173 メンテ 告知 と 山登り再開
一体何と戦っているんだ。
出発する前に、まずは現在身に付けている装備の再確認です。
魔素迷宮内での戦闘や脱出時のドタバタで、無くした物があったりしないか確認しておかないとね。
とはいっても、腰周りに色々装着している状態なので、外れてたりしたらすぐ判るんですけれど。
おっと、ランタンが点灯しっぱなしになってました。
もうお空も明るくなり始めてますし、スイッチを切っても大丈夫でしょう。
暖房具はー……燃料もまだ大丈夫そう。燃費いいですね? 流石です。
よし、特に壊れたり紛失してしまっている物は無さそうです。
アイテムボックスの中身もついでに確認しましたが、例のちょっと珍しい感じの鉱石と魔石が色々、あとは先ほど収納した宝箱やカーペットがあるのを再度確認できました。
うむ、こうやってアイテムとして表示されているのを視認出来ると、また違った喜びがありますね。自宅っぽい場所があるんでしたら自分で使っても便利そうなんですけどね、この二つの収集品。
でもお部屋の大きさとカーペットのサイズが合致しないと、使うにしても厳しいかな。
このカーペットって結構綺麗な模様が入ってますし、刃物でカットして使ったりはちょっと出来無そうなんですよね。見た目がチグハグになって微妙な感じになる事請け合いです。
まぁ自宅的な物を手に入れる手段がそもそも判らないんですけどね。
むしろログアウトすれば寝泊り等問題ないこの世界で、自分の家と言うか部屋と言うか、そういうプライベートな場所が必要なのかと言われると、ちょっと困るんですけどね……私達祝福の冒険者、つまりプレイヤーにとっての宿泊施設と同じ様な理由ですね。
何か作業したり集まってワイワイする為の場所としては、実は便利なのかもしれません。
でもやっぱり、私個人で何かしら利用する為のスペースを確保する、というのは……まぁどう考えても購入費維持費その他諸々の無駄が多すぎるかなーとも思います。
ポーションだって公園でノンビリと作成する感じで、特に目立った問題も無く活動できていますからね。
やっぱりあれですね、金属加工やその他大きい装備品作成みたいな、どう考えても一つ一つに大幅な時間が掛かるような難しそうな生産スキルをお持ちの方ならば、私と違ってジックリ作業できる自分専用の拠点の様な物が欲しかったりするでしょうね。
きっと、鉱石だって多分溶かしたりして内容物をゲットする感じですよね?
その辺りの金属関係知識は私には良く判らないのですけれど、コンパクトサイズの器材で煮込んだり磨り潰したりろ過したりするだけで良いポーション作成とは、一線を画す難易度じゃないかなーという予想だけはつきます。
実際問題、全くの素人がいきなり金属系の生産スキルを取得して、そのままの勢いでアイテム作成に踏み出す、ってVRゲームだとしても大分無茶なんじゃないかな? って思うんですが。
皆さんその辺りはどうやって解消しているんでしょうね?
本を読んだりするだけで、私にも簡単覚えられるものなのでしょうか。
あーでも、シャーリーさんがアクセサリを自作しているというお話でしたし、手持ちの銀鉱石をどうにかして何かアクセサリを作ってみよう、と画策した私の考えは間違っていなかったかもしれませんね。
シャーリーさんは趣味で作ってるーって仰っていた位ですし、生産スキルとしての難易度はさほど高くないだろうという予想がつきます。こう、ノリやニュアンス重視でナントカなるイメージが私の中に有りますよ。
色々と事が済んで町に戻ったら、アクセサリ系の生産スキルを調べたりしてみましょう!
とは言っても指輪とか幾つまで身に付けれるんでしょうね?
全部の指に填め込んだりできるのでしょうか?
……うわー、全部の指にキラッキラで大小様々な指輪が装着されている光景を想像すると、凄い成金趣味で見た目の印象が悪そうだぁ!
むしろ右手に指輪だらけ! とかになると、絶対武器が持てなくなっちゃうんじゃ?
ゴリゴリと握り部分に指輪が干渉して、上手い具合に保持できないよね多分。
さっき宝箱持ち上げるときにもゴリゴリ対象に干渉してたし、大量に指輪を付けても手先の動きには干渉しませんよーなんて都合のいい事はないよね。
あっ指輪で思い出した、さっき頂いた指輪仕舞ったままだったよ!
取り出して装備しなおしておきましょう! 色々と上昇する効果があった筈ですのでね!
アイテムボックスから指輪を取り出して左手に付け直します。
うむ、バッチリ装備完了です!
おっと、あまりこんな所でノンビリ色々考えている場合では有りませんでしたね。
カーペットや宝箱の身の振り方は、後々詳しい方にお伺いして如何にかするとして……今はこの場所から山頂へ向けて出発すべく行動を起こしませんと。
早朝の空気を感じつつ、簡単な準備運動をして数度深呼吸をします。
ゲーム内なので、効果があるかは未だ謎ですが……毎度お馴染みの何となく気分で一応やります。気持ちの切り替えという奴ですね。
こうやって頭上に見える空を眺めつつ身体をグイグイ伸ばしておりますと、先ほどまで洞窟っぽい場所にいたせいなのか、清清しくすっきりで新鮮な気分になりますね。朝が来ました。
それでは水筒を取り出して、湧き水のところで中身を補充しましょう。
奥まった広場から細い通路を進み、例の湧き水が滾々と出ている場所まで戻ります。
周囲を見回すと、なにやらテントっぽい物や、さらには小型のテーブルと思わしき物を展開して、生産作業っぽい事をしている方々がチラホラと見受けられますね。
ああそっか、湧き水で水を補給できるから、ここでポーション作成している人達が居るのか!
これ、私もちょっと作業していった方が良いかな?
……いや、駄目です、ここでノンビリ生産作業をしている時間は恐らく私には残されておりません。
明日は学校ですし、あまりゲームをしていると寝る時間がデンジャラスです。
残念ですが諦めて、水筒の補充のみに勤しみましょうか。
でもあれですねぇ……こうやって外に出てVR太陽の光を身に受けて思いますが、多分ゲーム内時間に換算しても、それほど長時間経っていないと思うんですが……ようやくココに戻ってきたーって言う感覚がヒシヒシと心の中に溢れ出てきますね。ただの水のみ場なんですけどね。
そもそもが、あの魔素迷宮入り口へ到達する空間の裂け目を発見した事自体、イレギュラーな出来事だった訳ですからね。
最初は岩虫君に釣られる形で奥へ進んでみた、という迷宮とは何ら関係の無い理由な訳で。
そして、魔素迷宮で新素材を沢山ゲットし、初めてのパーティプレイを体験、プレイヤーさんのお名前を4人分も聞く事が出来てしまった私。
つまり、既に私の冒険ハートが感極まり、思わずこのまま帰っても良いやと思ってしまう位に『やり遂げた感』で一杯になってしまっているのも、状況を鑑みて致し方ない事態なのでは無かろうかと。
すでに心に大いなる達成感。
そう、当初の目的と違う行動で有るにも拘らずですよ!?
いやいやまだです、まだ私の冒険は終わっていない筈ですよ!
気合を入れるのだ私!
あの魔素迷宮では、若干と言うか大分ゴリゴリした物体ばかりと遭遇していましたし、結局柔らかくて私との接触に優しい感じのモノと言えば、宝箱の内張りだけだったじゃ無いですか。
目的未達成なのは言うまでも無いですよ!
コレでは駄目なのです。
冒険旅行の目標を達成したとは到底宣言できない由々しき事態です。
そもそも軽いノリで突入した魔素迷宮だった癖に、新素材を発見した影響で調子に乗って進みすぎてしまった事が悪いのです。
そう、私には自重、自重と言う観念が不足していたのです。
でも、でも良いんです!
毎度お馴染みの、反省はしていますが後悔はしていないアドベンチャーだったのです。
使える素材があれば本望です。
いやそれで良いのか私。
いやいや、良いんだ私。
湧き水の源泉部分に水筒を突っ込んで、ゴボゴボと水筒の中に水が注ぎ込まれている様を、半分上の空でジーっと眺めつつ……心の中で私Aと私Bによる無駄な自問自答を繰り広げておりますと。
唐突なタイミングで私の顔の前に、毎度お馴染みの音と共にメニュー板が出現。
あまりにも突然の出来事、そしてビックリ&気も漫ろにボケーっとしていた弊害で、バシャリと水筒を湧き水のたまり場に落としてしまいました。
なっ何事ですか!?
いや先に水筒を拾って蓋閉めてと!
良し、これで良いでしょう。
ゴボゴボと沈んでしまっていた水筒を拾い上げ、アイテムボックスに収納した所で、なにやら周囲がザワザワしている事に気がつき後ろを振り返ります。
あれ、このメッセージメニュー板は、私だけじゃなくてプレイヤーの皆さん全員に届いている様ですね?
内容を確認した方々が、各々会話をしつつ内容部分にゆびを指したりして話し合っていますね。
どうやら運営さんからの公式メッセージの様です。
どれどれー? 私も運営様からのメッセージを確認しましょうか。
『【お知らせ】 ゲーム内アップデートの為 0時丁度からメンテナンスが開始されます。プレイヤーの皆様は データ保護の為 メンテナンス開始前に 速やかにログアウトして頂けるようお願い致します』
ふむふむ?
今現在早朝の夜明け直後位だから、恐らく現実での現在時刻は夕方6時を過ぎた位だよね。
でー0時に開始って事はー……あと6時間? ゲーム内の制限時間は残り12時間位か。
よーし、色々と余裕を持って進める感じで、お昼を過ぎた辺りにはログアウト出来るようにしておこう!
何やら『データ保護の為』っていう怖い文章が表示されてるもんね!
早め早めで行こう! と実行できるかは謎な予定をとりあえず立てておりますと。
何やら周囲から聞こえてくる会話で、よーし制限時間ギリギリまで迷宮攻略プレイするかー! みたいな事を仰っている方ばかりで驚愕です!
えええええ皆さん頑張りすぎでは!?
えっ、何々それともこういう場合はギリギリまで頑張るのが基本なんですか!?
皆さん、魔素迷宮攻略に身体を張りすぎじゃないでしょうかね!?
熟練冒険者風に『掛かって来いよメンテナンス! ギリギリまで相手してやるぜ!』という感じでプレイできるようにならないと駄目ですかね!? そんな無茶な!
初心者で素人な私には、熟練者で玄人なプレイヤーの方々の真似は出来そうに無いです……無茶せずに出来る事を進めることにしましょう。うんソレが良いです。
それにしても皆さん凄いですよね……もうなんというか、本当に色々とプレイに慣れていて凄い! という言葉しか出てきません。
こうやって湧き水の所でポーション作成をしている所もですが、なんと言いますか、そう。
外で活動する事に非常に慣れている感じ、と言ったら良いのか。
やっぱり他のVRMMOゲームをプレイしていた事のある方々だと、そういった部分の知識が多いのでしょうかね。
んー、私が前プレイしていた【ふわもこファーム】から何か活用出来そうな知識といったら。
……えーと……巨大な毛玉をブラッシングする能力とか。
柔らかいものを愛でる心持ちとか?
あと柔らかい動物をクッション代わりにするスキルも高いかもしれません。
うん、特に役立てられそうなモノが無いね! 悲しみ!
まぁ無いものねだりをしても仕方がありません、今現在持っている手段でやり繰りするのが先決ですね。幸運にも機会に恵まれ、パーティ結成の仕方やアイテム交換の方法も教わる事が出来ましたし、これからも少しづつ自分のペースでいろいろな事に挑戦していきましょう!
気持ちを切り替えて気合を入れなおした私は、山頂へと続く山道へと第一歩を踏み出します。
とりあえず山頂を目指すのです! 当初の予定通り山頂についてから色々と考えましょう!
※ 何をやっているんだお前は ※
今回の更新分、一気に書き終えた後に、寝ぼけて保存を忘れて一回全部消えました(死
やっちまったー! と愕然としました、ええ(汗
もっと小まめに保存しろコノヤロウ! と過去の自分に言い聞かせたい(汗
最初に書いた内容と微妙に変わってる所があり、色々と心残り。
コレだから勢いで書いている奴は駄目なんだ! バカバカ!(自傷行為




