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141 凄そうな プレイヤーさんと 遭遇

最強の敵出現(会話的な意味で

 拾ったゴーレムの魔石2個はアイテムボックスへ収納しておきます。

 このサイズの魔石だと、腰に装着している暖房具の燃料にはちょっと大きすぎるかな……?


 これって大きくて使いづらい場合は、叩いて砕いたりしても良い物なのでしょうか。


 何か魔法のエネルギーの様なものが炸裂して、私を巻き込んで爆発したりする可能性とか無いですかね? 軽いお試し気分で魔石割りに挑戦する訳にも行きませんね。


 それにこう、何といいますか大きい方が価値がありそうな雰囲気がありますし。


 今の所は加工したり使ったりは出来ないでしょうし、活用法は後ほど何とか調べてみましょう。私の知っている魔石の使い方としては、燃料として使うか魔法の触媒とやらで消費するか、の2点しかないですからね。


 アイテムボックスの表示を消し、ステータスを再度確認します。

 うむ、スタミナとマナ共に8割程度まで回復しておりますね。これなら先に進んでも大丈夫かな?


 あまり同じ所でノンビリしていると、時間もそうですが他の敵が近くに出現する可能性があります。

 先ほどから周囲に敵影が見当たらないとは言っても、ゴーレム君だと近寄るまでタダの岩にしか見えないので視覚情報は微妙に信用になりませんし。


 上空をあっちこっちと飛び回っている鳥タイプの魔物が少々気になりますが、此方からはどうする事も出来ませんし、何かしらあちらからのアプローチがあった時に考えましょう。


 マップ表示を見やすい位置に調整した後、膝を伸ばして立ち上がりますと手のひらを打ち合わせて埃をはらいます。汚れているような感じはしませんが、まぁ地面をガサゴソと弄った後ですので一応。


 それでは、踏み固められている感じの山道に沿って再度進む事にしましょう。

 歩いていると判るのですが、大分傾斜が強めになってきていますね。


 まぁ私の身長よりも大きい岩がゴロッゴロしている地帯なので、周囲の風景は殆ど確認できないんですけどね。


 この辺に転がっている石とか、何かの素材になったりしないかなー? 等と思って適当に幾つか取得して確認してみましたが。うん、普通ーの【石】ですね。【大き目の石】というアイテムもありました。判り易くて良いですがそのまますぎる。


 流石に【石】アイテムのボックス占拠数が増えすぎてきた感じがしますので、適当に数を減らす為に取り出して地面へポイポイと破棄します。そのまま石だから不法投棄とかにはならないよね? 

 いつか焚き火をするときに使いそうですので、ある程度の数は取っておきましょう。


 周囲を確認しつつ、歩きながら石を投げ捨てていますと、先でなにやら物音が。なんでしょう?


 ある程度警戒しつつ視界の先にある岩まで進むと、コッソリ岩陰から道の先を覗きこんで確認してみる事にします。岩と何かがぶつかり合う音の様なので、この先でゴーレム君が蠢いている可能性がありますので。


 岩陰から視界に入ってきた光景はと言いますと……やっぱり予想通りで、他のプレイヤーさん達がゴーレム君と戦闘している場面でした。こんな場所にもいるんですねー他の方々。


 戦闘中の場所へ下手に近づくと、危ないといいますかお邪魔になりそうですので、戦闘が終わるまでこのまま岩陰で眺めている事にしました。


 はー……こうやって落ち着いた状態で多人数での戦闘を見ていると、やっぱりこう、何と言いますか……安定しているというか、役割分担がしっかりしているなーと言いますか。凄いなーと思います。


 色々と感心しつつ、顔だけ岩の横から出した状態で戦闘の行方を見ておりますと、さほど時間も掛からずゴーレム君がバラバラとタダの岩に戻ってしまいました。


 あれ、わたしが倒した時とやられ方が違う気がしますね。色々なパターンが用意されているのでしょうか。バラバラになった岩はその後七色の光になって消えていますし、ちゃんと倒してるよね。


 ゴーレム君を倒したプレイヤーさん達は4人パーティみたいでした。

 長い剣を持った獣人の男性プレイヤーさんが、他の3人の方々から色々と声を掛けられながら、ゴーレム君が消えた場所の地面を見回していますね。例のゴーレム魔石回収でしょう。

 あの耳の感じは多分狼か犬? の獣人かな?


 もう一人居る男性プレイヤーさんは……なんだかもう動く壁! っていう感じの装備です。

 もうそれ以外の表現が思いつきません。


 私がすっぽり隠れられそうな、なんと言うか『盾』というより『鉄板』みたいな物体を持っておられます。さらに全身金属の鎧で覆われていて、見えているのは顔だけという状態です。

 硬そう! 物凄く硬そうです! 無敵感がありますね!


 他のお二人は女性のプレイヤーさんですね。

 お一人は普通の種族に見えますが、もう一人の方がなんと、私と同じ狐人でした!


 髪の毛等の色が白っぽいというか銀色っぽい感じで、尻尾の太さが抑え目でスラっとしている感じ。

 何だか私と比べて出来る人でスタイリッシュ! な感じがします。


 動きも何となくそれっぽい感じで。確実に年上の方でしょう。

 右手に何か格好良い見た目の弓を持っていらっしゃるので、戦闘方法は矢を飛ばして遠くから戦う感じなのかな?


 もう一人いる女性の方のは……普通に人間さんかな?

 見慣れた普通ーな外見です。髪の毛の色がスッゴイ赤毛ですけど。

 現実だと無さそうなほど赤いです。ああいうVRだからこそ出来る髪の色も結構良いですね!


 武器は大きい金属棒みたいです。

 私のと比べるとこう、バットっぽいかな?


 先のほうが大きくなっていてゴツゴツしています。


 見た目からして凄い重そうですね。

 他の人が居る場所であんな武器振り回したら、危ないんじゃないかな。


 他プレイヤーに間違って当たったらタンコブ所じゃ済まなそうなサイズで。

 そりゃもう血みどろ大惨事になりそうです。


 それにしても……このままヒィヒィ言いながら山岳地帯を進むと、この方々と併走する流れになってしまいそうです。絶対何か迷惑をかけてしまいそうな気がします。

 私は一回の戦闘で凄い時間掛かりますし。


 ココは強引にでも道を無視する形で岩を掻い潜って、少々山道をショートカットしてしまった方が良いのかなぁ?


 私が岩の横から覗き込んでいる状態のまま、頬っぺたを岩にムニーと押し付けつつ考え込んでいますと……でっかい金属棒を持っている女性プレイヤーさんと、視線がガチっとぶつかりました。あっ……!?


 岩の陰から顔だけ出している状態ですが、一応ヒョコっと首を傾げる感じでご挨拶しておきます。

 向こうの女性プレイヤーさんも、最初ビクっと体を強張らせて此方を見詰めていましたが、武器を腰に収納すると此方を窺うような笑顔を浮かべつつも、お辞儀を返してくれました。


 うん、こんな怪しい状態の私に挨拶を返してくれる。絶対に良い人です。


 そんな感じの胡散臭い挨拶を交わした私の前で、なんと他の3人のプレイヤーさん達は山道の脇に腰を下ろしつつ休憩を始めたみたいです。し、しまった! これは一体どうしたらいいんだろう!?


 岩の後ろに引っ込んで今後どうしたものかと考え込んでおりますと、唐突に左肩をポンポンとソフトに叩かれました。わぁ!? 何事でしょうか!?


 ビックリして振り返ると、そこには先ほどご挨拶した女性プレイヤーさんが。

 

「こんな所に一人でどうしたんです? 何かあったんですか?」

「あ、えっと! 大丈夫です! 普通に山登り中です!」


 いきなり話しかけられてビックリしてしまい、色々と物凄い簡潔に今現在の私の状況を説明してしまいました。間違っては居ないから大丈夫だとは思います。


 やっぱり一人でこんな所に居るこの状況って普通じゃないんでしょうか。

 い、今の所は何とかなっているので頑張るつもりではあるんですけど。


「一人で!? す、凄いですね!」

「いえ、そんな事無いですよ!? もうヒィヒィいいながら登ってますし!」

「それなら、リーダーに聞いてみてオッケー出るようでしたら、この先ご一緒しませんか?」

「いえいえ! そんな悪いですよ! 私はお先に失礼しますね! 冒険、頑張って下さい!」


 こんな怪しい風体の私を誘ってくれるだなんて、本当に良い人です。


 でも絶対お役に立てるとは思いませんし、もう話しかけられた今の勢いでこの場を脱してしまう方向で行く事にしました! 皆さんはココで暫く休憩するみたいですし、今のうちに先に進んでしまえばお邪魔になる事も無い筈!


 『そ、そうですか?』と私の返答に、ビックリしつつ頷いている女性プレイヤーさんへ、ビシリと右手を上に上げてお別れのご挨拶をすると同時に、フードを深めに被りなおしてサササーっと超スピード(のつもり)で休憩中の方々の前を通り過ぎます。


「そちらも気をつけてー!」


 素早く移動中の私の背中に、先ほどの女性プレイヤーさんが声援を掛けて下さいました。

 ありがたいお言葉感謝感激。


 少し進んだところで振り返り、他の人達と女性プレイヤーさんにペコペコとお辞儀をして、先を急ぐ事にします。頑張って邪魔にならないよう進みますので!


 他の3人のプレイヤーさんは、唐突に岩の陰から湧き出てきて素早く去っていく私の事を、ポカーンとした顔で見ておりました。ビックリさせて申し訳無い。

 やっぱりさっき戦闘中に出て行かなくて正解だったね!

※ ある4人パーティの会話 ※


剣「今のチョコマカ感溢れる子、こんな場所一人で進んでんのか!?」


盾「……一人とは凄いな」


鈍器「あの子凄い尻尾がフワフワしてた! 一緒に冒険しつつ触らせて貰いたかったなー」


弓「あのねハル、最初に気にするべき所はそこなの? とりあえず私の尻尾で我慢しなさい」


鈍器「アズサの尻尾はフワフワっていうよりサラサラだから感触が違うし、別腹だし」


盾「……少しは自重しろ」


剣「キサラがいたら絶対ハルと一緒に食いついてたな……あー確実に通報されるわー」


鈍器「ちょ! そんな無理やり苛めたりしないよ!?」


弓「そういえばキサラ用事があるって言ってたけど……ゲームにはログインしてるみたいなのよね?」


鈍器「うん、少し前から様子がちょっとおかしかったし、何か悩みでもあるのかねー?」


剣「んー……帰ったらメル飛ばして、それとなく事情聞いてみるか」


鈍器「よっ! 流石リーダー! 男前!」


剣「うっせぇよハル!」

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