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137 街道警備 の 騎士様達

こうかは ばつぐんだ!

 ゲーム内容のアップデートが、この世界の住民さんに悪影響を及ぼすような事象で無くてよかったですね。でもその後、マークさんに過去体験した事のある【世界改変】(アップデート)についての詳しい話を聞いてみた所、大きい変化として第一に上がってくるのが、開始前と開始後で地形の変化を伴う場合がある、という事。


 マークさんが体験した【世界改変】(アップデート)の時は、山岳や平野の地形が変化したという事でした。基本的に村や町の様に人が暮らしている所は変化しないらしいです。


 もっと昔の話、例えばマークさんがご両親に子供の頃聴いたお話などによると、過去に遡れば遡るほどに【世界改変】(アップデート)の回数が多かったとか。


 世界が不安定な状態だったために、力の強い神々の権能を行使しないと世界が保てなかった、という逸話が神殿などの書物に残っているそうです。


 現実世界でいう所の、テスト版データから正式版の正式なゲーム世界へと徐々に調整していっていた、といった雰囲気でしょうか……うん? となるとこのゲームって、大分昔から大まかな枠組みと言うかそういった物は出来ていたと言う事でしょうか。


 完全な没入型のVRゲームって、確か私が産まれる少し前くらいから世間一般に流通し始めたという話を、何処かのゲーム総合情報サイトで見かけた記憶があります。


 『ふわもこファーム』の攻略サイトを探しているときに見つけた所ですね。

 各種の情報サイトに繋がる、リンクが沢山あったサイトです。


 まぁなんと言うか、現実とこの世界の時間の流れが、既に倍近い速度違うと言う事実があるので、一概に逆算して何時頃このゲームが作られ始めたのか、予想する事は出来ないのですけどね。


 マークさんと一緒に掲示板に書かれている数々の書き込みを眺めつつ、改めて明日のゲームアップデートを楽しみに待つことにしました。


 地形変化が伴うと言う事でしたので、アップデート後のゲーム開始時は気をつけて行動しないといけませんね! もうアップデート前に町に帰還するという予定は無かった事にします! 多分というか恐らくと言うかほぼ確実と言うか。無理ですよねこのペースだと。


 ずーっと街道を移動しているお陰で魔物との遭遇が無く、無駄に時間を消費する事が無かったにも関わらずこの進行ペースですし。


 そんな事を考えながら、ポチポチと人差し指で掲示板メニューの操作をしつつ、マークさんとこのあたりの魔物に関しての会話しておりますと、遠くの林の向こうから何やら馬に乗った白い装備の団体さんが現れて……街道を私達の居る此方へ進んでくるのが見えます。

 その規模は、大体10人と言ったところでしょうか?


 気になったので林の方を指差し、その一団が一体何なのかマークさんに聞いてみますと、遠くをさっと眺めたマークさんも騎馬の一団に気がついた様で、ニッコリ笑顔で数回頷きつつ私に答えてくださいました。


「大丈夫ですよ、あの方々は神殿護衛騎士団の方々です。街道警備の最中ですな」

「なるほど……街道の近くに魔物が居ないのって、騎士団の方達のお陰なんですね!」

「元々この整備された街道に、魔物は近寄りたがらないんですがのぅ……稀に逸れた魔物が現れますんでの。そういった魔物から街道を守る為に、ああやって巡回任務をして下さっておるんですよ」


 マークさんから詳しい説明を聞いていると、護衛騎士の騎馬一団が私とマークさんの馬車の横まで近づいてきました。マークさんがグイっと手綱を引いて馬車を停止させます。


 騎乗した騎士の皆さんは、アレイアさんと同じく白で統一された鎧とマントを着用されておりますね。太陽に照らされてキラキラっとしております。

 というか騎士団の方々って何で皆さん無駄にイケメンなんですかね?

 私の被害妄想的な意見で申し訳無いのですが、こう、あれです、色々と無駄に緊張するんですよね!


 等と無駄な思考を繰り広げている私にお構い無しで、騎馬の一団から一人だけ、胸に赤いアクセサリの様な物を着用した方が、馬に乗ったままゆっくりと此方に近づいてきました。


 周りの騎士さんに比べて年齢が高いといいますか、貫禄が凄い方です。

 短く揃えられたあごひげが精悍な雰囲気を強めていますね。

 まさに強そうな騎士! といった感じです。


 近づいてきた騎士さんに反応する様に、帽子を脱いでそれを胸に当てたマークさん、ニッコリ笑顔でペコリと頭を下げます。

 私もそれに習って、近寄ってきたお髭の騎士さんにペコリと頭を下げますと、マークさんが騎士さんにお声を掛けました。


「聖なる任務、ご苦労様です騎士様」

「労いのお言葉、真に感謝いたします。任務中ですので騎乗したままで失礼します。街道周りで異常等御座いませんでしたでしょうか?」

「ええ、何時も通り問題御座いませんでした、はい」


 マークさんの返答を聞いて笑顔で満足そうに頷いたお髭の騎士さん、次は私の方を向くと……数秒間ジーッと見詰めてこられました……あれ!? 私なにかまずい事でもしましたでしょうか!?

 思わず妙な顔つきで首を傾げた私は、視線が私の顔ではなく……腰に提げられている武器に向いている事に気がつきました。ああああ……これはまさか。


「つかぬ事をお聞きしますが……そちらのお嬢さんは……?」

「途中お一人で移動なさっておられましたので、良かったらご一緒にとお誘いした次第です」

「えっと、祝福の冒険者のフワモと申します! この方、マークさんのご好意でこの先の分かれ道までご一緒させていただいてます!」


 マークさんの説明の後に続いて、自己紹介と共にどういった経緯で同行しているのか説明します。

 その間もお髭の騎士さんの視線は、私の顔と腰の武器を交互に見詰めていました。


「不躾で申し訳無いのですが……そちらの武器、柄の部分の革紐をお取り頂いても宜しいでしょうか?」

「ああ、はいはい、了解です!」


 あーやっぱり気が付いていらっしゃるよね!? 無駄に言い逃れするような事柄でも無いですし、ここは変に嫌がったりせずにお見せしちゃいましょう。


 腰に提げてあった棒武器を引き抜いて、柄の部分をグルグル巻きにしていた革紐を取り外します。

 そこに現れるのは例の横棒3本に十字のマーク。つまり安寧の女神様の印ですね。

 騎士さんが確認しやすい様に、棒を横にして御者台の上から両手で差し出す感じでお見せします。


 眉間に皺を寄せて棒の柄部分を凝視するお髭の騎士さん……何時の間にか右手は腰に提げられた武器に置かれております。ひえええ!? これは荒事の予感ですか!? ご、ご勘弁を!


「やはり……【聖刃鋼の懺悔棒】ですな……いや、これは手が加えられている様ですな? ……失礼ですが、その武器を一体何処で手に入れられたのでしょうか?」

「えっと、知り合いの方から譲っていただいた物です! 『カイムハイス』というお名前ご存知ではないでしょうか?」


 取りあえず、拾ったり盗んだりしたものではないという事を判ってもらう為に、有名人であるカイムさんのお名前を出して危機回避を試みてみる事にします。嘘はついていませんしね!

 カイムさんの名前を聞いた瞬間、お髭の騎士さんの動きがガチっと硬直します。


 少しはなれた所で綺麗に整列して待っていた他の騎士さん達から、ザワザワと何やら小声のざわめきが耳に入ってきます。わー……やっぱり有名人なんだなぁカイムさん。権力万歳? ちょっと違うかな。


 金縛りから復帰したお髭の騎士さん、数回頭を振るとマントを翻しつつ馬から華麗に下り、馬車につながれた馬を迂回するように、ぐるりと馬車正面を回ってくると私の横までいらっしゃいました……どうやら武器を詳しく確認したいようでしたので、武器をゆっくりと差し出します。どうぞどうぞ!


 右手で棒を掴んで、空に翳すように持ち上げ確認を始めたお髭の騎士さん。

 ゆっくりとその目が見開かれていって……急に素早い動きで御者台の横に跪き、両手で棒を頭の上へと捧げるように、馬車に乗っている私へと差し出しました……えええええ!? ちょ、ちょっと何事!?


 隣に乗っているマークさんも、驚いた表情で両目を見開いておりました。

 そりゃいきなりこんな事態に陥ったらビックリするよね!?


「申し訳無いフワモ殿! 大変な無礼を! まさしくこの武器は名誉騎士様が所持なさっていた逸品! この通りお返し致します!」

「あーえっと、はい……ドウモデス」


 その後、跪いて顔を伏せた状態でお髭の騎士様から発せられたお言葉から、盗難の可能性を考慮した行動だったと言う説明を受けました。


 ええ、全くもって私が予想していた通りの説明内容でした。あからさまに怪しいからね!

 勿論そういう事を確認するのが騎士様のお役目でしょうし、私は全然怒ったりしませんよ?


 むしろそこまで謙った態度を取られてしまうと、色々困ると言いますかね!?


 でも何故に『カイムさんの武器=盗難品じゃない』という結びつきになるのか、ちょっと判らなかったのでそこの所を詳しくお伺いしてみたのですが。

 『所有者を選ぶ武器なので、前の持ち主であるカイムさんの許可無しでは、身につける事が出来ないから』という事らしいです。


 あぁー……そういえばこの武器を頂いたときに『使用者を私に書き換えてあるから問題ないゾイ!』といった感じのお言葉を、カイムさんが気軽に言っていた記憶がありますね。


 それにしても……カイムさんの名前と武器って、騎士さん相手に効果抜群すぎるでしょ……

 もうちょっとソフトな効果になってくれませんですかね。全く持って悩ましい。

来週月曜日の更新がちょっと怪しい感じです。

何時も通り『これなら行ける!』といった感じでしたら更新します。

申し訳ありませんが、ご了承下さいませ。

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