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――其は悪性の凝りである
頂くは曇天、ただただ開けた丘の上、四方を囲うは人の群れ
――其が呼び寄せしは争乱
其が振るいたるは狂刃
其が求めしは死臭に満ちた街路である
緑も水も街の火も、彼方にありて見る事叶わず
此処に在るのは乾いた地面、場に溢れた感情は指向性の統一意思
――其を軸に悪性は集い
故に其は地獄の中心、悪性の凝る渦である
群れは「怨嗟」の飽和に呑まれ、只一点を注視する
――此処に我らは渦を絶ち
正しき時代、在るべき世界への帰還を成さん
土を盛り固めただけの粗末な舞台の上、「渦」たるソレを注視する
頭上の歪んだ雲を見て、これから成される正義を決して見逃すまいとして・・・
――裁きの「槍」は降り来たり!
此処に正義は成就せり!
そして雷は天を裂き、光と音を伴って「渦」へと突き立てられる
――――これが、約100年前に起きた事件の結末である