表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
旋風  作者: 若葉 美咲
19/28

努力家

自室を出て外の空気を吸う。

1人でいると変なことや昔のことばかり考えてしまう。

やたら長い廊下を進んでいくと人影があった。

赤崎 紫雪だ。よくしゃべるやつだ。

紫雪と話していれば余計なことを考えなくて済みそうだ。

「赤崎さん」

呼びかけてみる。

紫雪が振り返った。

なんと、泣いていた。

え…。

どうしたら、いいんだ。

思わず止まってしまう。

「あはは。ごめんなのです。妹が産まれたと聞いて嬉しかったのです。でも、それだけじゃなくて、悲しかったのです」

悲しい、のか。

妹が産まれたなら嬉しいはずだ。

新たな家族として暖かく向かい入れられる。

ましてや、人口が激減しているこの時代。

赤ん坊は近所の人からも大切にされるくらいめでたいことだ。

「何か、妹がいるから死んでも大丈夫と言われてるみたいです。ダメですね、こんなんでは姉になれないですね…」

そうか。

自分の醜さに気がついて苦しくてやってられないんだろうな。

にしても、いつも笑顔でしゃべりまくるこいつが静かだと妙に悲しいと言うか、寂しいと言うか。

「心配するな。人間誰しも切迫詰まればそんなくだらないことばかり考えてしまうもんだと思う。赤崎さんが酷いって訳じゃない」

さっきまでくだらないことばかり考えていた俺が言ってもいいとは思わないけど何か言ってやりたかった。

紫雪は他の誰よりも努力をしている。

沢山情報を集めて話の話題をコントロールしたり、密かに魔力を上げる訓練をしていたりという裏の努力を俺は知っていた。

だから、そんなことで落ち込んで欲しく無かった。

あまりにも痛々しい。

「奏夜は優しすぎるんですよ。でも、ありがたくもらっとくです。明日は作戦です。きっと成功させるです! 」

本当に紫雪は頑張り屋さんだ。

すごいよ、紫雪は。

隊長の夕華だって不安で吐いちゃってたのに。壱だって色んなこと考えるくらい動転してんのに。

こいつは俺の言葉で立ち直って見せてくれた。

尊敬もんだな、こりゃ。

「ありがとうです。もう、行くです」

えへへ、と笑いながら紫雪は去っていった。

お礼を言わなきゃいけないのはこっちのほうだ。


気づいてしまった。

いや、気づかせてもらった。

その優しさと努力で。

俺の本心。

でも、やたらと涙が溢れてきて、視界がぼやけた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ