意外な一面
帰りは歩いていた。
永遠に続くんじゃ無いかと思うほど広い荒地。
これが東京だと言うのだから、この星はもう終わりなのかもしれない。
「ごほっ!ごほっ!おぇぇぇぇぇぇ!」
吐く音だ。
何かあるのか。興味を引いた。
単に気になっただけだ。
おもわず覗いた。
だけど、そこにいたのは夕華だった。
「え…」
思わず声を出してしまう。
夕華が振り向いてこっちを睨んでくる。
俺は黙って帰るほうが良さそうだ。
「待て! 」
夕華が呼び止めた。
逃げられないと言うか、逃がさない…って感じだろうな。面倒だ。
「何ですか、雨宮隊長」
いかにもそれらしく、あいさつしておく。
「奏夜、貴様見たか? 」
夕華が厳しい顔で詰め寄ってくる。
な、なんだよ。
「な、何にも見てません」
視線をそらす。
さらに夕華は詰め寄ってくる。
しつこい。
何でそんなことに構うんだよ。
見てようが見てなかろうがそんなの関係ないだろう。
「見ただろう? 本当のことを言え」
これ以上は厄介だ。
「見ました。具合が悪いのなら休んではいかがでしょう、雨宮隊長」
真面目に答えてやる。
こんなこと、普段ならしないんだけど。
特に壱の前とか。
「違う、具合が悪い訳ではない。怖いんだ」
え…。
怖い、だと。
驚き。同時にやっぱりかと思った。
「私の作戦で誰かが死んだらどうしようって思うんだ! 考えれば考えるほどもっと最善があった気がする! 」
夕華はまだ、俺より年下だと聞いたことがある。
もらった資料にも載って無かったから多分本当だろう。
一体どんなもんなんだろうな…、人の生死を握る心境は。
友の死、一つ受け入れられない俺には無理だ、こんな役目。
「隊長、俺が死んだとしても、雨宮隊長のせいではありません。俺のさきに逝った人がお迎えに来ただけですから」
夕華は優し過ぎる。
隊長なんて務まるはずがない。
本部だって分かっていたはずだ。
だとしたら、最初から特別本部の別働隊は潰す予定だったんだろう。
「今日は休んで下さい」
まだ、納得のいってなさそうな夕華に告げると逃げるようにその場を去った。




