パート3
マスクをとったフレディの顔は、
端正な顔の30代と思われる男だった。
「知っているのか? パリス」
デイビッドがパリスに尋ねる。
「ジョシュア・クラーク、私の夫よ」
パリスが呟いた。
「あんた、なぜフレディに化けていた?」
デイビッドがジョシュアに拳銃を向ける。
「パリスにこの仕事をやめさせるためさ」
ジョシュアが笑う。
「実はオレは以前から刑事の給料の安さに
納得がいかなかったんだ、
そうしたらフレディがオレをスカウトしたんだ」
「何故こんなことをしたの?
あなたは正義感の強い人だったじゃない」
パリスが尋ねる。
「だからこそさ、お前はオレをそう思っているんだから
俺たちに関わらないようにあんなことをした、
実はオレはフレディと入れ替わっていたんだ」
ジョシュアが再び笑う。
「魔法でオレとフレディは入れ替わり
入れ替わったオレはオレとなった
フレディを殺したんだ」
「それにしてもこの仕事はやめられないよ、
金はたくさん入るし、人を殺しても
金で解決できる、最高さ」
ジョシュアがそういった途端、銃声が響き
ジョシュアは倒れこんだ。
「パリス!」
引き金を引いたのはパリスだった。
「おい、何故ジョシュアを撃ったんだ?」
デイビッドが問い詰めると、パリスは
「あんな姿のジョシュアはもう見たくなかった、
それだけよ」
そう言うと、パリスは泣き出した。
デイビッドはそっとパリスを抱きしめた。
「もういい、何も言うな」
デイビッドはそう言うしかなかった。
翌週、デイビッドはいつもの
「ウィリアムソンの店」にいた。
パブのカウンターにはパリスが
膝にアビーを載せて座っていた。
「私もこの仕事をやり始めて
まだ短いけど、どうかしら?」
パリスがデイビッドに話しかけた。
「いいんじゃないか」
デイビッドはそう呟いた。
デイビッドはこの仕事をやめる気を
すっかり無くしてしまった。
もう少しだけこの仕事をやろうと
心に決めたのだ。
パブのカウンターの電話が鳴る。
「もしもし、あぁ
ミイラ男のダニエルか、どうしたんだ?」
デイビッドが電話で話す。
デイビッドが電話を切って、パリスに話しかけた。
「パリス、仕事だ」
「ちょっと、私は?」
アビーがデイビッドに話しかける。
「お前は今日も留守番だ」
デイビッドが言い放つ。
パリスが支度をし始める。
「さて、今日も頑張ろうね」
パリスはデイビッドに微笑んだ。
こうしてパリスは、デイビッドという
新しい夫と楽しい毎日を送ることになった。