160 強引 開通 まだ見ぬ場所
テンション上がってきた!
結構遠くから運んできた鉱石岩のポジションをしっかりと確認します。
一応デコボコとした形状をしている岩なのですが、石の床が滑らかな場所に適当に設置してしまうと、爆破後に私の右尻どころか、背中あたりが回転プレスされてしまう勢いで、ゴロゴロ転がり始める可能性がありますので。
自分で爆風回避の為に設置した岩石がその爆風で転がり、セルフ押しつぶし罠に直撃して無料町帰還する……うん、いやすぎます。
こういい具合に軽くくぼんでいる所にしっかりと鉱石岩を配置。
うん、グイグイと押したり引いたりしてみましたが大丈夫そうです。
念のために何時もの【風の壁】だって設置しておきますよ。
避難場所の準備は万端、それでは残った2個の【炎の属性石 極小】にググっと魔力を籠めまして……よし、これを先ほど見つけたヒビの部分へ押し込みます。
素早く避難場所へと移動し、Y字路部分を確認します。
赤い光を放つ石が壁に2個めり込んでいるのが確認出来ました。
うん、魔力を帯びている状態だと光ってるから狙いやすいですね!
もしかして、こういう場合に使用しやすいように光らせてくれているのかもしれませんね! いや、考えすぎかな? まぁ私の場合は光っている事が良い方向に作用しているので、なんら問題ありません。
鉱石岩の後ろからY字路を覗き込む様にして……しっかりと狙いをつけた【風の刃】を、赤く光っている場所に命中するよう念を籠める感じで飛ばします。当たれー!
命中の合否は確認しません!
飛ばしたら即座に岩の後ろに身を伏せて狐耳を両手で塞ぎます。
ドドン! と2連続で衝撃が走り、ブワっと先ほどとは比較にならない勢いで、土煙が私の周りに充満します。カツンカツン、と何かの破片が背後の鉱石岩に命中している音が聞こえます。
当然の事ながら【風の壁】は呆気なく壊れてしまっていました。
うわー……しっかりと鉱石岩バリケード作っておいて良かったぁ……
適当に爆破してたらライフが幾つあっても足りないよ。
【つむじ風】を換気扇のイメージで壁を支点に発動するよう使用し、土ぼこりを散らしてもらう事にします。あーこれ、攻撃の為の風魔法なのに換気扇というかゴミ散らしにばっかり使ってるなぁ……便利だからいいか。
もう攻撃力や射程距離みたいなパラメータを削って、残ったパワーを持続時間に全部つぎ込んでしまっても面白いんじゃないかなコレ。魔法のカスタマイズって怖くてチャレンジして無かったけれど、便利に使えそうなアイデアが浮かんだなら挑戦してみても良いよね。
うん、覚えていたら弄ってみよう。覚えていたらね!
爆風に舞い散らされた土ぼこりが落ち着いて視界が晴れてきましたので、爆心地点を確認する為にY字路部分へと足を運びます。
これで開通していなかったらもう諦めるか、他の属性石でチャレンジするくらいしか手段が有りません。
不安と期待を籠めてY字路周囲の確認をしますと……
おお! 人間サイズなら四つん這いになって進めば、ギリギリ通過できそうな穴が開いているのを確認しましたよ!
【炎の属性石 極小】3個はしっかりと仕事を果たしてくれたようです。
いやー助かりました。
というか、コレだけドカンドカン激しい物音を立てていたのに、他の魔物が寄って来たりしていないのは……少々想定外の状態ですね?
ゴーレム君はその身体サイズの関係で通路に出て来れませーん、という理由が有るのは判るのですが、岩虫君あたりなら、騒々しいこの場所に寄ってきたりするものじゃないんでしょうか。
魔素迷宮と外では、敵の行動パターンが違うのかな。
まぁこんな狭い場所に退去して岩虫君が押し寄せてきたら、一目散に逃げ出しますけれど。
それか他の属性石に犠牲になってもらうパターンでしょうか。
緊急時だーと適当に石を消費しすぎて、アイテム作成時に材料として使う分がなくなってしまうと少々悲しいで、気軽にホイホイ分投げる訳にも行かないんですけど。
風の石以外はアイテムにくっ付けた事が無いですし、ましてや【炎の属性石 極小】に至っては、どんな効果が出るのか確認すら出来ずに、全て綺麗に跡形もなく爆発四散してしまいましたから。
しかし、流石に使い捨てのアイテムだけあって相当な爆発力でしたね。
極小サイズでこれですから、普通サイズや極大サイズ等の属性石はどんな威力になるのか……
爆発物に詳しくない私には想像もつきませんが。
おいそれと投げ付けて良い物では無いという事だけは判ります。
それにこれって……もしかしなくてもプレイヤーさんに投げ付けたら、ワザとじゃなくても酷いことになりますよね?
だって私が自身で投げて爆発させた【炎の属性石 極小】の余波で、右尻に破片が直撃したときにライフが減っていたという事は。これって魔物以外にも無差別で効果がある物、って事ですよね。
爆風そのものは、もしかしたら物凄い吹き飛ばされるだけで、ダメージの判定は無いのかもしれませんが、その爆風で発生する二次効果は別になってるとか。
破片で痛いとか、足元崩れて落ちるとか、崩落して上から落下物が降ってきてギャー! ってなるとか。
……うん、あまり大っぴらに使用するのは、物理的にもモラル的にも危険性が高そうですので、自重する方向で進めましょう。今回は何やら妙なテンションでY字路開通に勤しんでしまいましたが。
やっぱり初めての迷宮探索でハイな精神状態だったのでしょう。
いえ、何時もの私ならもうチョット慎重に事を進めるというか。
失敗して迂闊でポンコツな行動はするかもしれませんが。
あまり危ない事を積極的に進める事はしないと思いますし。
無駄に無駄がある無駄な自己分析。
第三者視点からの考察が必要ですね。
まぁ迷惑千万なソレ問題もコレ問題も、私が一人プレイ中ならば取りあえず問題無いだろう、と言う事実問題が色々と問題なのですが。問題問題言い過ぎた。
Y字路に開いた穴の前で立ち尽くしている私に判っている事は、強引に開始した爆破作戦が成功して、実は内心ウキウキ気分だと言う事で。
通常では進めない未知のエリア! というこの語感だけでハートが跳ね回る感じです。ワクワク。
おっと、そうだマップを確認してみよう!
隠し部屋? というか隠し通路と言うか? 隠しエリアの表示がどうなっているのか、そこが非常に気になります。
思わず口角をニンマリと上げつつしゃがみ込んだ私は、落ち着くためにまず水筒を取り出して水を一杯。水筒を横に置いてスーハーと深呼吸し、メニューからマップを表示させます。
魔素迷宮内のマップ表示は、そう、えーっと何と言いますか、視界に入った場所&自分を中心に円形状のエリアで、ある程度勝手に表示更新されつつ、詳しく地形が描画されていく感じなのですが。
このY字路に開いた穴の先は、私の近くにある場所にも拘らず、なんとマップに詳細が表示されておりませんでした。
あー……これはマップを見ただけで隠し通路というか、ぶち抜ける壁を判別されないように、わざと詳細表示させてない感じでしょうか。
こう、大昔の3Dゲームみたいに壁にゴリゴリと体をこすり付けただけで、壁向こうの地形情報がマップに記載されてしまったら、隠された場所を探すのが簡単すぎますからね。
昔のゲームなら壁ゴリゴリからの強引すり抜け! みたいな状態になった可能性もありますし。動画サイトでそういうバグを集めた面白い映像見たことあります。
見てて思わず『ええー!?』って言っちゃう位には、凄まじくバグバグしてて楽しかったですけど。
おっと、この世界でバグが起こったら色々と危険が危ないですので、落ち着いてこの穴を潜り抜ける事に意識を向けましょうか。壁にめり込んで復帰できなくなった! とか洒落にならないですし。
水筒を仕舞ってランタンを腰から取り外しまして……四つん這いで、低い場所に開放している穴に突入します。右手を正面に伸ばしランタンを正面に翳して内部を確認。
やっぱり壁の薄い所だったようで、数歩ハイハイで進んだ程度で奥の空間に抜け出てしまいました。
周囲の状況は……んー何といったらいいのか……あれですね、人の手が加えられた割合? が高めになっている空間です。
壁や床の装飾がちょっとしっかりしている感じですね。
先ほど私が、爆破作業でヒーヒー言わされていた場所の整備率が……大体30%程度だとすると、このあたりは壁も床もそこそこ手が加えられている感じがしますので……大体60%程度と言った所でしょうか。
もう自分で何を言っているのか良く判りませんが、そんな感じです。
語彙語感に鈍い私の貧弱ボキャブラリーでは、見えている光景に対する巧みな言語表現は不可能なのでご勘弁を。
天のご加護か何かで、脳内データベースの性能スペックがアセンション状態になれば、エブリタイム上手い事発言マシーンにトランスフォームする事も可能かと。
いやいや、脳内で何を言ってるのか自分でも良く判らなくなってきた。
まぁ良いです、新たなるエリアに入ってテンションが上がってるだけです。
こういう隠された場所には、豪華な装飾が施された宝箱とか、怪しい岩に突き刺さったカッコイイ剣とか、古びた玉座に座った大ボス感溢れる何者かとか、そういうのが居たり居なかったりする訳です。
さあレッツ探索! ザッツ冒険! エブリシング素材!
ドカンとテンション上げて物色していきましょう! おっと【薬効ゴケ】発見!
剥がしておきましょうはっはっはー! 私は今、凄い、冒険してる!
あっでもゴーレム君再登場だけはカンベンしてねー!
気が付いたら、ブックマークがジリジリ伸びていてビビります。
なんとも、いやはや恐縮です……(平伏
皆さん一体何処からこの小説を見つけていらっしゃるのか……謎だ。
あと次回の水曜日更新、出来るか少々怪しい感じですスミマセン!
毎度お馴染みで「いける!」という状況でしたら更新しますー
最近上手い具合に時間が取れず、深夜更新が多くて少々厳しいのです(汗
くっ……1時間で3600文字書ける猛者になりたい!(1秒1文字




