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183 石の お次は 芋取得

お芋ーお芋ーお芋だよ。

フワってモコるのだ。

 アイテムボックス内部表示に、ぐわーっと同じ【石】という名前のアイテムが並んでいる様は、中々圧巻ですね……多分、普通の何の効果も無い石ころを除外して破棄したら、ちょっとした石山が出来るんじゃないかな。


 埋め立てとかに使えたら便利かもしれませんが。

 そういう予定は今後も恐らくありませんし。

 建築とか土地開発! みたいなスキルあったりするんですかね。


 木材とか石材を切り出して、建物っぽいモノは作成できそうですけれど。

 多分自分で作るよりは、この世界にお住まいの建築家さんにお願いした方が絶対良いですよね。


 様々な建築用素材の特性も把握していらっしゃるでしょうし。


 私でもある程度頑張ったら、適当な木材を使って掘っ立て小屋みたいなモノなら作れそうですが。

 まずはその家を建てる土地がないですしね。


 そういえば町の周辺以外の、例えば魔物が出没するような地域の土地は、一体何処で管理や整備等を行っているんでしょうね?

 やっぱり王都とやらで、そういうのを管轄しているお役所の様な物があるのかな。

 先ほどまで居た山頂の建物跡だって、どこかの誰かが建設しなければ、あんな場所に建って居なかったでしょうし。


 イメージだと、多分ですが国営のナンタラ遺跡的な場所なのかな?

 鳥がワンサと屯していて非常に危険ですけれどね。

 いや、鳥が屯して危険だから建物が放棄されたのかな?


 どっちが先なんだろうか。

 まぁあの鳥さん達は、手を出さなければ積極的に襲い掛かってくる相手じゃない様ですけれど。

 縄張りみたいな物はきっとあるでしょうし、勝手に侵入したらやっぱり襲われるんでしょうね。


 ボス鳥さんとお知り合いじゃなかったら、私も今頃は大量のクチバシ攻撃ででツンツンされ、全身穴だらけになって町に戻っていた事でしょう。数の暴力恐ろしい。


 でも何時か、相棒のメェとこうやって奇跡の再会も出来ましたし、拠点と言うかゆっくりとゴロゴロしたり、読書したり、生産したり出来る場所を入手したいですね。

 メェをソファー……はサイズ的に無理そうだから、クッションとか枕代わりにしてダラダラノンビリしたいなぁー……何て考えつつ、足元にいたメェを抱えて平たい岩のうえに腰を下ろし、モフモフしながら長閑な陽気を楽しみつつ考え込んでおりますと。


 メェについて、ちょっと気になる事が一つ脳裏に浮かんできました。


 そう、メェのサイズで思い出したのですが。

 このフンワリ生命体である所のメェ……サイズを成長させたりフワフワ度を伸ばす為には、ある特殊な食材を食べさせないといけないんですよ。


 いやまぁ、それは『ふわもこファーム』の中でのお話なんですけれど。


 ソコのところが再現されている可能性を考慮するとですね。

 ……その食材を探し出さないと、このメェって色々と成長できない可能性があるのではと。


 普通に暮らしていく分には問題ない、という表現はちょっと違うかな? とも思いますが、果物やお菓子等を食べさせて一緒にモフモフしていれば、好感度や空腹度等は全く問題ないので、普通にフワモコ生活を満喫できたりはするのです。


 でもそれだと、メェの成長パラメータと言うか何と言うか。

 『ふわもこファーム』でいう所の『ふわもこランキング順位』が上昇しないのです。


 その特殊食材というのは、一気に沢山食べさせたり出来ないタイプの物で、次に与えられる様になるまでに待ち時間が存在する食材なのです。

 あと伸びる数値もある程度乱数が存在したりする物なのですが、基本は毎日一定間隔で与えていれば問題無く育つよ! といった感じのゆるゆるっぷりで。


 そこまで気合を入れて攻略! といった物ではなかったのです。


 でもやっぱり、こうやって奇跡的にメェと出会えたからには、昔どおり『ふわもこファーム』の要素を堪能してみたいと言いますか。

 メェの身体サイズの方は、あまり大きくなりすぎると周囲にご迷惑が掛かる可能性があるのを考慮して、成長させるとしても抑え気味にする感じで行きますけど。


 フワフワ度はガンガン伸ばして生きたい所存です。勿論。


 という事で、そのメェを成長させる為に必要な、特殊食材を探さなければなりません。


 アイテムの名称は昔のままなら大丈夫なのですが、簡単に記憶を掘り起こしてみても、町で売っている場所を見かけた記憶がありません。


 カットエピルを購入したお店にも置いていなかったと思います。

 あのお店の商品は、ざっと全部目を通した記憶がありますし。


 というかですね、その食材って見た目や色が特徴的で凄いわかり易いので、置いてあったら一発で気が付くと思うんです。


 ちなみに形はラグビーボール状の物体というか。

 あれです、食材的にはお芋ですね。


 メェが食べる物ですし、もしかしたら今現在、私にモヨモヨと揉み解されているこのメェに質問したら有る場所が判明するかもしれません。折角ですのでちょっと聞いてみましょうかね!


 ガシっと両手でメェを挟んで持ち上げ、その特殊な食材である【フワ芋】と【モコ芋】が何処かにあったりしないか聞いてみます。ちょっと考え込んだメェが顔を上下に振ります。


 おおっ! やっぱり存在するんだ!?

 メェが居るんだから、あの2種類のお芋もないと困っちゃうよね!


 期待通りの反応を返してくれたメェを地面に下ろして、お芋があると言うその場所まで案内してもらう事にします。おっと、その前に装備品を完全にもとの状態に戻しておかないと!

 さっきの状態だと、イモムシか何かに追突されたら一発で町に戻っちゃうよ!


 ぱぱっとアイテムボックスを操作して、冒険者の服とポンチョを装備しなおします。

 うむ、コレで一応は今現在出来る最強の装備状況になったでしょうか。


 小物や武器周りばかりでなくて、服にも気を使わないと駄目だ! という事が、今回の冒険で色々とこの身を持って危機を体験したお陰で、非常ーに良く判りました。


 服にも気を使う、といってもお洒落さんにならないと駄目! と言う訳では無く。

 硬いものを装備しないと豆腐ボディを守れない! と言う意味合いですけどね!


 金属鎧とかちょっと身に付けるのを躊躇してしまうのですが、お金の方何とか稼ぐ事ができたら、ゲイルさんに防具一式についてご相談を持ちかけてみようかな。


 でも余り硬い防具を身につけてしまうと、ラティアちゃんやメェとの接触スキンシップを十分に楽しめなくなってしまう可能性が高いんですよね。むしろ私がゴリゴリな硬さになる事によって、スキンシップしてくれなくなってしまう状況になるのではと。


 スキンシップ重点と豆腐ボディ保護、この二つの命題の間で揺れ動く私の心。

 いやまぁ……冒険者としての正しい姿勢を重視するのであれば、迷わずに防御力を上げなさいよ! と言われる事請け合いなんですけどね!?


 いやまてよ? 街中では着替えてしまえば問題ないかも知れない!

 アイテムボックスとメニューからの装備のお陰で、お着替えも苦じゃありませんからね。付け替えるたびに一々発光してしまうという弊害がありますが。


 国営図書館内部でない限りは怒られたりしないでしょう、多分、恐らく。


 夜にピッカピカ光りまくっていたら通報されてしまいそうですけど、日中であれば問題ないですよね。うん、もしも、どうしても! 色々のっぴきならない事情で、カッチカチの鎧を装着する羽目になってしまったら、メニューお着替えを駆使して暮らすことにしましょう。


 ポヨポヨと短い足を動かして、頑張って私を先導してくれているメェの背中を眺めながら、無駄に熱い、そんな柔らか度合いに対する決意を胸に秘めつつ移動を続けます。


 進む先に広がる草むらをメェと一緒に掻き分け、釣りをしていた場所から東側を回って、グルリと湖を迂回する様に歩いておりますと。


 視線の先の地面に普通の樹木ではなく、どうみても削り出された木の棒っぽい物が、地面にブスブスと等間隔で突き刺さっている場所に到着しました。


 大分朽ち果てている感じで、何か強い衝撃を与えると、呆気なくバラバラになってしまうのでは無いかと思います。一体なんでしょうねコレ。

 あからさまに人の手が加えられている場所ですが。


 メェは特に気にせず、その棒の間を抜けてさらに先に足を進めていましたので、私も体を横にして棒の間を抜けることにしましたが。

 通り抜ける際に尻尾を棒に引っ掛けてしまい、一本の棒をそのままへし折ってしまいました。


 あああ!? こ、これ折っちゃっても大丈夫なのかな!?

 何かの境目っぽい感じで突き刺してあるんだけど!?

 何か強大な力を持った魔物が復活したりしないよね!?


 呆気なく中ほどからへし折れて、バサリと音を立て草むらに紛れてしまった棒を、草を掻き分けて探し出し持ち上げます。

 その際に周囲を見回して確認してみましたが、離れた所で相変わらずノンビリと草を食んでいるイモムシを数匹発見した程度で、古の邪神がこの世に顕現したりはしませんでした。


 はー良かった、何かペナルティが発生する様な物じゃなかったかな?

 い、一応このへし折れてしまった棒は最初にあった場所辺りに戻しておきましょう。


 あれ、この棒……塗装されていた形跡がありますね。

 なにやらペンキ? っぽい物が表面にかすかにこびり付いているのを発見しました。

 やっぱり何か……例えば柵や木の壁等の支柱だったりした物なのかも?


 私が半分に折れた腐った棒を眺めてウームと唸って考え込んでおりますと、ツンツンとすねの辺りを突っつく感触。

 視線を足元に向けると、メェが立ち止まってしまっていた私を迎えに引き返してきてくれていました。あっとゴメンゴメン! ちょっと脳内活動に引き篭もってしまっていたよ!


 しゃがみ込んでモフモフと撫でてあげますと、私が動き出したのを把握したメェが、再度先導する感じで移動を開始しました。

 さて、考えるのは目的地についてからにするとして、今は移動を最優先としましょう。


 着々とメンテナンスの時間が近づいていますからね。


 右手に握っていた棒の切れ端を地面にブスリ! と突き立てて、心の中でゴメンナサイネを唱え、メェの後に続いて先に進みます。

 進んだ先で、遠目からは茂みや樹木に覆われて視認出来ませんでしたが、湖の東側に広がる林に何か……ある程度の範囲に崩れ落ち、恐らく木材で出来た……朽ち果ててしまった建造物を発見しました。


 ふむ? これは多分……小さい小屋か何かが建っていたのえでしょうか。


 すっかり朽ちて見る影も有りませんが、数本の柱や基礎部分に使われていたと思われる石材が、綺麗に並べられた状態で地面に残っているのを確認しました。


 湖のほとりですし、湿気が多かったから腐るのも早かったのでしょうか。

 大きさとしては、大分簡素な作りの建物だったようです。


 私より先行していたメェは、その小屋の残骸の横を抜けて少し進んだ辺りにあった、モッサリと地面を覆っている茂みの辺りで足を止めていました。


 足元に転がっている腐った木材をメキメキと踏みしめつつ、メェが待っている場所まで足を進めます。えーとこれは? ……ああ! 恐らくは大分前に放置されたままで、以後全然手入れされていない状態の畑だった何かかな?


 例のお芋に関する事を聞いてココに連れてきてくれた、って事は。


 メェに労いのモフモフをしてあげた後に、無差別に成長しまくっている目の前の茂みを掻き分けながら目的のものを探します。

 大半は特に珍しくも無さそうな、ココに来るまでに地面に沢山生えていたものと同じ雑草っぽい植物ばかりでしたが、茂みの中央辺りで見覚えのある葉っぱを確認しました。


 そうそう! コレですよコレ!

 この物凄いワザとらしい葉っぱの形状!


 一本の植物の葉っぱなのに、トランプに記載されてる例の4種マークの形なんですよ!

 自然物としては大分ありえない生態ですよね。


 しかも見た目は、葉っぱの形状以外は50センチ程度の普通ーな感じの植物なんですよね。


 さて引っこ抜きましょうか! と動きの邪魔になるポンチョを一旦外して、ふんす! と気合を入れて両腕をグリグリと肩を視点に回して準備運動!

 何時の間にか私の後ろで、ミョンミョン! と飛び跳ねて応援してくれていたメェにニッコリ笑顔を送りまして。


 ガシっと植物の根元を握りまして……どおぅりゃぁー!!


 重心を後ろに傾ける感じで、根元から思い切り引っ張りますと……数秒の後にズボリという手応えとともに植物が地面から引っこ抜け、私は思い切りお尻を地面に強打し……地面から、私の手のひらより少し大きいサイズのラグビーボール状の物体が数個!


 きたきたー! えーっとコレはどっちのお芋だろう?


 基本的に上に見えてる葉っぱ部分の見た目が両方一緒だから、引っこ抜くまでどっちのお芋なのか判らないんだよね。


 尻餅をついた状態の私のそばへ、メェが近寄ってきて私の顔を覗きこむようにして首を傾げます。

 うん、大丈夫大丈夫!

 ちょっと臀部を地面と仲良くさせてしまっただけだからね!


 お尻を擦りつつ地面に正座で座りなおした私は、メェを持ち上げて太ももの上へと置いてから、先ほどの植物から伸びる地下茎から引きちぎったお芋を一つ手にとって、パタパタと手の平で叩いて付着している土を落とします。


 そのお芋の色は綺麗な赤。うむ、これは【フワ芋】だね!


 思わずメェと視線を合わせ頷きあいます。


 このお芋は確か、お料理というか簡単に熱を加えないと駄目だったんだっけかな?

 試しに生芋のままメェに食べられるか尋ねてみましたが……案の定ですが、首を横に振られてしまいました。だよねー!


 お芋のある場所知っているのに食べてないって事は、何かしら手を加えないといけなかったから、っていう理由があるからだよね。


 合計3個の【フワ芋】を手に入れた私は、アイテムボックスがパンパンなのを思い出し……仕方がないので少し石ころを開放することにしました。


 メニューを弄って幾つかの石ころを選別、特に珍しいアイテムが存在しない事を確認した私は、アイテムボックス内部の数箇所に詰まっていた【石】アイテムを、ツンツンと連続で指で突いて外部へザラザラと放出させます。


 そしてメニュー欄から噴出してくる石、石、石!

 うわぁ……コレは本気で街中じゃやっちゃいけない作業だ。

 激しく邪魔になるよコレ。


 崩れ落ちた廃屋の隣に小さい石塚を築き上げた私は、アイテムボックスに開いたスペースへ【フワ芋】を大事に収納します。


 このお芋は種芋としても使えて、このまま地面に埋めて育てればまた数個の【フワ芋】として戻ってくるのです!


 一個は増やす為に、どうにかして何処かへ埋めて育てるとして。


 残りの2個は簡単に調理……出来るかな?

 いや、焼き芋は危ないかもしれないけれど煮込んだりする位なら大丈夫かも?


 ま、まぁ挑戦するのは後でだね!

 お料理する事を考えただけで、緊張で嫌な汗が出てきそうですよ!

 しかもメェに食べさせる為の物なんて! 頑張らねば、気合を入れるのだ私!


 あ、ちなみに私が食べても大丈夫な食材デスヨ【フワ芋】は!

 普通にホクホクのお芋な味だった筈です。


 よーし、町に戻った後、メェと一緒に食べてみましょうね!

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