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番外編 ある日の一刻(友成編)
十月中旬の昼下がり。太秦の別邸に、一条宮から、一輌の牛車がゆっくりと進んでいた。
中に乗っているのは年頃からすると、十六から七くらいの公達。彼はこの日のためにと、念入りに身支度を整えていた。
「…あの人はどうしているかな。待ってくれてるだろうか」
そんなほのかな期待を抱きながら、顔をうっすらと上気させる。十月の始め辺りに、いきなり文が届いた。
何だろうと、思って、読み進めると。それは幼い時から密かに想い続けていた人からだった。本当に驚いた。いきなり、女性の方から文がくるなんて。
最初、夢かと間違えたほどだった。 内容は〈話があるので来てほしい〉というもの。ごく簡単にそう書かれていた。公達は勢い込んで、あの人の所を目指す。それが悲しい恋になったとしても…。




