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169 水増し 加入 と 自己紹介

初めての体験。

 私がパーティに加入する事で、何やら宝箱からのお宝量が増加する、という実力云々が関係ない非常に私に優しいお仕事で、普通にお役に立てる事が有るようでした。


 しかも、私が何時かチャレンジしたいと決意も新たにしたばかりの、何時の日か実行する予定である所の、パーティプレイ本番時に対して予行演習まで出来てしまうという、一石二鳥で双方納得でWIN-WINの、素晴らしい提案ではないでしょうか。


 勿論お断りする理由がありませんので、ご提案を受けることにしました。


 私が了承の返答をすると、素早く他の3人に事情を掻い摘んで説明したハンマーお姉さんが、慣れた手つきでメニュー画面を操作して何かを設定し始めました。


 きっと例の、メニューから開けるコミュニティ欄に存在確認済みの、パーティ項目で何かしているのでしょう。未だに必要に迫られていないので触ったことの無い項目ですが。


 適当に頂いた【薬効ゴケ】の数を数えつつ、待つこと10秒程。


 私の目の前に、一枚のメニュー板がスルリとハンマーお姉さんの手元から空中を滑るように、此方へ移動してきました。しっかりと内容を確認します。


 『パーティ名【臨時パーティ】の【エリナ】さんから加入要請が来ました 了承しますか? はい いいえ』

 

 ほほぅ……何やら私をお誘いする旨のメッセージが表示されておりますね。

 ふむふむ! これが噂のパーティ招待メッセージでしょう。


 この【エリナ】さんというお名前は、ハンマーお姉さんのお名前ですね!


 勿論お断りする筈は有りませんので、迷わず『はい』の部分を人差し指で突いて、ばっちりオッケーのサインを返しますとも!


 表示されたメニュー板の表示が『処理完了しました』となった後に消え、これで晴れて華やかパーティの皆様とご一緒する事となった様です! うわーうわー緊張するー!

 特に何か難しい事をする訳でもないのにドキドキしてきた! 落ち着かないぞ!


 ハンマーお姉さんこと、エリナさんが私の加入報告を受け取った後に、一度頷いて私に笑いかけて下さった後、何か追加で操作なさっておりました。


 まだ色々と設定する事があるのでしょうかね。

 パーティリーダーと言うのは大変そうだ。


 気を落ち着かせるために再度チェック作業をしていた【薬効ゴケ】にも、そこそこ品質のばらつきがあるなー、なんて呟きつつアイテムボックスを眺めながらお待ちしておりますと、再度メニュー板が私の前に表示されました。

 この表示は他の皆さんの前にも出現している様なので、パーティ単位でのお知らせなのかな? なんでしょうね。


『プレイヤー名【フワモ】様が パーティ名【臨時パーティ】へ加入しました!』


 ……おお! こうやって他の皆様に、私がパーティ内に加入した事がお届けされる訳ですね! 二手に分かれている最中に新しくプレイヤーが加入しても、これなら一発で判りますね。


 私が無駄に興奮してメニュー板を眺めておりますと、私の隣まで歩いてきていたエリナさんが、私の顔を覗き込んでニッコリ笑顔を浮かべました。


「えーっと、フワモ、さんでいいのかな?」

「あっはい! フワモと申します! 短い間ですがよろしくお願いします!」

「いえいえ! 此方こそ! ……それにしても、あんなに沢山鉄鉱石貰っちゃって良かったの?」

「あーえっと、お金にする以外に使い道が思いつかなかった物なので、そのー……気になさらないで下さい!」


 エリナさんが、会話している私達二人の背後で地面に落ちている鉄鉱石を収納し続けている、例の魔法使いさんを横目で見つつ、何やら申し訳なさそうにしていましたので。


 換金目的のアイテムだったので、お金にして【薬効ゴケ】を購入した! と思えば特に痛くもかゆくも無い感じです、というニュアンスで安心して下さいという心を籠め、お伝えしておきました。


 鉄鉱石群も、自分で使ったり加工できたりするアイテムならば、もうちょっと名残を惜しんでお別れしたと思うのですが、こう、何といいますか、金属加工するとか武器防具を作る、って言う作業イメージを思い浮かべるとですね。


 真っ先に筋骨隆々のマッチョドワーフである、例の金属商品のお店で出会ったゲイルさんの勇姿が脳内に浮かぶんですよね。


 そしてその隣に私を並べるわけです。うん、似合わないよね。


 金属の加工って絶対筋力が必要そうなイメージが有るんですよ。

 一応ゲームとは言え、きっと金属を武器や防具の形にする際は金槌で叩くと思うんです。


 ゲイルさんが持っていた立派な金槌がその証だとも思うので。

 つまり私には厳しい生産スキルなんじゃないかなと。


 そう思ってしまうと、勢いで金属加工系のスキルを取るのは、流石に憚られると言いますか、躊躇いますと言いますか、まぁ尻込みするわけで。尻尾も縮こまる感じです。


 そうほら確か、ステータスの説明をしてくれたシステマさんだって、私が筋肉モリモリマッチョになるのはノーサンキューって言ってましたし! 私の考えは普通だと思う!


 等と、色々と錯綜した心境を表すために何か言おうとしたのですが、口から出たのは『気になさらないで下さい!』の一言でした。くっ……下手の考え休むに似たり! 日々これ後悔!

 

「そう言って貰えると気が楽になるけど……それなら、宝箱から出た物でフワモさんが役立てられそうな物があったら、遠慮せずに是非持っていって!」

「い、良いんですか!?」

「このパーティの中で生産スキルもってるのって、私とエルフさんくらいだから、大丈夫!」


 私にそう答えつつ、少しはなれた所でウサギさんと会話していた、エルフさんにもお声を書けるエリナさん。チョイチョイと右手でお二人を手招きすると、何やら宝箱の中身についてご相談を始めました。


 武器や防具がーとか生産用のがー、等と色々話し合いすること数十秒。

 ぱぱっとお話に決着が付いたようで、私の方に振り向くエリナさんと、その横にくっ付いて私の元までいらっしゃったエルフさんとウサギさんのお二人。


 魔法使いさんは、何やらポーズを付けつつ杖を素振りしておられます。

 鍛錬か何かでしょうかね。


「二人にも了承を貰ったから、何か生産スキル用の装備や機材がでたら、その時は遠慮せずに貰っちゃって大丈夫だからね!」

「は、はい、ありがとうございます! 恐縮です!」


 笑顔でそう私に告げてくださった、エリナさんのあまりにも眩しいそのお姿に、思わず勢いよく頭を下げます。こう、リーダーっぽいですよね! 尊敬したいけど見習うのは無茶かな! 後ろ向き思考。


 私がお辞儀をするマシーンの様な状態になっておりますと、横からポンポンと肩を叩かれました。


 ビタリとお辞儀を停止させて横を見ますと、何やらクスクス笑っていらっしゃるエルフさんと、その横で何故か親指をグッと立てて、ニヤリ……と言った擬音がピッタリ嵌りそうな笑みを浮かべたウサギさんが。


「あっはは! そう畏まらないでも! 私もアクセサリ作成を趣味でやっている以外は、弓と魔法を使うスキルビルドですから、全く問題ないですよー」

「そのお辞儀、ナイスだね! 私は生産出来ないし、安心して持っていってちょうだいな!」


 うう、温かいお言葉に胸の奥がジーンとしました。パーティ良いですね。良い。


 あっとそうだ! パーティ結成時に私のお名前は表示されたと思いますけれど、一応直接自己紹介をしないと駄目ですね! 毎度お馴染みの自己紹介忘れの症状が! 


「も、申し送れました! 私はフワモと申します! よろしくお願いします!」

「ええ、此方こそよろしくね! 私の事は【シャーリー】って呼んでね! 見ての通り種族は精霊族のエルフ。さっき言った通り、見た目と合わせて弓と魔法のスキルを育ててるわ」


 爽やかな笑顔を浮かべたエルフさん……シャーリーさんが胸元に手を当てて綺麗なお辞儀を披露なさいました。サラリとなびく髪の毛に拍手喝采です。

 実際は、ヘッポコなパチパチ音が私の手から鳴り響いただけですが。地味だ。


「次は私かなー? 私は獣人の兎人で、【ティムリン】って呼んで! アバターは完全に見た目で選んだ感じなんだけど、意外と種族の特徴が性に合ってて楽しいよ! 武器は難しそうだったから格闘で戦うスタイルで、攻撃を避けるためのスキルを沢山取ってるよ!」

「なるほど……飛んだり跳ねたりするんですね!」

「うん! その通りです!」


 再度ニヤリな感じの笑顔を浮かべたウサギさんこと、ティムリンさんは素早く反復横飛びしたり高く飛び上がったりしていました。なんという機動力でしょうか。

 目がまわったりしないのかな? 私だとチョット無理そうなプレイスタイルだ。


 ティムリンさんが華麗な動き終わらせ、綺麗に着地した後にグッっとまた親指を立てて決めポーズ。


 思わず拍手を送りながら拝見しておりますと。

 左肩をトントンとなにか棒の様な物でつつかれました。


 なんだろう? と振り向いてみますと、魔法使いさんが何やら斜め45度の絶妙な顔の角度をキリっと決めつつ、私の肩を杖でトントンしておられました。


 首を傾げつつ魔法使いさんの方へ向き直りますと、コホンと咳払いした魔法使いさんがビシリと杖を私の眼前に突き出して、こう仰りました。


「貴様に我の名を教えてやろう、さぁ……心して聴くが良い」

「えっーっとね『私も自己紹介するね』だって」

「あっはい!」


 エリナさんが横から翻訳を入れてくださいました。

 よかった、何か失礼な事をして怒られているのかと思う状況でしたよ!


 あっちょっと魔法使いさんの頬が赤くなってる!

 エリナさんとはやっぱり仲良しなのかな? 羨ましい限りです!


 再度コホンと咳払いした魔法使いさん、ブンッと先ほど練習していた時のような鋭い杖捌きを見せた後、カツンと杖を床についた後、左手でクイっと帽子の位置を調整しつつ、顔の角度をまたビシっと良い具合に決めて、私に声を掛けて下さいました。


「さあ聴くが良い、我は破壊魔法の申し子、その名はデミウルゴス! しかと覚えておくが良いぞ!」

「うんとね 『キャラ名はデミウルゴスです 覚えて』だって」

「はい、よろしくお願いします! 何だかかっこいい名前ですね!」

「ふふっ判る人には判る」


 的確にエリナさんの翻訳が。魔法使いさんのお名前を聞いて、第一印象で何だかカッコイイ感じの名前だなーと思ったので、そのままお伝えしました所。


 杖をポイっと地面に放り出した魔法使いさんこと、デミウルゴスさんが……私の両手をガチっと掴んでブンブン上下に振ってきました。


 表情はキリっとしたままだったのでビックリしましたが。

 正直な感想を言っただけで、こんなに喜んで下さるなんて!

※ お知らせ ※

ゴールデンウィーク明け位まで、執筆時間確保の関係で更新ペースが崩れるかもしれません。

あと5月末まで、月曜日の更新がお休みになる可能性があります。

毎度お馴染みのように『まだだ……行ける、行けるぞ!』という感じでしたら更新します(何

申し訳ありませんが、何卒ご了承いただけると幸いです。

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