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100 あの人との 再会

100話到達!(閑話抜き

あと再会。

 おかしい。茂みに隠れて不審な事をしていたプレイヤーさんの事をご報告して、色々と対応策をお聞きしようと思っていた筈なのに。


 何故か私の名前でフィーアさんが不審な反応をし始めました……何故ですかぁ!?


「あの!? 私なにかまずい事でも仕出かしてしまいましたでしょうか!?」

「あっ! いえその、大丈夫です! こちらの事情ですので! 少々お時間いただきますね」


 落ち着くためにお茶を一口頂きますと、フィーアさんにお尋ねして見ましたが。

 私の方になにかまずい点があった訳ではないとの事でした。


 よ、良かったぁ……気がつかないうちに何か失礼な事でもやらかしていたのかと思って、生きた心地がしませんでしたよ!


 ほっと胸を撫で下ろす私の正面で、フィーアさんが耳元に右手を当ててブツブツと独り言? を言っているのが聞こえます。

 いや、これ独り言じゃなくて誰かと会話してるっぽいですね。


 運営側の方とかAIの方と会話してるのかな。私の事情じゃないとは言え、微妙に不安です。


 とりあえずクッキーでも頂いてお待ちしましょうか。ぽりぽり。うん香ばしくて美味しい。

 お茶も何かお花みたいな香りがして落ち着きますね。飲むと身体が温まります。


 何やら途切れ途切れに聞こえてくる単語に『姉様』とか『父様』とかいう単語が聞こえてきます。

 ご家族の方? と会話してるのでしょうか。


 ちらちらと私の顔を見つつゴニョゴニョとお話していたフィーアさん、耳に当てていた右手を下ろすと私に向かってペコリと頭を下げてきます。


「すみません! お待たせいたしました!」

「いえいえ! 全然大丈夫です! 余裕です!」


 実際お茶のんでクッキー食べてただけですから。それで一体何事だったのでしょうか?


 私は言葉の先を促すような感じでフィーアさんを眺めておりますと、何故か椅子から立ち上がったフィーアさん、もう一度ペコリとお辞儀をすると、表示させていたメニュー板を消去して私にこう仰ったのでした。


「他のGMがココに来ますので、少しだけお待ち頂けると」

「ええ!? そんなに大事件だったんでしょうか!?」


 まさかの二人がかりの事案!? それとも上司の方が来るとかそんな感じですか!?


 思わず立ち上がりそうになった私を、フィーアさんが両手を前に突き出す感じで押し留めておられます。だ、大丈夫なのでしょうか。

 『すぐにもう一人参りますので!』と私の横でソワソワしているフィーアさん。


 やっぱりこの様子だと上司の方か、役職がフィーアさんより上の人が来るんじゃないかなぁ……

 本当に何だろうか。困った。


 そんな不安を抱きつつ残っていたお茶を胃袋に放り込むと、素早くフィーアさんがおかわりを注いでくれました。どうもありがとう御座います。


 フィーアさんも座れば良いのになぁ、等とあまり関係のない事を考えておりますと、正面の少しはなれた場所にもう一人、フィーアさんと似たような服装をつけた黒髪の女性が出現いたしました。


 ……うん? あれぇ!? ちょ、ちょっと待ってください!


「あっ! こちらですよー 大叔母様!」


 髪の長い女性に両手を振って声を掛けているフィーアさん。大叔母様なんだ?

 っていうか! いやいやいや! あれはどう見たってそうですよね!?


「フワモ様、いやはや二日ぶりで御座います」

「えぇぇぇぇ!? システマさーん!?」


 華麗かつ優雅な歩き方で此方へと近づいてきた黒髪の女性。


 そう、服装はかわっていますが何処をどう見ても、っていうか言動から察するに確実で100%で混じりっけ無しで否応無しに『システマ』さんですよね!?


「フワモ様の嘆願の甲斐がありまして、GM総括という肩書きを頂く事になりまして」

「ええ!? 私のご意見ご感想がもう反映されてるんですか!?」

「つい先ほど【黄昏の大神】(プログラム主任)様が反映なさった次第です」


 凄い、凄いよ【黄昏の大神】(プログラム主任)様!

 仕事が速すぎるっていうかもしかして会社に寝泊りしたりしてませんか!?

 お体大事にして下さい。こんな楽しいゲームを運営してくれてどうもアリガトウゴザイマス。


 じゃなくてですね! 一か八かで送ったご要望が、こんな超速レスポンスで反映されると思ってなかった! 心臓に悪すぎますよ本当!


【黄昏の大神】(プログラム主任)様は、今現在もこの状況をモニターしてらっしゃいますよ」

「えー! 見られてる!? 見られてるの!?」

「実物を見られている訳ではありませんのでご安心を。データの流れを確認なさっているだけですので」


 『おもに私の心理パラメータを、ですが』と呟いているシステマさん。

 ちょっと困り顔。美しい。


 私の心理パラメータも激しく変動しておりますよ! うむ、我ながら言いえて妙。


 システマさんが私の対面の椅子を引いて座ります。

 その横で素早くフィーアさんがシステマさんの前に置いてあるカップにお茶を注いでおりました。


 ……何だろう、急に一人暮らしの家へ親が来てソワソワ落ち着かない学生みたいな反応ですね。

 フィーアさんには申し訳ないけれど、見ているとちょっと面白い。



「それでは、フワモ様に害をなす不届き者のIDを割り出し粛清致しますので、どうかご安心を」

「あ、はい! お、お手柔らかにしてあげて下さい!?」

「では、フワモ様が被害にあわれた場所はどこでしょうか?」


 場所は公園だよね。休憩場にいたら離れた茂みからコッソリ見られてました! て感じの事を説明すれば良いのかな。ああそうだ、カイムさんが不審人物に声を掛けたっていえば判りやすいかも!


「えっと……始まりの町にある公園の休憩場で、住民のラティアちゃんとカイムさんの二人と一緒に居たのですけれど、視線を感じたカイムさんが怪しい茂みを確認しに行ったら、私達の方を隠れて見ていた不審な人を発見した! という感じです」

「場所、関係NPC全て了解いたしました……NPCデータチェック……データ走査開始」


 椅子に座ってコメカミのあたりに右手を添え目を閉じたシステマさんが、左手を空中に滑らせながら何かピアノを弾いているかの如き指の動きを見せています。何やらカッコイイ動きですね。


 私の右側の椅子へ座っているフィーアさんが、両目をパチパチしながらシステマさんの動きを見ていました。同じGMさん? ですけれどやっぱりシステマさんの動きは凄いって感じているのでしょうか。


 あれでしょうか、能力が個人個人で違うとかあるのかも。


 フィーアさんと一緒にお菓子とお茶を楽しみつつ、2~3分程経過した頃でしょうか。

 システマさんが目を開いて空中に右手を滑らせ、何かを入力し始めます。何か判ったのかな?


「直接被害は無かったようで一安心です。強引に外部ツールの使用を試みた形跡がありますが、常時稼働している保護システムと監視AIが阻止した模様ですね」

「……えーっとつまりどういう感じでしょうか?」

「コッソリ写真を取ったり盗撮を試みた様ですが、全部失敗したという感じです」


 そうなんだ! という事は見られていた事以外の被害はゼロだったんだ!

 ラティアちゃんの平穏はひとまず守られた! 人気アイドルになっちゃうところでしたよ!


「対象プレイヤーによる無許可撮影未遂、及び外部ツールの使用を確認いたしましたので、行為をおこなったプレイヤーに対して、直ちにオレンジレベルの警告を送付いたします」

「オレンジ、ですか?」

「ホワイト イエロー オレンジ レッドの4種類の警告アナウンスが御座います」

「なるほど! ドンドン赤っぽくなってる感じですね!」


 多分ホワイトが一番ゆるーい警告で、レッドが強烈なヤツって事でしょう。私にも判りましたよ!

 っていきなりオレンジ色ってことは、結構アウト率が高い感じじゃないでしょうか?


「ちなみに、オレンジ警告を受けたプレイヤーが次に何かしら禁止事項を行った場合、警告なしで即刻ID停止処分になります」

「ひえー! そ、そこまでやら無くてもいい様な!?」

「いえ、今回の事態は未遂であったとは言え深刻な事案ですので、これでも少々温い程度です」


 そ、そうなのか……まぁこういった事に対してなら、色々と詳しそうなシステマさんに全部お任せした方が安心安全ですよね。

 これで一安心かなぁと胸を撫で下ろしつつ、キリっとした表情で椅子に腰かけお茶を飲んでいるシステマさんに視線を向けますと。


 カップをソーサーに置いた直後、何やら突然眉をひそめて溜め息を吐くシステマさん。

 あれ、一体どうしたんだろう?


【黄昏の大神】(プログラム主任)様から『試運転は終了 帰還せよ』とお達しが参りました」

「ありゃ、それじゃあまたお別れですね……残念です」

「何か不都合御座いましたら、どうぞGMコールをご活用下さいませ」


 ここ二日であった事とか色々とお喋りしたかったなぁ……まぁお仕事だし仕方ないか。

 でも、システマさんがゲームプレイに関わるお仕事を貰えて良かった良かった!


 流れるような動きで椅子から立ち上がったシステマさん、ゆったりとした動作でお辞儀をするとフィーアさんの頭を一回撫でて『後は宜しくね』と言って微笑んで、そのまま七色の光になって消えてしまいました。

 

「ごほん! それではフワモ様! ゲーム共有領域へお送りいたしますね!」

「はい、色々とありがとう御座いました! あとお茶とお菓子美味しかったです!」

「いえいえ! それでは良いゲームライフを!」


 両手を振ってお見送りしてくれているフィーアさんの顔が光に包まれて見えなくなると、ログインした時のような浮遊感を感じ……気がつくと噴水横の路肩脇に帰還していました。


 物は試しにと運営さんを頼ってみましたが、意外な人に再会できてしまいました。


 でもこれで、ゲーム内の警備の人とGMさんのダブル防御で、マイフレンドラティアちゃんを守る事ができますね! これで心置きなく北の山岳へ山登りへ向かう事が出来そうですよ!

本日三話目! 今日は三話連続更新です!


という事で(何がだ)諸事情により、月曜日の更新はお休みしますー

次回水曜日更新から再開になると思います!


それでは皆様、また来週ー!

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