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170 初の パーティ 初の 報酬!

薬指には付けません。

 魔法使いさんこと、デミウルゴスさんからの激しい賛辞をありがたく頂きつつ、エリナさんからボス撃破後、余りノンビリしていると宝箱の中身を取得する前に弾き出されちゃうね、というお言葉を頂きましたので、さっそくそのボス撃破報酬のお宝が入った箱、とやらとご対面する流れになりました。


 向かった先は私が先ほど避難する為に突入した扉。

 あーあの部屋ってそういう場所だったんですね。


 ボスを倒す前だったから明かりが灯っていなかったのかな?

 とすると……ははーん? 判ったぞー!


 あの恭しい感じでカーペットの様な物が敷かれていた高台は、宝箱が出現する場所ですな!

 色々と謎が判明して気分爽快!


 私が頭の中で色々と予想を立てつつ、皆さんの後について扉の向こうへと移動しますと、やっぱり想像していた通りの光景が目の前に広がっていました。


 細部の作りが凄い豪華な、人が一人余裕で中に隠れられそうなサイズのまさに宝箱! という主張が激しいボックスが、先ほど何も無かった筈の場所に出現しております。あれがボス討伐報酬!


 エリナさんが箱に近づいて、おもむろに留め金部分を外して上蓋を持ち上げますと……ゲーム等で良くある感じの眩い光がピカァー! っと箱の中身から溢れ出てきました。定番の演出ですね!


 目を細めて経過を見守る事数秒、光が収まった箱の中身をエリナさんが覗き込みます。

 さあ一体何が入っていたのでしょうか?


 続々と宝箱の周囲に移動し始めた皆さんの後ろに続いて、素早く箱に近寄った私も他の方と一緒に箱の内容物を確認するべく、背伸びしつつ宝箱の中を覗き込みます。どれどれ!


 箱の中身は何やら布張りでクッションっぽい印象のフワフワっとした感じの作りで、そこに幾つかの装備品っぽいモノが見えます。


 内容物が傷付かないようにワタでも詰まってるのかな。


 まず最初にエリナさんが取り上げたアイテムは……何だろう?

 金属のパーツが幾つか取り付けられている手袋っぽい装備品かな?


 エリナさんは、両手でもったその装備品をクルリと引っくり返して裏を見たり、手を突っ込む部分から中を覗いたりしながら、こちらで興味深そうに見ている皆さんが、その手袋を良く確認出来る様に差し出してきました。


「どうだろうねコレ、手袋っていうよりは篭手って感じかな? 誰か使う人いる?」

「んー、弓を引くときに邪魔になりそうですし、私は必要なさそうです」

「お! 私ちょっと興味ある! これで殴ったら強そう!」

「無骨な装備は私には合わぬ」

「あっ、えっと私も大丈夫です!」


 私とデミウルゴスさん、シャーリーさんとティムリンさんで手袋を片方づつ受け取り審査した結果、格闘で攻撃する時の武器装備として、ティムリンさんがこのゴッツイ手袋アイテムを取得する流れになりました。

 ティムリンさんは今までも、何やら硬そうな金属がコブシの部分に貼り付けられた、指の部分が出ている手袋の様な物を装備なさっていたみたいなのですが、今回手に入れた物は、肘の下辺りまでをガッチリとカバーする感じの頑丈さマシマシな見た目です。


 一旦アイテムボックスに手袋を収納したティムリンさん、アイテム名や等級を確認なさってますね。


「ふむふむ【頑強 な 大地 の 鉄鋼篭手】だそうです! 等級は 貴重(レア)で品質は☆7だね」

「確か、今まで使ってたのって、確か町で間に合わせ感覚で揃えた店売り装備だったし、攻撃面で大分強化出来たんじゃない?」

「うんうん! いやーぁなかなか手に馴染む感じ! 町に戻ったらギルドで鑑定依頼して詳細確認しよっと!」


 ガツン! ガツン! とコブシ同士を胸の前で打ち合わせながら、ニッコリ笑顔のティムリンさん。新たなる武器をを入手でご満悦のようです。


 やっぱりお宝入手タイムは楽しいですね!

 見ているだけでも楽しめるこの臨場感です。


 お次にエリナさんが取り出したのは……マントですね?

 黒と灰色の中間? っぽい落ち着いた色彩の物です。


 厚手で包まったら温かそうな見た目をしてます。


 といいますか、マントが宝箱から取り出された瞬間に、デミウルゴスさんが左手で自分の顔を指差しつつ、ビシッビシッと右手を上に突き上げる挙手を繰り返しております。激しい取得主張ですね!?


 無言でシャーリーさんとティムリンさん、それに私へ目配せするエリナさん。

 ええ、勿論私はこのポンチョがあるので必要ないです、はい。

 他のお二方も笑顔で首を横に振っておりました。


 微妙に苦笑いっぽい表情で『わかったわかった!』と声を掛けつつ、マントをデミウルゴスさんに手渡すエリナさん。マントを受け取ったデミウルゴスさん、フンスと鼻息も荒くバサっとその場でマントを開くと、手触りや色合いを再度確認なさっていました。


 ローブ姿にマント装着で、更に怪しげな魔法使い感がマシマシですね。


 素早くボックス収納でマントを仕舞ったデミウルゴスさんは、即座にメニューからマントを装着なさってました。


「馴染む、馴染むぞ!」

「わー! 凄いお似合いですよ!」

「ふふっそれほどでもある。性能も中々満足」


 ニュイっと口角を両端に伸ばす感じでニンマリと笑ったデミウルゴスさん、杖を持ってビシッビシッと幾つか決めポーズっぽい感じのモーションを取っておられます。

 動くたびにマントがはためいて非常に見た目がゴージャスですね。

 アレイアさんと初めて出会った時も思いましたが、こう、マントという装備品はファンタジー感が強くて良いですよね!


 ココに来て自分がマント好きだと言う事が自覚できましたよ!

 装備する方ではなく見て楽しむ方ですけど!


「効果はどのような感じなんですか?」

「【密やか な 大地 の 厚手マント】 貴重(レア)で品質☆6、隠密と耐火と土属性の強化」

「色々付いてますね!」

「何より見た目が好き、嬉しい」


 マントの端を両手で摘んでバッサバッサとしておられます。

 新装備取得により楽しそうで何よりです!


 私とデミウルゴスさんがワイワイと会話している最中に、3個目の取得品を宝箱から取り出すエリナさん。今度は……多分棍棒かな?

 角ばった形状をした握り手の付いている金属棒のような物体ですね。


 なんというか……そうそう、削ってない巨大な鉛筆っぽい見た目です。

 握り部分が細くなってる感じ。


 棒なのかな? それなら私でも使えるかもしれないけど……ちょっとサイズが大きすぎる気がします。と言うか金属であの太さと長さって、多分と言うか確実に私じゃ持てないです。みっちり重すぎて。


 エリナさんが私の所持している武器をみて、此方に目配せして下さいましたが。


「あっ、大きすぎて多分振り回せないと思うので、大丈夫です!」

「そうだよねぇ、このサイズじゃ棒っていうよりは完全に鈍器だよねぇ……武器分類はどっちなんだろう?」


 一旦収納して確認するねーと告げたエリナさん、ささっと取得アイテムを収納してからの詳細確認。その後何か納得したかのように数度頷くと、アイテムボックスから先ほどの巨大金属鉛筆を取り出しなおしました。


「やっぱり棒じゃなくて重鈍器武器だったよ。ハンマーとかメイス分類だね…… 貴重(レア)で品質は☆6の土強化と土属性つきみたい」

「ハンマー……じゃあ、エリナさんにピッタリじゃないですか?」

「貰っておこうかなぁ……使わないとしても後で鋳潰して素材にも出来るし……」


 巨大金属鉛筆を右手一本でブンブン振り回していたエリナさん、暫く考え込むと一度強く頷いて私の方へ顔を向けてこう仰いました。


「よし、じゃあ私はコレ貰うことにするね!」

「はい、どうぞどうぞ!」


 と言うか、その巨大鉛筆って重量的にそんなに軽々と振り回せるような物じゃ……ないような気がするんですが。マッチョ系女子なのでしょうか。


 俗に言う強い姉御タイプなのでしょうか。やっぱり頼りになりますね!


 アイテムボックスに巨大鉛筆を収納しなおしたエリナさん、残ったアイテムを同時に箱から取り出しました。

 一つは指輪みたいで、もう一つはネックレスかな。

 RPG系で良くあるアクセサリ系装備という奴ですね。


 ここまで【調薬】や【革細工】スキルっぽいアイテムは出てませんし、ココは残り物をありがたく頂く形にしましょう。むしろ下手に生産スキル用アイテムが出たりして、ソレを問答無用で頂いたりしていたら、私のハートが申し訳なさ100%で縮こまって居た所ですし。


 もう、こうやって一緒に宝箱のアイテムで一喜一憂してるだけで、何だか凄い満足感が溢れ出てきているんですよね。

 うん、判った、判りましたよ。

 私パーティプレイ楽しいかも。

 積極的にレッツパーリィ! とは言えないかもしれないけれど。


 パーティプレイに行けそうな場合は精神ポイントを大量消費して、頑張って実行してみても良いかもしれない。

 自分から誘うのは難易度高いですから、お誘いが来た時になるべく積極的に……いや、消極的じゃない位の通常運行位かな……いや失礼にならない程度にご遠慮モードで推し進める位が良いか。


 何せ双方全く見ず知らずの他人状態からの接触ですからね。

 全然慣れて居ない私なら慎重に行う位がいいはず。


 うんうん。脳内でのシミュレート自体はほぼ完璧です。実践頑張ろう。


 等と、私が余り性能が良いとはいえない頭脳を回転させて、取らぬ狸の皮算用をしておりますと、両手それぞれに指輪とネックレスを持ったエリナさんが、シャーリーさんと私を呼んでどちらが欲しいか、と聞いてこられました。


 ココで先ほど考えた、シャーリーさんに先に選んで貰って残ったのを私に! という旨を伝えます。


「いいの? アクセサリは一応自作してるし、良ければ両方とも持って行ってくれても大丈夫よ?」

「いやいや! 水増し要員で加入してるだけなのに、アイテム2個は頂きすぎです! それなら他の方にお渡ししても!」

「そう? じゃあ一応性能確認しても良いかしら?」

「どうぞどうぞ!」


 エリナさんから指輪とネックレスを受け取ったシャーリーさん、両方ともアイテムボックスに収納すると詳細を確認しておられます。

 あっそうか! アクセサリ作成スキルを持ってるって事は、アクセサリの詳細が普通のプレイヤーよりも多く判明するって事ですね! なるほど!


 じっくりとアイテム詳細を確認していた、シャーリーさんの目つきが変わります。


 何やら興味の惹かれるものを発見したようで、再度ジックリと内容を見ているみたいです。

 なにか使いたい能力の物があったのかな?


「えっと、このネックレスもらっても良いかしら?」

「どうぞどうぞ! 私ネックレスってもう装備してますので! そのアクセサリに何か使える能力でもありましたか?」

「これね【風 の 羽毛 金属ネックレス】で、落下軽減と風強化が付いてるの! コレで高所から弓で攻撃した後に、パーティメンバーと合流するのが楽になるわ!」


 指輪とネックレスを取りだしたシャーリーさん、ネックレスを私に差し出しつつそう説明して下さいました。ほほぅなるほど! 私のネックレスに付いてる能力と似たような感じなのかな!


 私が興味深々でそのネックレスを眺めておりますと、残った指輪を私に差し出してくるシャーリーさん。そっか、となればこの指輪が私の初ゲットとなるダンジョン装備になるんですね!


「この指輪は【大地 の 細やかな 結晶指輪】っていって、付属能力は耐火と土属性強化、あと器用度上昇にマナ最大値が微量増加だって!」

「うわー! 何だか色々と付いてますね!」

「指輪だから動きの邪魔にならないし、使いやすそうだねー!」


 笑顔で左手を差し出しているシャーリーさんの掌の上から、そっと指輪を摘んで持ち上げ、周囲を見回します。私の方を見ている皆さんは、楽しそうな笑顔を浮かべ頷いています。


 少し震える右手で指輪を左手の人差し指に装着しました。


 鈍色の落ち着いた色彩を発する金属製の台座。

 水晶を思わせる感じのキラリと光る透明な石が填め込まれています。


 綺麗だなー……なんだろう、なんだろう! 嬉しいなぁ!

 ちょっと泣きそう! VRゲームで涙って出るのかな?

※ 追記 ※

ご指摘のあった誤字を修正しました。

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