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016 北門への道 持ち物は装備しましょう

相変わらずお喋りINGなフワモさん。

 マップを確認しながら、とりあえず噴水の魚の口の向いている方角、すなわち北門を目指す事にしました。北に行って駄目だったら東に向かってみましょうね。


 他のプレイヤーさん達に紛れつつ幅広な中央通りっぽい感じのする、きっちり石畳というか石タイル? で整備された道を進んでいきますと……見えました! 町を囲う様にグルッと建てられている防壁の途中に、大きい門が存在感のある佇まいで開かれています。


 両開きの分厚い扉だけではなく、上から落として閉めるタイプの緊急用防壁? のような物もセットであるみたいですね。急な魔物の襲撃とかに対応するためとかでしょうか。

 この町も襲われたりするのですかね……


 通りがかりに門の横に立っていた槍を持った兵隊さん? っぽい方にお辞儀をします。

 あ、あちらの方も笑顔で会釈を返してくれました。


 そうだ、薬草のある場所の詳しい話とか聞いてみる事にしましょう!

 そこまで遠くない所にモサモサあれば良いのですが。


「すみません、ちょっとお伺いしたい事が」

「はいはいー、なにかなお嬢さん?」


 兵隊さんは、此方へ顔を向けるとにこやかに返事をしてくれます。お仕事中でしょうになんというフレンドシップ。聞きたい事をパパっと聞いて即座に離脱せねばお邪魔になってしまいますね。


「始まりの町の北や東で薬草が取れると聞いたのですが、北門周辺だとどの辺りに生えてるのか、良かったら教えていただけないでしょうか」

「ああ、お嬢さんは調薬師さんかい? 薬草が欲しいなら、門を出てその辺の草むらに沢山生えてるからすぐわかるよ! 雑草と一緒くたになってるときもあるから気をつけてな!」


 やっぱり獲得難易度は低いみたいですね。となると、枯渇している可能性を考慮しないといけないのですが……穴場みたいなところはあるのでしょうか。


「他の冒険者さんも取りに行ってると思うので、もしかしたらもう残っていないのかな、と思っていたのですが……」


 私が出遅れたが故の不安を口にしますと、兵隊さんは槍を壁に立てかけて顎に手を当て、うむぅと考え込むと口を開きました。


「……ああーそうか、今日は大勢の祝福の冒険者さんが加護を得て降りてきた日だものなぁ……それなら、門を出たら壁を伝って行ってみると良いかも知れないな。森の端に入っちまうけれど、北の平原中央や森の中央部入り口付近よりは薬草残ってるんじゃないかな?」

「なるほど、壁伝いにですね」


 他のプレイヤーさんを見るに門を出てそのまま北方面へ向かっている方ばかりですね。

 壁際という案は非常にナイスな感じがします。流石です。


 こういう地形や道の選択などをご教授していただかねばいけない時、頼りになるのは近くでお仕事をしている方ですね!


「壁が見えてれば迷ったりしないからな! 木の根元や草が生い茂ってる所を重点的に探すと良いんじゃないかね。たしか森には薬の調合に使えるキノコもあると思うよ。毒キノコもあるけどね。間違って口にいれないように!」

「はい! お仕事中なのにお時間ありがとうございました!」

「なーに、この辺は日の出てるうちなら、めったな事じゃあ門番としての仕事が来る事はないから大丈夫さ。朝昼は、こうやって出入りする人のチェックをする位しか仕事はないからね! あと騒ぎが起こったらとめにいく位かな?」


 そう仰いながら兵隊さんは笑いながら壁に立てかけてあった槍を掴みなおして、地面にゴツンと当てると周りを見回します。平和なのは良い事です。夜になったらやっぱり門は閉めちゃうのかな。


 締め出されるとどうなるんだろう? 野宿かな?


「では、頑張って薬草あつめてきます!」

「ああ、気をつけてな!」


 それでは! と意気込んで表に駆け出そうとした所で、何かに気が付いたように兵隊さんが後ろから声をかけてきました。うん!? なんだろう!?


「ちょっとまった! そういえばお嬢さん、魔物と戦うための武器は持ってないのかい!? 外に出るなら、たとえ魔法使いでも杖くらいは持っていたほうが良いぞ?」

「あっ!?」


 何処からどう見ても丸腰な私。鎧みたいなのも付けてないのは見て判ります。

 『初期装備箱』開けるのすっかり忘れてた! あとで開けてねって言われてたのに……


 ズザザっと両足で急ブレーキをかけると振り向いて兵隊さんのほうへと向き直ります。

 いやはや、お恥ずかしい所を。


「装備を身につけるの、すっかり忘れてました……」

「あぶなかったなぁ! 凶暴な魔物はこの辺りには出ないが、冒険者としてはやっぱり武器は持っていないとな。何があるか判らないし用心に越した事はないよ! 装備があるならちゃんと身につけないと!」


 至極ご尤も、かつ基本知識に根ざした真っ当なご意見、どうもありがとうございます……

 身につける物の存在が頭からスポーンと消えておりました。薬草一直線思考。


 お金をこれっぽっちも所持していない弊害でしょうか。本当なら最初に貰ったお金で、アレやコレやとお買い物をしたりするのでしょうけれど。私は生産一直線するしか道が残っていなかった。


 とりあえず箱を開けてみよう! そうしよう!


 そそくさと兵隊さんの横あたりに戻りますと『初期装備箱』をアイテムボックスから取り出しまして、前に教わったとおり、蓋の部分を指でトトンと突きます。


 ポン! という音と共に目の前にメニューのようなものが飛び出してきました。


「お! そりゃ女神様からの贈り物かい? さすが祝福の冒険者さんは違うねぇ」

「はい、装備がいただける箱らしいです。ありがたいですよねー」


 私がアイテムボックスから出した『初期装備箱』とその上に表示されたメニュー板を覗きつつ、兵隊さんが興味深そうに声をかけてきました。

 ノンビリと受け答えしつつ、出てきたメニュー板に目を通します。


 どうやら武器一種類と簡単な防具一式が頂けるようです。

 どのような装備にするかは選択式で、自分のスタイルに合ったものを自由に選んで良いみたいですね。


 武器は、迷わず棒にします。あっと、そうだ【基礎 棒スキル】も取得しとこう!


 『初期装備箱』のメニューを開きつつスキルも取得します。ポイント消費は【調薬】と同じ2ポイント。


 防具はどうしようかな? 確か狐人は力はあまり強く無いんだよね。なら軽い服が良いか。

 という事で【冒険者の服一式】という装備品を選択。わかりやすいお名前だね。


 他には【冒険者の皮鎧一式】や【冒険者の鎖鎧一式】など徐々に重量がありそうな装備品が並んでいました。もちろん使えなそうなので、そんな重量のありそうな装備は選択しません。


選択完了のボタンをポチっと押し込みますと『アイテムボックスへ配布いたします。宜しいですか?』と再度メッセージが表示されました。オッケーですので『はい』をプッシュ。

 アイテムボックスへ装備一式が送られたようです。そして『初期装備箱』は七色の光の破片になって消えてしまいました。


 ああ、やっぱり入れ物とかに再利用は出来ないかぁ


「いまので装備が手に入ったのかい?」

「はい、アイテムボックスへ直接送られたみたいです」

「いやーアイテムボックスの加護も凄いなぁ。行商人とかでも、商品の持ち運びが凄い楽だろうなぁ」


 兵隊さんが顎に左手を当ててうらやましそうに私を見ています。

 あーそっかここの住人さんはアイテムボックス持ってないんだ? メニューも女神の加護の力だ、ってアレイアさんも言ってたもんね。

 リアさんとかは巫女様だって言ってたし加護の力とか実は持ってそうだ。魔法も使えてたし。


 でも、門を守ってるって事は怪我とかする場合があるんじゃないのかな……薬とかどうするんだろう?

 詰め所っぽいところがあるし、あそこに保管してるのかな。


「じゃあ、薬などのアイテムはどうなさってるんですか?」

「ああ、緊急用のポーション類はちゃんと配備されてるんだけどね。ほら、この腰につけてるポーチがあるだろ。これが魔法のポーチで見た目よりいろいろ物が入るんだ。大体お嬢さんのメニューの加護と同じ感じで使えるんだが、普通に物を中に突っ込んでもちゃんと仕舞ってくれるんだ」


 そう言って腰の右側についている小さなポーチを私に見せてくれます。ほほぅ、魔法の道具なんですね。プレイヤーでも使ったり出来るのかな?

 良く出し入れするようなアイテムならこんな感じのポーチ使ったほうが楽だよね。


 お金が貯まってブラシを買いに行くときに雑貨店あたりで探してみようかな?

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