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148 魔素 迷宮 と 特別報酬

撃つ⇒落とす⇒叩く

 無駄にクオリティの高い足の動きを作ったであろう、何処かの神様に心の中で軽く悪態をつきながら、地面に落ちている魔石を取得します。

 この調子で天井にくっ付いている彼らを全滅させれば、この場所を確保した事になるのでしょうか。

 それとも全部倒した後に大ボスの様な存在が出現して、それを倒さないと駄目だったりするオチが付いたりしないでしょうね?


 その後、スタミナやマナの残量に気をつけて行動しつつ、天井に張り付いている岩虫君を駆除する作業に従事します。なんだろうか、虫駆除業者サンなのか私は。


 天井から引き剥がすと問答無用で足ワシャ状態! になるので、倒す事自体は簡単なんですけれども。なんですけれどもね?

 スタミナもマナも減っていないのに、途中で一回休憩を挟んでしまう位には虫天国ですよ。

 お近づきになりたくない感じのヘブンです。


 作業を開始してから大分時間が立ったような気がしましたので、一度空間の歪みに顔だけ突っ込んで外の様子を窺ってみる事にします。表に顔を出したら魔物が正面に居ました、とならない様に一応は右手に武器を準備して警戒しつつ。


 先に武器を突っ込んでブンブンと鍋をかき回すように振ってみましたが、手応えは在りません。これなら大丈夫でしょうか。勢い良く顔を歪みに突っ込んで外を確認してみますと。


 あー……夜です。完全に夜です。

 この場所は月明かりも殆ど届かないような地形なので、魔素迷宮の入り口と外、両方同じくらい真っ暗です。


 ああ、ガルドスさんにご相談してランタンお借りしてなかったら大惨事でした。

 やっぱりガルドスさんはイケメンですね。お世話になっております。


 顔を歪みから引っこ抜いた私は、先ほどから幾つか拾っている岩虫君の魔石を、ランタンの燃料投入口に放り込んでパワー補給をしてあげます。こうやって近くに居る敵から魔石を自足できるなら、しばらく照明の魔石パワーは安心かな?


 でも夜になったとは言え、恐らく日が沈みきってからさほど経っていない筈ですので、もう暫く活動を続けていても大丈夫だろうと予想しております。ランタンがあるので強気。どんとこい。


 さて、余り長く休憩しすぎると時間を無駄にしてしまいますし、残りの岩虫軍団を駆除する作業を再開しましょうか。この作業もパーティで人数が沢山居る状態なら、あっという間に終わるんだろうなー……頑張ろう。


 その後、黙々と目標に【風の刃】を当てて落とし、棒でボコボコ殴るという単純作業を地道に進めまして……岩虫君討伐数が2桁突入した辺りで数えるのを止めた私の元に、待ち望んでいたその時がやって来たのでした。


 グルリと周囲を見回し、大体見える場所にいる岩虫君を全部倒せたかなー? 等と思いつつ地面に視線を向けて落ちている魔石を拾っていた私の目の前に、今回ばかりは待ち望んでいたメニュー板が音をたてて出現しました。やった! 駆除作業完了!? 苦行の時間は終わり!?


 思わず鼻息を荒くした私は、表示されたメニュー板に記載された内容を確認します。


『付近の魔物掃討が完了しました 迷宮入り口を確保しますか? はい いいえ』


 そりゃ勿論、何も考えずに脊髄反射と言わんばかりの速度で『はい』をプッシュですよ!

 今までの苦労が報われた瞬間です。


 そりゃまあ一応、アイテムボックスの中に岩虫君が出す素材である、沢山の鉱石が詰め込まれているのは確認しましたけれど。自分で加工できない素材はちょっと喜びが薄いのです。


 欲しい人は欲しいんだとは思いますけれど。

 ゲイルさんとかに直接買取とかお願いしたり出来ないものでしょうかね。


 ギルドに持っていくのと直接取引するのって、どっちが良いんだろうか。


 等と、無駄に溜め込んでしまっている鉱石の行く末について案じておりますと、メニュー板に表示されていたメッセージが変更されました。

 

『迷宮入り口確保を完了しました 今後迷宮入り口では魔物がポップしません 確保パーティ人数 0 代表プレイヤー名 フワモ  次へ』


 ふむ? 一応入り口の確保とやらは完了? したのでしょうかね……ええまぁ、何といいますかあれです『確保パーティ人数』の部分表記が『0』になっているのは当然の結果ですね。

 私は一人ですし。うん、紛れもない事実ですね。


 システムメッセージからの鋭い精神攻撃を回避出来ず直撃を受けた私は、とりあえず回避手段として見なかった事システムを発動して、表示されている『次へ』の部分を突きます。

 ワー ツギハイッタイ ナニガ ヒョウジ サレルノカナー?

 

『魔素迷宮発見の報告を行いますか?  はい いいえ』


 むむ! それは勿論『はい』ですよ!

 確か『いいえ』にして報告を行わないと、後で色々とマズイ事になるとか言う話を聞いた記憶がありますし。むしろ報告しない事で何か良い事とかあるんですかね? 謎です。


 しっかりと迷わず『はい』の部分をプッシュして発見の報告を肯定します。

 ここに迷宮があると言う話を聞いた強い人たちがココに来て、パパっとクリアしてくれればこの辺り一帯が安全になるはず! むしろ岩虫君の出現を食い止めていただく意味合いが強い!


 ひっくり返さないで倒せば良いんでしょうけれど、時間が掛かりすぎて何とも。

 折り合いをつけるのは難しいですね。


 『はい』を選んだ後にまたもやメッセージ内容が変わりましたので、ランタンの位置を調節してしっかり目を通してみます。なんでしょうか、報告が済んだらそれで終わりじゃないんでしょうか?


『魔素迷宮発見の報告完了 発見者名を記載しますか? はい いいえ』


 ……ふむふむ? えーっと、これはどういう意味なんでしょうか?

 記載って事はなにか……例えば報告書みたいなものに私の名前が載ったりするんでしょうか。


 『岩虫君との死闘の末 迷宮入り口の確保に成功 へっぴり腰フワモ』みたいな感じで記録に残ったりしてしまう可能性が? いやいやいや! 激しくご遠慮したい所存で御座りますで候!


 とんでもない想像図に身震いした私は、思わず『いいえ』の部分を全力で連打してしまいました。この魔素迷宮は他の方々にお任せしますので、もう私の事なんて気にしないで下さいハイ。


 激しく『いいえ』を選択した後、表示メッセージがまた切り替わります。


『仮の発見者名を入力してください 【    】  完了 戻る』


 あーはいはい了解です! 何か名前の変わりにココへ入力しておけば良いんでしょう!

 えーっとうーんと……深く考えないで本当に適当で良いや!

 特に捻りもなく【匿名希望】で良いよね。こんな事で時間を費やしている暇はないのだ!


 空中に出現していた入力用のキーを叩いて【匿名希望】と入力、もう一度記載内容を見直して『完了』の文字を突きます。なんだか色々と手続きみたいな物が必要なんですねぇ魔素迷宮発見って。大変だ。


 入力が完了した後、ようやく目の前に表示されていたメニュー板が消えました。

 ふー、なんだかお役所手続きしている気分でしたよ。


 それでは一旦休憩してから次の行動に移りましょう、と壁際へ移動し始めたタイミングで……再度目の前にメニュー板が音と共に現れました。ちょ!? フェイントは止めて頂けませんかね!?


 はてさて、お次はどんなお役所書類が届いたんですかね?


『報告者名【匿名希望】様が ランクD魔素迷宮【暗い 鉱石 の 迷路 迷宮】を発見しました! 迷宮の位置はマップメニューの【発見迷宮表示】項目から確認出来ます』


 あら? てっきりまた、何かしら文章を入力をして下さいー! と言われるのかと思っていたのですが。

 予想と違って普通にシステムメッセージだった様ですね?

 ……と言いますか、ちょっと待って下さい。


 これって記載内容から何となく予想出来るのですが……もしかしなくても、いまログインしている全プレイヤーにメッセージとして届いていたりします?


 危なっ! 危なかった! 【フワモ】で登録しなくて良かったよー!

 無駄に目立つ事は回避する! これが基本的な私のVRゲーム術ですから!


 その後、表示されたメッセージ板を突きますと、また続きが表示されました。

 えー……まだ何かやらないといけないんですかー?


 いいや、とりあえず座って休憩しながら作業しましょう。アイテムボックスから食べ物取り出して食べながらやっちゃいますよー! お行儀悪いとか言うのは無しです!


 もぐもぐ、えーっとどれどれ?


『発見者用の特別報酬を受け取りますか? はい いいえ』


 なんですと! 特別報酬!? なんという心踊る響き!

 そりゃもうあり難く頂戴いたします! 勿論『はい』を選択です!

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