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126 ギルド の 裏手に ドワーフ工房

何時も通りの目移り。

 ギルド本部の建物裏手から退出した私は、人通りの無い裏道を進みます。

 この辺には来た事が全く無いですね……移動中は迷わないようにマップ表示させておきましょうか。


 メニューを開いて表示させたマップに現れた私の現在位置は、丁度安寧の女神様の神殿から南へ下った辺り、だいたい町の南西部の丁度良い辺りの場所ですね。


 折角ですのでこの辺りの建物を眺めつつ進むことにします。

 始まりの町探索は北と東と南、この三方向分は一応済んでいるのですが……実は西方面には全く足を運んだ事がないのですよ。


 中央噴水からちょっと西側に建っている女神様の神殿より、町の西へ行く用事がなかったので足を運んでいないのです。確か大分前に聞いたガルドスさんのお話によると、西門の先には別の町へと続く道が続いていると言う事でしたけれど、何と言いますか今の所この町から移動する理由が無いのですよね。


 冒険者的にはいろいろな場所へと足を伸ばした方が良いのは判るんですけれど。

 あれです、しっかりと色々準備してから遠出しましょうかね。お金とか。お金とか!


 先立つ物を稼ぐ算段を色々と考えつつ、周囲を見回しながら歩きます。

 周囲の建物からなのですが、何だか嗅いだ事の無いような変というか微妙と言うか、何と言い表したら良いのか判らない刺激のある匂いがします。


 少々興味を引かれたので、ちょっと適当な建物の中をコッソリ拝見してみる事にしました。

 丁度出入口を開放した状態で、男性が何か作業中をしている建物が有ったので、ゆっくりと歩きつつちょっと背伸びする感じで中を眺めて見ます……

 んー? 何だか色々なアイテムがゴチャっと置いてありますね。


 私が中を覗いているのに作業中の男性が気がついた様で、首に引っ掛けてある布で汗を拭うと笑顔で話しかけてこられました。


「おや! ウチの工房に何か御用かね?」

「あっその! どういった事をしている所なのかなぁと気になったもので、その」

「ははぁ! あんたぁもしかして祝福の冒険者さんか! おっと、まぁ座ったらどうかね!」


 私の言葉に対してガッハッハと豪快に笑った男性は、近く似合った木箱を右手でズルズルと引っ張ってきてそこにドカっと腰を下ろしました。もう一つあった同じ形状の箱をガツっと右足で位置調整して、私に腰かけるように勧めて下さいます。で、ではお言葉に甘えまして。


「それで、だ! ココが何をしている所かと言われれば、金属を加工して色々なアイテムをつくってる生産工房だよ」

「金属というと鎧とか武器とかですか?」

「いや、ウチはその辺には余り手出ししてない感じだぁ! 全然作ってない訳じゃ無いけどな!」


 そういうと男性が入り口周辺に並べてある色々なアイテムに視線を向けます。

 それに釣られる形で私も周囲に並んでいるアイテムを見てみます。形状からどういう物なのか判別できるものが余り無いですね。


 ああ、あれは多分ストーブかな? あっちは……パイプみたいなのが積んでありますね。


 携帯できるストーブみたいなアイテムとかあるのかな。山岳って寒そうだからあったら便利そうだよね。燃料はどうするんだーっていう話が持ち上がってくるんですけれども。


 色々と詳しそうな方だし、ちょっと聞いてみようかな?


「あの、携帯できるストーブみたいな暖房器具とかあるんでしょうか」

「携帯用? 小型となると魔石燃料タイプになるが、一応あるよ!」


 おお、携帯用サイズであるみたいですね! でも燃料が魔石となると中々運用がキツそうです。

 私が考え込んでいる間に男性が素早く立ち上がって建物の中から見本? っぽい物を持って来てくれました。


 ふむ? パッと見は片手で持てるサイズの卓上ポットみたいな形状ですね。

 上にふたが付いてて取っ手が横にある筒状のアイテムです。

 上のふたを開けて魔石を入れるんでしょうか。


「これなんて値段も手頃でお勧めだよ! 丁度祝福の冒険者に当て込んで色々量産してる所でね!」

「へぇーそうなんですか……こんなに作るの大変そうですねー」

「ああ、俺はまだ見習いだから魔石使用の日用品は作れないんだ……コレは親方の作品さぁ!」


 ほほー、何やらお話によると建物の奥に作業中の親方さん? が居るらしいです。

 ちなみに携帯用暖房具のお値段を聞いてみましたが……5000ゴールド程するものらしく、ちょっと持ち合わせが足りないので諦めです。ちょっと欲しかった!

 こういう小さくてもちゃんと機能する器具ってちょっとロマンですよね!


 その後、男性から親方さんがこういう感じで凄いとかカッコイイとか、色々とお話を聞く感じで世間話に発展してしまいました。

 そして先ほどから漂っている匂いは、色々な金属の焼ける匂いだという事が判明です。

 このあたりには様々な工房が立ち並んでいるので、周囲から漂ってきているのだろうと。


「おおぃ! アル公! 何やっとんだ! アイテムの選り分け作業は終わったのか!?」

「ひぇぇ! お、親方!? すみませんまだ途中です!」

「うひゃぁ!? こ、こんにちわ親方さん!?」


 この金属は熱に強い、とかあっちのは丈夫で長持ちするナントカっていう金属を使ってるんだー、なんて色々と金属談義を聞いていた私と男性の所に、建物の奥から野太くて渋い怒鳴り声を出しつつもう一人男性が歩み出てきました。


 大きい金槌の柄を肩に乗っけてドシドシと歩いてきた親方さん? ですが、身長が私と同じくらいしかないのに、なんと言うか横幅が凄いです。ムッキムキです。ヒゲも生えてますよ!


 あれです! ドワーフさんです! プレイヤーさん以外で始めてみたかも!


「おおっと! お客さんの相手しとったのか! いやぁ怒鳴り声あげてスマンかったのお嬢さん!」

「いえそんな! 色々とアイテムとか素材の説明をしていただいてました!」


 ガツンと大きい金槌を石畳に下ろして、ガリガリと頭を掻きつつ頭を下げてこられる親方さん。

 いえいえ此方が勝手に訪れて話を聞かせてもらっているだけですので!


 むしろここにある商品を買うかどうかさえ決めない状態な訳でして!? お客さん(仮)な訳ですよ! スマンかったと言うのは私の方なのでは無いでしょうかね?


「それで、何かお探しの商品でもありますかねお嬢さん!」

「いえ、北の山岳地帯にいくので暖房具とかあったらいいなーと、こちらの方とお話していた位で……ちょっと予算が厳しそうだったので今度にしようかなぁと」

「暖房具? アル公! どいつをお勧めしたんだ?」

「へぃ! この女性にも扱いやすいサイズの小型魔石暖房具です!」


 素早く横に置いてあった暖房具を手に取った男性……アルさんで良いのかな? ……が恐縮した動きでそれを親方さんに手渡します。それを受け取った親方さん、フムーとアゴを擦りつつ私と暖房具を交互に見て……バシリとアルさんのお尻を叩きました。えええ!? 唐突な打撃!?


「お前なぁ! こりゃ大型テントや馬車の荷台内部を温める時用の、パーティ向け暖房具だろうが!」

「え!? いやだってこの後に山岳へ行くって言うもんですから、その」

「まず何人で行くか聞いたのか!? そもそも予算を聞いてから見繕ってやるのが筋だろう!」

「ひぃ!? す、すみません親方!」


 ええええええ!? 何だか物凄い大事になってきましたよ!? 私のせいですか!?

 オロオロしている私の眼前で何やら激しい問答が始まってしまいましたよ!? なんと言う事だぁ!

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