2回叩きます。


 パリン! と何か薄いものが割れるような音がして箱が消失、ラティアちゃんの目の前に……何か白くてフワフワした細長い物体が浮かび上がる感じで出現しました。

 そっか! ラティアちゃんはアイテムボックスなんて使えないから、こうやって箱を開封したら直接中身が外に出てきちゃうのか!


 地面に落ちてしまう前に、私が手に取ろうと思ってその白い物体に手を伸ばしたのですが、何やら見えない壁の様な物があって手を阻まれてしまいます。あれ、なんで!?


「箱の中身が浮いている間は、開封した者以外は触れる事は出来んぞい!」

「うぇええ!? そうなんですかぁ!?」


 カイムさんの助言が耳に飛び込んできた事により、今発生した不可思議現象の理由は判明したものの……どうしよう!? とワタワタ焦る私の目の前で、空中保持の制限時間が終了した白い物体が、自由落下を開始。


 その瞬間、ラティアちゃんの腕の中から素早く弾んだコーメェが、その背中に白い物体をのせ着地して落ち着きます。


 ふぁー! 良かった! コーメェありがとう!

 重いものとか、危ない物が出たら危なかった!


 まさかの事態に心臓バクバクですよ!

 今度から、開けて出たアイテムを即座にテーブルの上へ置ける様に準備してからにしよう! 


 現実だったら嫌な汗がジワリと吹き出る事態でした。ふぅー迂闊だぞ私ぃ!


 そんな私の状態に気が付かない様子のラティアちゃん、自分の腕の中に着地してきたコーメェ on the 白い物体をモコモコと触って、キャッキャ! と笑顔ではしゃいでおります。可愛い癒された!


「ふわぁー! フワフワしてて あったかいー!」

「へぇー? ちょっと触ってもいいかなー?」

「うん! はいどうぞー!」


 コーメェの背中から取り外した白い物体を、笑顔で差し出してくれるラティアちゃん。ありがたく受け取った私も、先程ラティアちゃんがしていたように手触りを確かめます。うん柔らかくて暖かい。


 これは、色合い的には白ラビの毛っぽい雰囲気だけど……そういう感じのアイテムなのかな。見た目的にはおそらくマフラー? だと思う。


 これからこのVR世界も寒くなる季節だろうし、これはラティアちゃんにプレゼントするには最適なんじゃないかな! 

 そんな気持ちを籠めてカイムさんに視線を飛ばすと、カイムさんも力強く頷く事による肯定の返事を返して下さいました。ですよねー!


 ひとしきり手触りを堪能した私は、一旦マフラーをアイテムボックスへと収納。

 アイテム名を確認する事にします。


 えーっと……名称は判りやすく【純白ラビの快適マフラー】だそうです。


 一応詳細確認、してみようかな?

 【革細工】が適応する品物なら多分詳細が判る、筈なんだけれどもどうだろうか?


=====================


 アイテム名 【純白ラビの快適マフラー】

 等級  珍品(ユニーク)

 品質 ☆☆☆☆☆☆☆

 破損度 問題無し

 属性 ※装飾品『物理』 ※毛皮『良質』 ※衝撃吸収『小』

 付加能力 ※色彩『白』 ※幸運『中』 ※触感『沈静』

      ※適温『差異15度』 ※清潔化

 効果待機時間 10カウント

 詳細 数の少ない白ラビの中でも、さらに珍しい純白ラビの毛皮で作られた装備。

    身に付けると装着者の周囲の温度を快適に保つ。

    寒い日は暖かく暑い日は涼しくなるという、非常に便利な一品。

    

=====================


 見えた! ほほぅ中々の性能……これをプレゼントすれば、ラティアちゃんも風邪知らずで寒い季節だって乗り越えられるね!


 自分で装備したらどうだ、というご意見もありそうな雰囲気の品物ですが……うん、やっぱり日頃からお手伝いや癒し等でお世話になっているラティアちゃんへ、心からのお礼として贈りたいと思います。


 なによりフワフワなマフラーがとっても似合いそうだし。

 つまり下心丸出しで。ぬふふ。


 と言うことで、ラティアちゃんに贈り物であると言う事を伝えて、その首にマフラーをクルリと優しく巻いて整えてあげました。


 マフラーに頬ずりして笑顔でピョンピョンと飛び跳ねているラティアちゃん。あー眩しい天使パワーが高まってきたー! 今なら盗撮したキサラさんの気持ちが100%理解できる! いやしませんけどね!?


「フワモおねえちゃん ありがとうー!」

「こちらこそ、いつもお手伝いありがとうねー!」

「凄く良く似合っておるぞぃ! ラティアちゃん!」


 カイムさんも満面の笑顔でご満悦。


 プレゼントした私も嬉しい、プレゼントされたラティアちゃんも嬉しい、ソレを見たカイムさんも嬉しい。なんという素晴らしい循環だろうか!


 幸福パワーの漲った私は全快しているスタミナゲージを確認し、50個残っている魔素迷宮の箱開封は一旦お預けにして、このままの勢いで魔力の花を全てマナポーションへと加工すべく、それはもう精力的に活動を再開するのでありました。ラティアちゃんもコーメェと一緒に水汲みへと駆け出しましたよ!


 棚引く白いマフラーが綺麗ですね! いやぁ似合ってる。


 んー! いまなら普段の3倍は速度が出そうな気持ちさえします! 気持ちだけね!

 これが終わったら大量にあるランダム箱、こいつらをやっつけますよー!

フワモさんに好き勝手行動させていたら、文字数が嵩みすぎて、色々な確認がまた先送りに!

もうちょっと、もうちょっとお待ちくださいね!(平伏

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