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midnight quest  作者: ヨコワケデュガリー
ジョージ・レスコット 27歳
11/18

明日は行けない

「何で明日は無理なんだ?」

デイビッドが問いただすと、ジョージは

「明日フランスに行かなきゃダメなんだ」

申し訳なさそうに答える。

「フランスに何の用があるんだ?」

デイビッドが尋ねる。

「ジャパンエキスポに行かなきゃダメなんだよ」

ジョージが答える。


ジャパンエキスポとは毎年パリで開催される

日本の文化をテーマとした博覧会で、

作動や書道など古来からの日本文化から

漫画やアニメなどの最近の文化まで

様々なものが紹介される。


「俺の好きな作家さんが新作を売るんだ、

二年ぶりの新作なんだぞ、絶対買わなきゃ」

ジョージが口調を強めて言う。

「同人誌ならいつだって買えるだろ?

確かアマゾンとかで売ってるんじゃないのか?」

「いーや、それだけじゃない

武道体験で日本刀を貸してもらえるんだぞ、

大将も日本刀振り回したいだろ?」

「別に……」

デイビッドが答える。

「今年はあれだぞ、フェイスブックでドイツ人の

フレデリックがハラキリをやるんだってよ、

見たいだろ?」

「フレデリックは何をしたんだよ!

てかそれ止められるってば」

デイビッドがツッコむ。


「よし、じゃあこうしよう」

デイビッドが提案をする。

「オレがジャパンエキスポに行ってくる、

だからお前はデートに行ってこい」

「えー、でも日本刀振り回したいよー」

「今回は我慢しろ」

「フレデリックのハラキリは?」

「動画に撮っといてやる」

「わかった、仕方ない」

ジョージはやっと納得した。


そして翌日、ジョージの家の前に

赤い2001年式フォード・フォーカスが

停まり、クラクションを鳴らした。

「ジョージ、遅れてゴメン」

窓からマギーが謝る。

「大丈夫さ、行こうよ」

アパートからジョージが出てくる。


助手席に座っているジョージが電話をする。

「誰に電話するの?」

マギーが運転しながら言う。

「母ちゃんだよ、今日ドラキュラ城行くから

とびきり怖いお面やってくれるように

電話するんだ」

言い訳をするジョージ。

「今車の中だ、大将はどこだ?」

「今行列中だ」


デイビッドはジャパンエキスポの開場を待つ

行列に並んでいた。

「くーっ、何でオレがこんな目に……」

デイビッドはジョージが着る予定だった

「僕の妹を魔法少女にしてください」とかいう

長ったらしいタイトルのアニメの悪役

「ハンプトン総統」のコスプレをしていた。

ヒトラーみたいな軍人の帽子に

女王様みたいな黒いアイマスク、

上半身は全裸にサスペンダーだけ、

下半身は黒いトランクスしか履いておらず、

靴はピンク色のピンヒールと

その姿はどう見ても変態だった。

「で、もうすぐで着くのか?

着いたら彼女のドアを開けてやるんだぞ」

デイビッドが電話に応える。

「分かったよ、大将」

そういって電話を切った。


やがて車はオルトン・タワーズに到着した。

ジョージがマギーをエスコートし、ドアを開けてあげる。

マギーがトランクを開けて、篭を取り出す。

「今日はお弁当作ったんだよ」

マギーが笑顔で言う。

「楽しみだな」

ジョージが笑顔で反応する。

「初デート、上手くいくかな……」

そう思いながらジョージはマギーと

入場ゲートへ歩き出した。



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