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182 やっぱり 豆腐な 存在で

レッツ入水。

やはり豆腐。

 その後、追加で数回に渡ってメェを水面に滑らせつつ、ノンビリと釣りの様な何かを楽しんで、アイテムボックス内部に謎の【魚の切り身】を増やす事になりました。


 この生臭さが漂っていそうな食材アイテムも、以前チュートリアルの島で採取したときに纏まってアイテムボックス内部に収納されていた、例の4種の属性石と同じ様な感じで。

 ありがたいことに、全部一箇所に纏まって収まっております。


 恐らく詳しく鑑定した後に、各自規定の名称に変更されてアイテムボックス内部に再収納されるのでしょう。まぁ今はどれもこれも【魚の切り身】です。


 私の足元でプルプルと身を震わせて、身体に付いている水滴をふるい落としているメェを眺めつつ、さて今度は私自身が水中と言うか、水際の浅い部分に突入してみようと決め。

 まず最初に、そのための準備を遂行する事にします。


 餌役でお疲れ状態であろう相棒のメェは、日に照らされて良い具合に温かそうな平たい岩の上で、ゆっくりお休みしていてもらうとして。


 まぁ言ってしまえばあれですね……準備をすると言っても、靴を脱いだりして素足にしてから水に突入するだけなのですが。水の透明度は大分高いような印象を受けますし、汚かったりはしないでしょうから、その辺りは一応安全じゃないかな、と思っております。


 良く冒険映画とかで見るような、あの血を吸ってくる気持ち悪いアレとかが、沢山水中に存在したらいやだなぁと、チョット思っていたりもします。なんでしたっけ、ヒルでしたっけね。

 噛み付いてきてチューチュー吸血してくるウネウネな生き物。


 定番っぽい思考で言うと、逞しい男性主人公の冒険映画で財宝を求めてジャングル等に行くと、水辺とかに進入した際に大体食い付かれたりしますよね。冷静にナイフとかでこそぎ落したり、咥えていたタバコの火をジュッと押し当てて退治したりするんですよね。私にも判りますよ。


 退治方法が判っても、正直遠慮したい相手ではありますが。


 一抹の不安を心に過ぎらせつつ、でもメェにはそういった生き物がくっ付いている様子が有りませんでしたし、大丈夫じゃないかなーと思い込む事で、チキンなハートを押さえ込む事にします。


 あの毛皮に食いつける相手が、一体どの程度居るのかが判りませんけれど。

 あの柔らかさ相手は、確実に難易度が高い。


 脱いだものをメェの脇に纏めて置いて、そこで見張りをしておいてねーとお願いしておいて……ついに自ら水中へと足を踏み入れます。


 水際は細かい石が分布していて、足の裏に適度な刺激が来ますね。

 尖っていそうな物もあったので痛いかな? と水中に一歩目を踏み入れた際に思ったのですが、ゲーム世界だからなのか、実際でもそうなのか。


 グリグリと足の裏にくる物はあれど、痛みを感じる事はありませんでした。


 痛くないならば、それはそれで助かりますので問題無しです。

 むしろマッサージ効果が高そうな気がして、両足を水際に突っ込んでグリグリと足踏みしてしまいました。うーん中々の感触。


 現実とほぼ差異の無さそうなVR表現の凄さに、うむぅ! と改めて感嘆の唸りを上げておりますと、深い方から小さい魚がすすーっと数匹近寄ってきて、私の足をツンツンし始めました。


 サイズ的には私の手のひらサイズでしょうか?

 両手で水ごと掬い上げて持てる位のですね。


 果敢にツンツンしてくるので少々ムズムズな感触が!

 ぬぬぅくすぐったい、私は餌じゃないので止めて下され!


 追い払うようにバシャリとその場で足踏みすると、すーっと離れていってしまいました。ふぅ助かったか。


 そういえば、魔素迷宮で使った例の属性石って、海辺とか川べりで稀に入手できる! って説明にあったような気がする。こういう水際に沢山転がってる石の中にも含まれて居たりするのかな?


 本格的に浅い部分を探索する為に、ポンチョと上着も脱ぎ捨てる事にします。

 袖をまくるのが面倒だとかそういう訳じゃないですが、下手をして水濡れしてしまうと色々と面倒そうですので。


 一旦裸足でメェのところまで戻った私は、パパっとポンチョを取り外してメェの脇に折り畳んで置き……上着を脱ごうとした所で……そういえばこの上着の脱ぎ方が良く判らない事に気が付きました。


 何だかしっかりといろいろな場所が留められていて、頑丈っぽい作りなんですが。

 えーっと、ココがこうなって? んー?


 小さい金属の様な部品部分やボタン状の止め具、ベルトみたいな物で閉めてあったりする場所等やホックの様な物でとめてある場所等、上手い具合に視認出来ない状態でワサワサと両手で弄って確認します。

 あーうーんと? ……全然判らないんですが!?


 っていうか、靴は普通に履いていただけだから至極簡単に取り外せたけど、そういわれると『服をそのまま脱ぐ』っていう行為を今まで一度も挑戦した事が無い! っていう重大な事実に気が付きましたよ!?


 焦った私はその場の勢いで、平たい岩の上でモヨーンとリラックスして、白い焼き饅頭みたいになっているメェに対して、この服の脱ぎ方を聞くという暴挙に出てしまいました。


 当然の如くクリっと首を傾げた後に顔を左右に振るメェです。


 うん可愛いね、知ってる訳無いよね。その毛は100%天然物だものね。


 この際だから色々試して、装備変更じゃなくて装備を取り外す、っていうのに挑戦してみましょうか。


 武器や便利アイテム等は普通に装着したり、手に持っていたりするので取り外し方で迷う事は無いのですけれど、服って今まで着替えたりして身に付けた訳じゃなく、この女神様の加護というシステムのパゥワーを行使して装着していたのですよね。


 なんだろうか、あれだ、着物の着付けが全然判らない人が、詳しい人に手伝ってもらい着物を身に付けた後、調子に乗って動きすぎて着物が乱れて……うわぁー元に戻らないよ! って絶望している光景が思い浮かびました。まさに今現在の私。


 いやでもアレかな、普通にゲームをプレイしていたら、服を脱ぎ捨てるという行為へと到る状況にならないのかな……? 街中で唐突に脱ぎ始めたらソレはソレで大変な事態だよね。んー難しい所ですね。


 そういえば……一番最初に身につけていた服は物凄い普通の服だった気がする。確かアイテムの名前も【普通の服 上】とかだった気がする。

 あれに一旦着替えてから脱げば良いかな?


 そうと決めたらパパっと行動あるのみです。

 アイテムボックスを開いて、久しぶりに最初期に装備していた服を探して装着します。

 パッと輝いた私の上着は物凄い普通の服になりました。


 うん、これならボタンを外してスポっと上に上げれば脱げるね。

 私が見慣れている普通ーの服です。


 あれ、でもこれ脱いだら中身ってどうなってるんだろう?

 ……あれチョット待って?

 ここで脱いだらもしかして私って上半身裸!? ねぇ裸なのかな!?


 凄い不安に駆られたので、グイっと襟の部分を前に伸ばしてから、胸の辺りを覗き込んでみましたが……あっ良かった、何かシャツっぽいのを身に付けている感じです!

 流石に人気が無いからと言って、こんな所で貧相な上半身ヌードをご披露するわけには行きませんので! 観客はメェしか居ませんし喜ばれませんからね!


 背中部分の乾燥が終わったのか、今度は仰向けになって4本の足を空へと向けて器用に寝転んでいるメェを眺めつつ、襟元のボタンを外してスポリと上着を脱いでみます。


 うん、私がお風呂上りに良くするTシャツ着用っぽい状態になりましたね。

 さらにこれも脱げたりするのだろうか。


 一応試してみるくらいは良いかな? と服の縁に手を掛けて上に引っ張り上げようとしたのですが……何か不思議なパワーでもって持ち上がらない状況に。ええええ!?


 このTシャツって手触りは凄い普通の生地ぽいんですけど!?

 も、もう一回チャレンジ!


 お腹の辺りの生地部分を両手でガシリと掴んで、グイグイ上へと持ち上げてみました。

 やっぱりビクともしない感じです。

 現実でこんな事をしたら、Tシャツが伸び伸びになってしまいますよ。


 あれかな、これ以上脱げてしまったらR18な世界になってしまうからかな?

 私はまだ17ですから一年早いですからね。

 いやまぁ、脱げてしまったらしまったで少々困るんですけどね。


 いやいや、そんな事に思考時間を割いている場合ではありませんでした!

 何か貴重な石が含まれている可能性に期待を籠めて、ささっと水際の石ころを大量に採取せねばなりませんね!


 非常に身軽な状態になった私は再度水際へと攻め入り、足元に転がっている石ころをガラガラと両手で掬い上げては、開いたままにしてあるアイテムボックスにザラザラと突っ込む、という何時も通りの強行採取を敢行いたしました。


 あれですね、蒸気機関車に石炭を投入するかの如く。

 掬い上げては流し込む感じで。


 アイテムボックス内部が【石】アイテムで溢れかえるだろうなー、という感じではありますけれど、一つ一つ調べている時間はありません。

 持って帰れるだけ持っていって、ゆっくりと時間の取れる後で如何にかするのです。


 採取の最中も、背後から小さいお魚さんがたまに近寄ってきて、ツンツンとふくらはぎ辺りを突いていくので凄い気になります。なんだろうか、私に付着している何か謎の物質を食べているのだろうか。


 大きく動いて移動するとススーっと逃げていってしまうので、そこまで脅威の存在と言う訳でもないのですが、頻繁に来られるとやっぱり気になってしまいますね……ってあれ?


 ちょっと今、凄いヤバイ事実に気が付いたのですが。


 採取でスタミナが消費されていると思い、水辺で身動きが取れなくなると最悪浅い所で突っ伏して溺死! なんていう大惨事が起こりそうかも! と気が付いたので。

 メニュー画面をひらきっぱなしで、常にスタミナ残量を確認できるようにしつつ採石作業していたのですが。


 あのですね。

 小さいお魚のツンツンでですね?

 私のライフバーが削れているんですけど。


 ちょっと私貧弱すぎやしませんかね!?

 お豆腐!? お豆腐なの私!? 本気で美味しく頂かれてますか!?


 いやあのですね?

 削れているといっても数%程なんですよ。

 すぐにこの場でグハァ! と腹部を押さえつつ蹲ってお亡くなりになる程では無いんです。


 問題なのは、あのくすぐったい程度のツンツンでもライフが減ってしまうと言う事実の方で!

 これ例えば足を滑らせて転んだら、私そのまま【死に戻り】しちゃうんじゃ無いですか!?


 もしかしたら、さっき足の裏が気持ち良いかもーなんてお気楽極楽に考えていた水際の石踏みも、大ダメージを受けて死ぬ可能性を孕んでいた訳で! 足の裏ゴリッゴリで死亡、とかいや過ぎますよ本当! 健康サンダルを着用して散歩していたら死亡みたいな? クレームを入れたら呆れられる死因ですよ!?


 いやでも、その石踏みでライフが減っていたのなら、すでに私はこの場所に存在していない筈ですよね……ううーん? どういう条件で私のVR肉体は豆腐化しているんだろう?


 いや普段から恐らく大分豆腐モードだとは思うんですが。

 魔素迷宮でスネを擦られたら死にかけましたし。

 うん、今思い出しても冷や汗物です。


 あれかなぁ? 今服を脱ぎまくっている状態だからヤバイのかな。

 防御力が0に近いのかも。


 と言う事は……私の予想ですと、普通に歩いたりジャンプしたり足の裏ゴリゴリした位なら、私のライフが減少する効果は無いみたいだけど、お魚さんからのツンツンは【誰かからの攻撃】と見なされているのかもしれませんね?


 それならば一応納得がいきます。

 まぁきっと、思い切り転んだり高い所から落ちたりしたら、流石にダメージを受けてライフ減少すると思いますけれど。普段の何気ない行動でライフ減っていたら気が気じゃないですものね。


 ラティアちゃんに勢い良く抱きつかれて死亡、とかある意味天国ですけどね?


 ある意味とんでもない光景だなぁーなんて思いつつ、小魚からの猛攻を頑張って避けつつザラザラとアイテムボックスに小石達を流し込む事10分程でしょうか。


 ついに、アイテムボックスに石が収納できなくなって外へと流れ出しました。

 おお!? ついにアイテムボックスの限界が来たみたいですね!


 それでも、物凄い量の石ころが私のアイテムボックスに収納されている状態です。

 実際所持していたら、水の中に沈んでそのまま帰って来れないくらいは余裕です。


 小さい穴くらいなら、石だけで埋め立てられる位の量を採取したんじゃないかな?


 特にあれこれ意識しながら詰め込んでいませんので、恐らく大部分はただの【石】とか【大きい石】みたいなアイテムだと思いますけれど、きっと1%位は価値のありそうなものが混ざっていると信じたい。


 もし無かったとしても……うん、私の体力くらいしか使ってないから問題なしだね。


 ずっと中腰で作業していた私は、特に痛かったりコリがあったりする訳ではないですが、その場でグイっと腰を逸らせてストレッチをしつつウーンと伸びをしながら水際へと向かって歩を進めますと。


 平たい岩の上で表になったり裏になったりしながら、楽しげに日向ぼっこをしていたメェが、私の動きを察知してミョン! と岩の上から飛び降り、脱いでいた靴の上へと着地しつつ4本の足でガッチリと抱えて、そのまま靴を持った状態で仰向けになり、ボヨンボヨンと背中で弾みなが私の方に来てくれました。うんうん、良い弾力だね……うん?


 ちょ……ええええ!? 何その画期的な移動方法!?

 君ってば色々と特殊な能力もちすぎじゃない!? 弾力移動なの!?


 ビックリしつつも、急いで両足を水中から引き抜いて陸へと帰還した私は、メェが持って来てくれた靴を受け取って履きなおします。そうそう、水中から陸に上がったときなのですが、普通だったら自ら上がった直後だと、ベットリびっしょりと水に濡れて足の裏に砂とか草とかゴミとか、色々とくっ付いちゃいますよね?


 でもココはVR世界だからなのか、例の水濡れアイコンがメニューに出ている位で、水中から脱出すると殆ど待ち時間を要さないで、足が乾燥した状態になってるみたいなんですよね。


 いや、ゲームシステム的には『水濡れアイコン』が出現しているので、乾燥はしてないのでしょうけれど、拭いたり乾燥を待たなくてもすぐに靴を装着して大丈夫な状態に! という事が言いたいのです。


 先日噴水に落ちた時は、すぐに服を着替えてしまいましたので、こういう水濡れに対する挙動を確認出来ていなかったのですよね。うむ、色々と検証が捗りますね。


 先ほど荷物を置いた平たい岩までメェと一緒に戻りつつ、アイテムボックスの中身を確認します。


 うわぁ……上の方は見覚えのある鉱石やその他アイテム類が収納されていますが。少し下の方へとアイテム欄をスクロールさせますと、石、石、石! 石だらけ! こんなに沢山拾ったのか。


 選別するときに小石の山が出来そうですね。

 これは街中で確認すると色々と迷惑行為になりそうだ。気をつけないと!

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