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210 写真 撮影 したいのです!

 自室のベッドに腰を落ち着けた私は、今朝寝ぼけ眼の寝起き状態な私が差し出した左足小指へと強打を繰り出してきたHMDを、今度こそしっかりと正規の方法で使用する為に、間違いなく自分の頭部へスポリと被せます。うむ、コレで良し。あの使い方は間違いだったのだ。小指は犠牲になったが尊い犠牲だったと云わざるを得ない。


 おっと、そうそうそうですよー、写真、写真の撮り方を確認せねば!


 いきなりVRゲームの世界へと旅立つような事はしませんよ!

 今日の私は一味(ひとあじ)違う、所では無くて……そう、七味(しちあじ)位の意味合いで違う筈です!


 ……あれ、七味(しちみ)って読むとピリリと辛い気がしてきた。

 いや違う、そうじゃなくて。


 帰宅から何時もの流れで進めていた場合、素早く即座にゲームを起動してVR世界へと旅立つ算段を立てていたはずの私でしたが。

 今日は違うのです……そう、普段と違う私は今日はまず公式サイトにある可能性の高い、写真撮影の情報を先に確認する! という手段を用いる事にしました。


 えっ何それが普通で当たり前なんじゃないかと?

 そこはソレあれはナニです。


 無駄に一人問答を繰り広げていた私でしたが、何時も通り適当に決着をつけてHMDを起動し、お気に入り登録からVRゲームの公式サイトへとアクセスします。


 昨日イベント内容について確認した時は、イベントについてのリンクへ意識が行き過ぎていた為に気が付かなかったのですが。


 なんと、公式サイトの上部を良く見ると『公式からのお知らせ』と判りやすく書かれた場所に、先日行われたアップデート内容についてのマトメが記載されている場所に飛ぶリンクが、そりゃもうしっかりと表示されている訳です。


 うん、そういえば例の長時間メンテナンス後に、詳しいアップデート内容とか全然確認して無かったね私。


 ゲームで遊んでいても特に違和感等を感じなかったので、全く持って気にしていなかった。

 きっとこの場所に、私の追い求める写真撮影方法が書いてあるに違いない!


 ぐっと握りこぶしを作り、誰にとも無く頷いた私は仮想キーを操作して、アップデート内容確認の為にリンクへと指を伸ばします。


 そして現れたリンク先のページには。


 そりゃもう大企業で配られている総合資料の束みたいな印象を受ける、綺麗に並んだ大量の文字とリンクが。何デスカコレハ。


 えっちょっと何、この量の文章を皆さん全部読んで確認してらっしゃるんですか?

 それとも、必要な部分だけ自分でチョイスして確認する方法を取ってるのだろうか。


 まずは読まずに上から下まで表示をスクロールさせて見ます。

 うわー……一体何ページ分書いてあるんだろう。

 あれですよ、学校で教科書を開いて読んでる気分になりますコレ。


 ゲームプレイの為には、ココに書いてある事は全部確認した方が良いのだろうか。読めるならば全部読んで頭の中に叩き込んだ方が良いんだよねこれ多分。


 参ったなぁー、ゲームプレイする時間が無くなっちゃうよ。


 一番最後まで表示をスクロールさせた私は、あまりの量に軽い絶望感を感じつつ右手を動かして一番最初までアップデート内容記載ページを戻します。


 そこで気が付いたのですが、ページの右上辺りに何かの入力フォームが!

 ……ああ良かった! これ一応ここに入力すれば単語で検索出来るのか!


 迷わず文字入力場所へと指を伸ばした私は、検索に必要な単語を選んで仮想キーを叩きます。

 えーっと……『撮影』と。これで良いかな?


 検索開始のボタンをプッシュすると……該当するリンクが幾つか強調表示された状態で検索結果として表示されました。どれどれ……あったあった!


 まさに私が捜し求めていたであろう、その名も『VRゲーム内における画像撮影方法等について』という事柄についてのアップデート内容が詳しく載っている部分を発見しました。


 思わず笑顔になりながら、その部分を読んで確認します。


 記載内容を掻い摘んで説明いたしますと、どうやら写真撮影する為の機械はゲーム内にアイテムとして存在する物を使用するみたいです。そのアイテムで写真撮影したものをゲームの外に持ち出す場合は課金が必要になる、といった感じみたいですね。


 あと『被写体設定』という物が存在するらしく、その設定を細かく弄れば写真写り? を調整できるという事が書いてありました。


 言葉だけですと良く判らなかったのですが、ページを少し進めると例としてこのように写真画像が表示されます、といった風なサンプル画像が貼り付けてありました。


 設定が基本状態だと、被写体の顔がモザイクというか……水性インクでかかれた絵に水を馴染ませて指で擦った様な、グニャリとした感じでプライバシー保護みたいな雰囲気で写りこんでいました。逆に怪しさ炸裂な気がするんですが。良いのかなこれ。


 次に、いつでも撮影許可状態にしてある画像だと……普段私が現実で見る写真と同じ様に、特に何もおかしい所はない普通の写真撮影! といった状態で写っています。なるほどなるほど。


 3枚目の画像は、撮影不許可状態でなおかつ強めに設定を弄ったものらしいのですが。

 なんと全身モザイク状態になってまして。


 背景と相まって逆に怪しさ炸裂状態です。

 まさに出来の悪い幽霊画像みたいな雰囲気に。


 その他細かく設定できますのでプレイヤー様自身で語調整なさって下さい、といった具合で『被写体設定』の項目は締め括られておりました。


 と言いますかですね。

 この参考資料としての写真に写ってるの。


 うん……恐らく私の見間違いで無ければ、フィーアさんだと思うのですけれど。


 こう、目の前に右手を翳す感じで微妙に顔を隠した写り方をしているので、100%確実だ! とはいえませんがほぼ確定だと思います。


 GMさんってこういうお仕事も請け負ってるんですね。色々と大変だ。


 と言う事は他の2枚もGMさんなのかな?

 プレイヤーさん相手と違って写真撮影に許可が必要ないだろうし、一例として撮影する写真の被写体としてお手軽だったのでしょう多分。


 取り合えずゲームにログインした後、何処か時間が取れるタイミングを見て『被写体設定』とやらも弄ってみましょう。


 あと、システムの項目の上部に切り替えタブが追加されていて、そこを選択してページを変更すると色々とアップデート後に実装された内容について設定出来る! とか何とか書いてありました。


 あーそうなのか、完全にページ切り替えで確認出来る様になってたのか。


 ログアウト時にシステム欄を毎回開きますけれど、全然変化が無かったので気が付きませんでしたよ。


 あれー? アップデート後なのに新しい項目とか増えて無いですねー? なんて思っていましたが。

 一緒くたに統合されて、他の場所に追加されていたとは。迂闊、迂闊です私。


 他にも、私の知らない所で様々な何かが追加されている可能性があるなぁ、なんて感じで顎に手を当てて考え込んでおりましたが、今はソレを考えている場合ではありませんでした。


 私が今確認しなければならないのは、写真を撮るために必要なアイテムとやらは何処で売っているのか、という重大な任務について。私の快適VRMMOライフに必須な事柄です。


 こういう戦闘向けじゃないアイテムについてなら、きっとエスメラルドさんとかに聞いてみたら判るかも?


 今から急いでログインして移動すれば、雑貨屋さんが開店する前にお邪魔できるかな?

 そうと決まれば早速行動開始です!


 公式サイトを閉じた私はゲームを開始する為に準備を整え、ゲームデータを起動した後にベッドに横になって目を閉じます。


 さあ今日も頑張ってプレイしますよー! と鼻息も荒く意気込んでいたのですが。


 ……何時もの白い空間へと移動しないので何事かと目を開くと、何やらHMD内にダウンロードされているデータを更新している様子でした。出鼻を挫かれた。


 アップデート後と同じ様に、暫くお待ち下さいという文字が表示されて……進行状況を表わす数字が現れました。あー暫く掛かるかな? これはアレでしょうか、日曜日に行うイベントに関してのデータを事前に更新しているとかでしょうかね。


 写真撮影に意気込んであまり身構えていても疲れてしまいますので、全身の力を抜いてリラックスして待つ事にします。数分かけてダウンロードが完了した後は、何時も通り真っ白い空間へと移動。


 何度目かになるパスワード入力をチョチョイと右手一本で済ませた私は、送受信データの確認とHMDクライアントデータの確認の終了を待ちます。


 目の前でジリジリと伸びている棒ゲージを眺めながら、そういえば例の冒険イベントに関する準備も平行して進めないと駄目だなー何て事を考えておりますと。


 ゲージがニューっと伸びていって100%に到達しました。


 前回表示されたものと同じ、他のプログラムが起動していると云々……というメニュー板表示を消して、両目を閉じた状態でゲーム世界へと移動を待つ事にします。


 数秒後、周囲から移動しながら会話していると思われるプレイヤーさんの声や、ブーツで石畳を踏む足音が聞こえ始めます。


 両目を開くと、正面に見えるのはログアウト時と同じ石の壁。

 足元を見ると、私より少し遅れてコーメェが出現しているのが確認できました。


 両手でコーメェを持ち上げて笑顔で挨拶を交わします。

 うむ、今日も一緒に頑張ろうコーメェ!


 それにしても、視界が狭いとやっぱり落ち着きますね。


 それでは、雑貨屋さんが開店する前にエスメラルドさんの所へちょっとお邪魔して、写真撮影する為に必要なアイテムについてお聞きしてみましょう!


 コーメェをいったん耳と耳の間に位置する感じで頭の上に乗せ、石壁に手をついて軽く準備運動をします。最近気が付いたのですが、何だか尻尾や耳の稼働率が上がってきている気がするんですよね!


 このVRなボデーの扱いにもある程度慣れてきたのかな。喜ばしい事です。


 おっと、街中で長時間準備運動していると悪目立ちするのでした。

 雑貨屋さんまでささっと移動してしまいましょう。


 前回ログアウトした時の予定としては、ログイン後はリーナさんの所かゲイルさんのお店へとお邪魔する予定でしたが、今回は私には珍しく優先すべき目的が出来てしまいましたのでまた今度で!


 カサカサと足早に早歩き位の速度で噴水方面へと移動を開始します。

 ゲーム内は早朝ですので、この辺り周辺で商売を営んでいるのお店は大体全部閉店中ですね。


 何だかすれ違う人に何だかジロジロ見られているような、そんな被害妄想っぽい考えを脳内で展開しつつ『準備中』の札が下がっている雑貨屋さんの前へと到着。


 数回扉をノックした後に、ゆっくりと押し開けます。


 見覚えのあるエプロンを装着して床のお掃除中だったエスメラルドさんが、動かしていたモップをカウンターに立て掛けて扉の方へ向き直り、私の姿を確認してニッコリと笑顔を浮かべました。


「あらあら! フワモちゃんお早う! コーメェちゃんも!」

「エスメラルドさん、お早うございます!」

「こんな時間に如何したのかしら? あっもしかして、また自作のクッションを持ってきてくれたのかしら?」

「あっいえ、クッションはまた今度! 実はちょっと折り入ってお聞きしたい事があってお邪魔しました!」


 あらぁ聞きたい事? と呟いて首を傾げたエスメラルドさん、お掃除中でしたら是非そのまま気にせず進めて下さい、とお伝えして掃除を再開してもらった後、写真の撮影方法について質問してみます。


 私の質問を受けたエスメラルドさんは、モップで床をゴシゴシしつつ笑顔で答えてくださいました。


「あらま丁度良いわ! 写真機ならウチでも一つだけあるわよ!」

「えっ!? 本当ですか!」

「新品じゃなくて中古品だけど、ソレで大丈夫ならすぐ出せるわよぉ!」

「わぁ! 是非お願いしたいです!」


 私の返答を受けて、ウフフと笑顔で頷いたエスメラルドさん。


 素早くモップをカウンターへと立て掛けて、さっと布で手を拭いた後、カウンター内に入って店の奥へと消えていきました。


 いやぁー! 渡りに船とはこの事でしょうか!

 流石はブラシからテントまで販売しているエスメラルドさんの雑貨屋です!


 と言うか、前回購入してまだ活躍の場を得ていないテントといい、ここで販売している中古の品って何処から仕入れているんでしょうね? 必要無くなった方からの持込とかがあるのかな?


 私の頭の上でノンビリしていたコーメェを持ち上げて取り外し両手で揉みつつ、そんな写真撮影とは全く関係のない事を考えながらエスメラルドさんの帰りを待つ事1分少々。


 カウンター奥のドアを開いたエスメラルドさんが、手に丸いレンズのついた四角い箱の様な物を持って笑顔で戻ってきます。


 あれが……あれが待望の写真撮影する為の道具!


 コトリ、とカウンターにその四角い物体を置いたエスメラルドさん、箱の後ろをパカリと開いて中身を確認し始めます。その後何やら納得した様に数度頷くと、私にその箱を差し出してきました。


「さあ、これが写真機よ! 是非、手にとってみて頂戴な!」

「あ、ありがとうございます! ソレでは失礼して……」


 コーメェをヨイショとお腹の辺りにくっ付けて、両手で慎重に写真機を持ち上げます。コーメェも興味津々の様子で、私の手の中にある四角い物体を見上げるように眺めています。


「あっそうそう! 高価なものだから落としたら駄目よー? うふふ!」

「ひええ! りょ、了解です!」


 ビクビクしながら写真機を持ち上げた私に対して、エスメラルドさんが冗談めかした口調で心臓に悪い事を仰います。ひぃ恐ろしい!


 そ、そういえば今までこれは確実に入手せねば! と勢いだけで息巻いて邁進してきましたが……この写真機のお値段はどれ位なんでしょうか。凄くヤバイランクのお値段なのでは。


 私って今現在、超絶貧乏暮らしを脱したばかりで、節約生活真っ最中なんですよね。


 お菓子の詰め合わせで1000ゴールド使ったのは無かった事にして頂けると。

 あれは必要経費だったのです。そう、そうなんです。


 それにしても、エスメラルドさんが高価な物って念押ししてくる位だから、安く見積もっても10000ゴールドは確実に超えていそうなんですけど。これは参った。でも欲しいのだ。


 値段の事を考えつつも、両手の中に納まっている四角い箱改め写真機を丁寧に確認します。


 ふむふむ、見た目は本当にダタの飾り気のない何か良く判らない材質の箱に、丸いレンズが付いているというイメージです。あっでも後ろ側に覗く場所もちゃんと付いてますね!


 両手で写真機を持ち上げて……覗く所と思しき場所へ顔を近づけて、エスメラルドさんを被写体として写す感じで目を近づけてどう見えるのか確認。


 ほほーぅなるほど……覗いてみると判るのですが、視界に映った景色の中心辺りに『+』マークが付いていて、多分このマークを基準に撮影する感じになってますね。


 写真機を上に向けたり下に向けたりして、色々と店内の品物を眺めてみます。


 うむうむ、余り重さもないし使いやすい感じ。

 撮影する場合は何処を操作するんだろう?

 あと写したものを現像する手段も知りたいな!


 落とすと危ないので一旦写真機をカウンター上へと戻し、一息ついた私は疑問に思った事をエスメラルドさんに問いかけてみます。


「写真撮影する場合は、どこをどうやって操作するんでしょうか? あと写したものを現像する手段とかは……」

「写真を撮る時は、この上に付いている出っ張りをぐっと押し込めば大丈夫よ!」

「ああ、この黒い石みたいな所ですか?」

「そうそう、この丸くて黒い所!」


 箱の上部に付いている黒くて丸い碁石っぽい物体を指差しながら、笑顔でエスメラルドさんが説明して下さいます。撮影した写真は中に投入する写真専用の魔石に書き込まれて保存されると言う事でした。


 先ほど蓋を開放していた部分に、魔石を填め込む部分があるとか。


 写真機を裏返して背中の部分を確認してみます。ココが開く様になってるんだ。


 ん? あれ、これどうやって動かすんだろう?


「えーっと、んー? あれぇ!?」

「あららちょっと貸して頂戴ね! えっとねぇココをーこうやってからぁー、こうしてこうよ!」

「おお……! 開いた!」


 ワチャワャと写真機を弄っていた私でも判るように、エスメラルドさんが動かす角度を調整しつつ非常に見やすい感じで、写真機背面の蓋を開いてくれました。


 摘みを捻ってスライドさせて……押し込んでカチっと音が鳴ったら開く、と。

 なるほど把握しました!


 エスメラルドさんから再度写真機を受け取った私は、先ほど見せてもらった方法で数回背面の蓋を開けたり締めたりして確認作業を行います。うむ、ばっちりかな!


「写真を現像する場合は、専用の現像紙に焼き付けるの。ウチにも少しあるから良かったら写真機と一緒にどうぞ!」

「は、はい判りました! 焼き付ける方法はどんな風にやれば?」

「この写真機の横にあるここ、この部分で写っている写真が確認出来るの」

「ふむふむ……あっ小さい画像が出てますね!」


 エスメラルドさんの説明に従って、写真機の左側を見てみると……何やら小さいガラス板の様な部分に何処かの風景が表示されていました。

 これって、今この写真機の中に入っている魔石に保存されてる写真のデータが映し出されてたりするのかな? 見た目は普通なのにデジカメっぽい動作だ。

 

「あとはー、現像したいものをココで選んで。そうしたら……この背面部分に現像紙を載せて、ここの白い部分をグイっと押せば転写終了よ!」

「ここですね! なるほど!」


 シャッターボタンの黒い出っ張りの横に、一回り小さい白いでっぱりが付いています。

 これが現像用ボタンなのか! 多機能だなーこの写真機!?


 あとは……この写真機のお値段を聞く、という最後の質問が残っております。

 さあ覚悟していこうか私よ。


「えーと、そ、それでお値段の方は如何程でしょうか……!」

「中古品だし、本体にオマケで幾つか写真用魔石も付けて……そうねぇピッタリ50000ゴールドって所かしら?」


 うぼぁ!? エスメラルドさんの口から発せられた驚愕に値する金額に、思わず写真機を取り落としそうになりましたよ!? あ、あっぶない!


「そ、そんなにするんですか!?」

「これでも中古だからお買い得なのよー?」


 私のお財布内容量では到達した事のない、物凄い金額を提示され愕然としている私に、追い討ちをかけるように放たれた一言。これでも安いのかぁ!


 と言う事は、知り合いというコネを使って購入している私と違って、あの例の日記を書いていらっしゃったウルフェンさんはもっと高価な写真機を購入した可能性が高いと言う事……!


 皆さんどれだけお金持ちなんだ! 格差社会が憎い!


 私の手の中でじっと購入される事を待っている写真機君。

 ごめんね君は悪く無いんだ私の懐具合が全ての元凶なんだ。


 幾ら唸っていても無い物は無い、そんな事はわかりきったことです。

 今回は諦めるしかなさそうですね。およよよよ!


 写真機をカウンターへとそっと戻した私は、コーメェを抱きかかえて顔を埋めるのでありました。うう、慰めて頂戴コーメェ……柔らか温かい。

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