表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
midnight quest  作者: ヨコワケデュガリー
アビー・ダルトン 500歳
4/18

用務員のデイビッド

その日の晩、デイビッドはエリザベータと一緒に

夕飯を作った。


今日の夕飯のメニューはほうれん草のキッシュに

ポトフ、バゲットだった。

「なぁエリザベータ、学校は楽しいのか?」

デイビッドが心配そうに聞く。

「楽しいです……」

エリザベータが小声で言う。

「本当か? 無理しなくたっていいんだぞ」

デイビッドが続ける。

「大丈夫ですって」

エリザベータが笑う。

「ところでエリザベータ、お前クラスメイトから

金を要求されていたよな?」

「な、なんでそんなことを……」

「オレ、今日大学に居たんだ」

エリザベータが驚く。

「なんで?女子更衣室とか行ってたんですか?」

「行ってねーよ、あの学校用務員募集していたろ、

面接したら合格だったからな」

デイビッドが笑う。

「あの女っていつもお前をいじめているのか?」

エリザベータが黙り込む。

「あの女、随分調子乗っていたよな

お前のことブス呼ばわりだもんな

ゴリラみたいな顔のくせに」

デイビッドが続ける。

「よし、俺がお前の友達になってやる」

「ええっ?」

「友達さえいれば少しはいじめからも

解放されるだろう」

デイビッドの強引な提案にエリザベータは困惑した。


翌日、大学に昼休みのチャイムが鳴り響く。

いつものように一人でエリザベータが

学食へ向かうと、デイビッドが入り口で待っていた。

「いよぉアビー、待ってたぜ」

汚れた作業着姿のデイビッドを見て

エリザベータは笑ってしまった。

「その格好ひどいですね」


そしてデイビッドとエリザベータが列に並ぶ。

「アビー、今日は何が食べたい?」

デイビッドが聞くと、

「エビのグラタンがいいですね」

と答えた。


そしてデイビッドとエリザベータが席を探していると、

昨日のあの女子グループがまたエリザベータに足をかけた。

エリザベータは転んで、手に持っていたアイスコーヒーが

ジェシーというリーダー格の女子の服に掛かった。

「あのゴリラめ!」

デイビッドが心の中で怒りを爆破させた。


ジェシーたちがエリザベータに詰め寄る。

「アビー、あんたまたやったの?」

ジェシーがエリザベータの胸倉を掴んだ。

「助けて!」

心の中で叫んだ。

「やぁお嬢さんたち、どうしたんだ?」


声の主はデイビッドだった。

「このアビーが私の服にコーヒーこぼしたんだよ」

デイビッドがジェシーの服を見てこう言う。

「おやおや、20ポンドくらいの安いシャツに

芸術的な絵の具が書き加えられましたな」

デイビッドがニヤニヤしながらいう。

「ふざけないでよ! これシャネルのシャツなんだから」

ジェシーが怒りながら言う。

「シャネルがそんなダサい服作るのかい?」

ジェシーのシャツは確かにダサかった。

まるで日本人のおばさんのような豹柄のシャツだったからだ。

「う、うるさい」

ジェシーが返す。

「ゴリラ顔に豹柄のシャツですか、

アマゾネスさんはいいセンスですねー」

デイビッドが返す。


「そうだ、クリーニングしてやりますよ」

デイビッドが霧吹を取り出す。

すると突然、それをシャツに吹きかけた。

シャツがどんどん黒ずんでいく。

「ちょっと、これ何?」

ジェシーが慌てながら言う。

「イカ墨だよ、今日はシーフードの気分だから」

「意味分かんねーし!」

ジェシーが慌てて逃げていく。

学食が拍手と歓声に包まれる。

「いいぞー」

「よくやったー」

みんなジェシーが嫌いだったのだ。

「大丈夫か? アビー」

デイビッドがエリザベータに問いかける。

「だ、大丈夫だよ」

笑顔を見せる。

そしてデイビッドに初めてタメ口をしてきた。

これはよそよそしさが無くなった証拠だった。


「さて、次は多重人格の元凶を探さないとな……」

デイビッドが心の中で呟く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ