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旋風  作者: 若葉 美咲
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研究者渡辺さん

もうすっかり暗くなってしまった。

いつも店で宿題をやってから、帰る。

あまり、家に長くいたくないというのが本音だ。

ふと、足を止めて夜空を見上げる。

たくさんの光が尾を引きながら、駆けていく。

あれは流れ星なんかでは無い。

今もアメリカ大陸に宇宙人が攻めて来ている。

俺らが戦場に狩り出される日も遠く無いだろう。

そんな予感は俺につきまとっていたんだ。そのころから。


家につく。

1人暮らしなので家の電気がついていることはありえない。

ありえないはず、だ。

が、家は明るかった。

俺がいない間に家に入れて、堂々としているということは研究者が来ている証拠だ。

何の用事だろう。

思い当たる節が全く無い。

今日は検査の日では無いはずだし、緊急事態が起こった訳でも無い。

足を進め玄関のドアノブを回す。

何の抵抗も無く、すんなり開いてしまう。

くつが5足、並べてあった。


カバンをおいてリビングに入る。

「遅かったな」

研究者の責任者、渡辺さんが口を開いた。

「それはすいません。待たせました」

何かとよくようの無い口調になってしまった。

いつものことだけど。

「No.25を戦場に投下しろと軍からの命令があった」

No.25。

影の薄い女の子だった。

「そうですか」

答える。

この世界で誰かが生け贄になっている。

俺もいつか必ず、そうなるのだ。

余計な感情はいらない。

渡辺さんも同感らしい。

「報告だ。じゃあな」

渡辺さんが席を立つと他の研究者も去って行った。

残されたのは俺だけ。

まただ。

No.25、夢宮(ゆめみや) 沙苗(さなえ)

俺の側にいて家族になると言ってくれた。

だけど手を伸ばそうとしたらこれだ。

家族なんていらない。

そう強く思ったはずなのに。何処かで期待している俺がいる。


何をやってるんだ、俺は。

いつまでもくよくよしたってしょうがないだろう。

疲れている気がした。

指先が冷たくて体が動かしにくかった。


見上げれば空には半分になってしまった赤い月が浮かんでいた。

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