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140 強敵 すぎるよ ゴーレム君

激しい戦闘(一方的)

 唐突に現れた『◎』マークに、思わず視線が釘付けになってしまいました。

 うーん、取りあえずこの謎マークの事は後回しにして……今も着実に起き上がり行動を進めているゴーレム君に、さらなる追撃を加える事に専念しましょう。

 こんな大きい岩の塊が本格的に立って動き始めたら、とんでもない事になりそうですから!


 先ほどと同じように、今現在私が使えるすべての攻撃手段を順番にバシバシとぶつけます。


 ポンポンとダメージ表記の数字が宙を舞う中、再度ゴーレム君がズズンと音を響かせて行動をストップします。というか、本当に私の攻撃ちゃんと効いているんでしょうか!?


 見た目で判り易くヒビが入ったり凹みが出来たりすれば『ああ、私っダメージを与えてるっ』っていう実感が湧き上がってくるのでしょうけれど、ゴーレム君は外見上全く変化が無いのです。

 多少、小さな破片の様なものが飛び散っているのは判るのですが……どうなんでしょう?


 そのゴーレム君はと言いますと。焼け石に水という表現が当て嵌まるくらいに、何事も無く再度立ち上がろうとする動きを見せ始めております。


 うむぅ……今現在の戦況は、起き上がりこぼしをポコポコと殴っているような雰囲気で、無理と判断して全力逃亡を試みるほど辛い状態では無いのですが……何時まで戦闘行動を続行しないといけないのか計算できない状況です。このタイミングで他の魔物が現れたら、色々と大変な事になるんでは。


 でも……せっかくのゴーレム初戦闘ですし、どうにか倒してみたい!

 なんというかほら、生き物っぽいラビ君とは違って、非常に頑丈そう、かつ殴りやすそうな外見の魔物ですし。攻撃と言うよりは採掘っぽい。


 落ち着くために深呼吸をして、特に汗はかいたりしていませんが何となく左手で額を拭いました。


 右手に持っている棒武器の位置を調整しなおしてギュッと握りなおしますと、もう一度攻撃を加えるために相手の動きを観察します。


 そして唐突に現れる『◎』マークです。今度はゴーレム君の左足というか左膝? の辺りです。


 というかチョット待ってください……あれってもしかして、射的ゲームのターゲットみたいな物?

 まさかゴーレムって、そういう感じの戦闘方法で倒す相手ですよーって事なのかな!?


 と、取りあえず試してみない事には始まりませんので、上半身っぽい大きい岩の部分を音を立てながら動かし始めたゴーレム君の、私の頭と同じ位のサイズがある岩を組み上げて作られた、関節の多い左手部分を大きくグルリと回りこんで回避した後、左膝部分に表示されている『◎』マークを武器で思い切り叩いてみます。


 ガツンという音と一緒に、右手に返ってくる非常に良い手応え。


 命中した武器は、ばっちり『◎』マークの中心部分を捉えております。

 攻撃の当たった左膝の部分からピカッと青い光のエフェクトが飛び散りました。


 光と共に飛び出したダメージ表示の数字は……あれぇ? 相変わらずの50チョットですね?

 てっきり私の考えだと……私の攻撃が的に命中した! ご褒美でダメージが大きくなりますよ! という流れだと、思ったのですが……違ったのかな。ぬか喜び。


 と言う事は『◎』マークは的じゃなかったのでしょうか。

 それか殴る攻撃ではなくて、射的みたいに飛ばす攻撃を命中させないと駄目とか?


 本格的にゴーレム君が再稼働し始める前に距離を取る為、相手の動きを見つつ警戒を怠らないようにゆっくりと後ずさります。

 ……あれ、なんだかゴーレム君がグラグラしてますね?


 私の前で何故か動きを止めたゴーレム君、グラグラとその体を揺らしていたかと思うと、音をたててその場に倒れこみました。あれ!? もしかして倒した!? 最後の一撃だったの!?


 それともやっぱりあの『◎』マークに攻撃するのが倒す手段だった、という私の考えが正解していたというオチだったりしますか!?

 ……いや、でもちょっとお待ちください。

 魔物って倒したら……消えますよね? 確かそうですよね。


 ゴーレム君は倒れたままその場に残っています。

 と言う事は倒れこんだだけなのでしょうか。


 もしかして左膝に古傷があって、そこを私に強く叩かれたから『うっ立っていられない!』となったのかな? ええい、考えるのは後です! さらに攻撃を当てていきましょう!


 少々警戒しつつ近寄って、ゴーレム君の体の中で一番大きい部位である、恐らくは上半身っぽい部分? を集中的に叩きます。倒れてる岩の塊をゴンゴンと棒で叩いてるこの状況、本当に鉱石の採掘に来ている気分になってきました。倒した後、なにか珍しい鉱物が出たりすると嬉しいのですが。


 えいえい! と声を出しつつ数回殴っている最中に、ゴゴゴと何かが振動するような音がし始め、ゴーレム君が再起動を開始しました。おおっと! 危ない危ない!


 反撃を警戒して、一目散に今いた場所から離れた私の視界の先に、また『◎』マークが出現しました。

 今度は相手の腰? の辺りかな? ふむふむ今度はそこですね! 了解しましたよー!


 指示に従う形で少し横に移動した私は、ブゥンと遅い速度で振られたゴーレム君の腕を大きく動いて避け『◎』マークの部分を狙って強く叩きます。あぶなかった!

 先ほどと同じように青い光のエフェクトがパッと飛び散り、一緒にダメージの数値がポンと飛び出します。今度は何が起こるのかな?


 棒を当てた後、ヘッピリ腰でゴーレム君の傍から逃げた私が後ろを振り返ると、グラリと上半身を揺らしたゴーレム君が、膝をついた様な姿勢で動きを停止しておりました。


 ちょ、ちょっと近寄るのは怖いので【風の刃】をポンポンと飛ばして攻撃する事にします。

 ひぃひぃ言いながら魔法を飛ばし続け、再度ゴーレム君が立ち上がろうとしたそのタイミングで。


 バカン! という大きい音がして、ゴーレム君の上半身が真っ二つになりました。ビックリした!


 割れた上半身の部分から、ゆっくりと広がるように七色の光になって消えていくゴーレム君。

 いやー強敵でした。大分長時間戦闘していたのではないでしょうか。


 堪らずほっと息を吐いて近くの手頃な岩に腰を下ろし、武器を横に置いて肩を落とします。


 ふひぃー……魔物一匹が相手なのにどれだけ時間が掛かっているんでしょうか……

 これが普通なのかなぁ? 人数がいればもっと楽勝なのかも。


 現在の体力状況を確認する為に、メニューを開いて細かくチェックを入れます。


 あーマナは半分を切っています。スタミナなんて2割を切りそうな程に減少していました。

 これは……もうちょっと戦闘が長引いていたら、色々と危なかったかもしれません。


 周囲を見回して敵が接近していないか確認した後、アイテムボックスから水筒を取り出して本格的に休憩をする事にしました。うん、お水が美味しい。

 このまま進んで第二のゴーレム君にでも遭遇したら、高確率でアウトを貰ってしまいます。

 何も成し遂げる事も無く、始まりの町へ強制送還される羽目になっちゃいますよ。


 ジリジリと回復していくスタミナとマナのゲージを眺めつつ、そういえばゴーレム君を倒した事で手に入れたアイテムの詳細を、まだ確認していない事に気が付きました。


 ぼーっと座っているだけでは時間が勿体無いですし、とりあえず何を入手したのかだけ確認しましょう。

 ささっとアイテムボックスを開いて、見た事のないアイテムを探す事にします。


 盛り沢山で収納されている【薬草】や【魔力の花】を眺めつつ、アイテム欄の表示を下のほうへと移動させていきます。

 えーっと何処かなー? ……おっ発見しましたよ!


 入手したアイテムは2種類で、一つは非常に判りやすい【上級鉄鉱石】という物。

 その名の通り鉄の材料でしょうね。


 これは10個単位でアイテムボックスに収納されておりました。

 きっと【毛皮】を【なめし革】に加工する感じで、何かスキルで下拵えしないと素材として使えないタイプでしょう。


 試しに一つ取り出してみましたが、赤黒い色で両手で何とか持てる程度の大きい石でした。

 しかも中々重いです……こんなのが10個も手に入ったのか。

 使い道が無いですね……そういえば使わない素材は、ギルドで買取してくれると聞いた記憶があります。


 これは死蔵するよりも、一思いにお金にしてしまった方が良いかな?


 あともう一つ手に入っていた物は【銀鉱石】という、これまた鑑定しなくても名前で非常に分かりやすい物でした。うん、これは手を加えると銀になるんでしょうね。鉱石は素直な名前で良いですね。


 入手量は1個だけでした。貴重品なのでしょうか。

 私にはコレも使い道が無さそうですけど。


 こちらも取り出して外見を確認してみましたが。

 ふむふむ、なんだか見た目は尖ったりしている所があって鋭角な感じがしますね。

 そして既に銀っぽい色合いをしてました。ふむ……鉱石奥深し。


 あっとそうだ! もしかしたらゴーレム君を倒した場所に追加で何か落ちてるかも!

 一応確認してみましょう!


 両手でグリグリと回転させつつ観察中だった【銀鉱石】をアイテムボックスに収納し、腰を下ろしていた岩から立ち上がります。再度周囲を確認して……うん、敵っぽい影はありません。何となく上空も確認してみましたが……あ! 鳥っぽい影が空を飛んでいます。アレが鳥型の魔物でしょうか。


 情報によると、確か刺激しなければ襲ってこないんだよね。大分離れた所にいるし大丈夫かな?


 念のためシッカリと武器を右手に持ちなおした後、空を視界の端に入れつつ先ほど死闘を繰り広げた場所まで近寄ると、グルリと地面を見回します。


 えーっと何か……ないかなー?

 あれほどゴーレム君が動き回ったのに、地面は凹んだりしていませんね。頑丈な地面です。


 その後、恐らく胴体が落下したと思われる場所に、何となく見覚えのある様な形状の石が二つ落ちておりました。しかも結構大きいですね?

 武器を一旦腰に収納して、地面にめり込むように落ちていたその石を拾い上げます。


 【ボックス収納】を宣言してアイテムボックスへと仕舞いこみますと、そのままアイテム名を確認します。大方の予想通り、アイテム名前は【ゴーレムの魔石】となっておりました。


 前に拾ったことのある【ラビの魔石】にそっくりな形をしていたので、大体の予想は出来てました。

 サイズの方が大分違いますけれど。恐らくぱっと見で数倍の大きさがありそう。でかい。

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