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145 叩いて 倒す 岩虫君

新たなる敵(こぶし大

 何やら聞き慣れない単語を含んだメニュー板表示の表面を、人差し指でツンツン突いて消した私は、何時までも地面に正座している訳にも行きませんし、勢いをつけてヨッコイショと立ち上がり膝や脛の辺りをパタパタ手のひらで払います。


 取りあえず判った事は、先ほどの大きい鳥さんはなにやら強いボス鳥だった模様で、私の放った【従魔】スキルの効果は通用しない相手だったと言う事ですね。

 あと【二つ名】という単語がありましたが、これはアレでしょうかね?


 例えばカイムさんが若かりし頃に、色々とハチャメチャしていたのが理由で付けられた【笑う鬼神】と同じような雰囲気の物でしょうか。


 そういう予想を元に考えると、やっぱり先ほどの状況で私の命は、完全に危険水域へ突入していたのではないでしょうかね? 首まで沈んでいたと言う表現が当て嵌まる位には。


 まぁ実際に首まで羽毛の海に沈んでいたんですが。


 ああそうだ、全身細かい羽毛塗れになってしまっていますし、ちょっとポンチョも一旦脱いでから羽毛を落としておかないと。


 その前に、うっかりと無くさない様に右手にもった貰い物の綺麗な羽を、さっさとアイテムボックスへ収納しておきましょう。ポコ豆と交換してもらった様な物ですが、見た目的にもポコ豆と等価とは全く思えない代物です。


 いえ、ポコ豆がヘッポコいと言いたい訳では無いのですよ?

 何時も気軽にぽりぽりと美味しく頂いておりますし。

 生臭思考ですが金額換算で考えていただけで!


 ひとまずボス鳥さんに頂いた羽の詳細確認は後回しにて、ささっとポンチョのボタンを外して両手に持ち、バッサバサと上下に振るい羽毛を落とす作業を開始します。うん、大体全部取れたかな?


 あーしまった、鏡がないから髪の毛とかに羽毛がモッコリしてたら判らないよ!?


 仕方ないので、髪の毛や頭頂部付近を両手でパタパタするに留め、狐耳の辺りは根元の方からグイグイとこそぎ落とす感じで掃除しました。その後仕上げに、両目を閉じて首をプルプルしておきます。


 これで大体は大丈夫かな……? 確認できないからチョット不安です。

 それにしても、まさかこんな切実に鏡を欲する時が来るとは思いませんでしたよ。


 ログイン後に身だしなみを確認する場合は、いつもログアウト地点として利用している胃酸魚クンの噴水を利用して、水面反射を鏡代わりに確認しておりましたからね。


 よし、手鏡くらいでいいから今度購入しよう!

 これはエスメラルドさんの所で確実に販売しているでしょう!


 あの乙女チックで女子力溢れるオシャレさんのエスメラルドさんが、オシャレグッズである手鏡その他を販売していない筈が無いですからね。


 驚いた拍子に落としてしまった、中身カラッポなポコ豆の袋をちゃんと回収収納しましてと。

 えーっと? これで忘れ物はないかな?


 再度ポンチョを装備しなおしまして、準備完了です。


 なんだがすごく長い時間ココに居たような錯覚を覚えているのですが、恐らく濃密な体験をしたからそう感じているだけなんだろうなーと想像がつきました。


 だってやった事といえば、大きい鳥に出会ったから回避する為に道の横で休憩を始めた矢先、鳥がモリモリと私の横に集結、その後ポコ豆の偉大なる魔力によって揉みくちゃにされた後、皆さん満足して帰って行ったという非常にサクっとした流れですので。


 時間消費が少なく済んで喜ぶ所なのでしょうけれど、精神的に結構疲弊してしまいましたよ。

 羽毛パワーでエネルギーチャージが出来ていなかったら、この場でもう一回休憩を挟むくらいには。


 おっと、空を見上げてボケーっと考察するのは後回しにして、先ほどありがたく頂いたボス鳥さんの綺麗な羽の詳細を一応確認して見ましょう。


 どうせ貴重品で詳細なんて全然わからないですヨー! っていう落ちなのは、想像に難くないんですけどね?

 それでは、早速アイテムボックスを開きなおしまして。


=====================


 アイテム名 【風雷鳥【■■の■■】の尾羽】

 等級 希少珍品(ハイユニーク)

 品質 不明

 破損度 不明

 属性 ※物品『物理』 ※風『■』 ※雷『■』

 付加能力 ※■■■■『■操作』 ※■■『■■の■■ 日に1度』

      ※■■『鳥型魔物』 ※『■■■■』

 効果待機時間 不明

 詳細 山岳地帯に生息する風雷鳥を束ねる【■■の■■】の尾羽。


    【情報絶対数の不足 全詳細表示の条件を満たしておりません】


=====================


 あーやっぱり……予想通りの貴重っぷりと言いますか、黒塗りの場所が盛りだくさんです。

 詳細も本当に簡単な物しか表示されていませんでした。


 これは始まりの町に帰還したらリーナさんに依頼して、アイテム鑑定をお願いするしかなさそうですね。


 とは言っても、リーナさんのご好意に甘えて毎回無料で鑑定してもらう、というのも気が引けますし、頑張ってお金をためて普通に鑑定カウンターで依頼した方が良いかな?


 朝から晩まで延々とポーション作成を続けていれば、結構な速度でお金は貯まるはず!

 私の精神的疲労が限界を突破するまでは!


 とりあえず目的である羽の詳細確認は終了しましたので、中々長かった突発的休憩タイムを切り上げ、再度山を登っていく為に山道を踏みしめて先に進みます。


 この山岳地帯は標高が低い地帯では、なだらかな坂がずーっと続いていたのですが、このあたりはもう完全に道と階段が交互に来る形へと変更されてしまっていますね。

 短距離で標高を稼ぐにはこの方法が楽なのかもしれませんが。


 チョット進んで階段状の通路を上がる、さらに折り返して進んで階段をーと繰り返していると、あっというまにスタミナゲージが目減りしていって恐怖を覚えます。


 確か魔法のポーチにポーションを少量収納していた筈ですが、何時も通り他のポーション在庫は、殆ど全部メディカさんに買い取ってもらっている状態で、スタミナポーションの所持在庫が全然無いんですよね。


 くっ、この山岳地帯に来るまでに【薬草】や【魔力の花】は採取できておりますが、スタミナの元であるキノコは全然採取できてないんです。アイテムボックスを開いて何度確認しても、視界に映るのは例の毒なキノコヤロウである赤キノコのみ。これは困りましたね。


 途中岩肌から湧き出ている水を発見したので、水筒に中身を補充しつつ、口を湧き水に直接つっこんで水分を補給します。んー美味い!


 振り返って遠くに見える景色を確認してみますが……

 んーこれ今どれ位の標高まで登ってきてるんだろう?


 目安になる物がないから良く判らない。息苦しかったりはしないのが幸いですけれど。

 空気が薄くて高山病になったりとか、そういう可能性はあったりするんでしょうかね?


 そこまでリアルに作られていたら逆にビックリするんですけれど、今の所そういった症状は感じていないので大丈夫かなぁ……?

 でもあの【黄昏の大神】(プログラム主任)様の事だから、変な部分で拘ってる可能性も否めないのですよね。このあたりは手抜きしててくれると助かります神様。どうかよろしくお願いしますね。


 その後、湧き水が出ていた岩場の辺りで座り込み、本日何度目かの小休憩を挟む事にします。安全の為に休憩多目で。


 あー、本当にスタミナポーション多めに保管しておいて、栄養補給しつつ登れるようにしておけば良かったね……時間がドンドン削れて行ってしまいますよ。

 でも先立つ物がなかったら、今ここにこうやって冒険に出れていない! っていう考え方もあるんだよね。稼ぎが少ない私の悩ましい所。


 自分でポーション作ってる癖に、こういったポーションの使用分配的な知識が全くないって言うのもなんとも悲しみが。このあたりは、自分で色々行動しつつポーションの使い心地を試していっている、冒険重視のプレイヤーさんのほうが詳しいんだろうな。

 ご意見ご感想聞けるチャンスがあったら聞いて見たい所存。そうそう無さそうですが。


 少し開けた場所で、そよ風に揺れる草花や湧き出ている水をボケーっと眺めながら、そんな取りとめもない事を考えていますと……うん? あれ? い、いま何かが動いたような気がする。


 小さめの岩に座った状態で意識を集中、両目を凝らしつつ周囲をゆっくりと見回しますと。


 ……私の視界の右奥の方で、小さな音をたててゆっくりと移動しているコブシ大の石を発見しました。あっ!? あれは噂の岩虫君じゃないかな!?


 攻撃される前に如何にかしないと!

 岩から腰を上げて、とりあえず武器を抜き右手で構えます。


 警戒しつつ、ジリジリすり足でその岩虫君の方へ近寄って行くことにしました。

 あれ……でも確かこの岩虫君の攻撃手段って……


 私が図書館で読んだ本の内容を脳内で確認しようとした矢先。

 ポン! という何かが弾ける様な音がして岩虫君の正面? からスプレー状の砂みたいな物が私の方へむかって噴出されます。


 うわっぷ!? ぎりぎり左手で顔を庇う事が出来ましたが、ビシビシと細かく砕かれた石が全身にヒットしている感覚と一緒に、ピリっと痛みがきました! あいたた!?


 そうそう! これこれ!

 糸とか砕いた岩とかを吹き付けてくる! って書いてありましたよね、読んだ本に!


 連続でスプレーされたら堪りませんので、相手の正面だと思われる方向から右方向へグルリと迂回して回りこみ、岩虫君と私の間に【風の壁】を設置してから攻撃のチャンスを待ちます。


 グリッっと向きを変えた岩虫君、近くにあった小さめの石を、岩の下から伸ばした細い手の様な物でムニムニと掴むと……何と食べる様に体の中に取り込みました。


 ああー! もしかしてあれが弾丸代わり? 次弾装填完了なの!?


 そう思った瞬間、先ほどと同じようにポン! という音がして風の壁にスプレー状の石が吹き付けられました。しかしキッチリと【風の壁】が仕事をしてくれたようで、壁自体は消えてしまいましたが攻撃が私に届く事はありませんでした。


 よーし、打った直後がチャンスだよね!

 あとは糸攻撃? とやらに気をつけて棒でボコボコとする感じで行きましょう!


 その後は常に私のペースで事が進みまして。

 岩虫君が射出する糸の発射速度は、始まりの町付近に居たイモムシと同程度でしたので、ある程度楽に回避する事ができました。


 それでも10回くらい棒で叩かないと倒す事ができなかったので、中々頑丈な相手だったと言う事だけは判りました。あの大きさでこの耐久度となると、中々のツワモノなのでは?


 まぁ……私が一人だからっていう理由も有ると思うんですけどね。

 数人で囲んで叩けば一瞬でしょう。悲しみ。

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