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190 昔の事 を 思い出します

次の日。

日常はあっさり風味。

 何時も通り目覚ましの音で意識を覚醒させる私。目覚めたぞ!


 さあ火曜日の日程が今まさに開始されましたよ! ごーごー!


 そしてVRゲームのメンテナンスの方は、今現在どういう感じになっているのかが非常に気になりますよ! でも流石に朝っぱらからゲームを開始する訳にも行きませんので、強引にVRゲームを起動して確認したりはしませんけれどね! もし朝からプレイするとしたらもっと早寝早起きしないとね!


 『ふわもこファーム』を物凄い勢いで時間を潰してプレイしていた時期にも、お父さんからは『あまりプレイしすぎないようにね?』と念を押された事がありますから。


 いやまぁ、だってですよ?

 一人で自室に篭っている状態だとですね?


 特にこう、何か集中して出来る事とかも見い出せない訳なのですよ。


 何かしら物作りとか、そういう趣味の様な手慰み出来る技能を所持していたりしたのならば、恐らく結果は大きく変わっていたのではないかなとも思うのですが。


 中学生時代に暇な時間を潰す為に自室でやっていた事なんて、学校で出た課題や予習復習等をこなす以外ですと、ネットで色々な動物の動画を見たりしていたくらいで。


 HMDを手に入れた時期以降は、大体『ふわもこファーム』をプレイしていたという嵌り具合でしたし。


 私が『ふわもこファーム』と出会う前なんて、大体は静かに黙々と本を読んだりしてただけですし。あの頃はお父さんもソコソコの頻度でお家に帰ってきていましたし、然程寂しかったと言う訳ではなかったのですが。


 まぁ言ってしまえば、色々と面倒くさがって煩わしいなぁと感じていた頃でもありました。

 多感な時期だったりしたのでしょうね。自分で言うのも何ですが。


 こうやって高校生になった今になって中学生の頃の自分の状況を鑑みると、もうちょっと周囲とアレコレしつつ、仲良くしておいた方が良かったのじゃないのかね私さん? と過去の自分に向かって悟った口調で語りかけたくなる衝動に駆られるのです。


 そう、喩えるならカイムさんが【笑う鬼神】の異名を耳にした時に、色々と思い出すから勘弁してくれ、と私に突っかかってくる時の様な。


 でも楽しいからそのネタで弄ってしまうのは仕方なき事。

 悪気は1割くらいしかないと思う。お茶目さんです。


 別にクラスメートが嫌いだったとか、話しかけられたら無視していたとか、そういう孤高の存在をアピールしていたりした訳では無いのですが。


 例えばクラスの女子さん達に遊びに誘われても、私の帰宅が遅かったりすると色々と深読みしたお父さんが心配する可能性があったので、大体自宅に誰も居ない状態の癖に、遊びのお誘いを丁寧にお断りして規則正しく帰宅、そのわりにやる事も無くボケーっとテレビを眺めていたりしたのですよね。


 振っていける話題もないし、寂しい事に中学の頃はクラスメートに読書が好きな子が居ない状態だった、と言う悲しみの事実が有りましたし。


 やっぱり私の昔の立ち位置は、声を掛けると返事を返す不動なお地蔵さんみたいなポジションだったのでは、と今現在の私から過去の中学生な私を見て客観的に思います。


 そうそう、実は後ろの席のナカヤさんは中学生の頃からクラスが一緒! という物凄い貴重な存在なんですよ。


 高校生になってからもチョイチョイと声を掛けて下さったり何かして、そこからの繋がりである程度女子クラスメートとはお話できる感じになったんですよ。


 強靭なコミュニケーションパワーの成せる業でしょうか。

 私は高校2年生になっても、未だ自分から振っていける話題に乏しいですので。


 お父さんとVRゲーム、という二つのワードから導き出された、ちょっと思い出すと恥かしい感じの昔話を脳内で展開しつつ、そういえばお父さんはもう出掛けてしまった後っぽい? という事に気が付きました。


 今日は随分早いお出掛けなのですね?

 っていうか自信満々に自宅から出社できる距離にー、なんて言ってたけど……地味に無茶してたりするんじゃないですかね?


 表現的には『自宅から出社できる、だが意外と遠い』位の距離なんじゃないかな。


 ……なんだろう、娘とのスキンシップを重視する父親の鑑みたいな。


 いやでも、一緒に居れるのは凄く嬉しいですし、ご飯も美味しくて万歳三唱ですけれども、出来ればその体調を崩さない程度でお願いしますよオトウサマ?


 そういえば『ふわもこファーム』を始める切っ掛けになったHMD贈呈事件が発生した頃も、お父さんが自宅に帰ってきていたとしても、こんな感じで私が起きた頃には出社している様な状態だったなぁ……何て思い出し、ちょっと昔を懐かしみます。


 あのHMD、何方からか無料で頂いてしまった! みたいな事を言っていた記憶があるのですが、あるとき何となくHMDのお値段を確認したら、当時としてはそりゃ物凄い高価な物だったんですよね。


 下さった方にお礼を言うべきだったのでは? とその時になって思ったりもした訳で。


 まぁそんな事なんて忘れてしまう程には、VR世界でメェに身体をめり込ませて遊んでいたんですけどね? 機会があるときに思い出せたら、父さんにHMDを頂いた時の事情でも聞いてみようかな。


 ワチャワチャと脳内で考え事をしながらでも、完全オートマティックに学校へ出発する準備を進める私の反射行動は中々凄いと思います。


 そして今日はなんと、キッチンのテーブルの上に布で包まれたお弁当箱と、その隣に置いてあるラップで包まれたお皿の上には、お弁当のおかずの余りと思われる卵焼きやウィンナー、そしてお握りが一つ置いてあります。


 ありがとうお父さん『出来る父親』と言う称号はお父さんの為にありますね。


 中学生の頃、お弁当作る為に早起きとかキツクないのか? と疑問に思って聞いたことがあるのですが、お父さん曰く『大丈夫、作り置きできる物が大半だから労力はそれ程じゃないよ』という返答を頂いた事があります。


 うん、料理は奥深いですね。

 美味しい食べ物の入手が容易なこの時代に生まれて、心から本当に良かったですよと言いたい。


 ヒョイヒョイとおかずを口に放り込みつつお握りを頬張ります。もぐもぐ。


 今日は十分な睡眠を取る事が出来ましたし、こうやってご飯の補充も完璧ですので、眠気も無く朝から夕方まで普通に行動できそうです。


 食事後に手を洗いまして……身だしなみよーし、忘れ物大丈夫、時間は余裕を持って。

 よし、それでは。


 何時も通り誰も居ない部屋へ小声で『いってきまーす』の言葉を投げかけ、学校へと出発する私でした。


 そして当然といいますか、火曜日だからと言って学校で何か特筆すべき事が起こるわけでもなく。何時も通りクラスメートにご挨拶からの授業開始となります。


 今日は眠気に襲われて満身創痍になる事も無く、そつなく授業をこなしておりますと、後ろの席のナカヤさんから『昨日は良く寝れたみたいね』というお言葉を頂きました。


 ばっちり睡眠を過剰摂取したという事をお伝えしつつ、乾燥機が届いたりお父さんが久しぶりに一週間家で過ごす事になったんですよー、とお伝えすると。


 あーあー、あのカッコイイお父さんね、というお返事を頂きました。

 普段家に居る時は色々とマメな普通ーのお父さんですよ。


 昨晩なんて、何時も一生懸命に働いてくれてどうもありがとう! と言う労いの気持ちを籠めて肩をモミモミしてあげたらですよ?


 ちょっと驚いた後に、物凄い笑顔で『おっなんだい? 乾燥機のほかにも何かおねだりかな? いいぞー!』と言いつつ、仕事で使っていたタブレット端末の表示をネットショップのページへ即座に繋ぎ始めたりするお父さんです。落ち着いてお父さんと言いたい。


 何かテレビのニュース等で、事故や事件等の物騒な報道しているのを二人で見ていたりすると、私に向かって『花乃枝、もし父さんの身に何かあっても一人で暮らしていける様に、色々と準備してあるからね!』といい始めたりしますからね。


 普段は離れて暮らしてる癖に、こう言う所はスーパー過保護です。


 そんな事より一緒に居れる方が嬉しいので長生きしてねお父さん、と言うとお父さんは嬉しそうに私を抱きしめてきて、側頭部を頬っぺたでゴリゴリされるまでがセットです。


 そうそうお父さんといえば、確か小学生の頃でしょうかね。


 オマエの父さんは、何で私を家政婦に任せて家から出てお仕事してるのか、と男子クラスメートに揶揄された事がありまして。


 私は昔からお父さんがお仕事で家を離れているのが普通だったので、特に疑問にも思っていなかったのですが、その言葉を受けてそういえば何でだろう? と、その頃良く来てくれていた年配の家政婦さんに質問してみたりもしたんですよ。


 ちょっと複雑な何ともいえない表情を浮かべつつ、きっと何か特別な事情があるのですよ大丈夫、と家政婦さんは頭を撫でながら答えてくれましたが。


 その後、お父さんに事情を聞く機会があったので、なんでなの? と質問をしてみたんですよ。

 小学生でしたから物凄いそのままズバリで『私を放って置いてお仕事するのはなんで?』みたいに聞いたはずです。父親相手とは言え浮気相手に詰め寄る女性みたいな口上ですよね。


 そして返ってきた答えを聞いて『それなら私も頑張ろうかな』と思ったんです。


 お父さんはちょっと困った顔をして、それから私を抱き上げて自分の頬を私の頬にくっ付けながら『それはね、花乃枝のお母さんが、大好きだった事を叶える為なんだ。だから花乃枝もお手伝いしてくれると、父さんはとても嬉しい』と。


 まぁ実をいいますと、お父さんが一体どんな仕事をしているのか、高校二年にもなった今現在でさえ未だに良く分かっていないと言う驚愕の事実があるんですけどね?


 職場見学とかした事ありませんし、お父さんの働いている職場の同僚が用事で自宅に尋ねて来る、みたいなハプニング事件だって発生した事もないです。


 多分雰囲気的には何かのセールスマンっぽいかな? と言う感じもあります。

 たまに仕事で外国へいったりもしていたみたいです。


 高額商品のHMDをホイっと無料でくれたりするお得意様が居るような職業だ、という事だけは判明しておりますけれどね? お金持ち相手のお仕事なのでしょうか。


 まぁ犯罪行為でなければ、どんな仕事をしていてもお父さんはお父さんなので問題はないですけれど。


 さて、午前中の授業も終わりお昼休みになりましたので、そのお父さんが準備してくれたお弁当を頂く事に致しましょうか。

 オーソドックスなおかずで構成された何処から如何見ても素晴らしい、これぞお弁当! といった見た目のお弁当です。ご丁寧にも一緒に小さい豆乳のパックジュースが包まれておりました。


 飲み物を買いに行かなくてすむのは助かりますね。それではもぐもぐ。


 全体的にちょっとだけ甘めな味付け設定のおかずは私の好みですね。

 そして今日もワイワイと会話している、ゲーム情報通の男子クラスメート達の動向をしっかりと横目で確認しつつ盗聴を開始します。


 午前中の休み時間にも、何だか色々気になる事を言っていたんですが、本格的に会話し始めた彼らの言葉から、例のVRゲームのメンテナンスは今朝の6時に終了した模様、という情報を得ることができました。


 ふふふふ! やった! 帰宅したらログイン出来るぞ!


 思わず箸を握り締めた右手で小さくガッツポーズです。


 そのままの勢いでミートボールに箸を突き刺して口に放り込むという、あまりにも無残な所業を繰り広げます。美味いもぐもぐ。


 あと何やら、早くも抽選申し込みをした新規プレイヤー希望者に対しての合否通知の送信が開始されているようで、会話中のクラスメート達は何と全員当選したらしいです。


 結構ゆるい感じの当選確率なのかな。


 ゲーム開始したら前衛でガンガンいくぜー、とか遠距離武器つかってみるかなー銃は無いっぽいんだよなぁー、何ていう会話が聞こえてきます。


 ああどうしよう、恐らく私と彼らでは活動範囲が違うので、ゲーム内で出会う確率は凄く低いと思うのですが、万が一の事を考えると……心臓のある胸の辺りがキュっとなる感じで嫌な拍動を刻み始めますよ! 食事中に精神力を削られるとは! もぐもぐ!


 その後、ゲーム内ではどんな感じで過ごす、といった風な会話をし始めた男子クラスメート達。戦闘重視っぽい感じですね。皆さんやっぱりどんどん先に進みたい感じなのでしょうか。


 正直プレイするスタイルは、何処を目標として行動するかで大分変わってくると思いますからね。千差万別のプレイが出来るー何て煽り文句を打ち出しているゲームですし。もぐもぐ。


 私はー……程ほどで良いかな。頑張るときは頑張る、あとは流れでね。


 それにしてもあれです、昨日のお昼に彼らの会話から聞きかじった新規プレイヤー参入記念イベントという物。その催し物が一体どういう物なのかが凄い気になり始めました。


 早くログインして確かめたいですね。


 まぁお父さんも居る事ですし、ある程度の時間プレイしたらログアウトしてお休みなさいしないと駄目でしょうからね。ちゃんと日常生活に支障のないくらいで留めておかないと、一定期間ゲームプレイ禁止令が発令されてしまう可能性がありますので。ごちそうさま。


 その後、お弁当の中身を胃袋へと送り終えた私は、あれがこうなってどうだー、なんていう風に身振りを交えて会話する男子クラスメートを横目に、頬杖を付きつつボケーっとゲームについて考え込む感じでお昼休みを終了させました。怠惰なお昼休みだ。


 午後の授業は微妙に身の入らない結果となりましたが、ちょっと気になる事が多いので仕方が無いと割り切る事にしました。というか、メェに突き刺したままのポーション瓶がどうなっているのか気になるんですよね。


 放課後になったので素早く帰宅準備を済ませ、一分でも早く自宅へと戻る事に専念いたします。あーでも朝の6時にメンテナンスが終了しているのならば、きっと今頃は魔素迷宮の安全地帯には人が沢山居る筈ですかね。


 ブスリとポーションが毛に刺さった珍妙なメェの格好を、余り他の人に見られてしまうのはマズイかな? とも思いますし、素早く行動素早く実験結果の確認! という感じでいけるといいなぁうん。


 帰り支度途中のナカヤさんに、さようならの挨拶を投げかけると、あれ今日は随分急いでるね? という疑問のお言葉が返ってきましたので、実はやらなければならない事がありまして! と言いつつ右手をビシリと上げて返礼。


 そのままの状態で足早に教室を後にします。


 さあお父さんがお仕事から戻ってくるまでは確実にプレイできるとして、先に一応連絡入れておこうかな? いや大丈夫かな。


 何時もより2割増し程度の帰宅速度を発揮した私は、何事も無く玄関のドアを開けて自室へと向かいます。おっと郵便物が着てるね、一応選り分けしておきましょう。


 リビングのテーブルの上に、簡単に選り分けたお手紙その他諸々を積み上げておきます。

 お父さんが帰ってきたら確認してくれるでしょう。


 ではパパっと着替えて、ササっとログインからのー! メェ実験の成果確認を!

※ お知らせとお礼 ※


何時の間にか累計PV数が1000万を突破しておりました。

こんなに沢山読んでいただけて感謝感激です。

暫くは投稿ペースが不安定になりそうで、申し訳無いです。


あと金曜日の更新、できるかちょっと怪しいです、ご了承下されば幸いです。

それでは、これからもどうか御贔屓に!


※追記※ 誤字修正いたしましたー

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