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168 巨大ゴーレム と 意外な再会

戦闘終了。

水増しフワモ。


※ 追記 ※

ご指摘のあった部分をちょっと弄りました。

 ドアを開けて中に飛び込み、急いで扉を閉めた私の背後でズズン! と恐らくあの大きいゴーレムが転倒した音が響き渡ります。

 ビリビリと肌を震わせる振動を感じつつ、扉に背中を擦るようにズルズルと床に座り込みます。間一髪と言った所でしょうか。調子に乗って例の『◎』ターゲットを叩かなければ良かった。


 そりゃあの膨大な質量を持った巨大ゴーレムを転倒させたら、ああいう圧殺非常事態に陥るのは当然の帰結だった訳で。もう少し落ち着いて行動するようにしないと、本当に町に戻っちゃう事になりかねません。


 色々と初めて見る物が多くてテンションが上がっていた事も要因でしょう。

 しっかりと意識して気を付けましょう。


 扉に背中を預けて座り込んだ状態で、落ち着くまで暫く座ったままゆっくりする事にしました。部屋の中は真っ暗だったようで、保険で付けっぱなしにしていた携帯用ランタンが役に立ってくれています。


 部屋の外では、未だ何かしらの戦闘音っぽいモノが響いておりますが、流石に外の様子を見る気にはなりません。

 扉を開いたら最後、私が踵部分を痛打した相手である事に激怒したゴーレムが、息巻いて此方に向かってロケット手首を飛ばしてくる可能性も、大いにあると思いますので。


 とはいってもこの部屋、携帯用ランタンの光で照らし尽くせる程の大きさしかありません。


 形にして長方形の部屋で、私の歩幅でも扉から奥の壁まで20歩程度で到着してしまう位には、先ほどまで私が居た部屋と比べてコンパクト設計で。探索のし甲斐のない状況です。


 部屋の奥まった所が数段の階段になっており、ちょっとした高台と言うか……そう、良くRPGではソコになにか置いてありそうな雰囲気の場所になってる位で。


 ご丁寧に床にあの、ほら、何て言いましたっけ、あの柔らかいカーペット見たいなの。

 あれが敷いてある位ですから。


 でも何も置いてないんですよね。

 既に誰かが持ち去ってしまった、という設定なのか。


 それとも例の華やかパーティさん達がゲットした後なのかな。

 ううむ、謎が謎を呼び謎が深まります。


 これは、謎ばかりの探索なんてパパっと終了させて、とっとと部屋の外を確認して様子見しなさい、という天からの啓示なのでしょうか。厳しい御指南に涙が。


 それに何かが設置されているという感じもしませんし、一体何の為に作られた部屋なのでしょうか。

 何かしらのタイミングで、また先ほどの部屋のように照明が付いたりするのかも?


 一応周囲の壁を見回してみましたが、やっぱりカモフラージュでもされているのか普通の石を組み上げて作られた壁にしか見えません。となると床に何か有るのが定番ですよね。どれどれ?


 ……おっと有りましたよ! また例の石版床です!

 あの怪しげな高床部分のさらに奥、壁と高台の間にポツンと設置されております。


 となるとココは……あっちの部屋に戻る為に作られたお部屋とか?


 いやいや……それならワープした後は、あの激しい巨大ゴーレム君がいる場所ではなく、ココに飛ばされてきますよね多分。私の想像ではありますけれど。相互で通行できるなら普通そうしますよね?


 それにあのあからさまな高台とカーペット。怪しい。


 まぁ今現在、この石版床は光を放っておりませんので、使用不能だと思いますけど。

 また何かしら行動を起こさないと動かない感じかな?


 こうして、調べられそうな所は全部調べてしまった私は、再度扉の外を確認しなければならない状況になったわけで。ステータスを開いて一応万全の状態なのをシッカリと確認した後、少しだけ扉を開いて外を確認する事にしました。


 そしてまさに私が扉を開けたその時、巨大ゴーレム君がなんと!

 ばらばらとパーツに分かれて崩れ落ちていったではありませんか!


 豪快なその崩れっぷりに思わず嘆息。何だかボスっぽい雰囲気ですね!


 思わず扉を開いて外に出て、その光景を眺めてしまう位には迫力満点。

 すっかりと岩山と化してしまった巨大ゴーレム君は、何時も通り七色の光になって消えて行きました。


 未だ土ぼこりが酷い部屋の中、その埃の向こう側……この場所とは真逆の方向から何やら話し声が聞こえてきます。あれ、この声はもしかして例の華やかパーティの皆様では?


 ボンヤリと離れた場所に見えてきた影は4つ。

 うん、やっぱりあの優しい方々に間違いありませんね。


 あちら様の一人が何やら私がココにいる事に気が付いたようで、他の人たちに声を掛けてこちらを向くと、素早く武器を手に身構えて……ええ!? 戦闘態勢に移行!? なっ何故に!?


 思わず両手を上に上げてホールドアップ。

 敵意はありません! ワタクシ イズ ノーエネミーですよ!


 ああああ! もしかして、意図せずに何か先ほどのターゲットアタックで、無駄に戦闘の邪魔をしてしまって、その事案の件でのお叱りが発生でしょうか!?


 その後、ゆっくりと土ぼこりが薄れていく中10秒程……双方にらみ合った状態で。


 最初にジリジリと近寄ってきて私の視界に入ってきたお方は。

 そう、非常に見覚えのあるハンマーお姉さん。


 私の姿を視認した途端に、凄い表情を浮かべておりました。

 今年見たビックリ顔ランキング上位に、余裕で食い込む事間違い無しな感じの。


 そりゃ私だって、いきなりあんなボスっぽい相手を倒した後に、満を持して登場したようなタイミングで他のプレイヤーが現れたら驚きますよ。


 私が緊張硬直状態で両手を上げている格好を取りつつ、必死に敵では有りませんですよ! 不可抗力なんですと目配り&首振りをしますと。


 途端に脱力した感じで、右手に持っていたハンマーを腰のベルト部分に提げて、後ろに残って構えたままのお三方へ『危険は無いよー!』と大きい声で告げつつ、笑顔半分の疑問半分みたいな絶妙な表情でこちらに近寄ってきました。

 

「ここボス部屋なんだけど、何でこんな所にいるんですか!?」

「ええっ! ここボス部屋なんですか!?」


 例のワープ石版からすっ飛ばされてきた場所が、なんとまぁボス部屋だったとは。

 そりゃあの迫力ある巨大ゴーレムならば、ボスとして全く問題のない相手でしょうけれど。


 というか、いきなりボスの正面にワープさせられるワープポイントって酷くありませんかね!


 その筋の人なら大いに喜びそうな直通ワープですが。

 ぶっちゃけ私には、ただただ心臓に悪い罠ワープですよ!


 その後、華やかパーティの方々と合流した私は、ココに到着した経緯を簡単に説明することにしました。


 まず、入り口で分かれた後に採取しつつ、倒せそうに無いゴーレムを回避しながら、通れそうな道を頑張って進んで到着した先にあった部屋に、ご丁寧に据え付けてあったワープ石版を使ったら、今現在の状況であるボス部屋直行ワープで強引に最終戦闘へ投入させられました! という感じで掻い摘んだ説明をハンマーお姉さんとエルフさんにご説明。


 他のお二人は、地面に落ちていたアイテムを回収&選別する作業をしておられます。


「ボス直ワープとか、運営殺意が高すぎじゃない?」

「迷宮クリアTA(タイムアタック)とかする廃プレイヤーなら、逆に喜ぶんじゃないかなぁ」

「そ、そんな事やったりする人いるんですか!?」

「いるいる! 普通ーにとんでもないプレイする人いるから! びっくりだよ」


 うひゃー! こんな危険度マックスな場所を颯爽と吹きぬける風のように駆け抜けて、そのままの流れでボスを華麗に粉砕する感じでしょうか。とてもじゃありませんが真似できません。


 その後、魔法使いさんとウサギさんが合流して、色々と入手した素材や装備についての会話になったのですが、私が集めた普通の鉄鉱石全般と、皆さんが道中で採取した【薬効ゴケ】を交換していただける流れになりました!


 いやー助かりますよ! 調薬の材料は沢山有った方が良いですからね!


 交換レート? とやらが良く判らなかったので、適当に上級以外の鉄鉱石全部取り出して、ザラザラと地面にばら撒いたのですが、皆さんビックリしていました。どうやら皆さんは、例の資源岩や弱い岩虫君は後半スルーして進んでいた様で、敵から入手した鉱石関連も余り多くないとの事。


 私は逆に戦闘が苦手なので、しっかり敵をプチプチしていたのが功を奏したのでしょうか。


 とりあえず自分では使わないので、普通の鉄鉱石全般は全部お渡しする事にします。

 上級の鉄鉱石や銀鉱石は一応取っておく感じで。


 ハンマーお姉さんが貰いすぎだよ! と仰っておりましたが、多分先ほどの巨大ゴーレムの戦闘中に私、邪魔しちゃった可能性があるので……そのお詫びも籠めてです。


 数度にわたって『いやいや!』『いえいえ!』と言い合っていた私とハンマーお姉さんでしたが。

 最後は珍しく私が勝利する形で幕を下ろしました。


 いえいえいやいや! 言い合っている私とハンマーお姉さんの横で、魔法使いさんが『お心遣い感謝』といって、地面に落ちている鉱石を収納し始めたのがきっかけで。

 あと、こういう大量に貯まってしまうアイテムの受け渡しは、システムから取引メニューをだしてアイテム欄同士でやると楽だよ、と【薬効ゴケ】を受け取る際に、実際メニューを使いつつウサギさんからご丁寧に教えてもらえました。


 なるほど、お店で清算するときに出てくるような、相互で受け渡しが出来るメニュー項目使用が可能だったのか! これは便利です、しっかり覚えておきましょう!


 ……あれ、何だか今私、疑似パーティプレイ出来てませんか!? やった!


 皆さんとの楽しいアイテム交換も終了し、地面に落ちていたボスドロップもしっかりと収納し終わった様ですので、名残惜しいですがココでお別れでしょうか。


 そうそう! ハンマーお姉さんから教えてもらったのですが、ボスが倒された魔素迷宮は、なんとゲーム内時間で30分経過すると自動的に消滅してしまうらしいですよ!

 あとクリアされなくてもゲーム内時間で24時間、つまり一日経過しても作られた魔素迷宮は消えてしまうらしいです。


 中にプレイヤーが残されていた場合は、弾き出されて入り口に戻されるとか!

 その際にダメージを受けるので危ないらしいです。


 ボスを倒した後に、長時間居残りは出来ませんよーって事でしょうか。


 色々と感慨深いシステム構造について、色々と考え込んでおりますと。

 ハンマーお姉さんから一つのご提案が。


「いまからクリア報酬宝箱の開封をするのだけど、良かったら一緒にどうかな?」

「はぇ? 一緒、といいますと?」

「ふふふ、パーティ人数に応じて箱からの取得数が変化するらしいから、パーティ人数の水増しを手伝ってくれないかなーって! すぐ解散になっちゃうけど、どうかな?」


 ……これは、初パーティ加入のチャンス!? すぐ解散ですけど!

※ ある4人パーティの会話 その4※


ハンマー「よし、行動パターンが変わった! 半分いったよ!」


エルフ「了解ー! 私も攻撃魔法使っていくね!」


魔法使い「ふはは! 畳み掛けるぞ!」


ウサギ「よっ! ほっ! 攻撃が激しくなってきましたね!」


ハンマー「気をつけてね! うっりゃ!」


エルフ「魔法いきますよ! 着弾気をつけて!」


魔法使い「はぁっはっは! 破壊の魔法で消滅するがいい!」


ハンマー「……うわぁ、土煙が凄いね」


ウサギ「ほんとに……あれ? 何かボスの様子が……攻撃モーション?」


エルフ「両手を上に上げてる……あっ! 広範囲攻撃の衝撃波! 防壁張りますから後ろへ!」


ハンマー&ウサギ「了解!」


魔法使い「我、既に防壁待機」


ハンマー「間に合った!? ……あれ、こない……ね?」


ウサギ「ですね? ……ちょ!? ゴーレムが!」


エルフ「よろめいて……倒れるの!? うわぁ! ダウンした!」


魔法使い「我の圧に屈したか」


ハンマー「何だかわからないけれどチャンス! 喉元にある弱点を強打してやる!」


ウサギ「お供しますよー!」

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