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200 採取 の 知識 と お兄さん再び

他のアップデート内容把握はいつになるのか。

 何かの模様っぽい綺麗な印刷の施された袋に入れられた、今日の稼ぎのほぼ半分を消費して購入したお菓子の詰め合わせをアイテムボックスへと大事に収納します。


 現実世界のお金で換算すると、一体如何程な金額になるのか少々気になる所ですが。


 そもそも物の価値と言うか物価と言うか。

 お菓子に使う原材料のコストがまるっきり違う可能性が高いですので、一概にこの材料だからこれ位の金額だろう! とは決め付けられませんよね。


 例えばお肉とか毛皮なんて、町の外に出て何時もお世話になっているラビ君辺りと熱く戦闘を繰り広げてくれば、基本無料で手に入る位の入手難易度な訳ですから。


 ある程度魔物と戦える人ならば、食べるには困らない世界ですね。


 寝る場所は必要だとは思いますけれど。

 その辺りはやっぱり、世界観に則って非常にファンタジーな印象を受けます。


 この世界の食事事情について個人的見解を脳内で捏ね繰り回しつつ、豪華な店構えのこの店舗正面から噴水方面へと移動を開始する事にしました。

 時間帯が時間帯だからか、この中央通り周辺にはプレイヤーと思われる人達がひしめき合っていますね。


 移動中に他の方と衝突しないよう気をつけて行動しませんと。


 腰の辺りにくっ付いていたメェを両手で掴んで抱えなおし、人の流れに乗る感じで歩きます。程よく流れが出来ている状況ですので、ゆっくりと適当に歩を進めていれば問題無さそうですね。


 相変わらず露店がみっしりとひしめき合っている噴水周りを眺めつつ、座れそうな隙間を見つけた私はそこによいしょと腰を落ち着ける事にしました。


 ほっと一息ついて周りを見ると、皆さん思い思いに会話していたりメニューを開いて何かを確認していたりと、とても賑やかな感じです。


 これなら、私がココでメニューを開いて色々調べ物をしていても目立たないでしょうか。


 膝の上にメェを置いて、寝てても良いから大人しく待っててねーと念の為メェに告げまして。


 それでは早速とメニューからコミュニティの欄を開いて、情報収集で毎度お馴染みな公式掲示板を確認する事にしました。


 えーっと検索ワードはどうしようかな。

 とりあえず『採取』とかで大丈夫かな?


 先日のアップデートで何か変わったのであれば、その事について皆さん話し合っていたりするでしょうし。さくっと検索ワードで引っ掛かるのでは。


 メニュー板に表示されたキーをタッチ。

 先ほど思いついた『採取』という単語で検索をかけまして。

 座って待つ事……大体数十秒ほどでしょうか。


 予想通りなのですが、そりゃ物凄い量の検索結果が表示されました。

 えーっと、ここからーこれでー、ここをこうしてと。


 実は最近気が付いたのですが……検索ワードを入れるフォームの横に有る検索オプション設定ボタンで、更新時間が早い順に並び替える! という操作が出来るんですよね。


 コレを押せば、今一番熱く『採取』のワードで語り合っているスレッドが検索上部に集まるはず!


 並べ替えのボタンを押して……と。

 『現在読み込み中』と言う文章と%表示がジリジリ増えていくのを待つ事一分位でしょうか。


 並び替えられた検索結果の一番上を選択して、内容を確認してみます。


 これはー……アップデート内容について、皆さんで色々と情報を提供しあっているスレッドの書き込みみたいですね。これは私にとっても有用な物ではないでしょうか!


 余り長時間掲示板を読んでいる暇もありませんので、採取についてだけ確認できるよう気をつけて読み進める事にします。


 この書き込まれている文章量ですと、全部隅から隅まで確認していくと確実に物凄い時間が掛かりますでしょうし。そういう時間が必要な作業は週末に行うのです。


 という事で。

 『採取』のワードで引っ掛かった場所を基点に、上の方からざっと流す感じで目を通したのですが。


 ……既に色々と検証していたり、考察を繰り広げていたりする人ばかりで、後から来た私には少々事情が飲み込めない状態になっておりまして。


 うーん? そうだ、もっと遡って読んでみよう。


 さらにそのスレッドの上の方……むしろ一番最初の部分から読んでみますと、ですね。


 採取ポイントのランダム化? とか。

 採取素材の再配置時間の短縮と、ばらつき? とか。


 そんな不思議単語な内容の書き込みと……ソレについてアレがアレだったー! とか、こっちはソレでこうなってたー! 何ていう実体験に基づく何かしらのデータが細かく表示されておりまして。


 そりゃもう良く判りません。ナニコレ。


 皆さん有能すぎやしませんでしょうかね?

 その才能を分けて欲しいんですけど。


 そんな感じの頭の天辺に『?』マークが浮かんでいる状態でしたが、頑張ってある程度読み進めたのですけれど……結局専門用語っぽいものが多くて理解出来ず、また頭までもどって再度読む羽目になりました。


 メモ帳まで取り出して簡単に単語や内容を書き記しながら読み込みましたよ。

 何だか学校で教科書とノートを手にお勉強している気分になってきました。


 いやまぁ、お勉強自体は好きでも嫌いでもないので大丈夫ですけれどもね?


 そうしてアップデート内容についてお勉強する事、大体数十分程度でしょうか。


 余分な所も読んでしまっているので結構掛かってしまいましたね。

 楽しかったから良いんですけれど。


 そうして確認した、採取系の材料に関するアップデート内容。


 まず、公式で発表された採取に関するアップデート内容の告知文章と言うのが『採取素材が出現する範囲の拡大および分散化 素材が再配置されるまでの待ち時間短縮』という物だったらしいのです。


 そして、色々と調べて下さったプレイヤーさんの情報から確認できたのが……つまり簡単に言ってしまいますと、アップデート前までは素材アイテムは採取されても一日で再配置されるという状態だったので。


 そう……例えば前はゲーム内時間の朝方に採取作業へお出掛けすれば、ざくざく沢山素材が取れて最高! という状態だったのですよね。


 でも今は、素材が出現する場所が分散して広範囲になり、しかも素材が再度配置されるタイミングも早ければ一時間程度だったり数時間かかったり! と大分ランダム性が高くなったという。


 これはアレですね。

 私のように町に引き篭もって定点で活動している人は、採取作業が大変になったと言うことでしょうか。


 冒険者は冒険して下さいね! という公式からのお達しと言う事ですかね。

 VR世界も世知辛い状況になったものです。ぬぐぐぐ。


 でも全体の採取量としては、従来の固定された時間に素材が再配置されていた頃と比べて2倍以上に増えた! という検証結果が出ているようなので、悪い事ばかりでもないと言う感じで。


 むしろ遠出を頻繁にするプレイヤーさんや、ある程度移動しながら魔物と戦闘したりする感じのプレイヤーさんにとっては素晴らしいアップデート内容だと言う話で。うんそうですよね。


 あれかな、大人数でもって場所を独占して毎日そこで根こそぎ採取! みたいな感じのプレイが出来ないように変更をかけたのかな。


 必要な情報を得た私は、表示させていた掲示板とメニューを閉じて一息つきまして。

 ちょっと精神的に疲労したので、アイテムボックスから水筒を取り出して水を一杯飲んで、メェの背中に顔を突っ込んで休憩しますもふもふ。


 あー癒される……やっぱり長時間集中して調べ物をすると疲れるねもふもふ。


 そして、メェの毛に顔を突っ込んでムフゥムフゥと呼吸しつつ、脳内で掲示板で入手した情報を総括して得られた答えは。


 あれです、現在のゲーム内時刻は大体朝の9時前位だと思いますけれど……今から採取活動を開始しても、前と同じ数のポーション材料を手に入れるには、大分町の周囲を歩き回って時間をかけないと駄目です! って事かな。


 生産スキル一本で生活していこうとしてる人にとっては、結構ヘビーな状況なのではなかろうかと思いますけれど。でもまぁ、私でもボコボコ叩いたら倒せるラビ君位の敵しか居ない場所ならば、生産特化のプレイヤーさんでも大丈夫なのかな。


 あれ、と言う事は!?

 ここでノンビリとメェに顔面をめり込ませてグリグリしている場合じゃ、ないのではありませんこと!?


 思わずお嬢様語尾になっちゃう位には、お時間が、お危険で、おデンジャラス!?


 そうと決まれば迅速に採取作業を開始する事にしましょう!

 何時も通り、北門を出た辺りを探索して採取作業をするのは決定項目として、移動範囲を普段より拡大して作業する事にしましょう。


 あの辺りならば、どうせラビ君とかラビ君とかしか居ないですし。


 不運に見舞われて例の巨大なスッパァイダァ君に遭遇してしまったとしても、今の私ならばきっと例の◎マークが見えるはず!


 転ばせている間に全力疾走で駆け抜け逃亡するのだ。

 それにメェにも採取を手伝ってもらえば速度も二倍に向上する筈!


 案外上手い具合に、その小さい口に採取アイテムを咥えて持ってきてくれるんだよね、メェってば。

 こんな絵本の中にいそうな、丸い毛の生き物なのにスペック高いよね。


 勢いをつけてメェの背中から顔を引っこ抜いて、それでは早速! と移動を開始しようとしたそのタイミングで……噴水周囲の露店から私の鼻腔に芳しい食べ物の香りが飛び込んできました。


 そ、そうだ危ない危ない! 食料確保しなきゃ! おかえり脳内予定先生!

 遠出していたせいで、私の生命線たる美味しい食べ物が尽きていたんでしたよ!


 自分の位置を確認する為に周囲をぐるりと見回して、毎度お馴染みである例の場所に視線をめぐらせますと……いやーやっぱりいましたよ串焼きお兄さん。


 ゲームをお仕事にして暮らしているのか、という疑問が大分大きいサイズで湧いてくる程度には遭遇率が高いのですけれど……いや、人様のリアル事情に首を突っ込むのは余り良くないですよね!


 私だって唐突にリアルについてのアレやコレなんて聞かれたら、その場で岩の様に硬直すること請け合いですし。


 逃亡する可能性すらあります。いやマジです。


 双方の心の平穏の為にも、この疑問に関しては胸の奥にしまっておく事に。


 私の心の平穏に対する比率が大分大きいとは思いますけど。


 あれだけ知り合いの多い串焼きお兄さんであるならば、きっと現実の方でもそれなりに大人気なのではと思いますし。うん大分勝手な想像ですけれどもね。


 改めてメェを抱えなおして噴水の縁から立ち上がり、周囲をアチコチへと移動している他の方にぶつからない様気をつけながら、お兄さんの露店へと歩み寄りつつ周囲を見回してみました。


 ふむぅ、どうやらモヒカーンさん達3人は近くに居ないみたいですね。ご挨拶したかったな。


 今日も魔素迷宮の方へお出掛けしていらっしゃるのでしょうか。

 3人分の入場権利で沢山頑張れば、山盛りで素材も手に入るでしょうね。


 前回見たお三方の戦闘シーンを脳内で思い浮かべつつ、今日は何を売っているのかなーと、露店の脇のほうからお兄さんの手元を覗いてみます。


 おおお? ……懐かしの串焼きを焼いているではありませんか!

 まさに串焼きお兄さんのルーツですね。

 勝手にそう思い込んでるのは私だけだと思いますけどね!


 お昼にはまだ少々早い時間だからなのか、お客さんが全然見当たらない串焼きお兄さんの露店前へと、すり足で素早く滑り込むように移動し、何時も通り尻尾にメェを退避させると注文する事にします。


「あのー串焼きをー……えーっと10本下さい!」

「あいよ、串焼き10本毎度あり! 今日もプレイ頑張ってるかい?」

「えと、これから頑張る所です!」


 まだ頑張ってないよね……と数秒考えた後に、現実世界で知り合いに言ったら『それ絶対頑張らないヤツだよね?』といわれそうな、ちょっと胡散臭い言葉を返しておきました。


 いやでも本当にこれから頑張る所ですし。

 嘘はついていませんよね。うん大丈夫。


 私の注文を聞いたお兄さんが、程よく熱を通した状態でアイテムボックスに収納されていたと思われる串焼きをメニューから手馴れた感じで取り出し、その後それを軽く網の上でジュゥジュゥっと炙ってから……大きめの紙のお皿に二つ分、5本づつに分けて私の正面にドドンと差し出してくださいました。


 んー! いい匂いでお腹の虫が一斉蜂起しそうな雰囲気を感じる。

 つまりお腹が音楽を奏でそう。


 それにしても、内部の時間経過が停止するアイテムボックスがあれば、沢山調理しておいても無駄になる可能性はある意味でゼロですね。

 腐らないし冷めないから、注文を受けてから焼かなくてもアツアツの状態で提供できるし、そりゃもう全く問題ないもんね。


 余ったとしても次回販売用にしたり自分で食べればいいし。

 ほんと便利だなーアイテムボックス。

 あと幾らでも食事が出来る無限胃袋もね。


 何時も通り、例の清算メニューからお金を支払った私は、女神様どうもありがとうございます……と心の中で何度目か判らない感謝の祈りを捧げつつ、両手で温かいお皿を持ち上げて、いい匂いを再度楽しんだ後にボックス収納を宣言してしっかりと収納します。


 この串焼き結構食べやすいから好きなんですよね。

 味付けもシンプルですし。お肉も柔らかい。


 2枚目のお皿も持ち上げて収納しようとして……一本すぐに食べていこうかな、と思って串焼きを一本左手で摘んで持ち上げた後、残り4本をしまいこみました。うむ、美味しそうだね。


 他にお客様が来る可能性がありますし、ささっと露店前から移動する事にしましょう。

 とはいっても、串焼き一本だけですので。


 軽く周囲を見回して……何時もはモヒカーンさん達がワイワイしている場所である、露店の横スペースで食べて行ってしまう事にします。ゴミ箱も常備されてるから串を捨てるときも安心だしね。


 久しぶりに一番ボール君を呼び出して空中に設置し、腰を下ろします。


 それでは頂きますもぐもぐ。

 うむ、やっぱりシンプルな塩胡椒の味付けで食べやすいですね。


 お肉一つ一つはバーベキューの時に焼く場合程度のサイズがあるんですが、ほいほいと私のVR胃袋の中に滑り込んでいきますよ。


 おっとメェも食べるかね? どうぞどうぞ。


 一番ボール君へ腰を下ろした時に、わきの下から腰の部分を回って私の膝の上に移動してきていたメェの顔の前に、残った串焼き半分を差し出します。


 その小さい口で器用にお肉を食べていくメェ。

 ……食べてるというより吸引している様な雰囲気まであります。


 飲むように食べるとはこの事か。

 ラビの肉は飲み物。いやそれはどうだろうか。


 ラビの生肉には余り良い反応を示さなかったメェでしたが、串焼きお兄さんのお料理はバッチリ好みに合致していたようです。

 10秒足らずで残りの串焼きをその小さい身体に納めたメェが、むふぅーと息を吐いて満足そうに目を細めております。


 ナイスな食べっぷりだね相棒。

 これで一本5ゴールドだなんてね。


 食べ終わって残った串を、忘れず露店横に置いてあるゴミ箱に投入。


 私の後に露店に来たお客さんへの対応をしていた串焼きお兄さんを横目で眺め、頑張ってくださいねと心の中で応援をしまして、忘れないよう一番ボール君を収納して露店横から北門のほうへ移動を開始する事にしました。


 メェが何やら、私のお尻の下にある一番ボール君の事が気になっていた様子でしたので、後でじっくり見せてあげる事にしましょうかね。


 同じ丸い形状をしているからシンパシーでも感じたのでしょうか。

 柔らかさ勝負ではメェに軍配が上がると思いますが、置いたら空中に固定されるという特殊能力は、水面を滑ったりガラスに張り付くメェでも再現出来ないでしょうからね。ライバル認定されたかな。


 さあお腹の中もいい具合に満たされましたし、採取作業もしっかりと頑張っていきましょうかね!

 ……でも、なんだろうか、腕の中に居るメェを見ているとですね。


 串焼きお兄さん相手に何か。


 そう、何か思い出さないといけない事が……あったような気がするんですよね。


 食べ物を補給せねば! と言う理由の急カーブを曲がった際に、また助手席のガラスを突き破って飛び出していってしまった脳内予定先生は……まだ御帰還なされていないのです。早く帰ってきて先生。


 一体なにが思いだせないのかを思い出せない私は、手癖でメェをもみもみしつつも首を傾げながら、考え込み始めたとき立ち止まった場所から、再度北門へ移動を開始する事にします。


 こんな人通りの多い所で止まっていたら、通行の邪魔になっちゃうからね。

 まず進めようと思っていた採取作業から遂行していこう。


 そのうち脳内予定先生がご帰還なさって思い出すだろう、うん。

ついに閑話抜き200話到達しました。

さあ次は300話だ(何

一体何時になるやら……頑張ろう。


それでは、宜しければこれからもこの作品を御贔屓にお願い致します(平伏

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