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017 門番の ガルドスさん

やっと門外へと旅立つのだった。

「その魔法のポーチは何処で売ってるんですか?」

「お、欲しいのかい? 祝福の冒険者なら習得の加護があるんだろう? 材料とスキルがあれば自分で作れると思うぜ? 確かぁ……【革細工】っていうスキルだったはずだよ」


 こめかみ辺りを押さえつつ兵隊さんが生産情報を下さいました。

 なんと自作ポーチが! お金のない私には素晴らしい朗報です。


 ここは勢いと欲望丸出しで【革細工】を即取得してしまいましょうか!

 材料どうするのだ私! まぁなんとかなるなる。


 どうせいろいろな生産に手を出してみる予定なので、【習得P】を2ポイント使って迷わず【革細工】を取得しました。


 後悔も反省もしておりません。折角の情報ですからね。革ということは身に付ける防具とかも自作できるかもしれません。そちらの方にも色々と期待を持って行きましょう。


 そしてピロリン♪と聞こえる練習クエストの音。


 おぅまいがっ! クエストとクエストでダブってしまいました。うぐぐ時間が足りぬぅ!

 ひとまず【革細工】の練習クエストは内容だけ確認しておきましょう。


====================================

 練習クエスト【革細工】


 クリア条件 ※ ラビの毛皮 三枚の入手 ※


 なめし革を作るために【ラビ】を倒しましょう!

 【ラビ】は【始まりの町】北側か東側の平原に多数生息する魔物です!

 他の冒険者などからの譲渡、または購入してもクエストクリアが可能です。


 報酬 【初心者用革細工キット】 一個

====================================


 【ラビ】とな? 薬草採取中に出会ったら頑張って戦いを挑んでみようかな。

 他のプレイヤーさんから頂くのは、お金がないので却下せざるを得ませんですね。


それにしても、またも初心者用キットが報酬ですよ! 基本的に生産スキル必需品のキット関連は、全部クエストで頂ける流れなのかな? 

 初心者用って書いてありますし、そのうち上位の物に乗り換えなくてはならないのでしょうけれど。お金が貯まったら、ですね。


「さっそく【革細工】スキル取得しちゃいました!」


 私がメニュー画面をグリグリと動かしている様を、物珍しそうに横から見ていた兵隊さんに親指をビシリと立ててご報告いたします。まだまだ【習得P】は残ってるから問題なし!


 そんな笑顔の私を見て、兵隊さんが素っ頓狂な声を上げました。


「おおぅ!? すげぇ即断即決だな!? 実は意外とやり手の冒険者だったりするのかい!?」

「うぐぐ、やり手の冒険者は装備忘れたりしないです、ハイ」

「あっははは! そりゃそうか! これから成長するさ、大物感があるぜお嬢さん!」


 豪快な笑い声を上げて兵隊さんが私の肩をポンポンと叩きます。

 慰めていただいてるのだろうか。ただ単に大ウケしているだけかな。ぬふー。


 とりあえず【革細工】の練習クエストのウィンドを閉じて保留し、装備品を身に付けることにしました。

 ボックスの中には【硬い木の棒】と【冒険者の服 上】【冒険者の服 下】【冒険者の靴】の四種類の装備アイテムが入っていました。


 アイテムボックスから装備を身に着けるにはどうするのかな?


 とりあえず方法がわからないので適当に武器をつついて見ます。普通に目の前に現れる【硬い木の棒】

 そりゃそうだよね、普通にボックスから取り出しちゃうよね。地面に落とすのもなんですのでグリップの部分を手で握って保持しておきましょう。うむ、しっかりと手に馴染むいい棒です。


 っていうかホントにどうやるのですかね!? ちょっと聞いてみよう!


「あの、私みたいな祝福の冒険者だと、武器防具を身につける場合どうやるんでしょう……?」


 まぁ当然というか棒は手に持ってれば装備している事になりそうだけど。


 身体に付けるタイプの防具は、やっぱり全部脱いでそれから着替えないといけないのかな? 更衣室みたいな所はあるのだろうか。出来れば無料でお願いします。


 でも他のプレイヤーさんは私と違って最初の格好してなかったし……

 一体どうやって装備変えたんだろう。

 あれか、こっそり路地裏で……いやいや、何か秘密があるのかな?


「そりゃ武器は手に持ってりゃ【装備】した事になってるよ。鎧はここじゃなんだが、着替えちまえば問題はないとおもうぜ……確かアイテムボックスの加護持ちなら、他の装備変更方法があるって聞いた事がある気がするんだよなぁ」


 なにやら首をかしげながら顎に手を当てて、兵隊さんが思案しております。

 その情報はとても! とても聞きたいです!


「是非! 是非是非! 教えていただけるとワタクシ泣いて喜びます!」

「大げさだなぁおい!? チョット待っててくれよ、他の奴等に聞いてみっから!」


 兵隊さんは呆れ半分笑い半分の微妙な表情で私にそう告げると、他の門前の兵隊さんに声をかけに行きました。って、今気が付いたけど他の兵隊さんニコニコ顔でめっちゃ笑ってる……


 ううう、醜態をお見せいたしまして……何時かは挽回せねば。できるかな。


 何かしようとすると、愉快な事になりそうなそんな嫌な予感がしたので、一番ボール君を呼び出して道の端っこにおとなしく座っておきます。


 やっぱり便利だなぁ一番ボール君。不安定さにも慣れてきたぞ。

 上に腰掛けたまま両足を上げても落ちないくらいは安定させれる! これはいける!


「お嬢さんなにやってるんだ? そりゃボール型の魔道具か何かかい?」

「そうです、一番ボール君といいます」

「へぇー、空中に浮いてるとかすげぇな、それ売ったら大金になるんじゃないのか?」


 これを うるなんて とんでもない!


「この世界に来て初めて手に入れた道具なので、とても思い入れがあるんです」

「なるほどなぁ、装備や道具に愛着がわくってのは良く判るぜ。俺も今の装備には愛着があるからなぁ」

「非常にお似合いだと思います」


 特別にあつらえた様な装備じゃなく他の兵隊さんと同じ見た目ですが、こう馴染んでいるというか違和感がなく溶け込んでいるというか。使い込まれている感じですね。


 二人してウンウンと頷きあっていると、兵隊さんがハッとしつつ声を上げました。


「いやいやいや! 装備談議じゃなくてよ、ほらさっきの話詳しく聞いてきたから!」

「あ、ありがとうございます!」

「えーっとだな、同僚の話によるとだな、アイテムボックスの装備を指でグッと押さえたら、ススーっと滑らせてメニューにあるお嬢さんの名前の所に持っていく? らしい」

「えーっと、アイテムボックスから指で保持してメニューに持っていくのかな……?」


 とりあえずアイテムボックスを開くと【冒険者の服 上】に人差し指を押し付けて、そのまま横に滑らせてボックスの外まで出してみます。


 お! ボックスから装備の表示が消えて、パネル外に出した指が青く光っていますね。

 これをー こうやってー? 【フワモ】の表示の所に持っていくのかなー?


 そして突然光り輝く私。大袈裟でも誇張表現でも御座いません。

 まさしく光ってます。でも眩しくない。


 そして身につけた服が変形するように形を変えていきます。

 光が収まると上着の見た目が変わっていました。これは成功なんじゃないかな?


 っていうかこの現象、リアさんが服装変えたときとそっくりだ!


「おお、やったなお嬢さん! 装備変更できてるじゃないか!」

「あはは、色々とお世話をお掛けいたしました……」

「なーに、そこは冒険者として町の発展に貢献してくれればいいからよ!」


 素晴らしいイケメン発言。ニヤリと笑った顔は悪役っぽいですけど。

 これは頑張って色々と生産して、町へ還元せねばいけませんね!


 とりあえず【冒険者の服 下】と【冒険者の靴】も身につけてしまいましょう。

 先ほどと同じ操作をしてパパっと装備変更。いやーこれは楽ですねー。


 【硬い木の棒】はそのまま右手に持っていくことにしました。これは何か棒を挟んだり括ったり出来るような入れ物的何かを手に入れたほうが良さそうです。

 片手がずーっと塞がったままでアイテム集めはホネが折れますよね。


 【革細工】でベルトとホルスターみたいなの作れたらいいなぁ。


「それじゃ今度こそ、薬草のヤロウの所へ出発だな!」

「あいあいさー! 吶喊いたしまーす!」


 ビシリと兵隊さんへ敬礼! 貴方の勇姿は忘れません。あ、お名前きいてない!


「自己紹介が遅れました! 私は新米冒険者のフワモと申します!」

「おお、俺は【ガルドス】だ。まぁ見ての通り門番やってるよ。大体ここで仕事してるから、俺に出来ることでもあったら声かけてくれよ!」


 お世話になりましたガルドスさん! では行って参ります!

週末はちょっと忙しいので、早くて日曜、またはそれ以降の更新になると思いますー

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ノリがいいね〜門番(笑)
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