CHAPTER21:ショップ巡り
―――土曜日、涼はさっそく彩音へのプレゼントを買いに向かった。
ここはショッピングセンター。アクセサリーショップだ。
(う〜ん、どんなのが好みなんだろ……)
涼にとって、女性へのプレゼントなんて初めてだったため、女性の好みがさっぱりわからなかった。目の前には、ペアネックレスや指輪、ピアスや髪留めのゴム(かなりオシャレ)など、多種多様なアクセサリーが置かれている。しかし、どれを選んでいいかわからない。
「やっぱアクセサリーより、服とかのほうがいいのかな……」
ポツリと呟いた涼は、次に服屋に向かうことにした。
「待てよ……」
しかし、アクセサリーショップのすぐ手前で立ち止まる。
「俺が女性服なんて買ったら白い目で見られそうだよな……」
店員にじろじろ見られる情景が安易に想像できる。涼はぞっとした。
そして、またアクセサリーとにらみ合いをするのだった。
ペアネックレス。まだ付き合ってもいないのにこれは引かれるだろうな。やめよう。
普通のネックレス。そういえば、彩音がネックレスなんてつけているところ見たこと無いなぁ。というかそもそも、彼女の私服姿すら見たこと無いかもしれない。なんだか強制っぽいことになるかもしれないし、やめよう。
ピアス。これは確実に有り得ないだろうな。そもそも彩音が、そんなチャラチャラしたような飾りつけをするはずがない。やめよう。
髪留めのゴム。普通のだったら別に要らないし、でも少し凝ってしまうとかなり派手なモノになってしまう。また、鉄製の髪留めでもよかったのだが、そもそも彩音がそんなものをつけてきたところを見たことが無い。やめよう。
では、アクセサリーはパスか?まあそれ以外にもいろいろあるしな。よし、他のとこいってみよー。
涼はそのままアクセサリーショップを離れ、{ザ・モール}へと向かった。そこは、基本的にぬいぐるみやコップなどがメインにおいてあり、プレゼントとしてはけっこう一般的な場所だろうと思われる。
涼の目にまず飛び込んできたのは、鳥の可愛いぬいぐるみだった。
(これなんかいいんじゃねえか……)
涼はぬいぐるみを手にとり、側面や背中を見たり、色々と回転させて隅々まで眺めた。
(やっぱりだめだな)
涼はぬいぐるみを置いた。なんだかしっくりこない。
そして涼は自分に言い聞かせた。
(時間はあるんだし、ゆっくり悩もう)
恋人に渡すプレゼントなんだから、最高のプレゼントにしなくちゃだめだしな。
涼はそこを一通り回り、違う出口からザ・モールを出た。そしてそのとき、ぱっと左を見ると、そこには可愛らしいピンク色の手袋があった。
「あ……」
思わず声が出た。これは似合うかもしれないし、これからの冬も便利だし、それに可愛い。
そして、何より自分の気持ちがすっぽりはまった感じがした。
「これにしよう……」
迷わず手袋を手にした。さっそくレジへ向かう。
「あのすみません、コレください」
「いらっしゃいませ。……合計1200円になります」
涼は女の店員に、2000円を手渡した。800円が戻ってくる。
涼はすぐに店を出た。こんな可愛らしいピンクの手袋買っているところを見られるのが何故か嫌だった。
ザ・モールから離れ、店内のベンチに座り、購入した手袋を見た。
そして、安心したようにこう呟く。
「きっと喜ぶよな」
―――違う
「えっ?」
涼は顔を上げた。しかし、周りには誰も居ない。
(なんだろ……確かに声が聞こえたんだけどな……)
まあいいか、と呟き、涼は手袋をバッグに入れた。
本当はもう少し詳しくしようと思ったんですが、あえて控えました!たとえば、どんなペアネックレスなのか、など。。。まあ、個人的にはこれでいいかなと。




