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154 華やか パーティ また今度

合流ミッション失敗。

ある意味予定調和(何

 私がこういったVRゲーム的なセオリー知識が無くて、色々と凡ミスを食らわせてしまっただけなのに、ある意味被害者であるハンマーお姉さんから、ご丁寧にお詫びのお言葉を頂いてしまって……非常に恐縮な心持ちです。

 パスワードを設定するという事は、つまりはドアに暗証番号キーをつけるのと同義なのかな。


 予めしっかりと設定しておけば、知り合いにパスワードを教えておいて後で合流した後、一緒にレッツ迷宮冒険プレイ! という風に使ったり出来ますからね。


 私には活用する機会無さそうなのが、また何とも悲しみを誘いますね。


 私の初心者っぽい言動に納得が行った様子のハンマーお姉さん、お隣で周囲を見回していた魔法使いさんと再度何かを相談し始めた模様です。ここから脱出するかの算段を決めているのでしょうか。


 会話中に、魔法使いさんが何やらゴニョゴニョと呟いたかと思うと、フンワリと浮遊する火の玉? が魔法使いさんの頭上に現れました。


 なにあれ!? 照明器具の代わりですよね! 凄い便利そうです!


 完全に火の玉っぽい見た目ですし、火の魔法で使える様になるのかな。

 風魔法じゃ光っぽいイメージないし、照明に使えるのは無さそう。仕方ないか。


 お二人の話し合いが終わるまで、ただ立ちっぱなしで待っているのも微妙に居心地が悪いですし、物は試しと適当にメニューを開いてマップを確認してみます。ついでに強化魔法の練習を兼ねて、武器と服へ魔法も掛けておきます。


 火の玉魔法を見て思い出しましたよ!


 意識しないとすぐ強化魔法の事を忘れてしまうこの鳥頭。

 どうにかなりませんかね本当。頭を魔法で強化したい。頭突きが強くなるだけか。


 さて、マップの方はちゃんと迷宮内部の構造も表示されるのでしょうか?


 期待と不安を籠めてマップメニューを確認しますと。

 映し出されていたのはこの場所一帯の地形と……右正面方向に見えている、迷宮の先へ続く通路の途中までの様子でした。


 これは多分ですが、私が見た場所が登録? されるんでは無いでしょうか。


 普通のRPGゲーム等で良くある、歩いたり見た場所が、なんと自動で登録されていきますよー! 方式ですね。これならば途中で出口に戻ってくる場合も安心ですね! 女神様の加護最高!


 マップを確認しつつ周囲を改めて見回し、この魔素迷宮スタート地点も外と同じ様に、カマクラの内部みたいな丸ーい天井をしているのを確認出来た辺りで。


 先ほどと同じ場所に七色の怪しい光が収束し始めたのを確認しました……

 こっこれは、新たなるお客様の予感!?


 先ほどから話し合いをしているお二人が、追加で出現しそうなプレイヤーさんの方や私の様子を見つつ、何やらメニュー画面を弄っておられます。


 結構人の出入りが激しい物なんですね……今度から一人でビビリプレイする時はちゃんとパスワードを設定するようにしなければ……っていうか後付でパスワード設定したり出来ないんですかね?


 一度迷宮設定しちゃったら、もう一度外に出て最初から手順を踏んで作り直さないと駄目とか? ううむ、この辺りは中々奥深い物が有りますね……


 皆さん他のVRゲームで経験済みなのでしょうか。羨ましい。


 初対面の方が増加する気配を感じて、非常に落ち着かない気分になった私は、回避策として壁と一体化する為に壁際へと向かい……膝を抱えて座り込みます。


 そう私は岩壁。この迷宮にある岩壁なのです。いわいわ。


 お尻を支点にバランスを取りつつ、ユラユラと身体を左右に揺らしながら、先ほど光が集まり始めていた迷宮入り口付近に視線を向けますと……どうやら後から入ってきた方々も二人組みのペアだった模様です。


 あーそうですよね、最初から人数が揃っているのなら、パスワードをしっかり設定して知り合いだけでワイワイ魔素迷宮攻略に向かいますよね。


 えーっと、パーティの最大人数って何人でしたっけ……確か6人? だった様な気がします。

 普段使用することの無い知識で私の脳内で風化する寸前ですので、少々正確性に掛ける気がしますが、今のところ特に誰かに迷惑を掛けるような事案に発展していないのでセーフです。


 ハンマーお姉さんが後から追加でご来店(?)なさったお二人に笑顔で声を掛けております。あー最初の印象通り、こういう事態に対して非常に慣れている対応をなさっている感じが、ヒシヒシと私に伝わってきます。

 この魔素迷宮の代表者とやらは、もう私じゃなくてあのハンマーお姉さんで良いのではないでしょうか。


 権限を移行したり出来ないものか。

 そう、あなたがリーダーだ! っていう感じで。無理か。


 何やら身振り手振りを軽く交えつつ、座り込んで事の成り行きを眺めている私の方に、チラチラと何度か視線を向けながら、離れた所でハンマーお姉さんが追加で来たお二人に何かを説明している様です。


 どうぞどうぞ、私の事は気にしないでこの迷宮をご堪能くだされば。


 色々と悟りを開いてしまいそうな心持ちで、4人が会話しているのを眺めておりますと、後から入ってきた方々が、何やら私の方へと近寄ってくるでは有りませんか。


 な、何でしょうか? 私ってば何か不穏な空気でも出してましたか!?


「あのーちょっと良いでしょうか?」

「はっはい!? 何でしょうか!」

「今話し合って、あちらのお二人と組んで4人パーティで迷宮攻略に行く流れになったんですけど、もしお嫌じゃなかったら、ご一緒しませんか?」


 笑顔で首を傾げつつ私の顔を覗き込むような感じで、そう声を掛けて下さったのは……女性のプレイヤーさんで。長いお耳が顔の両側に見えておりますので、きっとエルフさんでしょうか。

 お隣にいる方の頭には、図書館の受付嬢であるファルトゥラさんと同じウサギ耳が。ふさふさしていて目に優しい。


 リーナさんとは違って、落ち着いた雰囲気の金髪のエルフさんですね。


 これぞ私の脳内にお住まいのエルフさん! といった正統派なイメージの方でした。

 絶対にこの方も凄い良い人だぁ!


 きっと一応私がこの迷宮の代表者だから、気を遣ってお声を掛けてくれたのでしょうか。ありがたいことですが……私は生産職なんですよね。戦闘方面では余りお役に立てそうに無いんです……ううむぅどうしたものか!


 私が返答をどうするか悩みながら、ウムムと首を捻りつつ唸っていますと、金髪エルフさんが両手を胸の辺りまで上げてフルフルと左右に振りながら、ちょっと申し訳無さそうな表情を浮かべて、私の返答より先に再度声を掛けてきました。


「あの、無理にとは言わないので、本当に良かったらですから!」

「あっはい! あのー私は生産職で、戦闘は全然なのでその、少し素材を集めたら……進まないで外に出ようかなーと思っていたんです」

「あぁそうだったんですかぁ! この後もう迷宮の外へ戻ってしまう感じですか?」

「もう少し、えっと頑張って集めてから、にしようと思って、ます!」


 折角お声を掛けて下さった方相手に、応対中ずっと膝を抱えて座りっぱなしだと失礼かと思いましたので、立ち上がってグッとガッツポーズをしつつ、採取魂を燃やす決意を籠めて頷きつつ返答します。


 そんな風に会話している最中に、ハンマーお姉さんと魔法使いさんも何時の間にか近くに来ていることに気が付きました。私の採取至上主義発言に、一応の納得をいただけた感じの手応えが。


 折角誘っていただいたのですが、皆さんみたいな良く出来た凄そうなプレイヤーさんと一緒にパーティを組んだとしても、どう考えたってオンブに抱っこでお荷物で足手まといなので!


 その後、皆さんは色々とこのゲームについて会話しつつ、追加のプレイヤーさんが来るかどうか待っていました。私も話を振られましたので、ちょっとだけですがポーション生産について等の話題を提供しましたよ! どうです、我ながら頑張ったのではないかと! 地味すぎるけど!

 そんなこんなで和気藹々と会話した後、後続が来る様子が無いし出発しましょうかー! とハンマーお姉さんが提案、その流れで迷宮内へ出発する事になった皆さん。


 全員女性という華やかなパーティが作成され、4人が迷宮の奥へと進んでいく後姿を、私は笑顔で手を振りつつ見送りました。みなさん私に『採取頑張ってね!』と応援まで残して下さいましたよ。うう、心にしみる。


 ああ……プレイヤーさんとの触れ合いも良いですね!

 もうちょっと、こう、私がまともにVRゲームをプレイ出来ている! と言えるような腕前になったら、その時こそはパーティプレイに挑戦とか!?


 でもあれかなぁ、予行演習的な意味を籠めてカイムさん辺りにお願いして一緒に冒険! とか出来たりしたら凄い楽なんですけれど。主に気楽に会話できるという意味で。


 今までプレイヤーさんと一緒にプレイはまだまだ厳しいー! と思っておりましたけれど、カイムさん相手なら……ちょっと失礼発言ですが、気を使わないでも良さそうな雰囲気があります。


 もう私の中では『微妙にダメな子供好きオジイチャン』イメージしか無いですし。


 ココに来る途中であったお髭の護衛騎士さんとかは、そんな事を私が思ってると言うだけでビキビキ音を立てながらその場で卒倒しそうな勢いですけど。

※ ある4人パーティの会話 ※



ハンマー「なんだか面白くて可愛い子だったね! 中学生かなぁ?」


魔法使い「物凄ーい初心者パワーがあふれ出てて、私には眩しかったよ……」


エルフ「ココまで来るのも大変だったみたいですね。ゴーレムから逃げるのでスタミナがー! っていうお話は私も共感できました」


ウサギ「柔らか素材を求めて山岳地帯に来るっていう思考がまず面白い、座布団3枚と100点をあげたい」


エルフ「山羊みたいな魔物が居るといいんだけどねー、まだまだ情報が出回ってないから判らないよね」


ハンマー「そうだ、私達はボスドロップ狙いですし、採取系のアイテムは適度に残しておいて上げましょうか!」


魔法使い「その優しさがあのような悲劇を生むとは……この時は誰も知らなかったのである、まる」


ハンマー「その不吉な言い回しはやめなさいよ!」


エルフ「あはは! お二人は仲が良いですね、リア友とかなんですか?」


ハンマー「前やってたMMOからの付き合いでリア友です、FSOって判ります?」


ウサギ「おお! 私達二人も元FSOプレイヤーなんですよ! このゲームってFSOに似てるシステム部分ありますよねー」


魔法使い「運命と宿命が複雑怪奇に絡み合う……コレは新たなる戦いの予兆!」


ハンマー「適当に意味深なこというの止めなさいな……」


魔法使い「がびーん」


エルフ「あっ本当に岩虫がでましたよ! 予言的中ですね!」


魔法使い「それほどでもある」

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