決意
呼吸が中々元通りにならない。
「渡辺、さん。俺が、全力、出せるように、、封印を、解いて、下さい」
途切れ途切れでも伝えたいことがある。
伝わってくれ。
渡辺さんはさらに驚いたらしく、コップが手から落ちていった。
幸い、割れなかった。
「奏夜。頭でも、打ったのか? 」
ちげーよ。
そんなしょぼい理由じゃない。
でも、声が出ない。
走ってきたせいだ。
「いいって言ってんだよ! 最終プロジェクトに移行しろ」
俺が声を低くして告げると室内の研究プロジェクトの皆様は驚いた表情をしてくれた。
俺が雷を殺した時にこのプロジェクトを拒否した。そして俺の半妖の証の空色の目と灰色の髪を封印してもらった。
だから、担当の皆様はたいそう悲しんだと言う。
それを今更やっていいなんていうから、戸惑っているんだろう。
「いいんだな? 後悔しても戻れないぞ」
渡辺さんが挑発するかのように言う。
別にそれでもいい。
守りたい者を守れるならどんな手段でも構わない。
例え暴走して俺が殺されることになろうとも。
「分かった。これより、最終プロジェクトに移行する。特別本部別働隊も集めてくれ」
渡辺さんが話を進めていく。
それでも、後悔の気持ちはない。
あいにく、そんな感情は全て使ってしまった。
ばらばらと特別本部別働隊が夕華を先頭に研究所に入ってきた。
不思議そうな顔をしている。
きっと、俺が初めて研究所に来た時もこんな顔をしていたんだろう。
「何ですか? 昼寝している人を叩き起こすほどの大切な話なのですか?用がないなら、帰るです」
紫雪がだるそうに言った。
寝てたのかよ、残り時間が少ない時に。
まあ、紫雪らしいと言えば、紫雪らしい。
「赤崎さん、大事な話なんだ。聞いて欲しい」
俺がこんなことを言うのは初めてだ。
皆もそれぞれ不思議に思ったらしい。
顔を見合わせたり、しかめたりしている。特に愛なんて眉間にシワが出来ている。
「こいつが半妖なのは全員が知っての通りだ。だが、こいつの力はこんなもんじゃないんだ、本当は。封印してきたからだ。今からこいつの封印を解く。そして新しい魔法をこいつで試す。ここまでは分かるよな? 」
渡辺さんが説明している。
俺は何度も何度も聞かされた。
初めて聞いた時はどう思ったのか、今では思い出せない。少なくともかなりの抵抗があった。
でも、今ではそれが希望に思える。
俺達に残された最後の手段だと言える。
皆も複雑そうな顔をしているがやはり、少し明るくなった気がする。
頼む、納得してくれ。




