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146 何やら 発見 アナザーワールド?

わき道に逸れる。

 無事に頑丈な岩虫君を倒せましたので、アイテムボックスを開いて何を入手したのか確認してみる事にします。確か図書館で読んだ本には、この岩虫君も鉱石類を出すと書いてあったような記憶が。

 でも確か……この岩虫君は、洞窟にいる魔物の紹介ページに載っていた覚えがあるんですが。


 さっきの個体は、一人で外に旅立った岩虫君だったのでしょうか。

 それとも本の記載にブレがあったとか?


 プレイヤーである私達がこのVRゲーム世界に来た事で、色々と変化が起こっているようだ! みたいな話でしたし。


 洞窟で出会う魔物といえば……そう、あの例の巨大ムカデな魔物が一緒に記載されていたのも、しっかりばっちり覚えております。もしかしたらあっちもお外に外出している可能性もあるんですかね。


 ……あまり思い出したくない知識です。キミ(ムカデくん)とは会わないで済むと助かります。


 さて、虫&虫の思考を垂れ流していないでアイテム確認をせねば!

 えーっと? 鉱石鉱石っと……お! ありました!


 最初倒したゴーレム君から出た鉱石が収納されているあたりに、新しい名称が一つ増えているのを確認! 数は2個ゲットしていた模様。

 アイテム名は、なんとも普通ーな感じの名称で【鉄鉱石】ですね。


 倒すのに余り手間がかからない分、落とすのは【上級鉄鉱石】ではなく普通のものなのかな。


 確かひっくり返すと楽に倒せるんでしたっけ。

 棒を足元に突っ込んでエイヤー! と押し倒せば引っくり返るかな?

 重さはさほど無さそうですしね。


 でも壁とかにも張り付いてる魔物だ! っていう説明が本に書いてあった筈ですし、こう、何といいますか……木にくっ付いている虫を引っ張った時みたいに、強情に接地面を足で掴んで簡単に動かせない可能性もあるのかな。


 虫が中々剥がれないという逸話は私の体験談から!

 子供の頃に木にとまっている虫をつまんだ事があるのです!

 ええ誰も聞いてないですね、はいスイマセン。


 過去に体験した虫との遭遇をなんとなーく思い出しつつ、今回も地面に何か落ちていないか周囲を見回して探してみます。確かこの岩虫君も魔石を落とす筈……おっ発見しましたよ!

 大分サイズが小さい魔石ですね。


 いや、ゴーレム君が残していった魔石が大きすぎるのか。

 魔物のサイズ相応な大きさと言う事ですね。納得納得。


 地面に落ちていた岩虫君の魔石は、大体1センチ程度のサイズで、人差し指と親指で摘んで翳すと、陽光と反応してキラキラ光りました。水晶みたいで中々綺麗ですね。


 ああ、いま魔石を光に透かしていて気が付きましたが、太陽の位置がかなりまずい事になってきました。これはもう確実に夕方です。日が落ちるのも時間の問題になってきましたよ!?


 確認の済んだ魔石をアイテムボックスに投入し、忘れ物はないかなと周囲を見回しましたが……あれ、また何やら動いている物体がいるような……?


 水が湧き出ている岩場の横の方から、先ほど倒した岩虫君とはまた微妙ーに色合いのちがう個体が、ゴソゴソと動きながら出現しました。

 えええ、これもしかして……そこの奥に洞窟でもあるフラグでしょうか!?


 2回目の戦闘ともなると、相手の行動をある程度把握しておりますので、対策を練りつつ行動する事が出来ますよ! まずは保険で【風の壁】を配置、武器に攻撃力増加の魔法を掛けて、と。

 【風の壁】の横からへっぴり腰で岩虫君に向かって【風の刃】を飛ばします。


 攻撃を受けた岩虫君が、此方に向かって例の岩噴射を返してきましたが、しっかりと壁に隠れてやり過ごします。うん、上手い具合に戦えているんじゃないかな!? 隙あらば自画自賛!


 次の岩スプレーを装填される前に先ほど考えた【ひっくり返して楽をする】作戦を実行する為、走って相手に近寄りまして……地面と岩虫君の間に武器をブスリと突き込みます。

 両手で武器を持ちまして! ……よいしょー!


 結果は……あっさり引っくり返ってくれました。

 掴んでいる場所が土むき出しの地面だったからなのか、掴むパワーが弱かったのかは判りません。まぁそんな事は二の次で良いんです!


 引っくり返って多数の細かい足をワシャワシャしている光景を見て、思わずウヘェ! キモイ! と力強く独り言を言ってしまいましたが、足の部分を棒で叩くと数回で呆気なく昇天なさった岩虫君。


 本当にひっくり返すと柔らかい! そしてキモイ!

 多足系の相手は精神ダメージが酷いです。


 地面を探って先ほどと同じ魔石を一つ入手した所で……恐る恐るですが岩虫君がヒョッコリと姿を現した場所である、湧き水の裏側に足を進めて見ます。一体この先に何が待ち受けているのでしょうか。


 人が一人通れる程度の岩の隙間を警戒しつつ通り抜けますと、その先は少々開けている場所に繋がっておりました。上空を見上げると空が見えるので、洞窟と言う訳ではなさそうです。


 周囲には何やら普通の岩とは明らかに違う色の岩が、地面にめり込んだ形で存在感をアピールしています。なにかの鉱石かな? 物はためしと持って帰ってみようにも、私の貧弱な細腕筋肉では岩なんて持ち上げられないので、どうやったってアイテムボックスに収納できません。


 つるはしとかで砕いて採取するんでしょうかね。

 流石に棒で殴って破壊するのは厳しいですよね。無茶しないで諦めよう。


 採取はほぼ無理と判りましたので、岩観察は一区切りつけまして。

 改めて周囲を見回しますと……壁に何か……モヤモヤ? があるのを発見しました。


 なんでしょうかね、この揺らめいている部分。

 蜃気楼か何かかな。いや、砂漠でもないのに蜃気楼は無いか。


 真夏の陽炎のように、ユラリと私の眼前で歪んで見せている空間。うん、謎過ぎる。


 と、とりあえず触って見ましょうかね?

 イキナリ直接触るのは無しとして……えーっとどうしたものか。

 

 あっそうだ、こういう時こそ【石】の出番ですね!


 アイテムボックスから、寝かせに寝かせた【石】を取り出して、目の前にあるモヤモヤに投げ付けて様子を確認する事にします。よいしょっ! どっせい!


 野球選手の様にカッコ良く投げるのは無理そうでしたので、砲丸投げっぽく右手でギュッと握った石をモヤモヤに突き出す感じで発射しました。その後音も無くスッと消え去る石……ええ!?


 その反応は予想外でしたよ!?

 せめて何かしらに命中する音と言うかそういう物をですね!? あれぇ!?


 困惑する私を嘲笑うかのように、ユラユラと揺らめいている怪しげな空間の歪み。

 おのれぇー……こうなったら武器で叩いて確認してくれるぅ!


 勢いに乗った(調子にも乗った)私は武器を構えると、ちょっと腰が引けている打撃を空間の歪みに繰り出します。ええまぁ、ある程度の予想通り武器は何かに命中する事も無く、モヤモヤの向こうへと差し込まれる形になりました。


 ううむ、これってもしかしなくても、違う世界への扉みたいなそんな感じですか?

 アナザーワールドへの門ですか!? 違うゲームが始まっちゃいますか!?


 引っこ抜いた武器を確認してみましたが、特に何か付着したりしている訳でもなく、特に異常は見受けられませんでした。コレは歪みの中へ進入してみてくれ! という事なんでしょうかね。


 そんな事を考え込んでいる間にも、時間は無慈悲に過ぎていくのです。

 ついに周囲が薄暗くなって来た事でその事実に気が付く私。


 ココは周囲が岩壁に囲われている場所で、真上からしか陽光が差し込んでこない地形なので、日差しが減ると一気に暗くなります。このままでは危険が危ない事になってしまう!


 意を決して、空間の歪みに左コブシを思い切り突きこんでみます。

 そしてあっさりスッポリと、至極普通に空間の歪みの中へと消えて言った私の左腕。


 向こう側? の空気は此方よりもひんやりとした感じだと判ります。

 気温が違うと言う事は、恐らく違う場所(アナザーなワールド)に繋がっているのでは? という私の予想は的中していたのでしょうか。


 左手には特に何の刺激も感じなかったので、今度は顔を突っ込んで確認してみる事にしました。


 ある意味無謀な挑戦ですが、挑戦したものだけに手に入る報酬という物があるのです! 停滞していては冒険なんて出来ないのですよ! とチョット偉そうな事を呟きつつ顔を歪みの中に突っ込んだ私なのです。


『もう活動範囲は始まりの町だけで良いんじゃないカナ?』とか私が言っていた事実は、無かった事にしてください。私だってたまには冒険するんです。たまにですけど。


 ギュッと目を閉じて顔を突っ込んだ私は……特に痛くもかゆくも無い事を確認した後に、両目をゆっくりと開きます……うっ何も見えない!? やっぱり私の好奇心を巧みに利用した高度な歪み罠だったの!?


 思わずズボっと顔を引っこ抜いてしまいましたが……あれ、なんとも無い?


 今度は両目を開いたまま、再度歪みに顔を突っ込んで……ああーっなーんだ!

 これって中に光源が無いから、真っ暗で何も見えないのか!


 焦りすぎた自分にメッ! しつつ、空間の歪みから顔を引っこ抜いた私は、腰に提げていたガルドスさんから借用中の携帯用ランタンを取り外して、マナを使って着火する事にします。


 えーっと確かマナを強く流して着火するんですよね。

 ガルドスさんに貰ったマッチに火をつける要領で……このあたりにデコピン着火で。


 意識を集中して親指と中指に力を充填させて。

 そうですね……カイムさんのオデコにペチコンする気持ちで、一気に振りぬきます。

 カイムさん(イメージ上)の犠牲の元、無事にランタンの着火を確認。


 今度は右手に持ったランタンと一緒に、先ほどの歪みへと顔を突っ込んで、内部をしっかりと確認します。

 私の視界に広がっていたものは……人工物の様な石垣の壁が続いている、洞窟の入り口の様な、それか石組みで作られた迷路のスタート地点の様な……そんな場所でした。ココは一体?


 肌に感じる感触で、ほんのりと空気の流れもある事を確認した私は、このままでは埒があきませんので、気合を籠めて内部に侵入してみることにしました。


 意外なほどに何の抵抗も無く、至極呆気なく内部に入る事ができた私。

 さあ来ましたよアナザーなワールド! ココは一体何処なのでしょうか?


 鼻息も荒く周囲を見回しておりますと、目の前にポン♪ という音と共に例のアレが出現しました。


 おうふ!? 未開の地&緊張マックス状態のタイミングで出てこられると、心臓がデンジャラスですよ!? 思わず携帯用ランタンを取り落とす所でした……まったくもー!


 何かこの世界についての説明が出ているのかな? という予想の元に、目の前のメニュー板に携帯用ランタンを掲げ、表示されているメッセージ内容を確認します。


『魔素迷宮【暗い 鉱石 の 迷路 迷宮】を発見しました 迷宮ランクD 次へ』


 ……ん? えーっと魔素迷宮? 確かこれって……前にアレイアさんからお聞きした、魔素とやらが作り出すダンジョン的な場所の事だよね? あのユラユラ空間が出入口だったのかな!?

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