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152 初の 迷宮 突入です

 ログアウトする前とは確実に様子の違う周囲の状況を見て、色々と激しく動揺している私の事を、通りすがりの方々が不思議そうに眺めつつ歩いていかれます。いや、ここって本当に先ほどと同じ魔素迷宮の入り口ですよね!?


 一応横を見て確認してみましたが、どうみても先ほどこの場所に進入して来た時に利用した、ぐねぐねとした空間の歪みが見て取れます。うん、コレは間違いないですね?


 フードを目深に被り直しまして俯きつつ、目立たないように首を動かさない感じで軽く上目遣い状態で、先ほどとは打って変わって明るくなった周囲をもう一度確認します。

 俯いたときにランタンが稼働しっぱなしだったのに気が付いたので、燃料の魔石が勿体無いですし摘みを捻って明かりを消しました。


 それにしたって、こんな時間にこれほどの人数が集まっているとは思いもよりませんでした。

 ゲーム内だと多分今って完全に深夜ですよね?


 周りの人達の動きを妨げない程度の速度で、魔素迷宮入り口前を歩いて移動します。

 一歩一歩踏みしめるように足を進めつつ横を眺めますと、厚手の布を床に広げてアイテムを並べて露店を開いているっぽい方々は、大体壁際にグルリと場所を展開している様で、中央部分は開けた状態になっております。


 とは言っても、恐らくパーティでこれから魔素迷宮へと挑むのだと思われる人たちが、ワイワイと笑顔で会話しながら、例の上がスッパリと切られたように平らになっていた鍾乳石の様な物体の前に列を作って、中央の広い場所で整然と順番待ちをするかの様に並んでおられるのですが。


 あっ! 一番先頭にいた人たちが、ログアウトした時の様に光になって消えて行きました。

 アソコで何かをすると、魔素迷宮内部に移動する構造になっているんでしょうか?


 さっきは迷宮の入り口を確保する前に触ったため作動しなくて、あのスッパリ鍾乳石にどんな機能が有るのか全然確かめられなかったんですよね。

 順番待ちしていた次のプレイヤーさん達が鍾乳石の前に移動したので、コッソリと斜め後ろ辺りから、鍾乳石に向かって手を動かしているプレイヤーさんの動きを眺める感じで、魔素迷宮に突入するにはどういった操作が必要なのか、コッソリと確認する事にしました。


 判らないときは先人の力を借りるのが一番です。まぁ覗き見ですが!


 ぱっと見た感じでは何やら文字入力っぽい動きをしております。

 なにか登録する必要が有るのでしょうかね。


 あっ! また数人のプレイヤーさんが移動したのか姿を消しました。


 と言いますか、私みたいに一人で魔素迷宮に行こうとしている人が、今のところ全く見受けられないのですが? これって私が一人で並んでいたら目立ちませんかね?


 いやまぁ折角なので、一度くらい中を様子見する為に並びますけれどね?

 目立って無いと良いんですが……うむぅ。


 念のために、身に付けている装備の確認をしつつ列の一番後ろに並びます。

 その際にフードを再度目深にかぶりなおす事も忘れません。

 既に多数の視線が後頭部あたりに突き刺さっている感が否めません。私が気にしすぎているだけであって欲しい。


 例の謎手続きは一つのパーティにつき1分も掛かっていない様なので、私の順番はすぐに回ってくるでしょう。それまでの辛抱です。

 それにしても皆さん、一体何処から噂を聞きつけてこの場所に集まったんでしょうか。


 まぁ例のシステムメッセージが、全プレイヤーの皆さんに届いたんだろうなぁ、という先ほどの予想が的中していたのだとは思います。でも町からこの山岳地帯までって、結構距離があって遠いですよね?


 町で魔素迷宮発見報告を受けてから移動開始しても、この時間帯にこの場所へ到達するのは無理っぽい気がするのですが。何か早く移動できる乗り物があったとか?

 馬車に乗っていた私でも結構時間が掛かったんですが。うーん? 判りませんね。


 そんな事を考えている最中にも、列はドンドンと前へと進みまして。

 私の後ろにまた新しいパーティの方々が並び始めました。回転率良いですね!?


 並びながら見ていて気が付いたのですが、この開けた場所の中央部に円形状の石版? っぽい物が床に敷かれていて、その上にパーティっぽい数人の人たちが、何処かから瞬間移動してきたかの様に突然ポンと現れたのを確認しました。アレは一体何処からどうやって移動して来ているんでしょう。


 その方々から聞こえてくる会話の端々をコッソリと聞きかじる事で、石版の上へ瞬間移動してきた理由は大方把握できましたが……何やら魔素迷宮の最奥部に到達して、そこにいるボスを倒した後に出現する光の柱? とやらに入ると、中から直通ワープでそこにある石版の上へ帰ってこれるみたいです。


 そりゃ一度来た道をまた戻るのは面倒ですものね。何とも便利な機能です。


 ボスを倒さないで、途中で脱出してもあの石版の上に出てくるのかな。


 素材が沢山手に入った! と喜んでいるそのパーティさんを横目に見つつ列を前へ進め、ついに私の順番が回ってきました。さてさて? 一体どうやって中に入るのかな?


 最初にしたように、平らになった部分に手のひらを当ててみますと。

 私の正面にメニュー板が出現しました。どれどれ、しっかりと確認せねば!


『魔素迷宮の設定を開始します 代表者を指定して下さい』


 ふむふむ、文章から察するに……コレはパーティならばリーダーさんを指定する場面でしょうか。残念ながら私は一人ですので、選択肢が表示されているメニュー板部分には、一行で『フワモ』としか表示されていません。うん……わかり易くて良いんじゃないでしょうか。


 考える必要も有りませんので『フワモ』の部分に指を伸ばしてタッチします。


 すると表示内容が切り替わりましたので、再度確認。

 次は何をしてくださいといわれるんですかね。


『迷宮用のパスワードを設定しますか? はい いいえ』


 ええーっと? 迷宮用パスワードって何ですかね?


 設定しないと非常に危険ですよ! とかパスワード設定しないと制限が! とかあったりする訳じゃ……ないですよね? まさかね? 


 んーむぅ、どうせ様子見して危険そうならすぐに脱出するつもりですし、必要ない、のかな??


 余り後ろの人達を待たせる訳にもいきませんし、少し考えた後『いいえ』の部分にタッチしました。わざわざパスワード設定するほど仰々しいプレイはしていませんしね!

 何か不都合があったらその時にまた考えましょう。


 私がパスワード設定を終わらせると、いつだったかGMのフィーアさんを呼び出した時の様に、ベルのマークが左右に振られている様なアニメーションがメニュー板に表示されました。


 その下に記載されていたのは『迷宮内部設定を構築中』という一文。


 ああ……もしかして今まさにリアルタイムで、私が突入する為の魔素迷宮が作られている! とかそういう感じですか? 確かアレイアさんのお話では、多数の迷宮が内部に存在するみたいな話でしたし。


 と言う事は、もしかしなくても内部で偶然に他プレイヤーさんと出会う、なんて事は無いと思って良いのかな? それなら色々と安心なのですが。社交的な意味で。


 どうもイマイチ魔素迷宮の仕様が良く判らず、微妙に唸りつつ首を捻って考え込んでおりますと……メニュー板に表示されていたベルのアニメーションが消失して、そこに記載されている文章内容が変更されました。さて、コレで出発できるのかな?


 『魔素迷宮 作成者【フワモ】の【暗い 鉱石 の 迷路 迷宮】パスワード【無し】をジェネレート完了しました ダンジョン探索を開始しますか? はい いいえ』


 おお! ようやく迷宮内に突入出来そうです! 迷わず『はい』をプッシュ!


 周囲の景色がパッと暗転して、唐突に浮遊感に襲われます。

 『はい』を選択後、恐らく一瞬で真っ暗な別の何処かにある空間へ移動したみたいですね。


 あっとしまった……ランタン消した状態で突入したから周囲が真っ暗だよ!?

 えーっと腰のこの辺に確か……あったあった。


 周囲で魔物が動く音がしないか耳を澄まして一度確認してから、その場に腰を下ろして携帯用ランタンの着火に着手します。まずは明かりが無いと身動きできませんね。

 それにしても……照明器具を持っていない状態で突入してしまったプレイヤーさんは、一体どうなるんでしょうかねコレ。絶対何も見えないですよ。


 魔素迷宮の名称に【暗い】って書いてあるから、皆さんちゃんと照明器具を持参して来てるんでしょうか。


 そんな事を考えつつ、先ほどこのランタンを使用した時と同じ要領で、強い魔力を籠めてデコピン点火を試みました。問題なく無事に明かりを発し始める携帯用ランタン。ホッと一息です。


 もうこの着火方法にも慣れて来ましたね!

 本日二人目のイメージカイムさんが、着火デコピンの前に散っていきました。


 あくまでもイメージですので大丈夫です。


 戦闘をする可能性を考慮して、携帯用ランタンは手持ちではなく、ベルト部分に吊るして固定する事にします。腰に提げた棒武器を引き抜いて握り締め、これで準備万端です!

 それでは早速、初の魔素迷宮探索と参りましょうか!

※ 追記 ※ 気になった所を少々を手直ししました。

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