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129 装備 ごちゃごちゃ 楽しいね!

所持金3桁。

 早速ポーチに収めてあったお金袋から1000ゴールド硬貨を3枚取り出し、親方さんへ手渡します。ささっと枚数を数えて一度頷いた親方さん、腰についていた大き目の皮袋にそれを放り込むと、どっこいしょという掛け声と共に私の横へとしゃがみ込みました。


 そのまま、私の腰部分にお試しで装着されたままになっている暖房具へ手を伸ばすと、ベルトに括りつけられている接続部分や括りつける為の金具に手を伸ばして、グイグイと押したり揺らしたりしています。


 何やら納得が言った様子でフム! と一度頷くとバシンと暖房具を叩いて親方さんが立ち上がりました。


「ガタついていたり緩んでいる所も無さそうだ! このまま即使ってもらっても大丈夫!」

「はい! 安くしていただいて、ありがとうございました!」

「なーに! 材料費的には採算取れておるんで、大丈夫じゃよ! 割引分は技術料じゃな!」


 そういって自分の腕をバシリと叩く親方さん。あのムキムキの上腕筋からこのアイテムが作られたのですね……意外と小物サイズの装備品もいけちゃう万能筋肉なのか。侮りがたし!


「出来の良いアイテムをみて勉強する為の授業料を払った、と思えば問題なかろうて! なぁアル公!」

「へい親方!」


 そう言いながら二人は良い笑顔で頷きあっていました。

 そう言って頂けるなら有り難い。親方さんが先ほど入れてくださった魔石のかけらのお陰なのか、すでにホンワカと温かみが全身を包んでいます。


 あー、これ結構良いなぁー……でも常時稼働させると魔石がすぐ無くなっちゃいそうです。残念。


 そうそう、詳しい操作方法を教えてもらっておかないとね!

 説明書みたいなのは無さそうですし。


 一旦腰に装着していた暖房具を取り外して手に持ち、親方さんに差し出して使い方をご教授してもらう事にします。

 まぁお話によると使い方は私でもすぐ覚えられる位に凄い簡単で、摘みを左にグイっとまわしてガチリと手応えのある場所まで動かすと、暖房具の稼働を停止させる事が出来るという感じで。


 右に捻れば捻るほど出力が上がるという事でした。


 説明を聞き終わった私は、取りあえず試してみようと思って左へグリっと摘みをまわしてみますと……おっ! ちゃんとカチリと何かはまり込む様な手応えが。

 その後、急速にスーっと冷えていく暖房具。うわぁレスポンス本当にいいなぁこれ!


 私がワイワイ言いながら道具の使い方を確認しておりますと、それを見ていた親方さんが思い出したように私に声を掛けてきました。


「ああそうじゃった! その暖房具の摘みなんじゃが右端へ限界までまわすとのぅ、そっちでもガチリと手応えがある場所まで捻れると思うんじゃが」

「右のほうですが? どれどれ……?」


 稼働を停止させていた暖房具の摘みを右に捻って、再稼動させた私はそのまま摘みをグリッっと右のほうへと思い切って回します。

 ガツン、という手応えと共に摘みが止まりました。あれ、ココからさらに動くの、かな?


 恐る恐るですが、ちょっと手に力を籠めてつまみをググっと捻りますと、ガチリ! という強めの手応えと共に摘みが右へと動きました。


 フィィィィ……という何やら不穏な稼働音が暖房具から聞こえ始め……ブワっと温かさが広がります。

 な、なんですかこれ!?


「わぁ!? 凄い!!」

「うむ、問題なく稼働しているようじゃな! そこは急速限界稼働させるための摘み位置じゃから、緊急時やすぐ温まりたい時用だと覚えておいてくれ! ああ、そのまま稼働させとくと魔石がガリガリ減っていくんでの、早めに戻して置くと良いぞぃ!」

「りょ、了解です!」


 暖房具のつまみを、先ほどの左端まで一気に戻して稼働を停止させます。

 温かくなったり普通の温度になったりと激しい。


 あとはつまみの横に押し込みボタンが付いていて、それは緊急停止用のボタンらしいです。

 お話によると『チャージボア』という魔物の追突を直撃させても壊れない強度を誇っている暖房具? らしいですが、万が一破損して制御が利かなくなったら、このボタンを硬い棒か何かで思い切り押し込んでくれという話でした。


 あとそのボタンの横についてる小さいメーターが、魔石の残量を簡易表示してくれている場所みたいです。レッドゾーンに突入したら新しい燃料をいれる、位で問題ないという事です。


 こんなに小さい道具なのに色々と機能が付いてるんですね……こういった物って、大きいものより小さい物のほうが作るの大変なんでしたっけ。

 同じ性能で小型化しないといけない訳ですからね。流石親方さん。


「これで説明は終わりじゃな! 出来るだけ長ーく使って可愛がってやってくれぃ!」

「はい! それでは長時間ありがとうございました! そろそろ出掛けようと思います!」

「山岳の方は色々と危ないから気をつけての! ……ああそうじゃ自己紹介がまだだったのぅ!」


 私の肩のあたりをバシリと叩いて激励してくださった親方さんが、ふと思い出したようにそう仰ったのでした。あーそうだったー、まーた自己紹介忘れてたよー!


「えっと、私は祝福の冒険者でフワモと申します! 一応調薬や革細工をしてます!」

「ほほー調薬士さんかぃ! ワシは『ゲイルステン=アドマーズ』じゃ! 見ての通り鍛冶をやっとるしがないドワーフじゃな! 良かったら『ゲイル』と呼んでくれ! ほれほれ、アル公も自己紹介せんか!」


 私と親方さんの会話を横で眺めていたアルさんの、お尻の辺りをまたバシリ! と右手で強打した親方……ゲイルさんが、左手でグイっとアルさんの腕を掴んで引っ張り私の前に押し出します。お尻の被害が大変ですね。


「へ、へい! 自分は『アルフレド=サイシン』で親方の弟子やってます! どうぞ気軽に『アル』とでも呼んでください!」

「はい! アルさん! お陰でいい道具が手に入りました、ありがとうございます!」


 私のお礼に照れたように笑顔を浮かべたアルさん、ぐっと親指を立てたコブシを突き出すと『こちらこそ毎度あり!』と返事して下さいます。

 アルさんが声を掛けてくれたからこそ、この暖房具が手に入ったような物ですからね!


「それでは改めて! ゲイルさんアルさん、これで失礼します!」

「何か金属製品で必要な物があったらいつでも来てくれな! フワモさん!」

「気をつけてなー! フワモお嬢さんー!」


 アルさんが右手を、ゲイルさんは右手に持ち直した金槌を上に掲げて、ブンブン振りながらお見送りしてくださいました。あの金槌を片手で軽々っていうのはやっぱり凄いなぁ……


 路地の角を曲がって二人の姿が見えなくなるまで手を振り返していた私は、角を曲がると視線を正面に戻しつつ、腰についている暖房具に右手を伸ばしてナデナデニンマリ。

 うーん感触がサラリとしていて良い手触り。


 あれですね、あちこちに色々ゴチャっと小物を身に付けている状態って、意外と好きかもしれません。勿論邪魔にならない程度で!


 小さい頃にキーホルダーとか集めるのが結構楽しくて沢山溜め込んでいたのですが、先日その集めていたキーホルダーが入った箱を久しぶりに発見して、ワサワサと中身を見て楽しんでいた時。

 あー今も結構小物関係は嫌いじゃないなー、なーんて思っていたのですが。


 こうやって色々と腰周りに装着するのって、やっぱり今やっても好きかも!

 頑丈な時計とかも早く見つけて購入して身に付けたい!


 そうだ、尻尾とかアクセサリでデコレーションしたら楽しい可能性が?

 ……いや、動きの邪魔になっちゃうかなぁ……フワモフ具合が低下してしまう可能性も否定できない。

 うーん、両立は流石に難しいですね。


 っていうか制御が甘い尻尾を変に弄ったら、尻尾災害が発生したときに周囲の人に余計迷惑が掛かっちゃう可能性が高そうですね……止めておきましょうか。

 

 もう一度暖房具の位置を調整してしっかり装着されている事を確認、ギルド裏の路地から出た私は安寧の女神様の神殿横を通り過ぎて、中央噴水前に無事到着です!


 さて、今現在の所持金は……と?


 ポーチからお金の袋を取り出して中身を覗き込みます。えー……100ゴールドくらいはあるかな。

 ちょっとした軽食なら購入できそうですね! もちろん慣れている何時もの屋台で購入です!

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