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159 爆破 作業は 危ないよ!?

勢いとノリだけで無茶をする。

 アイテムボックス内部に密やかに眠っていた、赤い色の爆発物を3個ぎゅーっと握り締めつつ……標的であるY字路のトンガリポインツ周辺を歩き回り、爆破開通に活用できそうな柔らかそうな見た目の部分や、ココを攻撃したら良いよ! と主張する感じの怪しい所が無いか、視線をゆっくりと上下させつつ……じーっと観察します。んーむ、どうみても普通の岩壁です。


 先ほどココを通った際、一応私の貧弱腕力で棒アタックを食らわしましたが、全く持ってどこに当てたのか判明しないほどに、見た目的にも影響を残していない状態です。


 つまり先ほどの攻撃は誤差の範囲と言うか、ぶっちゃけるとノーダメージと言っても差し支えない健康壁状態ですね。切ない。


 さて、爆破作業なんて産まれてから今日まで、一度も体験学習できていない私な訳ですが。

 というか、17歳で爆発物使用&それで穴掘りをした事のあるという、イケてる剛毅な女子高生は存在するんですかね?


 むしろ爆発する物を使うのって免許とか、そういうの必要だったようなそうでなかったような?

 そちら方面の知識はそこはかとなく皆無ですので、考えてもよく判らないんですけれども。


 あっ、風船なら小さい頃に破裂爆散させた事がありますよ。

 風船って弄っても案外頑丈な癖に、唐突に小さいトンガリ部分で天に召されたりしますよね。

 あれは凄く子供の心臓に悪い。心の準備必須です。


 さてさて、このままここで腕組みしつつ壁と睨めっこしながら考え込んでいても、爆破開通作業は一向にに進みませんので、意を決して一投目にチャレンジしてみようではありませんか!


 でもこの【炎の属性石 極小】ってどの程度の規模で爆発を起こすのか……まったく予備知識がない状態なんですよね。

 半径10メートル四方を軽々と吹き飛ばす程の大火力がある、とか言う超絶爆破力を持った期待のホープだったらどうしましょうか……投げたが最後、私も壁と共に『うわぁぁぁー! ボシュウー(光の中に消え去る音)』ってなったら。


 ……困る、非常に困りますよ。

 この山の中腹まで到達するのに、どれだけの時間と労力を要したと思っているんですか!


 スタミナに至っては激しく変動しすぎて不安になったくらいですよ?

 まぁ序盤は馬車でノンビリ揺られてただけですけど! そこはご愛嬌です!


 でも説明文には爆発を起こす、という文章だけで火力については全く記載されていないのですよね。極小って言う位だから、きっと爆発も極小なのかなーと思うけれど。


 範囲や威力が小さすぎても困るから、程ほどの火力で丁度良い爆発力を発揮してくれると、私凄く助かっちゃうなー頼むよー【炎の属性石 極小】君。


 よし、ナントカの考え休むに似たりです! ココは勢いで行動しましょう!


 まずは魔力を籠めない状態で【炎の属性石 極小】を投げ、どの程度の距離ならばある程度の精度を持ってY字路のトンガリに石を命中させられるか……そこの所を確認&練習します。


 いきなり魔力を籠めて爆発物をブン投げる訳にも参りませんのでね!

 あっそこいきなり投げると思いましたか?


 はっはっは流石に私も学習するのですよ。

 練習できるときはする! これですよ……素晴らしいですねウムウム。


 Y字路の下棒の部分にあたる通路へと進んだ私は、トンガリ部分をしっかりと目視しつつ……オーバースローの動きでもって【炎の属性石 極小】を一つ投げてみます。よいしょー!


 緩やかな放物線を描いて【炎の属性石 極小】がY字路の結合部へと飛んでいきます。おお、結構な距離と精度が出ているのでは無いでしょうか?

 ものを投げる為のスキルは持っていない筈ですので、普通にスキル無しでもある程度の補正が効いているのでしょうかね。


 二つ目の【炎の属性石 極小】を掴んでもう一度同じ感じで、エイヤーと投擲を試してみます。うん、問題なくY字路の部分まで届いている様ですね。


 これなら安心して着火&リリースからの爆破が出来るかな?

 Y字路まで戻って投げた2個の石を拾い上げまして……さあ本番の開始です。


 とにかく遮蔽物といえるモノが全く無いので、出来るだけ距離を離しまして……防御用に【風の壁】を設置した後に、右手に一つだけ【炎の属性石 極小】を持ちまして。

 ……ポーチを作っていたときの感覚でぎゅーっと石を握り締めつつ、魔力が注がれるイメージを脳内に浮かべます。


 数秒目を閉じて集中していたのですが、徐々に【炎の属性石 極小】が温かくなっているのに気が付いたので、瞼を上げて握っていた右手を開いてみますと。


 【炎の属性石 極小】が私の手のひらの上で、ユラユラと揺らめく赤い光に包まれておりました。おお……これで準備できたのかな? 落とさないように気を付けよう。


 左手で赤く光る石を摘んで、ゆっくりと地面に置いてみます。

 うん、流石に置いただけじゃ爆発しないよね。


 数回深呼吸をして……右肩をグリグリと動かして、効果があるのかは判りませんが一応準備運動を。

 さあ行きますよ! 投げて即座に【風の壁】の後ろに隠れるのだ!


 ……うっすらとランタンの光の端に浮かび上がったY字路へ向かって!

 私の全力で!

 いざ投擲ぃぃぃ!


 気合を籠めて投げた赤い石は……

 先ほどの練習と同じ弧を描いて、Y字路へと飛翔していきます。退避、退避ぃ!


 後ろを向いて先置きしておいた【風の壁】の後ろへと素早く隠れまして、しゃがみ込んで姿勢を低くして両方の狐耳を手でギュっと倒して頭に押し付け爆音対策!


 床に座り込んで丸くなり、全身に力を籠めたタイミングで背後から大きな爆発音が発生!

 その瞬間に背中の方からブワっと熱風が巻き起こってきたのを体感しました!

 うわぁ! なんだこれ凄いよ!


 その瞬間にパン! という【風の壁】が耐久限界を超えた事をお知らせする破裂音が響いて…あ痛あぁぁ!?


 ええええ何か、何か硬くて尖った物が私の右尻にゴリっとヒットしたぁ!

 破片!? 破片なの!?


 思わずピョンと跳ね起きて右手でお尻を擦っていた私の横を、ブワッと押し出された空気と共に土ぼこりが舞い散り……私の体を覆うのを確認しました。げっほげほぃ! 煙たい!


 モクモクと爆破の残滓が舞っていて視界が悪すぎるので【つむじ風】を少し離れた所に発動させて、埃をシュワーっと吸引&凝縮してもらう事にしました。

 見る見るクリアになっていく視界。んー素晴らしい。


 爆発の余韻が大体収まったので、Y字路部分まで近づいて破壊状況を確認してみますと……んんー? 角のあたりが削れてヒビが入っている感じですが、思ったよりは掘れていないですね……


 結構な規模の爆発だったと思うのですが……参りましたねコレは。


 爆発の威力が逃げてしまっているのでしょうか……そういえば確か昔何かの動画サイトで、穴をあけるならば爆風に指向性を持たせたり、爆発の威力が逃げないような細工をしたほうが良い、みたいな解説付きの映像を見て、へーそうなんだー……なんて思ったのをボンヤリと思い出しました。


 というかこれ、Y字路で3方向に爆発の威力が逃げてなかったら、結構洒落にならない威力の石が私の右尻に襲い掛かっていた可能性が……? 怖い、怖すぎるぅ!


 これってやっぱり諦めた方が良いのかな……でも1個【炎の属性石 極小】使用したのに諦めるのは……なんだか勿体無いですよね。


 少々考えてみましたが……魔力を籠めた【炎の属性石 極小】2個をこのヒビの部分に捻じ込んで、離れた所から何かしらの方法で、着火&誘爆させるのはどうでしょうか。


 大雑把な予想ではありますが、多分いけるのでは!

 投げ付けるとドカン! と反応って言う事は……多分ある程度強めの衝撃を与えると、何かしらの反応を起こして爆発するという事で良いんですよね。


 【風の刃】をヒビの辺りにゴリっと当てて、爆発させたり出来ないかな……んー試してみないと流石に判らないや。

 【炎の属性石 極小】使い切っちゃうけれど、この考えを実践してみよう!


 その前に【風の壁】だけだと爆風は何とかなっても、飛来物を防御しきれていない事が判ったので、その辺り何かしら対策を考えてから爆破しないと……また私の右尻に被害が及んでしまう。

 ああ、先ほど何があたったのか確認したのですが、壁が剥離して出来たと思われる、程よく尖った大きめの石でした。しっかりとライフバーが減少していたので、ダメージ判定だった模様です。


 右尻に石が命中したのが原因で町に帰還! とかイヤ過ぎますから!

 しかも折角尻尾お手入れしたのにホコリまみれですし! おのれ爆風め!


 対策をどうしようか……と暫く考えつつ周囲を確認したところ、少しはなれた場所で転がして動かせそうな鉱石岩を発見したので、それを回避場所にするつもりの位置までゴロゴロと押して移動させ、簡易のバリケード代わりとする事にしました。


 うむぅ……何時見ても頑丈そうな鉱石岩フォルム。頼りになりそう。


 さあ、後は魔力を籠めた【炎の属性石 極小】を二つ用意しまして。

 ヒビの入っている場所に押し込む作業が残っておりますよ!


 上手く行ってくれると良いのですが……頼みますよ、何処ぞの悪戯好きな神様!

 こういう強引な方法に対しては、あっちの神(黄昏の大神)様の方がご利益ありそうですよね!

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