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171 パーティ 解散 と 強引 採取!

箱から足がはえる。

あと尻尾も。

 恐らく確実に、非常ーに気持ち悪いニヤニヤ顔をご披露してしまっている、と思われる今現在の私ですが……初宝箱報酬ゲットの喜びは隠し切れるものではありません。


 尻尾だって楽しい気分に反応してワサワサする程度には気分高揚です。

 うむぅ……この指輪の外見、派手すぎずシックに纏まっていて良いですね!


 左手を顔の正面に翳して眺めつつ、こうやって私も強くなっていくんだなー主に装備品の力でね! と心の中で力強く頷いていると、バタンと中身の無くなった宝箱を閉めたエリナさんが、パンパンと手のひらを叩き合わせて皆さんに声を掛けます。


「はいはーい、それじゃアイテム分配も終了しましたし、そろそろ脱出しましょう!」

「はーい了解ー!」

「そうだねー結構時間経っちゃったカナ?」

「我、大満足」


 エリナさんの号令に従って、皆さんが各々帰りの支度を始めました。

 私もそろそろお暇しないと、例の制限時間に引っかかって外にバチーン! と弾き飛ばされる事態に陥りますね。流石にソレで町に強制送還されるのは悲しみが絶頂ですのでご遠慮したいです。


 じゃあ戻りましょうかーという感じで、皆さんとご一緒に例の石版へと足を踏み入れようとしたその時。ふと、この部屋についてのある事実に気が付いてしまいました。


 そう、これは……これはこのまま一緒に帰還するわけには行かないのでは!


 戻ってもそのまま解散になるだけだと思いますし、ここはちょっと早めになりますが……パーティを抜けて単独行動へと戻る頃合なのでは。主に私の知識的欲望を満たすために!

 だって気になりますからね色々と!


「あのあのー! 私、もうちょっとだけココに残ろうと思います!」

「ええ!? なんで!? 何か忘れ物?」


 案の定と言いますか、当然の結果の様に……エリナさんがビックリした表情で私の方へ振り返りました。他の方々も首を傾げつつ私に視線を向けてきます。えーっと忘れ物と言いますか。


「ちょっとギリギリまで、そのへんの物を適当に色々採取してから帰ろうかなーと思いまして!」

「うわぁ頑張るね!? 余り制限時間残ってないっぽいけど気をつけてね!?」

「ははーぁなるほどねー、いやぁ生産職に命をかけるスタイルだね! そのプレイスタイル好き!」

「無茶をして、怪我しないように気をつけてくださいね!」

「うむ、我が同胞よ、気をつけて往くが良い」


 時間制限ギリギリまで残って貪欲に色々と持って帰りたい、という算段を立てている旨を掻い摘んで説明いたしますと、皆さん笑顔で見送って下さいました。


 あっパーティから離脱する方法が良く判りませんでしたので、エリナさんに丸投げしてしまいました。本当にどうもありがとうございます!


 パーティの皆さんが笑顔で手を振りつつ、石版の上に乗って光に飲まれて帰還していく姿を、此方も手を振ってお見送りしまして。さてさて、制限時間は限られております。


 一人になったこの部屋でやる事と言えば……そう、そこに落ちていると言うか敷かれているカーペットっぽい何かとか、空っぽの宝箱とかを持って帰って活用するのです! 全ては私の素材となるのだ!


 まぁカーペットっぽい物は、多分グルグルと床で転がして丸めた後に、両手で持ち上げて収納すれば行けると思うのですが。問題は空の宝箱の方です。


 あれが床にくっ付いていたりするとアウトですし。

 重すぎて私が持ち上げられない代物だったりしてもアウトです。


 まぁ余り無茶をして下敷きになったりしなければ大丈夫かな?

 持ち上がらなかったら素直に諦めて戻る事にしましょうか……でも、折角だしギリギリまで頑張ろうとは思いますけどね!


 さて、まずはこの宝箱を移動させる事が出来るのかを、私の貧弱な両腕を駆使して確認しましょう。


 色々と、表面に模様っぽいモノが刻まれている空っぽの宝箱の横に両手をあてがって、よいしょー! と力一杯押してみます。ふんぬぐぐぐ! 動けー!


 グイーっと両手を正面に突き出して頑張って押してみましたが……ビクともしません。

 ぬぅぅ、中々強情な奴じゃないか! ソレならば!


 今度は体の側面と両手を箱に押し付ける様な感じで、低い姿勢で両足を踏ん張って押してみます。ぱっと見でタックルを箱にぶつけている様な格好ですね。


 まぁ強引に押しているだけですけどね! どりゃー! これならばどうだ箱め!


 お! ズリズリと箱が移動している感じが、ズゴゴと身体に振動として伝わってきましたよ!

 やっぱり手の力だけで押そうとしたのが間違いだったんですね。

 やっぱり下半身ですよ下半身!


 スポーツ選手のインタビューとかでも、やっぱり下半身が云々って頻繁に聞くフレーズですよね! 私は素人ですけど。


 大分苦労しましたが、何とか高台になっている部分の端っこまで、空箱を移動させ終わりました。いやーこれ持ち上がるか不安になってきたなー……まぁこっちは無理なら無理で仕方が無い! という思いで次に進もう!


 よーし、次はフリーになったカーペット採取を開始!


 ……ってこれ『採取』って表現で良いんだろうか。

 あからさまに『盗難』っぽい事をしている気がしますが。


 いや、持ち主っぽい存在である例の巨大ボスゴーレム君は、既に七色の光になって天に召されてしまっていますし、大丈夫ですよね? 大丈夫だと信じたい。


 遺品の無断回収とは言わないで下さい。

 倒した報酬の一環としてですね? 頂きたい所存な訳です。


 でも出来れば他のプレイヤーに見られたくない所業では有ります。


 そんな事を考えつつ行動を開始しましたが、少々不安指数が心の中で上昇してしまい、思わず何度か誰も居ない筈の室内を見回してしまう位には挙動不審。いやいや、駄目だ、急がないと危ないんですってば。


 とりあえず急ぎ足でカーペットの端っこまで移動して、ヨイショと捲り上げてから裏側をチェックします。うむぅ、やっぱりこの構造からして、多分ですがカーペットっぽい作りになってるのは確定だと思われます。


 あーカーペットと言えば、寒い時期に自宅の床が冷たくなって非常に足の裏に対して優しく無いので、そういう場所に何か敷きたいなー、なんて先日漠然と考えてた記憶が蘇ってきました。


 うーんお父さん帰ってきたら、何かマットみたいなので良いから買って欲しいなー、って少しおねだりして見ようかな。


 あー、でも乾燥機買ってもらっちゃったし、流石にダメーって言われるかなぁ……まぁ良いや! 今はこの足触りの大変グッドな、フワリンカーペットを持って帰る事に専念しましょう。


 先ほどの計画通りに、端っこをグイグイと丸めつつゴロゴロ転がして、カーペットを棒状に巻き取る作業に入ります。

 ぬふぅ! ある程度厚みのあるカーペットだから、転がして丸めるとドンドン太く立派になっていくぞ! コレ持ち上がるかなぁ!?


 ゴロゴロと中腰でカーペットを転がす事、大体数メートル。


 うんうん、コレなら何とかなりそうかな?

 中腰で作業するのは腰に来そうですが、腰痛の状態異常は未だ発現する兆しを見せておりません。


 頑丈なVRボディで良かったですよね。

 まぁ頑丈さと力強さは比例している訳ではないですけど。


 極論で言うと、致命傷を受けてしまっても『大丈夫 無事だったんです』って町に戻れるんですからね。そりゃ頑丈でしょう。


 徐々に太さを増していくカーペットロールを押しつつ、更に数メートル進みまして。

 無事に……巻き取り完了です。さてさて! ココからが本番です。


 いくら腰を破壊してしまう危険が無さそうだ、といって強引な作業を開始しましても、重量問題で持ち上がらない物は持ち上がらないですから。


 えーっと、まずは巻き取ったカーペットを円柱のように立てて……両腕でガッチリ抱きついてぇーこのままバックドロップの要領で……胸の部分に乗せる感じで。


 腰を使って強引に持ち上げる! ふんぬぅぁー!


 心の中で気合の叫びを上げつつ、何とか床から数センチだけカーペットロールを持ち上げる事に成功しました!

 抱きかかえたカーペットロールが激しく圧し掛かった状態で、加重の何割かが持ち上げモーション中である私の顔面、と言うか右頬っぺた辺りに掛かって、口が『3』みたいな事になっていますが誰も見ていないのでセーフです。


 モニョモニョと口を動かしてボックス収納を宣言、スッと消えるカーペットロール。


 うへぁー! これ後で取り出したら、再度収納するのにまたこんな重労働を強いられるのかぁ! コレは取り出す場所を考えないと大迷惑確定ですよ!


 使うにしても、素材にするにしても、売るにしても、その点は確実に気をつけよう!


 私がカーペットとの激しいプロレスに終止符を打った辺りで、ピローン♪ という音と共に何やら毎度お馴染みな半透明のメニュー板が私の前に出現いたしました。


 ぬぬ!? もしかして持っていったら怒られちゃう系アイテムでした!?


 何時でも返却する気満々でアイテムボックスを開いてから、不安たっぷりな状態でメッセージ内容を確認します……一体なんでしょうかシステム様。


『魔素迷宮 消失まで あと3分』


 あーそうなんだ! わざわざ警告出して下さるんですか!


 これは助かります!

 っていうかそっか、そりゃ30分で弾き飛ばされるよっていう情報が出回ってるって事は、何かしらその情報に対する検証作業があった訳で。

 このメッセージから色々逆算したりしたんでしょう!


 あれ、でもそうなると……実は魔素迷宮って、既に何度か発見されているっていう事でしょうか?


 私ってば今の今まで、魔素迷宮発見のメッセージが送られて来たりした事とか全然無いんですけど!?

 まさか、私だけコミュニティー系ネットワークから、ピンポイントで除外設定されてたりします!?

 ひどいよ【黄昏の大神】(プログラム主任)様!


 いや、もしかして私がログアウトしている時に発見されたのかも!

 それなら納得出来ます!

 出来ればそうあって欲しいという願望が9割! 1割は諦めで出来ています。


 等と無駄に考え込んでいたら、表示時間が2分になってました。うわー!

 いかーん! 箱を、箱を持って帰らないと勿体無い!


 とりあえず高台に駆け上がった私は、箱の両側に手を伸ばし、気合を籠めつつ頑張って持ち上げてみようとしましたが……そりゃ私の弱い腕力で持ち上がるわけも無く。んあーやっぱり無理なのかなーこれ。


 というか垂直な面に手を添えて持ち上げようとしても、摩擦係数的な問題で滑って持ち上がらないですよねコレ!


 手袋というか軍手みたいなのがあれば、微かに望みがあったかもしれません。

 いや、腕力的にヤッパリ無理かなコレ。


 ああ指輪がガリガリ宝箱に擦れてる!

 傷ついちゃう! 外しておこうコレ!


 焦ってアレコレと考えつつ指輪を収納、何か手段は無いか物理に対して強くない私の脳みそで考えましたが……そもそも使えるような道具がない時点でアウト。


 表示されている残り時間は1分を切りそうに……んあー何か手段は!

 そっそうだ! こうなったらアレだ、アレでチャレンジしてみよう!

 ちょっと危険だけど行ける! 腰と下半身を使うんだ! ごーごーごー!


 ガツンと箱に肩を当てて箱と床の間に隙間を作り、そこに棒を捻じ込んで箱を横倒しに!

 棒を腰に戻して……宝箱に上半身を突っ込んでからのー!


 ふんにゃあ! どうだ! 持ち……上がってはない!?

 いや引きずり気味だけど運べてるから、これでワンチャン行ってみよう!


 こうして……宝箱を上半身にかぶった状態、というか上半身が宝箱的な魔物に食われている様な状態になった私は、全身の筋力を使う感じで、半ば引きずる様に宝箱と共に移動、転送用の石版へと何とか到達ぅ!


 これで向こうに戻ったら宝箱が消えてた、となったら諦めも付きます。


 残っている状態だったなら、向こうでゆっくり時間を掛けてどうにかする算段をつけましょう!

 いまは時間が無さ過ぎるし脱出が先決です! 目指せ安全な場所!

※ またやらかした ※


予約投稿の日付、また明日で設定してた……申し訳ないorz

深夜に更新してると、何だかたまにやってしまいます……

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