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165 当らなければ 大丈夫?

招待状は棒の一撃。

 丁度いい具合に椅子の代わりになりそうな、絶妙な大きさの石材の上へクッションを配置して腰を下ろし数分。一応右手に武器を構え、周囲を見回しながら警戒しつつ休憩していたのですが……そりゃもう全然敵の来る気配がありません。


 あまり気を張らなくても大丈夫かな? と思い、ただ座ってライフの回復を待っているのも暇でしたので、再度メニューから掲示板を開いて、着々と増えていっている迷宮関連の書き込みをだらーっと眺めながら休んでおりました。


 迷宮の宝箱から何やらレアな装備品が出たー! 等の書き込みが幾つかありまして、ほほぅ普通のではなく、そんなモノまで出るのか……と今後の宝箱チャンスに少し期待を持つ私でした。


 宝箱自体が出るかどうかは、どこぞの悪戯好きな神様次第なのですけれど。

 どの程度の頻度で迷宮宝箱が出現するのか判りませんし。


 確実に迷宮一箇所につき一つの宝箱がある、とか言う設定なのであれば隅から隅まで探索する必要が出てくるのでしょうけれど。このあたりはご本人……ご本神にお伺いしないと判明しない所ですよね。


 こういう、なんといいますかプレイヤーに判別の付かない裏の確率っぽい部分って、運営さんにメールか何かで質問を送ったら、ソレっぽい返答が来るのでしょうか。無理かなぁ?


 いや、むしろ逆の考えで、ゲーム開始早々のこの時期だからこそ、こういった質問に対して返答が来る可能性があるかも? 【ふわもこファーム】にはそういった確率が絡んでくる要素が殆ど無かったので気にした事はありませんでしたけれど。


 あのVRゲームで確率とかランダム性があったのといえば。

 ……そうそう、確か『メェ』に装着する装飾品全般が当たる、飾り付けルーレットがありました。一回抽選するのに10MPとかでした。あぁMPというのは『メェポイント』の略です。


 現金に換算するとそのままで、一回10円で凄い安いんですよ。駄菓子感覚。


 あと特定の餌を食べさせたときの成長率とかも、私の脳内記録が確かならば、ある程度ランダムだった記憶があります。例の攻略サイトに振れ幅の考察があったりもしたものです。懐かしいなぁ……うむ。


 私が【ふわもこファーム】をプレイしていた頃の相棒であった、在りし日の2メートルという貫禄あるサイズのメェが、ポヨポヨと移動している勇姿を脳裏に思い浮かべながら、再度メニューのライフバーを確認します。


 ふむふむ、大体7割程度まで回復しているみたいです。

 流石にライフは他のスタミナやマナよりも、自然回復の速度が大分遅いですね。


 そりゃちょっと休憩したら即全快! 元気満々で次の戦闘へ!

 っていける状態だと回復用のアイテムや魔法が腐ってしまいますからね。

 そのあたりバランスを取っているのかもしれません。


 スタミナやマナは戦闘時もある程度回復する速度にしておかないと、戦闘中に両方空っぽになってしまったら、プレイヤーは陸に上がったマグロの様な状態になってしまいますし。ビッチビチ。


 確かカイムさんがマナが枯渇すると眠くなる? と言う風に言っていた記憶があるのですが、プレイヤーのマナが切れるとどうなるんでしょう。やっぱりその場でお休みなさい! と昏倒して倒れてしまうのでしょうか。

 ゲーム内で睡眠が取れる事は確認が取れましたし、その可能性が高いのかな。


 まぁ自分で確かめてみよう、とは思いませんけれど……掲示板で調べてみようかな。

 マナの枯渇ならば結構簡単に実験できそうですし。


 街中でお知り合いか誰かと一緒の状態で試せば、たとえその場で眠ってしまっても、すぐに起こしてもらえますからね。町なら魔物に襲われる心配も無いでしょう。


 早速検索ワードをつかって調べてみる事にしました。

 えーっと……『マナ 全部 消費』とかでどうだろう?


 検索キーワード欄に文字を打ち込んで待つこと数十秒。

 またもや大量の検索結果が出てきましたが。

 お目当ての書き込みっぽいものを一番上で発見する事ができました。


 ……あれ、このスレッドを作った人のお名前に見覚えが。

 ってこの方あれだ! 世界の果てに挑戦した人だ! 覚えてますよ!


 この掲示板って、ゲームの公式掲示板だからなのか判らないのですが、基本的に書き込んだプレイヤーの名前が表示される様になっているみたいなんです。だからすぐ判りましたよ。


 このプレイヤーさん色々と試すのが好きな人なんですね……私の様な色々と物を知らないビビリプレイヤーには、とってもありがたーい存在です。頑張ってください!


 どうやら例の世界の果てに進んでいる途中で、マナ枯渇状態になるとどうなるのか、と言うのを自分の身体を使って試していたみたいです。


 マナを使い切って0になると、自然回復で全体量の1割まで復帰するまで、まったく身動きが取れなくなるとか。辛かったり眠かったり痛かったりは全然しないらしくて、身体が動かなくなるだけだとか?


 どうやら、マナが枯渇すると眠ってしまう訳ではなさそうです。

 これはこの世界の住民さんではなく、私達がプレイヤーだからそうなる感じなのかな。

 色々と相違点があるんですね。


 そもそもこの身体? 自体が仮初めのものっぽい雰囲気だった気がしますし。

 そりゃ敵に倒されてしまっても町に戻るだけで済むんですからね。つまり女神様の加護最高。


 ついでに、スタミナも完全に0になるまで消費して実験してみたらしいですが、こちらは物凄く無理すれば一応身体が動く程度の状態だったらしいです。


 スタミナの方も苦しさや痛み等は無く、とにかく身体が重い状態になるとの事。


 全身に凄い重さのあるベルトを巻きつけて動いている感覚だ、という書き込みから始まり、当然普通に攻撃するのもほぼ無理、魔法を詠唱するのは何とかなる程度だろう、だとか。


 でも身体が上手く動かせないお陰で、全然狙いが付けられない状態らしく……攻撃魔法は暴発する恐れが有るから危険だそうで。しかもその際に自爆した攻撃魔法は自分のみダメージを伴うらしいです。


 疲労状態で強引に魔法を使うなら、暴発してもとりあえず大丈夫そうな支援系魔法や回復魔法だけにしたほうが良いと思う、と締め括られておりました。


 ふむふむ……やっぱり無理をして戦い続けるのは無謀と言う事ですね。

 このあたりは、やっぱり援護の無い一人プレイの限界という所でしょうか。


 うわー無理だー! と叫ぶその時が何時か訪れるのかもしれませんね。


 でもまぁ、私は生産スキルを重視してプレイしておりますし、いざとなれば戦闘はその筋のプロの方々にお任せして、生産を頑張ってお金を稼ぎつつ素材は買い取って暮らしていく! と言う手段を取る事も可能です。ラビ君を年がら年中殴っているだけで、生活できる可能性だってありますし。


 うんうん、そう考えれば大した事では無いのかもしれませんね!

 ちょっと寂しいだけで! ハートに響くぜ!


 色々と参考になった掲示板の書き込みを閉じ、ライフの残量を確認しなおします。うむ、ノンビリと掲示板を眺めていただけあって全快してくれた様です。


 あまりライフポーションをがぶ飲みする訳にも行きませんしね。

 水を所持していたらこの場で沢山作ってしまうんですけれど。


 アイテムボックスに、山岳地帯まで来る道中で採取しまくった【薬草】が、モリモリっと収納されていますからね!


 いざとなれば、苦いと評判の【薬草】をそのまま咀嚼して飲み込めば良いでしょう。

 あまり実行に移したくは有りませんが。


 苦いのは凄い苦手ですので……

 キャラの命と苦味の苦痛を天秤にかけると、意外と釣りあってしまう位には超苦手です。

 お砂糖を振り掛けたいくらいには辞退したいで候。


 アイテムボックス内に収まっている山盛りの【薬草】を眺めていると、口の中に幻想苦味君が出現している様な気分になって、思わず眉を寄せてしかめっ面に変貌。

 んげぇー! イメージで苦しむ事になるとは! 想像力の恐ろしさよ!


 ええい! 私は甘いものだけで生きるのです、それで良いんです!

 女の子はお砂糖で出来ているって何処かで読んだ記憶がありますから! 強引な理由付け!


 気分だけで苦味攻撃を受けたような気分になってしまいましたので、水筒を取り出して一口飲み、お水で口の中をスッキリさせます。


 あー水筒の残量が非常にヤバイ。

 そこそこのサイズの水筒なのに消費が激しくて無くなりそう。


 唯一の清涼剤代わりなのに!

 このままでは、埃っぽいこの場所で朽ち果てる運命が寄ってくる未来が足早に到来する!

 絶望感で、また無駄に意味不明な思考を垂れ流してしまった!


 ペチペチと両手で頬っぺたを軽く叩いて、気合を入れなおします。


 よーっし! 頑張れ自分!

 魔物の攻撃ではなく自分の想像に一斉攻撃されて窮地に陥るとか、色々と駄目でしょう!


 ふんす! と鼻息も荒く立ち上がった私は、水筒とクッションをアイテムボックスへ収納して武器を握り締めなおします。おっと付与魔法も掛けなおしておかないとね! 今回は忘れませんよ!


 それではオペレーション名『一匹づつご招待でおもてなし!』作戦で、ミニゴーレム君を倒しまくって素材を溜め込みましょう! 落ち着いてやれば大丈夫、大丈夫な筈、大丈夫……だと思う!


 手順は単純!

 動作も一定!

 相手サイズも小さくて!

 しかし危険度は一撃必殺カッコ私!


 うん、最後の方は何だか物騒だけど私が弱いのは普通の事なので、嘆くような出来事ではないでしょう! やれるだけやって、最後は前のめりに石の床と抱擁するのです。


 意外と冷たくて気持ちが良いかもしれません。埃っぽい状態で無ければですけれどね。


 その後の私が行った行動はと言いますと……延々と入り口付近の岩から順番に棒で攻撃を加え、よってきたミニゴーレム君と追いかけっこをするという作業に従事しました。


 全体数の中盤あたりまで来ると、スタミナ配分や攻撃の誘い方に慣れが出てきて、大分安定して倒す事が出来る様になりましたよ! 弱点が大体攻撃しやすい所に見えているのが救いでしたね!


 例の体当たりを誘発させれば大体一発で倒せる、と言うのがグッドです。


 こうやって、延々とミニゴーレム君との死闘を繰り広げていて気が付いたのですが……きっと道中や他のお部屋で出会った、例の物凄い大きいゴーレム君にも似たような弱点があるんじゃないか? と。

 あの大きいゴーレム君の弱点を私一人で探すのは、流石に無理じゃないかなーと思いますが。


 絶対に意識を弱点探しに割き過ぎて、ペチっと攻撃を喰らってコンニチワ始まりの町!

 してしまう未来しか見えません。

 そう、自分の身の丈に有ったプレイをしましょうね、うん。

※ 謝辞 ※


なんと、この鈍足小説がついに一周年で御座います。自分でもビックリ。


とくに何かイベント的な事は出来ませんがご勘弁下さい(時間が取れず……


……あれ、本編未だに冒頭に到達してねぇぞ、どうなってんだこれ!?(驚愕

頑張って加速していきますので、何卒ご容赦いただけると幸いです(汗

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