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209 小指 被害と 聞き耳強化

小指の無事を祈る。

撮影へと邁進。

 おぼろげながら聞こえる意識を覚醒させてくる音色、水の底から聞こえてくる様な、そんな音が徐々に存在感を増しながら耳に流れ込んでくる感覚。


 つまり、聞きなれた枕元設置の目覚まし時計から発生する、私を叩き起こさんとする容赦なき連続アラーム音で、ゆっくりと意識を覚醒させた私。


 重い瞼をこじ開けるように一旦両目を開いて、アラーム停止のボタンに対して何時も通り押し付けるようなチョップを命中させ……そのままベッドの上で毎度お馴染みボケーっと目を瞑って欠伸をかみ殺しつつダラーっと数分過ごします。


 あーうー……オカシイ何故だ、早く寝たわりには微妙に眠気が取れません。


 と言っても、起きた瞬間に気分爽快一日元気な眠気スッキリ0%! の、全身から力がみなぎってくるような気持ちよく清々しい朝を迎えた事なんて、産まれて今まで数えるほどしか経験した事はありませんが。


 今も昔も基本的にダラダラしてたい、そんな私。

 大変な事はお任せします。


 どうしてもと言うのなら手伝う事も可能ですが、事前登録をお願いします。

 事前登録特典は無いですが。


 等と、特に朝と言う今の時刻とは余り関係の無い事を考えつつ。


 今日も一日学校生活を頑張ってVRゲームも頑張るぞ! と気合を入れて勢いをつけてベッドから出た際。


 ベッドの脇の床に転がしっぱなしで放置していたHMDを蹴り飛ばす感じで、スコーン! と左足の小指をピンポイントにぶつけた事によって発生した痛みで、強制的に眠気から意識が覚醒するという。


 非常に嬉しくない状況に陥ります。にゅふぅいたぁい!?


 くそぅ一体誰がこんな罠をイタタ……0.1%位の確率で、今もお家に住んでいるかも知れない妖精さんがココにおいた可能性が……いや違う理解したぞイッタタタ、そうか愚か者は私一人だったという事か。欝だ朝ご飯食べたいイタイ。


 いや、むしろ無意識の蹴りを食らわせた対象が、余り重量の無いHMD相手で良かった、と胸を撫で下ろす場面だったりする所でしょうかアイタタ。


 開きかけのドアとか机の脚とかじゃなくて良かったね。多分ね。

 その手の相手にシュート! してしまうと骨がヤバイかも知れませんし。カルシウムは大事ですよイタイ。


 まったく予期せぬタイミングで、木曜日の朝から『今日も一日頑張ろう!』の精神が半ば圧し折れるアクシデントに見舞われイッテテ……誰だこんな所にHMD放置したのは! 私だイタイヨ! という内容の自問自答。


 非建設的意見過ぎて、近隣の建物が逆に崩れそうウウウ。そういう意味じゃないか。


 おっとそうだ、一応壊れていないかHMDの状況を確認せねばヌゥゥ。


 頑丈に作られているという話ですので、私の貧弱小指の戦闘力に負けるようなお方ではないと思いますが。これでも精密機器ですからねイタタ。


 何ていう風に朝っぱらから、どうにもこうにも未来構想に置いて建設的な成分が一欠けらも無い思考を大量に垂れ流しながら、今もジンジンと痛む左足の小指を両手で押さえて痛みに耐えつつ、片足でピョンピョン跳躍しつつその場でグルグルスピンするという芸当。


 私にしては、無駄に難易度の高いアクロバットテクニックを披露。

 何はともあれ患部がジーンと痛い。女の子ですから涙が出ちゃう。


 ふと、先ほど欠伸した時に出た涙と、小指の痛みで出た涙は同じ成分なのだろうか感慨深い……という非常に詩的な疑問(?)を考えつつ。


 廊下を歩ける程度に回復した私は、朝ごはんを胃袋へ投入する為にキッチンの方へと進行する算段をつけます。ご飯を食べれば万事解決する筈。いまだ微妙に痛いけど。小指鍛えたい。


 おうふ、流石にこの時期の朝方の廊下をパジャマのみで移動すると肌寒い! 適当に何か羽織ろうかな。


 昨晩HMDで調べ物をしていた際に羽織っていた上着を羽織りまして、ひんやりとした空気漂う廊下へと旅立ちます。やっぱり寒い。


 キッチンの方から物音がするので、ほぼ確定でお父さんが今現在リアルタイムで、その手腕を用いて素晴らしくて美味しい朝ごはん物体を華麗に捻出している所でしょうか。有り体に言うと朝食作成中。


 おはようの挨拶を口にしつつキッチンへ繋がる扉を開きます。


 私の予想通り、エプロンを装着した完全武装のお父さんが、いい匂いのする卵焼きをお皿へと移し変えている現場に直面しました。


「お早う花乃枝! そろそろ起こしに行こうかと思ってた所だよ。ほら、朝御飯出来てるから、食べたら学校に行く準備するんだぞ」

「ぅあーぃ」


 小指くんが発する痛みが治まってきた私の脳内に、再度大量にはびこり始めた眠気によって齎された、肺の奥から湧き出てきた欠伸をかみ殺しながら返事をした私。むにゃむにゃふわぁ。


 ホンノリと目じりに浮き出てきた欠伸によって発生した涙を擦って落とし、何時も座っている席に腰を下ろした私は、美味しい食事に感謝を捧げつつ朝食を頂くのでありました。美味い美味すぎるもぐもぐ。


 食事の準備を終えたお父さんが、その両手にお味噌汁のお椀を二つ持ってコンロの前からテーブルの方へと移動、私の前へとそのお椀を置いて身につけていたエプロンを外しもぐもぐ、私の対面へと腰を落ち着けて一緒に食事を開始しますもぐごくん。


 既に学校のお昼用であろうと思われる、布で包まれたお弁当箱がテーブルの上、私の左正面あたりに鎮座なさっています。


 というか、私が寝た後に帰宅してきたとしてですねもぐもぐ。


 ……このタイミングでお食事その他が完備されているって。

 お父さん一体何時頃帰宅して、何時頃起き出して準備してたんだろう?


 ちゃんと寝ないと身体に悪いんじゃないの大丈夫? という感じで安否が気になったので。


 美味しくお味噌汁を頂きつつじゅるり、行儀悪くお父さんに聞いてみた所……落ち着いて食べなさいという軽いお叱りのお言葉の後、今日の出勤が午後からだから大丈夫だよというお返事がもぐもぐ。


 ほほぅ、出勤時間が随分とフレキシブルな職場なんですね?


 そもそも、お父さんが出先でお引越しと言うか住む所を変更する際に、お父さんの勤め先自体が変わっていたのか、それとも勤める場所が激しく移動していただけというか、出向と言う形でのお仕事で勤め先としては一筋ウン年勤続! とかだったのか。もぐもぐ!


 その辺りを詳しく知らないですね私。気にするような事でも無いのかな。


 取り合えず一応の疑問解消となりましたので、その話題はココまでにして。


 食事に集中する事にしましたもぐもぐ。

 といっても私の胃袋はVR世界と違って容量が少ないですので、あっという間にご馳走様状態になるんですがごっくん。


 そこの所はお父さんも心得たもので、私の食器類だけ小ぶりな物ばかりになっております。

 見た目も可愛くて好き。


 という事で美味しかったご馳走様! ふぃー!

 おっと、食器洗いは私が受け持ちましょうオトウサマ。


 私がチマチマ食事をしている間に、朝食を素早く胃袋へと収納し終わったお父さん。

 ハムスターが如くモグモグしていた私の食事風景を笑顔で眺めていました。


 ちゃんと良く噛んで食べてるからね!?

 そんなに監視しなくても大丈夫だよ!? 


 ……それにしても、良く噛んで食べてるのに身長伸びないよね。

 遺伝なのかな。お父さん身長高いんだけどな? お母さん要素かな。


 お父さんから使い終わった食器を受け取って流しへと運びながら、ふとそんな事を考えます。

 VR世界で小さい小さい言われたからかな。


 敵との戦闘があるファンタジーな世界なら、的が小さいという事は有利な条件だと思うし、ソコまで気にしないでも良いのかな。逆に重さが無いとパワーが出ないという欠点もありそうですが、その辺りはファンタジーなアレでソレな効果のあるアイテムとかで何とかしたい所。むしろ身長が伸びる装備品が合ったら全て解決。夢の装備です。


 私の背後で携帯ネット電子端末を取り出し、何かの情報を確認し始めたお父さんを視界の端でチラっと確認しつつ、食器を洗浄し終えた私は手を拭いて麦茶のボトルを冷蔵庫から取り出し、お父さんと私の分の二つのコップを一緒に持ってテーブルへと戻ります。


 朝のお父さん相手なら珈琲とかの方が視覚的にも似合うんですが、面倒なので市販の麦茶で。


 申し訳無いですが、面倒ですからね。はっはっは。


 麦茶で満たされたコップを眺めつつ、リアさんの所で飲んだ見た目は紅茶な玄米茶っぽい飲み物は美味しかったなー、なんて事をふと思ったり。


 あのお茶現実でも売ってないのかな。

 データで再現されたお茶だから実物で再現は難しいのかも?

 出来たとしても化学実験みたいな作り方になりそうですね。


 お父さんの正面にコトリとコップを置いて、自分用のコップを一気に傾けて麦茶を飲み干します。ごくごく。うむ、これで食料と水分共に万全よ!


 ソレでは早速、と学校へ行く準備を整え……私が家を出る際に玄関までお見送りに来てくれたお父さんも、今から仕事まで少し横になるよ、と言う事で。うん、ちゃんと休んでね?


 それでは木曜日の学校生活へ向けてお外へ出発です。

まぁ……移動中も特に事件等は発生せずに普段通りで。


 ちょっと眠いくらいで、何の問題も無く学校へと到着。

 ナカヤさんへ何時も通りのご挨拶を投げかけまして、さあ木曜日の学校生活開始のチャイムが鳴りましたよ。


 えっ学校での活動内容ですか? 特にいう事は無いですねウン。

 悲しいやら安心やらの、学業生活通常運行です。珍しくもない。


 頻繁にイベントが起こるのはVRゲーム内だけですね本当に。

 休み時間に読書が捗ります。


 そして何時もの男子クラスメート達の会話から、第二期のプレイヤーさんがゲーム内に出現するタイミングは金曜日の午後6時だと言う事が判明しました。


 ほほぅ……歓迎イベントが日曜日の夕方だから、第二期プレイヤーさん達はまったく準備も何も出来ずにイベントが開始、という訳じゃないんですね。


 金曜夕方にプレイ開始、と言う事は……つまりゲーム内で大体4日間の自由時間があると言うことですか。


 それだけあれば、自分に合ったプレイスタイルを確立する事も可能でしょうね。


 私と違って、皆さんゲーム慣れしていそうな雰囲気がしますし。

 というか、今更ながら男子クラスメートの会話から連想で、色々と深読みした影響で物凄い不安になってきましてですね?


 最悪の状況を脳内で想像し、両手で保持している読み途中の本が、プルプルとゼリーの上に乗っているクリームの上に乗っているサクランボの様に震えてきたのですが。手の震えがとまらねぇ! みたいな。嫌な光景です。


 ええ……そう、ゲーム内で彼らに運悪く出会ってしまったらどうしようかな!? という問題がですね! もっと人相を凶悪に変更したりしておけば良かったかななんて!? 微妙に錯乱。


 例のアバター変更の権利を行使して弄ってしまっても良いかも知れませんが、何だか特定の数値がリセットされてしまいますよ! という、物凄い怪しい記載文章が添付されていたのを覚えているんですよね。


 心理パラメータとやらが元に戻ってしまうとか何とか。


 今まで積み重ねてきたものが消えてしまう! というのは少々勿体無いという気持ちが大きいですし、色々不安要素もあります。


 不安はありますが、アバターを弄れる権利は使わないでおきましょうかね。

 生兵法はナントカカントカです。意味的に間違ってそうですけど、まぁそんな感じで一つ。


 普段からポンチョのフードを活用していこう、と心の奥底で強い決意を新たにし、気合で本を持つ手の振動を押さえ込んだ私は、引き続き男子クラスメート達の会話からVRゲームに関する情報を収集する作業続けるのでありました。


 彼らが言うには、二つあるイベントの内の一つ……冒険系のイベント内容は恐らく『特殊サーバー加速時間を使用しての長期滞在系イベント』でほぼ確定だろうという事でした。


 一体何処からどういう情報を吟味して、その様な結論へと到ったのか。

 先が気になったので、視線は本へと固定しつつ聞き耳を強化します。


 そして話の続きで判明したのですが、男子クラスメート達がイベントで加速時間を使用するだろう、という考えに到ったのは、ゲーム内で体感時間を加速させるという手法を利用する際に、政府からの認可が必要である、と言う点が予想の決め手になった感じのようでした。


 あー、あの公式ページにドドンと記載されてた認可を受けてます! という項目の存在が推理材料なんですね。なるほどなるほど。


 例の文字が沢山書いてある所に飛ばされるリンクを確認していくと、ちゃんと政府から認可を受けた証である、加速時間使用の認可証番号とライセンス登録IDが記載されていると言う事でした。


 うへぇーあの文字洪水と言っても過言ではない場所を、しっかりと確認しつつ全部読んだ人がいるのか。物好きですね本当。


 ふわもこファームでは加速? とやらを体験した事は有りませんし、普段のゲームプレイでは、現実で1日=ゲーム内で2日! という感じの縮尺で細々とプレイ活動しておりますが。

 色々なゲーム内容に詳しそうな彼らが、期待と共に言及する程のモノである『特殊サーバー加速時間』というVRゲームプレイ環境、個人的な感想ですが非常に楽しみです。


 その後、VRMMOにピストルやライフルと言った銃火器系は存在したりしないのかな、と言うなにやら物騒な話題へと移行しだした男子クラスメートの会話でしたが、次の授業が始まる時間になったのでその話題は途中で中断される事となりました。


 あのVRMMOゲーム世界のイメージだと、銃火器っていっても先端から魔法が飛び出すとかのイメージになっちゃいますね。


 構えて引き金を稼働させると、銃口から火の玉が飛び出すとかそんな感じ。

 それはそれで強そうだけど。


 銃火器じゃなくて魔法じゃ駄目なのでしょうかね。

 男の子にとっては、銃の形状であると言う所が拘りポインツなのかもしれません。


 その後、お昼ご飯をナカヤさんと会話しつつ美味しく食べながら、その際に『なんだか今日も眠たそうだねぇ』何ていうお言葉をお食事中にナカヤさんから頂いてしまいました。


 多分ゲーム疲れでしょうかね。

 そこまで長時間プレイして無いんだけどな?


 身体の疲れと脳の疲れはまた違うといった感じなのか。

 そんな事を言ってしまうと、普段から思考によって脳を活発に動かしてない脳の運動不足なんじゃない? というイメージが出てきてしまいますけど。


 いやまぁ、普段から色々愚か者思考が多いのは否定できませんが。


 あと、やる事を半分以上後回しにしすぎて、そのまま存在を忘れてる場合が多いというか。ある程度自覚はあるんですけれど、テキパキと何でもこなせるタイプじゃないのですよ私という存在は。


 この意見には脳内予定先生も腕組みで納得の表情。ご清聴感謝します。


 ああ、お姉さん肌でテキパキ動ける理想のお姉さん像である、ナカヤさんを見習いたい。

 まぁ同じ年齢なんですけどね。イメージ優先で。


 午後の授業も滞りなく終了、帰りの挨拶も簡単に済ませた私は、寄り道などせずに真面目一直線に自宅へと帰ります。


 バッサバサと制服を脱ぎ捨てて部屋着へとメタモルフォーゼ完了!

 さぁさぁVRゲームの開始です!


 取り合えず写真、写真の撮り方を確認するのだ!

 コレだけは忘れてはいけない!

※ お知らせ ※


またもやスミマセン、暫くの間ですが更新が不安定になるかもしれませんです。

今回はユルイ感じの不安定指数です(謎


更新が無かった場合『ああ、何か忙しかったんだな』と生暖かい目で見ていただければ(何

睡眠時間を削れば行けそうなのですが、中々キツイ可能性が(汗


ご容赦いただけると幸いです、ではでは!


※ 追記 ※


見つけた誤字を修正しました。

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