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158 進めぬならば この手段

右も左もダメならば。

 えーっとそうですよ、右の通路の先に小部屋がありましたよねウン確かに存在しましたハイ。

 でも左の通路の先にもこうやって小部屋がある訳ですねイヤイヤ。


 そうだ何か世界的な間違いか目の錯覚かもしれません。

 ただのだだっ広い通路なのかもしれません。

 通路の途中が膨らんだ動脈瘤みたいに、破裂寸前の危険部位なのかもしれません。


 そうそう一度両目を瞑ってですね、何かしら私を救い得る裏道的な物がある可能性を、この両の眼でしっかりと確かめ見極めるのです私。そして落ち着くのです私。


 ふん! と掛け声を上げてギュッと両目を閉じ、すーはーと深呼吸を一度してから……ゆっくりと薄目経由からの右目だけうっすら解放。そして……視界に映る明かりに照らされた通路の奥には。


 やっぱりどうみても歪められない現実……ゴーレム君の寝室である小部屋があります。

 あーうんソウデスカ。


 わたしの ぼうけんは ここで おわってしまった!


 早い、早いよどうなってるの!

 途中で発見した岩をバキバキ砕く作業をしていなかったら、そりゃもうY字路出発から即ですよ即! あっという間に冒険終了のお知らせが届いてますよ!


 いや、もしかしたらあの沢山転がっている岩が先ほど砕いていた鉱石岩で、私はゴーレムだよー! とフェイントを掛ける罠なのかも知れません。


 私の様なマインドIS貧弱プレイヤーを選定して排除する為の、巧妙なトリックなのでは。

 一応何かしら攻撃を加えて確認して見ましょう。


 そしてゴーレムの寝起き反応が見えたら勿論、中途半端に離れて通路でロケット手首を喰らう羽目にならない様、一気にY字路あたりまで戻りますよ!


 うっすらとランタンの光に照らされて小部屋の中に転がっている、一番近い場所にあった大き目の岩に向かって、何時もお世話になっております【風の刃】を一発射出してみます。


 ゴリっと良い音を立てて命中した【風の刃】に反応して……やっぱりゴリゴリと音を発しつつ動き出した大きい岩。だめだったー! これは完全にアウトだ! 撤退ー撤退するのだー!


 ゴーレムが組みあがるまで待つ必要は有りません!

 さっさとこの場から撤収して戻るのですよ!


 離れてしまえば恐らく敵の察知範囲から脱する事になり、ゴーレム君も眠りについてバラバラ岩石に戻ってくれる筈!


 全力で走る程急がなくても大丈夫だとは思いますので、スタミナが危険ゾーンに突入しない程度の速度でY字路まで戻ります。ひぃはぁ! こんな所を先ほどの4人様方は進んでおられるんですか!?

 パーティって凄いですね! いや私がヘッポコいのか!? どっちだろう。


 取りあえず先ほどと同じ場所辺りに戻った私は、再度クッションを取り出してモフリと座り込みます。


 ふぅーまったく【マラソン】とかいう感じのスキルがあったら、確実にレベルアップしちゃう位には、エニータイム駆け足急ぎ足している感じがします。いや、もしかしたら長時間継続して走る為のスキルって本当にあるのかも?


 あれですよね、前に公式掲示板で拝見した世界の果てに向かったプレイヤーさんとか、そういうスキル持っていた可能性がありますよね! どう考えても走りに走っていた筈ですから、普通に考えたってスタミナが持つ筈がありませんし……でも私には必要あるんだろうか、走る為のスキル。


 いや、こうやって逃走する状況が連続で続いている今現在。

 実はそういうスキルが有るならば、早めに取得した方が宜しいのでは無かろうか。


 だってあれですよ、多分先ほどの様に逃げる為に走っていれば、勝手にスキルのレベルは上がりますよね。無駄な時間が少なくなってお徳では?


 いや待てよ? 逆に走らなければ上がらない、という事にもなりますね。

 毎日決まった時間を、マラソンランナープレイに充てる必要性を考慮しないといけないのか。


 それかそうですね……採取している間はシュッシュと前後左右に軽快かつ素早く移動し続けるとか?

 残像を残す勢いで中腰状態でカサカサすればレベル上がるかな……

 んんんんん!? 想像すると、違和感と言うか不審者感というか……人の皮を被った魔物感が半端ないんですけど。うんいいや、そっち方面の冒険行為は止めておこう。ワタクシ普通でいいです普通で。


 でもマラソン系スキルの存在がどうなっているのか、少々気になったので公式掲示板を開いてちょっとだけ検索してみる事にしました。迷宮内でこんなノンビリと掲示板を拝見していて良いのだろうか。


 ……まぁいいや、一人プレイの気楽さと言うかそんな感じで、ね。


 またもや反復使用を忘れ気味になっていた、強化魔法を武器と防具に使用しつつ……メニューを開いて掲示板を表示させます。きっと皆さんゲームプレイしつつ書き込みをしていると思うのですが、スレッドの数の増え方が尋常じゃありませんね。

 サービス開始して間もないゲームだからこそ、この速度なのでしょうけど。


 色々と情報が足りない状態で検索せねばならない私にとっては、勘弁願いたい事象なのですけどね! 適当に短い検索ワードでは、凄まじい量の検索結果が表示されてしまいますので。


 んーっと検索の単語はどうしよう? 『スタミナ 消費 抑える』とかでいいかな?


 検索ワードを入力、検索開始のボタンをポチッと……うむ、時間が掛かりますね。

 いやそうか、ゲーム内の体感時間が倍なんだから時間掛かるのは当然なんだっけ。


 やっぱりこういう作業は、ゲームプレイ時以外にしたほうが良いんだろうなー……あれ、そういえば迷宮内部でログアウトするとどうなるんだろう?


 あーこれも何かしらのタイミングで調べた方がいいかな。

 カイムさん辺りなら魔素迷宮の猛者みたいだし、色々と詳しそう!


 と言うかあれですね、魔素迷宮探索をココで諦めて帰還するならば、今私の体を使って色々と試しても良いのかもしれないですが。も、もうちょっとだけ頑張ってから、それからで!


 おっと、ログアウトの事について思考しておりましたら、先ほどの検索結果がメニュー画面に表示されておりました。どれどれー?


 ……うああー駄目だぁ、数が多すぎて全く絞り込めていないですね。

 適当に幾つか、検索結果で表示された書き込みを見てみましたが、戦闘関連の書き込みばかりでした。この魔物相手はこんな感じで戦えばスタミナの消費が抑えられるー的なモノが多数。

 うん、聞いたことのない魔物の名前が沢山。


 ですよねー、そりゃ普通に戦闘しているだけでスタミナが減るわけだから、戦闘に関した書き込みが大量に出てくるのは当然ですね。

 駄目だ、全く判らない! コレは詳しい人に聞いたほうが早いや。


 カイムさん辺りなら、なにかご存知ではなかろうか。

 始まりの町へ帰還したらカイムさんに質問してみようかな……いや待てよ!?


 こ、このままカイムさんに色々と聞く羽目になってしまうと、頭をペチコンしてキュッキュするお仕置きを敢行するつもりだったのに、逆に借りが出来てしまってお仕置き実行が不可に!?


 いや、これは必要経費と言う事で諦めた方がいいのか。

 くっ! 思い切り磨き上げて、鏡面加工並みの輝きを取り戻して差し上げようと、心の奥底で密やかに奮起していたというのに!


 良いんだ、町に帰ったらラティアちゃんとワイワイ遊ぶんだ。

 新しいポーション作成も手伝ってもらうんだからね。うん、元気出てきたぞ!


 よし、スタミナも全快している様です。

 はてさて、これからどういった道程を進んでいけばいいのか皆目見当も付きません。


 あれでしょうか、先ほどの4人パーティ様達の通った後をなぞる様にして、残っている素材を頂く感じにしたら良いのでしょうか。いや……あの気の良い方々を無断で利己的手段の為に利用している様で、その手段を実行するのは凄い気が引けるのですが。


 それならば先ほどのパーティプレイ勧誘を受けておけば良いじゃないか!

 という結論になりますものね。


 とすると……やっぱりこの薄い可能性のあるY字路のトンガリポインツを、知恵と力と気合でぶち抜く必要があると言うことでしょうか。ううむぅ何か……例えばドリルの様な物や、百歩譲って掘削用ツルハシ等があれば頑張って開通させれそうなんですが。


 それか爆発物でも良いですよ、ダイナマイトドーン! とか。

 むしろ、この場所を無理やり開通させようとしているのが間違いなのか。

 入り口近くの三叉路に戻って、また違う道に進むのが正解なのか。それも有りかも知れませんね。


 ……ん? チョットお待ちを……爆発物?


 珍しく、この場で活用出来そうな知識を何となくですが思い出しましたので、この記憶が確かなのか確認する為に、素早くメニューからアイテムボックスを開いて……ありました! これこれ! これですよ!


 チュートリアル後に拾った小石! その名も【炎の属性石 極小】です!


 土曜日の朝にアイテムの詳細をアレコレと確認していた時、このアイテムの説明文に確か例の一文が書いてあったはず……やっぱりあった! この石に魔力を籠めて投げると爆発を起こす! って書いてあります!


 ならば試す事は一つですよね。少々ドキドキ作業ですけれど。

 現在所持している【炎の属性石 極小】は3個。


 これで足りてくれると良いのですが……よし、いくぞー! 発破掘削!

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