犠牲
戦艦の注意を俺に引き寄せている間に咲は車を出したらしい。
咲が帰ってくるまで持ちこたえればいい。
少し安心してしまった。
腕に鋭い痛みが駆けた。
死ぬような致命傷では無い。
剣を構え直す。
宇宙人らはまだ、俺の後ろの基地に気づいていないらしい。
不幸中の幸いだ。
守りまでは正直辛い。
それに攻撃が最大の防御とも言う。
ふと気配を感じて、右を見る。
ユニコーンにまたがった夕華がいた。
「雨宮隊長!何で⁉︎ 」
あとから壱までやって来る。
バカか、あいつらは!
急に現れた敵はすぐに撃ち落とされるのに、あんなに油断しているなんて死にに来たのか。
色んな言葉が渦巻いた。
夕華も壱も機関銃で、狙われているなんて考えていないらしい。
間に合えっ!
仲間ごっこなんざ、俺はごめんだ。
失う何て、やってらんねぇ。
いつも置いていかれる側なんてぇのはもう我慢なんねぇんだよ。
てめぇらの知ったこっちゃねぇだろうけどな。
機関銃が体を撃ち抜いていく。
痛いなんて感じなかった。ただただ夕華と壱の驚いた顔だけが鮮明に見えた。
んな、顔してんじゃねぇよ。
落ちかけた体の体制を直すためにもう一度強く羽ばたく。
それから翼をたたみ、急降下した。
地上すれすれで急上昇して剣を構える。
戦艦の真下だ。
夕華がなんか言っていた。知るか。今さら騒いでも何も変わらないんだ。
そのまま戦艦を貫いた。
落ちていく視界の中でいく人か人の姿を見つけた。
誰も怪我してねぇといいけど。




