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195 ポコ豆の謎 と フルーツ補充 邪神もいるよ?

 抱えた薬草の束をもっさり……とカウンターの上に積み上げる形で置いた私は、ついでにポコ豆も補充しておこうと思い付き、薬草と一緒に購入する事にしました。


 私が薬草と一緒にポコ豆も購入します! しかも2袋お願いします! という旨をメディカさんに力強く伝えますと、いつも通り『はーい、ちょっと待ってて頂戴ねー』と一言残してカウンター裏の椅子から立ち上がり、奥の部屋へと引っ込んでいきました。


 ……そういえば、ラティアちゃんに一個貰って食べた時以来……つまり初期の頃から、何となくドラッグストア等で販売しているスナック菓子だね! みたいな印象でもって購入し続けているポコ豆ですけれど。


 どうして普通に袋詰めの状態でお店の中に陳列しておいて、お客さんが来たら即座に販売できる状態にはしないのでしょうかね?


 ポコ豆に含まれる豆由来の不思議成分が、付近に陳列された薬品に悪い影響を与えるのだ! とかいう、とても深ーい理由が有ったり無かったりするのかもしれませんが。


 いやまぁ……そんな事言ってると、じゃあその悪い成分が含まれているポコ豆を、普通に大量かつお気軽にもぐもぐ食べている私は大丈夫なのか? という当然の疑問が出てくるんですけど。

 ラティアちゃんも普通にもぐもぐしていましたし。うーん。


 でも、今まで沢山ポコ豆を食べてきた私個人の感想としては、サクサクっとしてポリポリっという感じのナイス口当たりな、程よく塩味が利いている美味しい大き目のお豆なんですけど。


 一度食べると止まらない中毒性が危険とか? いや違うかな。


 私が脳内でポコ豆についての微妙すぎる疑問を考察しつつ、購入待ち時間に明かせてカウンターに積まれている薬草の束を、何となーく一つ摘んではビシリと真っ直ぐ整列させる感じで、綺麗に並べ替えておりますと。


 カウンターの奥から、毎度お馴染みであるポコ豆封入済みの紙袋を持ったメディカさんが、ゆったりとした速度でご帰還なさいました。


 うん、そうだ……こうして目の前にポコ豆製作者ご本人が降臨なさっている居る事ですし。

 ちょっとポコ豆販売事情について、詳しくお伺いしてみる事にしましょうか。


 そこまで重要な案件じゃなのですけどね。

 でもポコ豆愛好家としては、気になるから仕方がない。

 ゴホンと軽く咳払いをしまして、気になったポコ豆の販売方法についてお聞きしてみます。


「ポコ豆って毎回奥に取りに行ってますけれど、お店の中に予め陳列して販売しちゃ駄目です! みたいな理由とかあるんですか?」


 薬草&ポコ豆のお会計を済ませた私は、お金をカウンター下に仕舞いこんでいるメディカさんに向かって、正直言って微妙ーな疑問を投げかけてみました。


 突然私から放たれた豆に対する質問に反応して、カウンター下から顔を上げたメディカさん。

 キョトンとした表情を浮かべた後に、ちょっと困ったような笑みを浮かべて、私の両手に持たれた状態のポコ豆入り紙袋を眺めながら返答して下さいました。


「実は……このポコ豆のお菓子ね、元々は売り物じゃないのよー」

「あれ!? そうなんですか!?」


 『実はそうだったのよ』と右手を頬にあてて、困ったように笑っているメディカさん。

 その辺りの事情を詳しく聞いてみますと。


 ……ポコ豆をお店で販売する事へと到った発端は、メディカさんが自分でお茶菓子として作って摘んでいたポコ豆を見かけた、ご近所に住む小さい子供達からの熱いご要望だというお話でした。スナック菓子に飢えた少年少女の情熱は凄まじいですね。


 しかもお話によるとメディカさん、実は【調薬】スキル以外にも【料理】スキルまで取得していた! しかも高レベルである! という凄いオマケ話まで聞けてしまいました。


 という事で……つまりポコ豆は、危険な発がん性物質を含んでいる、といった風評被害甚だしい理由があったりする訳ではなく。

 いわゆる隠し販売アイテムと言うか、知る人ぞ知るシークレットメニューの様な位置付けである、という事らしい新事実が判明致しました。


 普段は、子供達が1ゴールド硬貨を握り締めて『ポコ豆ちょーだい!』という感じで買いに来るらしいです。元気満々ですね。


 まさに駄菓子屋さんのノリです。こういうの嫌いじゃないです。

 むしろ、こういう雰囲気は凄く好きな感じで。

 ポコ豆伝道師ラティアちゃんに感謝ですね。


 質問により、ポコ豆についての疑問が解消されてスッキリ満足!

 おもわず、ガラスに張り付いて此方を眺めているメェに向かって顔を向け、力強く頷いてしまうくらいには。


 私の方を見て、ガラスにゴシゴシとその顔を擦る感じで数度頷き返してくれるメェ。

 ……うんうん、判ってくれるかね相棒よ。豆は偉大だったよ。


 では早速一つ、とポコ豆を口に放り込みもぐもぐ、購入し終えた薬草と一緒にもぐもぐ、残ったポコ豆もアイテムボックスへと収納しますもぐもぐ。


 うむ! これで何とか明日以降もこの世界で生きていけるかな?


 では時間も押していますので、コレにて失礼させていただきましょう。長居は禁物ですからね!


 あっそうだ、平日はゲームの長時間プレイが出来ない可能性を考慮して、暫くは訪れるタイミングが不定期になるかもしれません、という感じのお話を別れ際にメディカさんへ伝えておきます。


 『判ったわー それじゃまたよろしくね!』というメディカさんからのお言葉に、手を振って返答を送りまして……それではと、扉のベルを鳴らしつつ店の外へと出ます。


 怪しい毛玉宜しく、ガラス窓に器用にくっ付いていたメェ。

 スポン! という音がしそうな雰囲気で吸着させていた身体を引き剥がし、華麗に……とは行きませんがその柔らかい毛を利用して、モヨンモヨン! と石畳で跳ねつつ着地。


 シャカシャカと移動しつつ飛び跳ね、私の両腕の中へ的確に突っ込んできました。

 うむぅ中々の命中率! とりあえずキャッチ&ホールドで。柔らかい。


 ガラス越しに見えるメディカさんが、メェの動きを見て口元に右手を当ててニコニコしておられます。変な動きですよねこの子。


 再度ガラス越しにメディカさんへ、ペコリと頭を下げまして。


 さてさて! 折角町に戻ってきた事ですし、ログアウトする前にカイムさんやラティアちゃんと一目会えないかな? と公園へ少しだけ顔を出す事にしました。


 大分歩きなれた路地を進み、前回利用した事のある商店街の様な場所に建っている八百屋さんで、食べ切ってしまった果物類を補給する事にします。


 丁度他のお客さんが居ないタイミングだったので、ゆっくりお買い物が出来そうですね。


 今回も前回と同じ様に、食べやすいカットフルーツにしてもらう感じにしました。

 その際、八百屋のオバ様が『あらぁ! あの時の!』と言った感じで私の事を覚えていて下さったのが、予想外でちょっとビックリです。


 やっぱり普通のプレイヤーさんは、こういった路地っぽい場所にあるお店には殆ど顔を出さないみたいですね。


 あと先ほどと同じ轍を踏まないよう、予め腕の中で大人しくしているメェをオバ様に見せて、一緒に八百屋さん店舗内に入っても大丈夫でしょうか? といった事の確認作業&先ほどガルドスさんから貰った【精気紋鑑定証】も取り出して提示もしてみました。


 結果は『大人しい子みたいだから大丈夫だよ!』との事。


 大きかったり落ち着きがない子の場合は、店頭脇に繋いで待ってもらっておく感じとの事でした。

 駐車場とか駐輪場のノリですかね。

 駐獣場みたいな? 語呂が悪い。


 それでは、お買い物の際に不便ですので、両手を空けるために再度メェには尻尾にくっ付いていてもらう事にしましょう。


 この狐尻尾、セルフでモフモフ出来て、さらにメェ置き場にも出来るという、比類無きまでに素晴らしい物ですね。

 皆さん納得のはず。異論は私の居ない所でなら可。


 それにしても、こういう八百屋さんっぽいお店に冒険者というかプレイヤーさん? が全然来ないって事は……例えば【料理】スキルとかを取得しているプレイヤーさん達は、どういった場所でお料理の材料を購入しているんでしょうね?


 大体全部自力で入手する形なのでしょうか。

 いや、あれでしょうか、知り合いに頼んで材料っぽい物をまわしてもらっているとか。

 串焼きお兄さんの所みたいに。


 まぁ私には関係のない話かな!


 そう、お料理は自分で作るものじゃないのです。

 それは美味しく楽しく食べるものです!

 ありがとう料理人さん、あなたの存在は素晴らしい。


 改めて自分と言う存在と料理と言う物について、対して深くもない考察を挟みつつ。


 今回はエピル以外の果物も一緒に購入してみようかな! と意気込んで、大量購入に向けて八百屋のオバ様にどの果物がオススメなのか、等のご意見を伺ってみた所。


 コレとコレなんかオススメだよ! と言った判りやすいご意見を頂きまして。

 そして、そんなに沢山一気に購入してくれるなら、と少し割引してもらう事にもなりましたよ!


 うーん、まとめて購入でお買い得!

 個人でこんな量を買って保存していけるのは、アイテムボックスを持っているプレイヤーの強みですね!


 という事で、いつも通りエピルを4等分にカットしてもらってから、他には前回何となく目に付いた『オレン』と『マウリ』の2種類の果物を頂く事にします。


 うん、やっぱり何処からどう見ても『オレン』はオレンジの実だね。


 一応どうやって食べれば良いのかオバ様に聞いてみましたが、案の定オレンジと同じ感じで皮を剥いてから果肉の部分をそのまま頂く、といった感じだったので。


 折角なのでオバ様に勧められるまま、八百屋さんの店頭でオレンの皮を試しに一つ剥いてみました。

 ぎっしりと詰まった感じの果肉部分が皮の中に。


 というか……あれおかしいな?

 私の目に映っているオレンの縮尺がおかしいというか。


 いや違う、コレってオレンの果肉一房が物凄い巨大なのですけれども!?

 これ私の口に入れたら一つでモゴモゴ状態になりますよ!?


 えーっとですね? 購入したオレンの実って。

 私の握りこぶしより大きい位のサイズな訳ですよ。


 手の平に乗せたら、強い存在感をアピールする程度にはいいサイズなんです。


 それの皮をムキムキするとですね。

 皮は結構堅くて剥きづらいのですが、そこはまぁ良いんです。

 指が痛くなるとかは無いので大丈夫なんですよ。


 えーっとですね、中から出てきた中身が。

 ……ざっくりと4等分な訳です。

 これはでかい。凄まじく食べ応え。


 八百屋のオバ様が『早速食べてみなさいな!』と催促されるものですから、勢いで一つ摘んで口に捻じ込んでみる事にしました。


 もごぐご! でかい!

 あっでも美味しいジューシー!

 汁気が凄いじゅるり!


 頑張って咀嚼している私の横で、オバ様が感想を心待ちにしている感じでしたので、言葉を発する事ができない口に代わって、空いている右手で○のマークを作ってから、ビシリ! とオバ様に突き出すように示しました。


 美味しいです!

 見た目でもしかしたら酸っぱいかもしれない……と恐れて一気に口に入れて食べる事に対して少々抵抗があったりしたのですが、食べてみたらそんな事は全然有りませんでした!


 むしろ普通に甘々のデリシャスフルーツでした。

 糖度がかなり高い。ジャムとかにしたら美味しいだろうな。


 残りは今度美味しく頂く事にして、残った4分の3オレンをアイテムボックスへ投入します。そして未だに咀嚼が終わらない。


 これは小さい子だと食べた時に口の回りべとべとになりそう。


 お次は購入した『マウリ』の実を手にとってジックリと確認。


 相変わらず果物とは言い難い四角い形状をしております。サイコロかな?

 でも顔を寄せて香りを確認すると、そのフレーバーはとてもフルーティ。


 何やら尻尾の中腹あたりに居るメェも果物に興味を示しているらしく、周囲をキョロキョロと見回している様です。いい香りがするからね、仕方ないね。


 このマウリの実は、水で綺麗に洗って皮ごと食べれるらしいです。

 普通に刃物で皮を剥いても良いらしいというお話。


 ふむふむ、でも私は果物ナイフさえ持っていない鈍器狐人なので。


 ここはワイルドにインスピレーションに則って、このままガブリと行ってみる事にしました。というか、何故かマウリの実もこの場で試食する流れに、何時の間にかなってしまっていました。


 オバ様の誘導会話術恐るべし。

 コミュニケーションパワーのゲージが恐らく振り切れているのでしょう。

 レベルマックスです。


 お一人でお店をテキパキ切り盛りしているだけはありますね。


 そんな事を考えておりますと、とても良い笑顔を浮かべたオバ様が私の手からマウリの実を一旦回収していきまして。その後、その実を近くにあった何か植物の茎で作られた網の上へ置いて。


 ……お店脇の側溝の辺りに行ったと思ったら、左手に持った網の上に懐から右手で取り出した何かから、水道の蛇口もビックリな勢いで水をバシャーっと放出させて、網の上にあるマウリの実を洗い始めたではありませんか!


 ええっ!? 何処からどう見ても、例えば水道とかホースみたいなものを手に持った感じはしなかったんですが!? どこから水流が発生しているんですか!?


 ビックリして思わずオバ様の右手を凝視しておりますと、ピタリと止む水の流れ。

 そして良く見ると、オバ様の右手には青い石が一つ。

 あれ、あの色の石って何処かで見たな?


 私の視線に気が付いたオバ様が『ああ、これね、水湧きの魔石だよ』と言ってクルリと右手を引っくり返してその青い石を見せてくださいました。


 あーこれってあれだ!

 生産用スペースの飲みすぎ魚というか【水湧きの魚像】君に装着されてた水の出る宝石っぽい石だ!


 こうやって使うことも出来るんだね……これはポーション作成を生業としている私にも一つ欲しいアイテムですよ! でも高いんだろうな……ううむ!


 こう、持ち運び用水道の蛇口! みたいなアイテムです。


 即座に何処でも水が使用出来るのは便利ですね。


 でも、水道みたいに固定された場所にないから、両手を使った作業には向かないのか。

 そういう所は、一長一短かな。


 ハンディ水道に感心しつつ、水洗いしていただいたマウリの身を網の上から拝借して。

 それではオバ様の期待の視線を受けつつ試食開始です。


 ここはチマチマいく所ではないでしょう、一気に思い切りかじり付くのだ!

 あんぐ! もぐもぐ……む! これも美味しい!


 エピルより果肉の舌触りが滑らかな感じがします!


 でも四角い形の実だから直接そのまま加工無しで食べるの難しいよ!

 角っこの所ばっかり減っていってしまいます……あっメェも食べる?


 何時の間にか、尻尾の根元から腰の辺りに移動してくっ付いていたメェと一緒に、マウリの実をおいしく頂きます。


 これはエピルと同じで適当に切って貰ったほうが良さそうだね。

 買った残りのマウリは、カットフルーツにして貰いましょう。


 感想を心待ちにしている風なオバ様の視線を感じたので、とても美味しい! の意味合いを籠めて今度も右手で○マークを作って数回頷きます。


 メェもマウリをもぐもぐしつつ一緒に頷いております。


 メェがもっと食べそうな雰囲気を醸し出していたので、半分ほど食べたマウリの実を差し出すと。

 器用に立ち上がった? メェが後ろ足2本で私の尻尾の根元辺りに腰を据えて。


 ……残ったその前足で保持したマウリを、そりゃもう物凄い勢いで食べ始めました。

 もうハムスターみたいな感じで。


 ……ちょ!? なっなんという咀嚼速度!?


 驚いた私の横でオバ様も『あらま! そんなに美味しかったのかい?』と嬉しそうな笑顔。


 ぐるぐるとマウリの実を回転させつつ食べていくメェ……その小さい体のどこにその量が詰め込まれているのか。


 ……もしかして、胃袋が異次元空間に繋がっているとかそういう謎仕様じゃないよね?

 本当にそうであっても対して不思議に感じない所が、未知なる謎生物であるメェの凄い所。

 褒め言葉ですよ?


 その後しっかりと清算を済ませ、未だモグモグ度が低下しないメェを確認しつつ、他のお客さんが来店し始めた八百屋さんからお暇する事に致します。


「元気に食べる子だねぇ! それじゃまた、ご贔屓にねぇ!」

「はい! ありがとう御座いました! ではまた宜しくお願いしますー!」


 絶賛咀嚼中のメェを腕に抱えなおし、ペコリと頭を下げて笑顔で此方に手を振っている八百屋のオバ様とお別れいたしました。


 試食で時間を取られてしまいましたが、まだ大丈夫でしょうか。


 それにしても沢山買い物をしましたね。

 でも、これだけ果物を確保しておけば生産前に使用する果物には暫く困らないでしょう。


 そう、お金を持っているうちに必要な物から揃えておく。


 こうしておけば、その場の勢いで激しく散財してしまったとしても、その後ギリギリ生き残る事が可能になるのです。備えあれば憂いなしです。


 私の腕の中で、ついにマウリの実の最後の一片まで胃袋へと投入し終えたメェが、とても満足そうに目を細めて、毛玉大福のようにダレッダレになっております。


 そりゃあれだけ美味しく頂けばそうなるよね。


 メェの毛が楕円にビローンと広がるのはどういった作用が働いているのか……自律神経とか関係してるのかな、なんて無駄な考察をしつつ、やっと目的地の公園へと到着しました。


 さて! 目当てのお二人は来ていますでしょうか。

 現在時刻的には少々微妙なラインなのですが、はてさてどうでしょうか?


 いつも通りの道を進み公園内を進みますと……いつもラティアちゃんが遊んでいたりする遊具の辺りに人影が見えましたが、違う子供達でした。


 男の子が数人砂場や滑り台の辺りで、ワイワイと細い棒を振り回したりして遊んでいる様です。

 うーむ、今日はラティアちゃんに会えなそうかなぁ?


 何となく流れで遊歩道の脇にあったベンチに腰を下ろし、男の子達の遊びを眺めておりますと。

 ……棒を振り回していた男の子が他の子と一緒に砂場の方へと移動し、砂山を作って棒を突き刺して、それを順番に崩し始めたではありませんか。


 ……あの遊びは棒倒し改め、カイムさん命名『邪神召喚の儀』ではないですか。

 ラティアちゃんと一緒にプレイした時、ラティアちゃん曰く『はじめてやる あそび!」みたいな事いってましたけれど。


 ラティアちゃんから広まったとかそういう感じなのかな?


 なんて思いながら、棒倒しで遊んでいた時のラティアちゃんが浮かべた真剣な表情を思い出しつつ、砂場で始まった遊びを眺めておりますと……棒を倒してしまった男の子が、倒れた棒を掴んで苦しむ真似をしつつ『ぐわぁ! じゃしんにからだをのっとられたぁ!』と叫んでバッタリと倒れたではありませんか!


 ちょ、ちょっと!? そこ蛇足だから再現しなくても良い所だからね!?

 ソコの所はカイムさんの邪推から生まれた設定だからね!?


 思わず腕の中で大人しくしているメェを揉みしだきつつ悶絶しておりますと、ポンポンと私の右肩が叩かれる感触。思わず『ちょ、ちょっと!?』という感じの顔で右へ顔を向けますと。そこには全ての元凶であるカイムさんが。丁度良い所にきましたね、元凶様!


「カイムさーん!? やっぱりその頭をキュッキュしてお仕置きしてあげますので、綺麗な布をさしだすのです! 光り輝かせてあげます!」

「なにぃ!? 何ゆえイキナリこのジジィの頭皮に向かって、乾布摩擦折檻しようとしているんじゃ!? そもそも綺麗な布なんぞ持ってきておらんから無理じゃよ!?」


 驚愕の表情で頭皮を右手でツルリと撫でるカイムさん。


 くっ、綺麗な布がなければ磨き上げる事ができない!

 こうなったらメェを頭頂部に置いて白アフロにして差し上げるしか!


 即座に目と目で通じ合う私とメェ……カイムさんに腕の中で意気込んでいるメェをスッと差し出し、そのままの流れでスッ……とカイムさんの頭頂部にメェを置きます。


 うわぁ! 今現在のカイムさん見た目が凄く胡散臭い!


「ん? なんじゃ? いや待て……おほー温かいのぅ……」

「うん、これで勘弁してあげます!」

「なにぃ!? いやまぁ勘弁してくれるなら良いんじゃが一体何じゃ!?」


 その理由はあの男の子達の光景をみて察して下されば。

 心当たりがないとは言わせませんよカイムさん。

お待たせしました。更新再開です。

ですが、7月末~8月頭あたりまで少々不安定な状況が続きます。

どうぞご了承下さいませ。

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