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217 リーナさんと コーメェの 邂逅

裏からこっそりと。

見た目『だけ』は麗しいのですがね。

 顔を伏せた状態で鑑定カウンター方面へと移動を開始した際、背中へ多数の視線を感じましたが……流石に私の事を気にかけて後ろを追いかけてくるような方はいなかった模様。


 私に注目していた方々は、アイテム買取のカウンターへ並んでいる人達でしたし、並んでいた待ち時間を放棄してまで私に興味を持ったプレイヤーさんは居なかった、という事で良いのかな。


 あまりにも不審者っぽい動作をしてしまいましたので少々不安でしたが、なんとか誤魔化す事に成功したと思って良いのでしょうかねコレは。逃亡成功です。


 一旦心と身体を落ち着かせる為に、ギルドの出入口付近にある広い待合スペースの様な場所へと足を踏み入れて、簡素な円い形の形状をした椅子に腰を下ろします。


 ここから買取カウンターには、途中の配置物や柱等が遮蔽物になって視界が通りませんので、いちおう安心と言う事で。


 おっとコーメェを頭の上に乗せっぱなしでした、降ろしてあげないとね。


 両手でコーメェを掴んで太ももの上へと乗せ、すっかり触りなれたコーメェの柔らかい毛を何時も通り堪能しつつ、ほっと息を吐いて全身の力を抜きます。あー何だか凄く疲れた。


 コーメェを抱きしめた状態で、暫くボーっとギルド内を移動している人たちの流れを眺め、私のハートに蓄積された乳酸を抜く作業に入ります。


 明日辺り心が筋肉痛になっている可能性すらあります。

 自分で言っていて心の筋肉って何? という考えが思い浮かびますが。

 その事について深く考えるのも億劫です。


 心臓に毛が生えている、なんて言い回しも世界には存在する位ですし、例えば緊張によるハートの筋肉痛があっても良いんじゃないでしょうかね。


 いやその、生物学的に毛が生えてたりするという訳じゃなくて、うんあれです喩えの話で。


 そもそも心臓って確か普通に筋肉ですから筋肉痛になる可能性が。無いか。

 いや万が一筋肉痛になっても心臓に痛覚ってあるのかな。


 いやその事は良いんだ、言いたい事は頑張れ私の貧弱ハートという事で。

 あーコーメェの感触は落ち着くね。


 体はダラーっと力を抜いて椅子に座った状態で、私は液体……そう広大な海原を流れる一筋の海流の様な物なのだ……と無駄に想像力を働かせてリラックス状態になりつつ、脳内ではろくでもない心臓理論を発信していたのです。その筋の人に怒られる。


 まぁ、誰に聞かせる訳でもありませんけど。

 こんな事他の人に話したら鼻で笑われる所か、胡散臭げな目で見られそうだし。

 以後気をつけようね私。


 ドキドキと不安げな拍動を続けていた心臓も、数分間座ってギルド内の景色に溶け込むよう大人しくする事によって、漸く落ち着きを取り戻してきました。


 こっそりと周囲を窺ってみても、見える範囲で私を凝視するような視線を感じる事はありませんでした。大丈夫かな?


 急がず騒がず落ち着いての精神で、ゆっくりと椅子から腰を上げた私は、コーメェを目立たないように尻尾の根元辺りへギュっとくっ付け、そこで大人しくしていてね? と小声でコーメェに念を押しておきます。


 コーメェから了承の声を受けた私は、今回の『リーナさん一番ボール君チャレンジ』敢行のため、アイテムボックスから久しぶりに一番ボール君を取り出して両手で保持します。


 こう見るとコーメェと一番ボール君って丁度良いサイズ感ですね。

 手触りは違いますけれど大きさが似ているというか。

 まぁコーメェの手触りの大半は毛なんですけど。


 ついでに何か鑑定してもらう物はなかったかなー、何て鑑定カウンター方面へ足を進めつつアイテムボックスを漁ります。


 えーっと、このランダムな箱群は……どうせ明日明後日にも全部開封しちゃうし、個別に鑑定は要らないかな。そもそもこの量を鑑定してもらうとか幾ら掛かるか想像したくもありませんよ。


 あっそうだ、コーメェ由来のアイテムは珍しい可能性が高いし見てもらったほうが良いかな! そう、例のお芋2種だね。


 あとコーメェの毛も一応見てもらおうかな。

 ……多分普通の毛だと思うんだけど。どこからどう見ても白い毛玉だし。


 あとはボス鳥さんから頂いた例の尾羽。

 これは確定でお願いしましょう。


 正直この尾羽の詳細って、伏字とか情報量が足りない感じの部分が多くて、非常に気になりますから。

 気になりすぎますから。


 特殊効果の一つは大よそ判明していますけど、あの使い方も十中八九間違っている気がしますし。


 普通空を飛ぶために突風を起こしたりしないでしょうし。


 むしろ普通にあの強さの風で身体を押されたら、例えば近辺の壁へ向かって吹き飛んで叩きつけられるとか。そうなりますよね。


 幸運にもリアさんから頂いたペンダントの効果で、あの珍妙飛行体験をする事が出来た訳ですが。


 それはまさに、突風に翻弄される羽毛の様な気分で。

 傍から誰かに見物されていたら、胡散臭さ100%だったろうなーと想像に難くありません。

 本当近くに人が居ない場所で良かったよね。


 そんな感じで、周囲に聞こえない位の小声でブツブツと呟きつつ、俯き加減でアイテム欄を眺めながら移動していますと。


 見覚えのある場所と看板が視界に入ってきました。

 そして、ズラリとその場所……鑑定カウンターへ並んでいると思われる列が。


 うわぁー何だろう? 前回に比べて随分と人数が多いような気がします。


 皆さん頑張って冒険して、エキサイティング&スパイシーな生活を営んでいらっしゃる様で。

 私とは全然違いますね。


 そもそも、大体の人達がパーティで並んでいるという状態なので、結果として人数が多く見えるのでしょう。


 誰か代表者の人に並んでもらうとかで駄目なのかな。

 あれかなぁ装備とか素材の分配とか、そういう部分で独り占めの可能性が問題になるのかも?


 ははっ私には縁遠い悩みですね。

 取得物は100%私の物になりますし。

 個人営業ですから。誤魔化す相手もいませんのでね。


 あっでも、コーメェに渡す物はあるかな。美味しそうなものとかね。


 そうだ、お芋を増やす手段をどうにかしないと、コーメェのフワフワがシオシオのゴワゴワになっちゃうかも、なんて鑑定に全く関係の無さそうなコーメェ育毛事情で悩みつつ。


 ……列の先端、カウンター前に位置する最前列で、アイテム鑑定の結果を聞いてワイワイと笑顔で会話している方々を、楽しそうだなーなんて気分でのんびりと眺めます。


 何となく視界に入っているパーティの皆さんが手に持って、何が何々とアレコレ会話している品物を視界の端で確認してみましたが、金属製の装備品が多いようです。


 あー……もしかして、例の魔素迷宮で手に入れた装備品だったりするのかな。


 あの魔素迷宮の最奥っぽい場所で鎮座なさっていたと思われる、頑丈で物騒な巨大ボスゴーレム先生を倒した後に手に入る金属装備なアレだよね。


 あっそうだ! 私の初冒険報酬な指輪! これも鑑定してもらおうかな!


 性能は臨時のアイテム水増しパーティプレイをした際に、シャーリーさんからお聞きしたので知っていますけれど、鑑定しないと細かい詳細等を自分じゃ視認できませんからね。


 アイテムボックスに入れて詳細を表示させて見ても、歯抜け状態ですから。


 問題は鑑定費用がお幾らになるのか。

 一応先ほど食べ物系のアイテムを処分した事によって、少々懐具合はマシになりましたけれども……不安だ。


 足りないようなら幾つかの鑑定は諦めて、どうにかしてお金が準備できてからにしようかな。


 あれですね、公式の冒険イベントで入手したアイテムがお金になれば最高じゃないでしょうかね。準備費用に見合う報酬や入手素材アイテムがあれば嬉しいですけど。


 その辺りも全部不確定なのが何とも。

 まぁ実際、イベントの目玉は短時間で高成長! っていう所なのかな、うん。


 俗物っぽい金銭的思考でなにやら申し訳なくなりますが、貧乏人なので仕方ない。


 じりじりと進んでいく列の流れを眺めつつ、暇だしポコ豆でも摘もうかなーと思った所で……ギルド内での飲食ってオッケーなのかな、という疑問が浮かび上がります。


 こういう場所って大抵の場合飲食しちゃ駄目です! っていう感じになってる筈だよね。

 うん無理せず止めておこう。


 袋を出した時点でそう気が付いた私は、ポコ豆の袋をアイテムボックスへ仕舞いなおし我慢する事にしました。

 そんなこんなで、滞りなく進んでいく列の流れに身を任せ……周囲で鑑定の結果について楽しそうにアイテムを見つつ会話をしているパーティの皆様を、コッソリと回避するように進みまして……無事カウンター前へと到着します。


 前回と同じ様に、リーナさんに取り次いで貰おうと思い、手に持った一番ボール君を差し出そうとして……それと同時に、前回一番ボール君によって引き起こされた、ドレスなリーナさんドタバタ事件を思い出しました。


 いっかーん!? このままの状態で一番ボール君を差し出すと、前回の二の舞になってしまう可能性が非常に高いというか、むしろ確実にそうなる断言できるリーナさんの蛮行が始まってしまう! つまり私がまたもや無駄に目立つ事件発生! 駄目駄目、駄目ですよ!


 そんな事を、胡散臭く高速思考っぽい感じで数秒の短時間で脳内に思い描いた私は、差し出す途中でビタリと手を止めて……素早く手渡しできるアイテムである、手に嵌った指輪を先に鑑定してカモフラージュしよう! と思いつき、指から指輪を引き抜いてカウンターに座っている髪の長い女性へ差し出そうと思ったタイミングで。


 ……何故かカウンターの女性が、一番ボール君を両手でフワリと挟みます。


 焦っていた私は思わず硬直、そのまま視界を上げると……あっこの女性は!

 前回鑑定カウンターへ訪れた際、リーナさんと私の関係性について質問してきた方じゃ無いですか!


 その女性が一番ボール君を見詰めて数秒……なにやら微妙な笑顔を浮かべると、一番ボール君と共に私が差し出している指輪をそっと受け取りつつ、横目で周囲を軽く確認して何かを気にした様子で、でもその笑顔を崩さず私の方へ顔を寄せて小声で語りかけてきました。


「あの……主任がまた凄い事になってしまいますから、その、伝言しておきますので……数分お待ちいただいた後、ギルド裏にある通用口からご入場いただけますでしょうか……」

「あっ……は、はい」


 そのまま女性に一番ボール君を預けて、折角ですのでついでに手から外した指輪も鑑定品として預けて、カウンター前から退散する事にします。


 建前としてお預け鑑定をお願いした、という事にしてもらいました。あくまでも建前です。


 手元にあったメモ用紙に何かを素早く書きつけた受付の女性は、前回と同じ様に他の職員さんを視線で呼んで一番ボール君と指輪と共にそのメモ用紙を渡します。


 その職員さんは一度頷き、例の奥にある扉へ向かってソレを運んで行きます。


 ノックの後、扉から見覚えのある手がニュっと出現する様を横目で確認。

 あれはリーナさんの手ですね。


 その後……一応は手続き通りにと言う事で、鑑定を終えたアイテムを引き取る時に提示するという、何やら謎金属で出来たカード状のアイテムを女性から受け取った私。


 ズラリと並んでいる鑑定待ちの列横を通りぬけて、待合席で軽くコーメェと戯れて時間を潰した後、ギルドの外へ退出して先ほどゲイルさんのお店から中央通りへと抜ける際に使った、何度か利用した事のある裏通りへと向かう事にします。


 うーんえーっと、通用口って事はあれだよね……ありましたありました!


 記憶を辿って進んだ先にあったのは、前回リーナさんの所を訪れた際、目立たないようにギルドの建物から脱出する時に使った裏口っぽい所。


 カウンターの女性が言ってたのはココだよね多分。


 一応周囲を見回して誰もいない事を確認……は別にしなくて良かったのか。


 忍び込む訳じゃないんですからねウン。

 でも、人通りの無い場所の裏口から進入って微妙に何というか……雰囲気で思わず。


 ネガネガ思考な自分の脳内環境を一新するため、コーメェを揉みつつその場で強めに頭を振った私は、気合を入れてドアノブへと手を伸ばしてグリっと捻ります。


 開いているか少々不安だったのですが、特に何の抵抗も無く稼働するドアノブ。

 これって鍵とか掛けてなくて大丈夫なのだろうか。

 何か防犯機構が備わっているのかな。


 でも見た目的に何も無さそうだし何だか物騒だなー? なんて思いながら、ガチャリと言う手応えを感じつつもユックリと扉を引き開けると……何となく見覚えのある薄暗い通路が視界に入ります。


 照明の抑えられた広めの空間に、厳重に梱包された数々のアイテムが所狭しと並んでいる様は、こう、何だろうか、中々壮観ですね。乱雑さの中にもある種の趣があると言うか。


 片付けが下手な私の部屋とは違います。


 一歩一歩確かめる様に足を動かし、間違えて置いてある荷物をつま先で蹴飛ばしたりしない様に気をつけながら、前回ココを通った時の記憶を頼りに目当てのリーナさんの作業場であろう部屋へと足を進めます。


 ふむぅ……何だか前に来たときよりも、更にアイテムが増えている気がする。

 そろそろ溢れ出しそうな雰囲気なんですが、大丈夫なのかなコレ。


 鑑定し終わったアイテムは、返却してる筈ですよねこれ。

 それなのに荷物が増えてるって事は、依頼量が増加の一途を辿っているという訳で。


 これって……どう考えても祝福の冒険者、つまりプレイヤーが持ち込んでくるアイテムが急激に増加したのが原因だよね。

 鑑定命なリーナさん的には嬉しい事なのかもしれないけど、他の職員さんは大変だ……お仕事頑張りすぎて身体を壊したりしなければ良いけど。


 そんな事を思いつつゆっくりと先へ進みますと……奥からガタンゴトン! と何かを動かす音が。


 物音に耳を澄ませつつ、正面に見えてきた見覚えのある扉をゆっくりと開くと。


 ……先日とは違い、今日はエスメラルドさんの所で見た感じの地味な格好をしたリーナさんが、前回私がこの部屋を訪れたときと同様に、恐らく鑑定待ちであろう梱包されたアイテムを抱えてアッチコッチへと移動している後姿が視界に入ります。


 スカート着用なのに物凄いガニ股移動で目に毒ですね。

 俗に言うエルフのイメージを持っている方が見たら愕然としそう。


 セクシーさ加減0ですよ。

 ……うん、私はもうこのリーナさんの動きには慣れましたけれど。


 それにしてもこの部屋、相変わらず物凄いアイテム量ですね。


 あ! 部屋の中央に置いてあるテーブルの中心に、何やら綺麗な模様の描かれた小さいクッションの様な物が設置されていて、その上に何か占いの水晶球っぽい感じで一番ボール君が静かに鎮座してます。


 その隣に先ほどまで私の手に嵌っていた指輪も一緒に。

 うん、なんだろうか雰囲気が神々しいね。ご本尊かな?


 素材的にはそう言っても過言じゃないよね、なんて事をボヤーっと思いつつ……現在絶賛片付け作業の真っ最中であるリーナさんの背中を眺めます。


 大きい物を持っている時に唐突なタイミングで呼びかけたら、荷物を床に落としたりする可能性があるだろうし、焦らずちょっと待った方が良いよね。


 ひときわ大きくて四角い荷物を抱えて壁際にゴトリと置いたリーナさん、ふぅと一息ついて額を拭うような動作をした後、バッサバッサとスカートの端を摘んで中に空気を送り込んでいます。


 その動作は如何なものかと。

 見た目と相まって悪い意味で倒錯的ですよ。


 リーナさんの力仕事も落ちついた様ですので、そのやり遂げた感じ満載で息を付いているリーナさんの背中へ声をかける事にします。


「リーナさんー、お片付けお疲れ様ですー」

「うひゃひゃい!? ビックリしたぁ! 居たならすぐに声かけてくれれば良かったのに!」

「あはは……荷物を持っている時に声をかけたら、危ないかなーと思って」

「そっか! ささ、スペースは確保しておいたから座って座って!」


 バサリとスカートを通常状態に戻し、私に椅子を勧めるリーナさん。

 尻尾の根元で大人しくしてくれていたコーメェを抱えて私が椅子に腰を下ろすと、前回と同様にリーナさんが対面の席に腰を下ろし、両手を伸ばしてテーブル上に鎮座なさっていた一番ボール君を手に取ります。


「では持ち主の到着という事で! ぬへへぇ! 今日の一番ボール君チャーンス! それでは……【鑑定】!」

「リーナさん頑張ってください!」


 私の声援に一度頷くと、ぐぐーっと眉間に皺を寄せる感じで、じーっと一番ボール君を見詰めるリーナさんでしたが。10秒程経過した後ガックリと肩を落として、両手で挟んでいた一番ボール君を先ほどのクッションっぽい台座に戻します。


「ぬぐっ! 今日も歯抜け鑑定だ……くやしい! でも負けないんだから!」

「ま、また次回頑張ってください!」

「なんのこれしき! 鑑定道は長いんだから!」


 グッと力瘤を作る感じで右腕を曲げたポーズを取ったリーナさん、左手を伸ばしてテーブルの端に退かしてあった卓上ポットを掴み、カップを右手にとって中身を注いでそのままの勢いでグワっと一気飲み。


 男らしい。見た目麗しい感じのエルフさんなのに。


 ふぅーと息を吐いたリーナさんが、その視線を私の方に向けて唐突に硬直します。

 ……というか私の胸の辺りに注がれる感じが。


 ふと視線を下に向けると……お腹の辺りで抱いていたコーメェが、テーブルの縁から顔を出す感じでリーナさんを見上げている状況。


「……えぇー!? 何その子! フワモフかわいいー!」

「あっその、私の従魔で『コーメェ』って言います」

「コーメェちゃんね! それにしても短時間で【従魔】スキル取得とか流石祝福の冒険者! 私たちが【従魔】スキルを取得しようとしたら凄く時間が掛かって大変なのに!」

「そ、そうなんですか?」

「そりゃそうよ! 魔物と心を通わせて一緒に生活する為の訓練! なんて言葉を聞いただけで、うわー難しそう! って思うでしょ?」

「あぁー……そういわれると何だか納得ですね……」


 私が【従魔】スキルを取得した時の流れなんて、本で知識を得てから……そのまま残っている習得Pを消費して即入手した、っていう感じでしたからね。


 この世界の住民さんが同じ様に【従魔】スキルを入手しようとすると、知識や訓練等で物凄く大変なんだろうなと想像できました。

 本気でこの世界だと女神様の加護は反則級の能力なんだなぁーと実感していた所、リーナさんの目付きがキラキラしている事に気が付きました。な、なんだろう?


「その子、鑑定して良い!?」

「えっ!? はいそのえっと、本人に、了承を得て下されば」

「コーメェちゃん、鑑定して良い? 痛かったりしないから! ね?」


 テーブルの上に突っ伏すように私の胸の辺りに顔を近づけて両手を合わせ、拝み倒す用な感じでコーメェに対して自身の鑑定許可を得ようとするリーナさん。その体勢辛くないんですかね。


 対するコーメェは、首を傾げるようにして数秒考えると、私を見上げるようにして『メッ!』と了承の一声。コーメェ的にはオッケーな様ですね。


 まぁ痛かったりする様な危険行動なら、リーナさんだって流石に無理矢理ごり押したりしないよね。

 その辺は一応信用しております故。


「えと、鑑定しても良い、って言ってます」

「やった! じゃあちょっとコーメェちゃん借りるね! ささー大丈夫だから大人しくしててねー」


 私の両手の間で大人しくしているコーメェを、両手でそーっと挟み込み持ち上げ、そのままの体勢で自分の席へと戻り腰を下ろすリーナさん。


 果たして鑑定結果はどうなるのか。

 なんと! とんでもない結果が! とかは無いとは思うけど。

やっと更新再開。眠い。

ふと気が付くと、じりじりブックマークが伸びている事に驚く今日この頃。

読む人を選ぶお話だと思いますが、良ければお暇な際にダラーっと読んでいただければ。

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