気持ち
渡辺さんの言葉に真っ先に質問したのは驚くことに壱だった。痛そうな悲しそうな顔をして、渡辺さんに突っかかった。
「それは奏夜に許可をとったんですか?嫌ですよ、僕」
こいつは変わった。
ちゃんと成長している。
俺を失うことの恐怖から、色んな感情が急成長している。
「岡本さん、俺がやりたいって言ったんです。やらせて下さい」
壱が驚いた顔をする。
まさか、俺から言い出すとは思っていなかったんだろう。
でも、いいんだ。これで。
「別に奏夜じゃ無くても構わないでしょ? 私が代わりになれるだろ? 」
咲が言った。確かに俺が見ている側ならそう言ったと思う。
でも、答えはノーだ。
「それは出来ない。研究は普通の人間じゃ耐えられない。諦めてくれ、風霧さん」
渡辺さんが告げる。
俺俺が半妖だから、選ばれた。
嫌で嫌でたまらなかったのに、今はそうでもない。
俺も変わった。
咲は多分、恩返しのつもりで言ったんだろうけど、俺はそんなの認められない。
だから咲の暖かい心だけ受け取っておこう。
いつもいつももらってばっかりな俺にもやれることがある。
大丈夫。
今度こそ、守ってみせる。
俺の大事な仲間を。
雷が迎えにくるその瞬間まで。
「聞け! 兎尾崎や雲井、赤崎が言いたいことも、分かる。だが、私はこれに賛成だ。生き残れる確立が上がるからだ」
夕華らしい判断だ。
これ結果だって言うには結構な勇気がいる。それを隠しているだけなんだ。
皆が皆、不安なんだ。それを表に出さないだけであって。なのに俺はそんなところを見ようともしなかった。
表に出てるものが全てだと、勝手に思い込んで。
半妖じゃ無くても、嫌われてたな。この性格じゃあね。
皆のおかげで気がつけた。
「雨宮隊長、ありがとうございます。ご協力感謝しています」
伝わっているのなら、嬉しい。渡辺さんも頭を下げている。
良かった。
「あと、お願いが一つだけ、あります」




