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012 チュートリアル粉砕 『そして採取へ』

フワモさん、出陣!(採取


十一話を少々改稿いたしております。25日の8時18分以前に十一話をお読みになった方は、もう一度目チラっとでも目を通していただけると幸いです。

『では、フワモ様の要請により予定を変更いたします』


 【ガイド】さんのその言葉に反応して、地面に突き刺さっていたカカシ君と【練習用打撃棒】がシャラン、と綺麗な音を立てて七色の粒子となり、渦を巻いて空中に吸い込まれ消えて行きます。お片づけですね。


『現在、この丘の上にあります見晴台の一帯は【チュートリアル用設定】のフィールドで覆われておりますので、まずはそちらの設定を解除、通常の状態へと移行させます』


 周りを見ると景色がちょっと不思議な感じになっているんだよね。

 なんというか遠くまで見えすぎてるような、この場所だけで存在してるみたいな感じがする。


 何かしら周りを覆ってる物があるのかな。あれですね、サーカスのテントみたいだね。


『では、解除前にフワモ様にお伺いしなければならない質問が一つございます』

「うん? 一体なんでしょう。チョットしか取っちゃダメだけど良いですか、とかですか?」


 別に少量だけの採取でも何に使えるのか考えるだけでワクワクするし、まったく問題ないです! 転がってる綺麗な石とかはどうか判りませんけど、お花とか、こう薬とかに使えそうですし!


『いえ、採取で消失したオブジェクトは、アイテムボックスに限界まで素材を詰め込まれたとしましても、ゲーム内時間で一日経過で再設置されます。どうぞご安心ください』


 あれ?じゃあ一体なにが問題になったんだろう? 一番ボール君を貰っちゃったこととか!?

 レアなボールだからなぁ……返却要請とかだったら残念だ。さらば友よ。


『実は、正規の手順を踏まずにチュートリアルを終了させますので、初期所持金の5000ゴールドをお渡しすることが出来ません。それでも宜しいでしょうか?』


 想像していたものとはまったく別のお答え。でもそれはそれで問題なのかな?

 とはいっても、5000ゴールドの価値が判らない。


 初期に身に着けるものとかを揃える為に配布されるお金だから、大事なのは判るけど。

 ここでの素材とかを然るべき所に持って行ったりしたら売れないかな……

 いや、折角の素材だし自分で使用したい!


 そう思って【ガイド】さんに、沢山素材もって帰れば十分もとは取れますよね!? とお伺いいたしました所。


『はい、しっかり数と種類をお持ち帰りになれば、初期所持金の5000ゴールドを受け取る場合と、金銭的な価値の差は殆ど無くなると思われます。むしろ生産を旨とするフワモ様でしたら、素材のほうが圧倒的に価値のあるものである、と私は進言いたします』


 やっぱりそうだよね! せっかく【黄昏の大神】(プログラム主任)様が生産がんばれ! 採取OK! って言ってくれたのに、そのままの状態で売ってお金にするとかロマンがないですよね!

 頑張ってここで採取したもので何か作るぞー!


「よし! 初期所持金を受け取れないのは問題ないです! 万事OKです!」

『はい、流石ですフワモ様。こちらも万事了解致しました。それでは【チュートリアル用設定】を破棄し、この場を通常のフィールドへと変更いたします』


【ガイド】さんがそう宣言すると周囲の景色にゆっくりとヒビが入って行きます。

 うわー、物理的なものじゃなさそうなのにビシビシとヒビが入ってる!


 壁状のものが回りにあったんだ……まったく気がつかなかった。

 などと周りを見回してビックリしていると【ガイド】さんからのお言葉が。


『設定変更が完了いたしますと、この場は通常のフィールドとして機能し始めますので、その後【ガイド】の権限ではフワモ様の行動に介入出来なくなります。ですのでフィールドが切り替わりましたら、お一人で行動する事となりますのでご注意ください』

「という事は、もう【ガイド】さんとお話も無理で、頑張って徒歩で町に戻らないと駄目って事でしょうか?」


 ひえー、まったく見た事も無いような場所から【ガイド】さんの知恵と勇気とパワー無しでは、無事帰還できる気が全くしない! 判ってはいたけど貧弱だったよ私。


『【ガイド】である私との会話は不可能となりますが、あちら、右手に見えます柵の向こうに続いている小道が見えますでしょうか。あちらを下りまして、Y字の分かれ道を左に行きますと『始まりの町』の噴水前へと転移できるポータルが御座います』


 よかった! なにやらポータル?で町まで転移出来るらしいです。生存フラグが立ちました。

 でも左右に道って事は、右方面にも何かが存在するっていうことですよね……敵!? 奴等がいるのか!? 武器もないこの状況で戦闘ですか!?


「み、右側へいったら何があるんですか? 魔物がワンサカとかですか!?」


 無駄に激しく動悸息切れ状態になったので、不安を解消するために【ガイド】さんに聞いてみると。


『それは、行ってのお楽しみ、です』


 ぎゃー! まさかの可愛くてお茶目なその台詞! フラグですか? 思わずガックリと項垂れてしまいます。いや、生きるのだ私。まだ敵が居ると決まったわけではない。

 そのまま左に行って町に戻れば……大丈夫ですよね!


 ……いや、きっと右にも行っちゃうんだろうなー。自分で想像できるわぁ……諦めよう。


『では、また何処かでお会い出来ることを願って……いえ、フワモ様ならきっと出会えそうですね』


 そんなこんなで、眉間をグリグリしつつアレコレと思案していると【ガイド】さんからのお別れの挨拶。そしてついにヒビの侵食に耐え切れなくなったのか、周りの景色がリン! という涼やかな音色と共に七色に輝く破片となって弾け飛ぶ。うわー綺麗ー!


「どうもお世話になりました!」


 【ガイド】さんに届いているか判りませんが、空中に向けて視線を向けペコリと頭を下げます。

 本当にお世話になりました。これでこのVR世界でも生きていけます。うん、生きていけるよね?


 では早速と、回りのお花や落ちてる色つきの綺麗な石ころ等をプチプチッゴソゴソッと、アイテムボックスへ回収しつつ、【ガイド】さんに説明を受けた柵の向こう側の小道へと足を向けます。

 幅一メートルくらいで土が剥き出しになっているだけの細い道ですが、これが私の命綱だと思うとなんとも有り難い物に感じます。土の温もり。

 

 様々な植物を採取しつつ、小道を歩きはじめて五分ほどでしょうか。

 早速Y字に分かれております。確か左に行くと町に戻れるのでしたよね……


 おや? 大分痛んでいますが木の立て札が立っていますね。


 【← 終わりの■畑  Y  ■■■■の家 →】


 ええ? ……終わりの■畑って、何やら非常に不吉な予感がするんですが。この場所から町へ帰れるポータルがあるから【終わりの】って付いてるんですよね? そうですよね?


 そして右はまさかの家!? 誰か住んでるのかな? 幽霊屋敷とかじゃ、ないよね?


 とりあえず【ガイド】さんのお言葉通り、立て札を左に曲がります。

 町に帰れるというポータル? がちゃんとあるのか確認をしないといけませんし。


 流石に【ガイド】さんが間違ったりするはずは。

 でも途中に魔物とかいたら、一目散に逃げる心積もりですけど!


 意識が散漫になるため、歩き採取は一旦止めにして周囲を警戒しつつ小道を進みます……数分で色あせた焼きレンガで形造られた円形状の花壇にたどり着きました。

 花壇は普段まったく手入れされていないのか、色とりどりの花が乱雑に咲き乱れています。


 その花壇の中央にある少しひらけた場所に、一枚岩で作られたらしい継ぎ目の無い床石がドーン! と敷いてあり、見たことの無い文字がビッシリと掘り込まれていました。


 少し離れたところから黒光りする床石を眺めていると、視界の端になにやら引っかかるものが。


 あっれぇ? こんな所にも立て札立ってる!


 ちゃんと説明する意思が垣間見えてて色々フレンドリーな所だなぁ。

 ええーと、何が書いてあるのかな?


 【石版の上■乗り、十秒程お待■ください ■まりの町へ■帰還致しま■】


 お! これなら私にもわかる。っていうか床石、っていうか石版? の上に書いてあるのは見たことも無いような文字というか記号みたいな物なのに、立て札の内容は日本語で書いてあるからちょっと面白い。


 魔物も見当たらないみたいだし、折角だから戻って先ほど通ったY字路を逆側に進んでみようかな。


 新しい出会いを求めて! 魔物はノーサンキュー!

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