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147 足が ワシャワシャ ご勘弁!

巨大かまくらの内部みたいな構造。

足の動きは専用プログラム仕様(無駄なこだわり

 アレイアさんのお言葉を何となく思い出しながら、目の前に表示されているメニュー板の文章を再度確認しなおした私は、確か……特に魔素迷宮自体を突破しなくても、出入口から不都合も無く外に戻れる! という話を聴いたのを思い出しました。


 後ろを振り返ると、確かに入ってくるときに利用した様なモヤモヤ状の空間の歪みが、私の背後にある壁に存在するのを確認できました。多分ココから出たり入ったり出来るって事だよね。


 右手に持ったランタンをなるべく頭上へと掲げる感じで突き出し、周囲の状況をしっかりと確認する作業へ入ります。いきなり暗がりから敵が飛び出してきたら危ないもんね。


 体の向きを変えつつ、ぐぐーっと腰を曲げて目を細める感じでランタンの光に照らし出されている薄暗い空間を見回しました。特に何かがある様な雰囲気は感じませんね?


 ざっと確認した所、円形状の広場みたいな感じの場所みたいです。

 壁際に外で見覚えのある色合いの違う岩が、無造作にゴロゴロと転がっているのが見えました。あれも採取可能な素材岩でしょうか。


 私が周囲を見つつ色々と無駄に考察しておりますと、目の前に表示されっぱなしのメニュー板が何時までも消えないのに気が付きました。

 あれ、確か自分で閉じなくても一定時間で勝手に消えてくれたような。


 内容をもう一度確認しますと『次へ』の部分が点滅しているのを発見しました。

 あれ、コレってもしかしなくても……次のページが存在したりしません?


 周囲の確認の為とはいえ、余り先に進みすぎてしまうと危なそうな気がしましたので……例のもやもやの横あたりまで戻って壁に背中を預けて座り込みますと、手に持っていたランタンを床に置いて、今もメニュー板上で点滅している『次へ』の部分を人差し指で突いて見ます。


 すると、私の予想通りに次の新しい文章が表示されました。


『迷宮入り口確保の為、周囲に存在する敵魔物を掃討してください』


 ふむふむ……ふむぅ!? ええっ!?

 えーっと? コレってこの場所に敵がいるとかそういう事なのかな?


 あれですか、門を守る番人みたいなそういう存在がこの場所にいて、それを私が倒さないと駄目ですって事でしょうか? そんな話アレイアさんに聞いてないですよ!?


 メッセージに実は続きがあるのかもしれない! と思いメニュー板を突いてみたのですが。

 無常にもメッセージと共に普通に消えてしまいました。

 ひえぇ! これはどうしたものか!?


 一応周囲を再度見回して確認してみます。小さいホール程の大きさがあるこの空間には、何度確認しても動いているような影は見受けられません。


 このまま壁際で周りをにらみ続けても埒があきそうにありませんので、ココは一つ決意を胸に秘め、ランタンを持って奥へと進んでみることにしました。奥地へ進まなければ大丈夫のはず。


 そんな決意を嘲笑うかのように、呆気なく部屋の最奥へと到達してしまった私。

 あれー!? もしかして物凄い狭い魔素迷宮だったりしました!?

 終わり、終わりなの?


 あまりにも呆気なさ過ぎたので、思わず口に出して『ええええー!?』と呟いてしまう位にはあっというまでした。いや、何か仕掛けがあったりするのかもしれない! むしろあって欲しいと願う!


 右へ左へとランタンを掲げつつ、壁際を伝って周囲を確認してみます。


 右方面はデコボコとした岩壁が、ゆったりとしたカーブを描きつつ存在するだけで何も見当たりません。あるのは先ほど確認できた色の違う岩の塊ばかり。


 左へと視線を向けると……あれ、一箇所すこし岩壁が削れている所があります。


 足元を警戒しつつそちらへと向かいますと、何といいますか……ぱっと見た感じは床から突き出た鍾乳石の様なオブジェがその凹んだ部分にありました。でも恐らく自然に出来たものでは無さそうです。


 何故そんなことが判るのかと言いますと……何故かは判りませんが鍾乳石の先端部分が、何か切れ味のいい刃物でスッパリと切られたかの様に、滑らかな切断面を見せて平らになっていたからです。


 ランタンの光を反射してキラリと光る切断面に、何となく手のひらを置いてみますと。

 またもや例の音と共に目の前へメニュー板が出現しました。


 うぉっとぉ!? 現れましたねビックリトラップ!


 一応警戒心を抱きつつ行動していましたので、ランタンを取り落とす事はありませんでした。ココって床も結構固そうだから落としたら壊れてしまうかもしれませんし、気を付けないとね。


 また驚かせポイントがあるといけませんので、その場で膝をおってしゃがみ込みますと……ランタンを床に置いて記載内容を確認します。


『入り口確保前の為 迷宮内に入る事ができません』


 ふむ……? 通常ならばこの鍾乳石にタッチすると、魔素迷宮の内部に突入できるのでしょうか。

 とはいっても入り口確保と言われましても……魔物はいずこに?


 ポンチョのフードを跳ね除け、今一度周囲を確認しなおします。

 やっぱり硬そうなゴツゴツ岩の床に、外でも見かけた色違いの岩しかないですね。


 あのサイズの岩虫君がいる可能性が実はあったりするのかもしれませんが……

 一応魔法でも当てて確認して見ましょうか。


 左手にランタンを持ち直し、ある程度離れた場所にある色合いの違う岩に【風の刃】を当ててみます。普通にダメージ表示である数字がポンと飛び出しましたが、反応は有りません。

 んー? やっぱり普通の岩みたいですね?


 さて、魔物を倒したくても標的が存在しないとは……これはどうしたものでしょうかね?


 流石に岩で出来ているこの地面に、実は埋まって隠れているなんて可能性はないでしょうし。

 ……ん? そういえばココに来る前に戦ったのって確か。


 ……そう、岩虫君でしたよね。そしてあの魔物は……擬態するのは判っておりますし、大きさや形状は大体記憶にありますので、周囲に存在した場合は目を凝らせば敵だと判別できる自信は、一応ですがあります。

 でもあの岩虫君、もう一つの特徴が。ありましたよね。


 ……私は右手に持ったランタンを思い切り上に突き出して。真上を見上げます。

 うぁああああ! やっぱりぃぃぃ! くっついてるぅ!


 私の予想が的中した模様です……出来れば当たって欲しくはありませんでしたが。


 そう、周囲の岩壁からシームレスで繋がる形で、なだらかーに丸形状をした硬い天井に……あからさまに不自然な形のこぶし大の物体がくっ付いています。そう、彼です、岩虫君です。


 そんな所にくっ付いてたら、普通は気が付かないよ!

 事前に壁に張り付いたりしてるって調べてなかったら確実に判らなかったですよ!?

 むしろ天井のデコボコだと思って誰も手出ししないですよ本当!


 天井を見上げたまま、手に持ったランタンをグルリと周囲を照らす様に回転運動させます。

 敵の数はそれほど多くはないようですが……これって岩虫君に手出ししたら、天井から例のスプレー攻撃が撒き散らされるんじゃないですかね!?


 一匹づつおびき寄せて棒で叩けば行けるかな……? と、とりあえず挑戦してみよう!


 何時でもこの場所から全力離脱できるように、例の出入口であるモヤモヤの横まで戻った私は、一番近くの天井にくっ付いている岩虫君へ向かって【風の刃】を飛ばします。


 天井を掠めながらいい感じに【風の刃】が命中し、岩虫君が硬い床へとゴスンという重量感の有る音を響かせて落ちてきました。作戦第一弾は無事成功を収めた模様です。

 後は周囲に居る岩虫君が、私の攻撃に気が付かなければ良いのですが……どうだろう?


 地面に落ちた岩虫君は、ひっくり返った状態で例の足ワシャワシャモードに移行しております。

 他の岩虫君は……動いてない! これはチャンス!


 ザリザリと靴の裏を擦る感じのヘッピリ腰移動で、ひっくり返っている岩虫君へ近寄りますと、弱点である裏側をボコボコと棒で殴ります。申し訳無いが私の為に天に帰っておくれ!

 数回目の攻撃が命中すると、七色の光になって消えていく岩虫君。勝った。


 ひっくり返ってると柔らかくて倒しやすい! そして相変わらず動きキモイ!

 もー無駄に良い動きすぎる! もうちょっと手加減して下さいよ【黄昏の大神】(プログラム主任)様!

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